モデルプレスのインタビューに応じた、大塚 愛/画像提供:エイベックス

大塚 愛は“可愛いではない、カッコ良いんだ”でも声が合わない…今と過去の葛藤、今年の目標は“女前”<モデルプレスインタビュー>

2017.02.22 18:00

フジテレビ系で放送中の連続ドラマ『嫌われる勇気』の主題歌『私』を2月15日にリリースした大塚 愛(おおつか・あい)のモデルプレスインタビュー。後編では、新曲のことを絡めながら、今と過去について語った。

  

“ドラママニア”大塚 愛の視点

「ドラマの最後に似合う楽曲を」という制作側のオーダーや、他人から嫌われることをいとわず、自由に自分の人生を全うするがごとく生きる、香里奈演じる主人公・庵堂蘭子のキャラクターから、聞くと一歩前に踏み出したくなるようなアップテンポな曲調を創作。歌詞も蘭子の性格や気持ちを大塚独自のワードセンスで表現したものに仕上げた。

― シングルの表題曲にはこれまでどちらかと言うと恋愛ソングが多かったですが、今回は過去や未来、他人の評価に捉われず「今、私をもっと生きよう」というテーマで制作され、メッセージ性が強いように感じました。ドラマの主題歌を手がけるのはドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス~』に提供した『PEACH』以来、9年ぶりでもあります。

大塚:私のTwitterを見ていただくと一瞬でわかるんですが、私ただのドラママニアなので、ドラマの主題歌をやるっていうことの責任の重さに最初は耐えられなくて(苦笑い)。ドラマの台本を見た時、ドラママニアの視点でいくと、これは歌ではなく普通にサントラの方がカッコ良くなると思ったんですよね。なので私の歌ですべてを潰してしまったら…という恐怖心がありました。

― そんな中、満足いく作品に仕上がりましたか?

大塚:それが判断できないままレコーディングが始まって、わからないまま予告で流れて、そのままドラマが始まったような感覚です…(苦笑い)。

― それでも実際にドラマを見て、反響もあったんじゃないですか?

大塚:ドラマを見て、息ができない状態で1時間経って…(笑)。見終わった後も放心状態で、なかなか言葉が思い浮かばずにツイートできなかったんですけど、安藤裕子さんから「良かったよ」ってLINEがきて助かりました(笑)。

― ドラマの蘭子は大塚さんに似ているなと感じました。

大塚:私も台本を読みながら「これ私のことかな?」「被っているな」って思いました(笑)。でもたぶんショートケーキは譲るかな(笑)。子どもに泣かれると弱いですし…男なら譲らないですね(笑)。

「今」と「過去」の“私”

大塚 愛/画像提供:エイベックス
― 『私』は約2年9ヶ月ぶりのシングルですが、大塚さんの過去と比較して、今の“私”についてお聞きしたいなと。

大塚:私がこの曲を歌えるのかなってすごく不安があったんです。声が合わないなと思ったので。どうしても自分の声に似合う曲ってなると、やっぱりキュートなものだったり、柔らかいものだったり、ちょっと儚げな感じだったり、そういうものが合うので、これまで挑戦せずに自分の声に合うものをやってきてしまった。そうしたら世間の持つイメージがそこに凝り固まってしまって…。実際、バラードを多く出してきた割には、なぜかアッパーなイメージを強く持たれたまま着地してしまった。でも実際に私と一緒に仕事をする仲間は誰一人、私のことをキュートだと思ったことはないと思います(笑)。

主人にいたっては私のことを可愛いではなくて、カッコ良い人だと思うって言ってくれたことがあって。でも自分でカッコ良い曲を出そうってなると、やっぱり声が合わないし、って自分で作った壁がどうしてもありましたね。この曲に関しても「なんか声が合わないな、たぶん声量がちょっと足りてないな、曲はドラマに合っているけど私は合っていない」って思う中で、でも“本来の私はこっち”。今の気持ちとしては“本来の私”でこんなに大々的にシングルを出してしまって、あ~汗やばい、みたいな感じです(笑)。

高熱で撮影…MV秘話

大塚 愛「私」ミュージックビデオより/画像提供:エイベックス
MV(ミュージックビデオ)はタイトル通り“私”に焦点を当てた映像作品。夜が明けていくシーンから始まり、無人の街を独り歩き続ける大塚が印象的だ。普段人で賑わっているはずの街には誰一人存在せず、私だけが存在している。 モノクロならぬ、ピンクベージュの世界にすることで、他人に捉われず、自分自身と向き合い、進んでいく様を表現した。

― 撮影では何に苦労しましたか?

大塚:一歩踏み出す勇気、何があってもとにかく歩かないといけない、時を止めることはできない、そんな蘭子が歩くシーンを思い浮かべながら楽曲を作ったので、ミュージックビデオもやっぱり歩きたかった。すごく寒くて、しかも当日熱が出てしまったので、撮影は本当に苦労しました。

― 熱があったんですか!?

大塚:怖くて測ってないんですけど、前日の夜に悪寒がすごくて、震えが止まらなくて。だからもう必死ですよ。撮影中も「寒い寒い」と言っていて。ミュージックビデオの撮影日に熱があったのは『愛』(2008年)以来。またやってしまいました。

大塚 愛「私」ミュージックビデオより/画像提供:エイベックス
― あの画を作ることでの苦労はありましたか?

大塚:どんな気持ちでどんな表情を出そうか悩みました。最終的には“無”でいこうと思ったのですが、気持ちを“無”にするには、迷いがないということなので、相当な決断が必要。急いでいるわけでもない、怒っているわけでもない、カッコつけるわけでもない、ただただ“無”で歩くことは本当に難しかったです。

― この曲を通して伝えたいこと、読者にメッセージをお願いします。

大塚:自分のことをちゃんと受け入れて認めて、自分を何とかしようって思うことはすごく面倒くさくて怖くて嫌だなって思うんですけど、でもそれをできるのは自分しかいなくて。そういう自分を好きになれる一歩の手助けになると嬉しいなって思います。たくさんの方の幸せが1mmでもアップしますように。楽しめますように。前向きでありますように。踏み出していけますように…ぜひ聴いてください!

恋をした時のハラハラする気持ち――『サクラハラハラ』

大塚 愛/画像提供:エイベックス
― 『サクラハラハラ』は、五感で巡る花の体験型デジタルアート展「FLOWERS by NAKED(フラワーズ バイ ネイキッド)2017 —立春—」のテーマソングですが、どのような楽曲でしょうか?

大塚:恋をした時のハラハラする気持ちを表しました。春ってなんでこんなに幸せと悲しさが入り混じっているんだろう。桜はとっても綺麗なのに、とっても寒いから。好きだけど嫌い、春はそんな複雑な季節。恋でもいろんなことに一喜一憂する。でもなんかすごくドキドキするんです、桜の咲く時期は。ちょっと風が強く吹いたり雨が降ったりすると、もう見られなくなる。そんなドキドキ感、ハラハラ感、恋に一喜一憂する女の子と重ね合わせた感じです。

涙が止まれば十分――『女子シェルター』

大塚 愛/画像提供:エイベックス
― では『女子シェルター』はいかがですか?

大塚:昔から女性に向けて共感してもらえたら、という想いで曲を書いているんですけど、この曲は特に何かしら女性の一部になったらいいな、と思って書きました。

― 大塚さんの歌詞はいつも言葉遊びがあってとても素敵なのですが、どのように出来上がっていくんですか?

大塚:音が歌詞を連れてくる感じです。何か違うことをやっている時に浮かんで、その時にはメロディーと言葉がいっしょに流れているので、それを書き留めます。なので曲を作る時間って明確にはないです。

― この曲で女の子に何を受け取ってもらえたら嬉しいですか?

大塚:涙が止まれば十分です。

― カッコ良い(笑)。

今年の目標は“女前”――インタビューメモ

今年の目標は“女前”と話す大塚さん。新曲『私』で表現した大塚さんもカッコ良さが全面に出ているので、2017年は理想のスタートを切れたのではないでしょうか?…なんて話を振ると「お正月は喉が痛かったので違います」と笑いながら即座に否定。さらに「女前すぎたのか、娘から『ママさ、なんでそんなに男っぽいの?もうちょっと女らしくした方がいいんじゃない?』って言われました(笑)」と自由な回答でスタッフを楽しませてくれました。

本人は『さくらんぼ』的なイメージに苦しんだこともあると言うけれど、彼女のポップな曲とハッピーな歌詞に元気と勇気をもらった人は確かにいて、一方で“愛”に溢れた歌詞で女性の共感を得てきた彼女はこれまでも“女前”だったのかなって。そんな彼女が「今年は今まで見せてこなかった本当の自分をもっと見せたい」と意気込んでいるのだから、『私』をきっかけに世論を変えていくことを、楽しみにしたいと思います。彼女は「スタッフの皆さん、浸透するように頑張って~!」ってお茶目に丸投げしていましたけど(笑)。

(modelpress編集部)

大塚 愛(おおつか・あい)プロフィール

1982年9月9日生まれ、大阪府出身のシンガーソングライター。15歳から作詞・作曲を始め、2003年9月10日に、シングル『桃ノ花ビラ』でメジャーデビュー。2015年4月にエレクトロを基調とした7枚目のオリジナルアルバム『LOVE TRiCKY』をリリース。シンガーソングライターとしての活動のほか、イラストレーター、絵本作家、楽曲提供など、クリエイターとしての一面も持ち合わせる。
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