モデルプレスのインタビューに応じた斎藤工(C)モデルプレス

“雨宮三兄弟”斎藤工「僕が長男なのは年齢だけ」 TAKAHIRO&登坂広臣に「会いたくなかった」?モデルプレスインタビュー

2016.10.07 18:00

総合エンタテインメント・プロジェクト「HiGH&LOW」の劇場版第2弾「HiGH&LOW THE RED RAIN」(10月8日公開)に出演する俳優の斎藤工(35)が、モデルプレスのインタビューに応じた。

  

劇場版第2弾「HiGH&LOW THE RED RAIN」

映画「HiGH&LOW THE MOVIE」に続き、「HiGH&LOW」の劇場版第2弾である今作は、次男・雅貴(TAKAHIRO)、三男・広斗(登坂広臣)、長男・尊龍(斎藤)の「雨宮兄弟」がメイン。突如姿を消した長男・尊龍の「もうひとつの顔」、最大の敵・九龍グループの真相に迫っていく物語。

TAKAHIRO、登坂はドラマ版(シーズン1は2015年10月期に放送、シーズン2は2016年4月期に放送)から出演し、長男・斎藤は今作からの参加となる。

「HiGH&LOW THE RED RAIN」(C)2016「HiGH&LOW」製作委員会
ドラマ放送開始直後から、ファンの間で話題を呼び、様々な憶測が飛び交っていた長男役。そして発表された斎藤。企画プロデュースを務めるEXILE HIROをはじめ、TAKAHIRO、登坂も絶賛のキャスティングとなったが、本人は「えっ?とひたすら驚いていました」とまさかのオファーだったという。

さらに、「僕は、この作品だから、この脚本だから、この番組だから、と仕事をお受けする立場ではないので、出演を知るのは基本的に決まった後なんです」と振り返り、「自分がこの役を演じたとき、どうなるのかなって、期待半分不安半分で行方を見守っていました」と想いを語る。誰もが驚いたキャスティング…それを演じた“長男”の胸の中は一体――?

TAKAHIRO&登坂広臣と“雨宮三兄弟”「僕が長男なのは、年齢だけ」

「HiGH&LOW THE RED RAIN」場面カット(C)2016「HiGH&LOW」製作委員会
― TAKAHIROさん、登坂さんと“雨宮三兄弟”を演じた感想を教えてください。

斎藤:僕はドラマからシリーズを観ていて、単純に雨宮兄弟が好きだったんです。物語の核心的部分に深く関わらず、嵐のようにやってきて、活躍してバイクで去っていくっていうのが、かっこいいなと。そういう想いもあって、歴史が浅い状態でこのシリーズに参加するから、迷惑をかけないようにと思っていました。あとは、台本を読んだ段階から、一緒にいない場面の方が重要な物語だと感じたんです。実は劇中で三兄弟が揃うのって、本当に短い時間なんです。だから、実際にお芝居をしたときよりも、弟たちへの”想い”を大切にしていました。変な話、再会してしまえば終わってしまうので、会いたくなかったと思ったくらいです(笑)。

― 三兄弟の絆や歴史というのは、主に子役の方々が演じる回想パートで表現されていたかと思いますが、その部分をより意識しながら、ということでしょうか?

斎藤:丁寧な回想もあるので、僕が説明し過ぎない方がいいなと思っていました。ただ単純に良い人にもしたくなかったし、脱線した理由を語らずに表現しようと心掛けました。“尊龍像”を「こういう人間ですよ」って一色にしたくなくて、型に入らないようにしていました。

― 現場でのTAKAHIROさん、登坂さんはいかがでしたか?

斎藤:すごく真摯に作品と向き合っている印象でした。自分たちがどう映っているかという以上に、物語の主軸に対して自分がどう演じれば、より効果的かということを常に模索されている方々でした。クレバーな部分と野心的な部分の両方を、現場では見た気がします。それから、日本ではない特殊な環境でも撮影をしたんですが、僕が合流する前からSNSなどで3人でやりとりをしていたので、何だか照れくさかったです(笑)。

― 照れくさい?

斎藤:僕は人見知りが激しいし、男兄弟がいないので、「こんな感じなのかな」とか。

― 実際の関係性も役設定に近かったですか?

斎藤:いや、そんなことは全然なかったです(笑)。僕が長男なのは、年齢だけです。他の作品でも三兄弟は長男以外も何度か演じたことがあるのですが、意外と三男が1番大人なことが多いんです。今回もその法則が当てはまっているなと思いました。

斎藤工の教訓とは?「“まさか”を楽しめる自分になりたい」

― 映画では、尊龍が弟たちに「拳は、大事なもんを守るために使え」と言い聞かせるシーンが登場しますが、斎藤さん自身が尊龍のこの言葉のように大切にしている教訓はありますか?

斎藤:作家の開高健さんの「悠々と急げ」という言葉はずっと肝に銘じています。幼い頃に、両親の本棚で出会った言葉です。

― どんな瞬間に、その言葉を思い出しますか?

斎藤:何かを決断するときに頭に浮かびます。例えば、これまで監督として7本、作品に携わってきましたが、監督を出来るチャンスとかタイミングが来たときには、いつも「どうしよう」「自分ごときが」って思ってしまうんです。そういうときには、その言葉を思い出して、「人生とっくに折り返しているから、悠長なことを言っている場合じゃないな。飛び込んでみよう」って。いざという時、頼りにしている言葉です。

― これだけのブレイクをして支持されても、そういう不安が。

斎藤:支持されるってことは、いつかは支持されなくなるってことだと思っているので。そこは表裏一体。だからこそ、「なんであの時、あれをやっておかなかったんだろう」って後悔しないようにしなくてはいけないなと思っています。そうやって考えていたら、最近は、何を優先すべきか分かるようになってきました。ちょっと踏ん張ろうってときは、半年後や1年後の自分を視野に入れるんです。僕の場合、今を100%にするときついし、色んなことに臆病になって、恥をかかないようにしようって思ってしまうんですけど、少し先の自分を優先すると、勇気が出せるんです。

― 先を見越して過ごすことが、大切と。

斎藤:今の時代ってSNSもあるし、他人のリアクションを気にし過ぎて身動きがとれない人も多いと思うんです。それに縛られて動けないってことは実はもったいないことだけど、それに気がつくのは後々だと思うんです。今を優先し過ぎて、今は幸せでいたいって気持ちが強過ぎると、上手くいかないと思います。

― 人はついつい目の前の楽しさや楽を選んでしまいがちだと思いますが、斎藤さんのその心の強さはどこから来るんでしょうか?

斎藤:強くないですよ。弱さを認めたから、こうなっているんです。人間は、楽な方を選んでしまう生き物。ただ、過去の楽しかった記憶って瞬間でしかないですけど、もしその時間を使って語学の勉強をしていたら、新しい知識が身についていたかもしれない。何かに対して「やっておけば良かった」ってことは、誰しもが1回は思ったことがあると思うんです。それを思わないためには、逆算して1年後、もっと言うと10年後、20年後の自分を考えておかなきゃいけない。「悠々と急げ」は、そうやって考えるときにもぴったりな言葉だと思っています。

― ご自身でも、具体的なプランニングをしていますか?

斎藤:一応、個人的にはしているんですけど、ことごとく覆されています(笑)。仕事もそうですし、“まさか”と思うことがたくさん起こっているんです。その“まさか”を楽しめる自分になりたいです。

― ありがとうございました。

「HiGH&LOW」は「1つのお祭り」

「HiGH&LOW THE RED RAIN」(C)2016「HiGH&LOW」製作委員会
映画だけではなく、ドラマ、配信、コミック、SNS、オリジナルベストアルバム、ドームツアー、数多くのメディアやエンターテインメントを巻き込み展開するプロジェクト「HiGH&LOW」。ひとつの集大成となる「HiGH&LOW THE RED RAIN」を、“斎藤工”というエッセンスがより味わい深いものにする。

先日、ファイナル公演を迎えたドームツアーも観覧したという彼は「各劇場でライブビューイングも行い、人が足を運ぶようなムーブメントを作っていらっしゃるなと思いました。中国って、今1日に十館以上の映画館がオープンしているんですよ。それに負けないよう、『日本映画も元気だよ』って、日本のエンターテイメントに光を指して、先陣を切ってくれているなと感じました」とプロジェクトへの共感を示し、「1つのお祭りの中にいるような感覚。僕は、群像劇が好きなんです」と映画の中にいる“尊龍”とは別人のように笑っていた。(modelpress編集部)

斎藤工(さいとうたくみ)プロフィール

1981年8月22日生まれ。東京都出身。高校生の頃より雑誌のみならず国内外のショーでモデルとして活躍。2001年、映画「時の香り~リメンバー・ミー~」で俳優デビュー。以降、ドラマ・映画・CM・雑誌など各方面にひっぱりだこに。2016年は映画『高台家の人々』をはじめ、『団地』『全員、片想い』『種まく旅人 夢のつぎ木』『シン・ゴジラ』など十作品以上が公開。現在、NHKドラマ「運命に、似た恋」(毎週金曜日10時)に出演中。

映画「HiGH&LOW THE RED RAIN」

企画プロデュース:EXILE HIRO
監督:山口雄大
脚本:松田裕子、牧野圭祐、平沼紀久、渡辺啓
キャスト:TAKAHIRO、登坂広臣/斎藤工ほか


いつも無邪気に弟を笑わせる兄・雨宮雅貴(TAKAHIRO)、感情を顔に出すことのない弟・雨宮広斗(登坂広臣)。対照的なふたりだが、目に見えぬ絆で結ばれていた。彼らには心の底から尊敬する長兄・雨宮尊龍(斎藤工)がいる。幼い頃に両親を亡くした三兄弟の絆は固く、尊龍は弟たちに「拳は、大事なもんを守るために使え」と言い聞かせていた。

しかし1年前、尊龍はふたりの前から突如姿を消してしまう。それから弟たちは兄の行方を探し続けていた。

ふたたび巡ってきた両親の命日。尊龍が現れることを期待し、雅貴と広斗は家族の墓を訪れる。だが、そこに現れたのは兄の行方の手がかりを持つ謎の少女・成瀬愛華(吉本実憂)だった。

なぜ尊龍は、雅貴と広斗を残して姿を消したのか?尊龍の行方を追って次々と真実が紐解かれるとき、雨宮兄弟の過去に隠された秘密が明らかとなる。そして三兄弟のたどる運命とは――。

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