モデルプレスのインタビューに応じた柾木玲弥 (C)モデルプレス

俳優・柾木玲弥は「すきま産業」なのか?―圧倒的透明感の“内側”を探る<インタビュー>

2016.12.08 00:00

「JUNONスーパーボーイコンテスト」(09)で“見つかった”正真正銘のイケメンでありながら、映画『みんな!エスパーだよ!』(15)や『ライチ☆光クラブ』(16)などでその対局とも言えるキワモノ系も見事に好演してきた注目の若手俳優、柾木玲弥(まさき・れいや/21)。初めて姿を見たとき、文字通りの“透明感”に目を奪われたことを伝えると「中身は透明じゃないですけどね。『口閉じてればイケメン』ってよく言われます」と笑った。その内側を探るインタビュー。出演中のドラマ『ラブホの上野さん』(FOD=フジテレビオンデマンドにて毎週木曜配信、2017年1月中旬より深夜地上波放送)にちなんだ恋愛観、デビューから今に至るまでの仕事観などから、透明なベールの奥でうごめく何かを覗いてみた。

  

柾木玲弥はモテる?モテない?

― 『ラブホの上野さん』は実在の人物をモチーフにしたラブホテルスタッフの上野さん(本郷奏多)が恋のお悩みを解決へ導いていくお話ですが、本当に男女問わず明日使えそうなテクニックが満載で。

僕も即日使おうと思いました(笑)。最初このタイトルを聞いた時は「えっ、何だろう?」と思ったんですけど、原作の漫画を読んでみると、そういうタイトルだけど“やらしさ”は全然なくて。恋のテクニックが勉強になることもあったし、ドラマのほうは原作よりもさらに「愛」みたいなものを強く感じられるというか。恋愛する上で、“本当に人を好きになる瞬間”を描いたシーンもあったりして。

ドラマ『ラブホの上野さん』で“彼女いない歴21年”の一条くんを演じる
― 柾木さん演じる一条くんは彼女いない歴21年、恋愛における“ダメな例”を見せては上野さんからサディスティックにしごかれていくという…

そうですね、僕が分かりやすい例となってストーリーが進んでいきます(笑)。

― 一条くんと共通点を感じる部分はありますか?

似つかわしい部分はあると思います。特にテンションの高低差ですかね。一条くんは単純なので、テンションが高い時は高いし、落ち込む時はすごく落ち込む。そういうのが表情からわかりやすい人物なんですね。僕は表情に出ないタイプなので、そこはちょっと苦労したところではあるんですけど、僕にも明るくてテンションが高い一面があるので、そういう所は似ているかなと。テンション低めに見られがちなんですけど、実は高いんですっていう。

― 一条くんは「要領が悪く詰めが甘い、短絡的で全くモテない」ということですが…

僕、要領はいいほうだと思います。でも詰めは甘いですね(笑)。

― 例えば?

思い立ったらまず行動、それで失敗して勉強するタイプなので。臆病な部分もあるんですけど、結構何でも挑戦したいタイプかもしれないです。考える前に行動するという部分では、詰めが甘いのかなと。

― 一条くんはモテませんが、柾木さんはモテますよね?

そうなんですよね~(笑)。…いや、正直に言うと僕は一条くんとは違う方向でモテないです。一条くんは女性に積極的に関わろうとしてモテないタイプだけど、僕は自分からはいけないので。

― 自分からは話しかけられない?

特に女性に対してはすごく人見知りで。今回の撮影も、1ヶ月あってやっと松井(愛莉)さんや大沢(ひかる)さんともしゃべることができましたけど、そうでなければ無理にでも同じ牢屋に入れておかないと仲良くなれない犬みたいな感じ。一回仲良くなれば大丈夫なんですけど、最初は“話しかけるなオーラ”が出てるってすごい言われます(笑)。

人見知り…だけど行く時は行く

「感情が表に出にくい」そう(C)モデルプレス
― では恋愛下手か、恋愛上手かで言うと…

いやぁ…まず人付き合いが苦手なんですけど…どうだろう。自分で「恋愛上手だ」とは言えないですけど(笑)、上野さんの教えを聞いていると、「あっ、これ無意識にやってるわ」っていうのがあったりします。例えば「どこご飯行く?」って聞いて、「なんでもいい」ってなった時に、「肉と魚だったらどっち?」って2つの選択肢を伝えるとか。そういうのは友達同士でもやってたなって。

― それはすごくスマートですね。

上野さんも言ってました、「そういうことが言えるやつは紳士だ」みたいな(笑)。だから僕もそういうのを女性に対してうまく使えれば、恋愛上手になれるんじゃないかなって感じです。

― でも、一度仲良くなりさえすれば。

仲良くなっても、あんまり恋愛対象に選ばれないんですよね。

― それは何故だと思いますか?

友達みたいになっちゃうからですかね。相手が女性だからといって気取らないし。いい意味でも、悪い意味でも。そういうところを好きになってくれる女性がいればいいですけど、上野さんも言っているように、女性ってちょっと緊張感のある相手のほうが好きになってもらえるじゃないですか。

― 特別な異性として意識させる距離感も重要なわけですね。上野さんのアドバイスで特に刺さったものは?

LINEの仕方です。「文字はしゃべるよりも難しい」と。「1回に送る質問は1つだ!」というのは「確かに!」って思いました。自分が送られる立場になったらそうだなって。

― LINEは苦手ですか?

はい。既読スルーしますね。自分でLINEを止めづらいっていう思いもありつつ、切りたいオーラが出てるんだと思います。どんどん冷たくなっていくっていう(笑)。

― 好きになったら、次のステップに進展させたいじゃないですか。

もし付き合うっていう選択肢になったら、自分から行くしかないですよね。

― やはりそこは。

ありますね。女性からの言葉を待っているなんて男じゃない。

― 行くときは行くんですね。

相手も自分に対して好意を持っているっていうのは前提で。そういう小ずるい感じではありますけど(笑)。

― 一世一代の告白はどういうシチュエーションで?

普通に会って「好きです、付き合ってください」。でも最近思うのは、それが2人だけの世界じゃなかった時が一番面白いなと思います。

― と言いますと?

例えば現場とかで、「付き合ってるのを知ってるのは私たちだけ」みたいなのはすごいキュンキュンするんじゃないかな(笑)。もしかしたら告白する時も、2人きりよりは誰かいたほうが面白かったりして。「俺らの愛は第三者が知っている」みたいな(笑)。

― なかなかハイレベルのような(笑)。

最近、そんなことを思います。だんだん感覚がガキから抜け出してきたので。昔はLINEや電話で告白しようとしてましたけど、もう普通に会って言えばいいと思う。いい感じに適当になってきたのかな、人生に対して。「なんとかなるから」って感覚になってきたかも。

― 適度に力が抜けてきたという感じですかね。

緊張はしますけどね!でも冷静に考えれば「今言わなくていつ言うんだ?」ってなりますから。

― このドラマを通して「モテるためにはこれが大事だ!」と学んだことは?

コミュニケーション能力ですね。まず最低限、女性と話せないと意味がないなっていう。自分もそこさえ手に入れられれば、なんとかなるかなと。

― そこが一番難しい部分ではありますけどね。

なかなか突破できないですね。15歳くらいからずっとキョドるタイプなので。

― でも今は現場ごと、新しい人間関係の繰り返しで。

疲れるんですけど、最終的にはみんなと仲良くなれて楽しめるので、人見知りやマイナス思考も徐々に直ってきたのかな。日々成長はしているんだと思います。

今は「大きな階段の途中」上がりきった先には―

― ここからは“俳優・柾木玲弥”のお話を。この仕事一本でいこう、と決意したのはいつでしたか?

15歳で地元の北海道から東京に出てきた時。将来は大学を出て先生になると決めていたんですけど、兄夫婦が応募した「JUNONスーパーボーイコンテスト」で受賞したのをきっかけに、今から考えると当時は行きたくもなかった東京に半ば強制的に引っ張り出されて。ホームシックになり、「なんで俺はここに来たんだ?」と思いながら日々を過ごしたという、僕としては暗い過去があるので、だからこそ、この仕事で成功しないわけにはいかないというか。

― 自分の人生が思ってもみない方向に転換して。

周りの期待感がすごかったから、それを裏切れなくて、東京に行かない選択肢はなかったです。その当時の僕に覚悟があったかって言われたら、なかったのかもしれないけど、その時に色々捨ててきたので。家族とか、友達とか、学校とか、夢とかを。だからそのタイミングで、僕はこの仕事を頑張ろうと思ったんだと思います。

― そんな中、この仕事の楽しさに気づいた瞬間というのは?

初めてのお芝居の仕事は楽しかったです。ミュージカル『テニスの王子様』(※2011年『テニスの王子様』青学vs聖ルドルフ・山吹/壇 太一役)なんですけど、僕が2幕の一番最初にバンと出てくるんですよ。その時の快感って、いまだに他で味わってないですね。

― 今、仕事を続ける上での一番のモチベーションは?

一言で言うと「悔しさ」ですかね。ひとつひとつの作品で「やり切ったな」と思う時と、「もっとできたな」と思う時があるので。「何でもっとできなかったんだろう?」「俺にもっと力があったら」というようなことがモチベーションだと思います。

― 2016年も映画『ライチ☆光クラブ』『幸福のアリバイ~picture~』などの作品が公開されましたが、柾木さんにとってどんな一年でしたか?

毎年、着実に階段を上がっているような気はするんですよ。ひとつずつ、何かしらステップアップしている。その大きな階段の途中だったってだけですね、今年は。まだ上がりきってもないし、下がってもない。

― 上がりきったところ…というのは。

この仕事で安定して食べていけるようになること。その目標に向かって少しずつ、階段を上がっているような感覚です。

― 充実した一年でしたか?

うーん、もっと仕事していたかったですね。忙しくしたくても、忙しくなれないのが僕らですから。なので、来年はもっと仕事したいと思います。

― 2017年の目標を掲げるとしたら?

具体的な目標ではないですけど、頑張ることですね。来年もひとつひとつの作品を丁寧に頑張りたいと思います。そうすることしかできないですから。

「すきま産業」の真意

気になる“あの言葉”について(C)モデルプレス
― Twitterのプロフィールに「すきま産業」と書かれているのは…

思いつきで、僕の好きな言葉を書いただけなんです。フォロワーの皆さんからは「そういう姿勢を意識して書いてるんだろう」と思われているけど、別にそこまで意識してなかった(笑)。

― 俳優としてのスタンス的な…意志表示かと思いました。

でもまぁ、すきま産業ですね。でっかい企業でドーンとやりたいというよりは、僕は「この役だったら、こうやったら面白いだろうな」という風に、すきまを狙っていける俳優であればいいと思ってはいます。でもそこまで深い意味を込めたわけじゃなくて。

― では、書き変えますか(笑)?

変えないです(笑)。

― いわゆる「王道」ではないベクトルを、ファンの皆さんも期待しているだろうし、それが柾木さんの武器なんだろうと思います。

そうですね…王道でパンッと花を咲かせるんじゃなくて、茎でも葉っぱでもいいから、長く生きていきたい。花は枯れるけど、茎が枯れるのは最後のほうじゃないですか。…今ちょっと思いつきで言ったんですけど、割といいこと言いました、多分(笑)。

(modelpress編集部)

★モデルプレスでは後日、プライベートに迫る一問一答も配信予定。お楽しみに!(C)モデルプレス
パクッ!(C)モデルプレス

柾木玲弥(まさき・れいや)プロフィール

生年月日:1995年3月24日
出身:北海道
血液型:B型
特技:ボイスパーカッション
趣味:人間観察

1995年3月24日生まれ。北海道出身。2009年「JUNONスーパーボーイコンテスト」で審査員特別賞受賞。2010年、ミュージカル『テニスの王子様』のオーディションに合格し上京、2011年に『テニスの王子様』聖ルドルフ・山吹で初舞台。2012年10月クール『高校入試』で連続ドラマデビュー。2013年4月クール『みんな!エスパーだよ!』では陰気で友人がいないエスパーの矢部直也役、同年7月から放送の『明日の光をつかめ』では天才的な知能を持ち心臓病に苦しむ植本浩樹役を演じた。2015年はドラマ『学校のカイダン』『デスノート』、映画『やるっきゃ騎士』『みんな!エスパーだよ!』『人狼ゲーム~クレイジーフォックス』などに出演。2016年は映画『ライチ☆光クラブ』『LIVE!LOVE!SING!~劇場版~』『幸福のアリバイ~picture~』『Oh MyZ!(オー・マイ・ゼット!)』が公開、出演ドラマも多数OAされ、様々な役柄を好演。2017年にはドラマ『きみはペット』などが控えている。



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