モデルプレスのインタビューに応じた窪田正孝(C)モデルプレス

窪田正孝“ブレイク前夜”語る―「もう1人の自分」が見つけた「僕が演じる意味」 モデルプレスインタビュー

2016.06.20 18:30

俳優の窪田正孝(27)が、モデルプレスのインタビューに応じた。2014年、NHK連続テレビ小説「花子とアン」でその名を広く知られることになった窪田は、2015年「デスノート」(日本テレビ系) で主人公・夜神月を演じ、鬼気迫る名演技で大きな話題を集めた。今年はすでに4本の映画が公開。その活躍ぶりで「旬の俳優」として脚光を浴びることも多いが、ここ数年「ネクストブレイク候補」として常に名前が上がっていたからか、その人気はすでに一過性のものではないように感じる。本人はブレイクについて「そういう感覚はない」ときっぱり。一方で、「お芝居に対して、どんどん枠に収まっているなって感覚は、ここ2~3年で感じるようになりました。役を離れて見ている、もう1人の自分がいるんですよね」と環境とともに変わったものも確実にあるようだった。

  
「お芝居に取り組むスタンス自体はずっと変わってないんです。ただ、周りの方々の目線とか『あの作品を観ました』とか、そういう声が届くようになって、『知ってくれているんだ』って嬉しい反面、どこか今までのスタンスではいられないなって、構えてしまうようにもなって、より人見知りになった部分も。年齢ととともに身体が固まっていくように、正直『こういう芝居をしておけばいいのかな』『監督の求めてる芝居をすればいいのかな』と考えることもあります。でも、その型にはまるのは嫌ですし、やっぱりありのままでいたいとは思っています」。

朝ドラ、大河…毎年10作品以上に出演

デビューのきっかけは、母の勧めで受けたオーディション。高校1年生16歳の頃だ。

ガソリンスタンドで働き、整備士を目指して工業高校に通っていた少年は、2006年4月、深夜ドラマ「チェケラッチョ!! in TOKYO」(フジテレビ系)で主演に抜てきされ、連続ドラマに初出演。2010年には、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」で朝ドラデビュー。2012年には、「平清盛」で大河ドラマへの出演も果たした。

その頃から、彼の勢いは一気に加速し、毎年ドラマ、映画と合わせて10本近くの作品に出演。年々、重要な役割を担うことも多くなっていく。主演だって張る。しかし、「10人いたらその中に僕を『嫌い』って人がいるかもしれないし、それは変えられない。だから、ずっと演じ続けて『あんな俳優いたな』って思ってもらえたら、それで幸せだなって感じています」と気負いは感じられなかった。

“俳優・窪田正孝”のブレイク前夜「いい意味でがむしゃらさが抜けた」

2014年~2015年、“俳優・窪田正孝”のブレイク前夜――「いい意味でがむしゃらさが抜けていったんです」。彼の中にも変化が起きた。

「いただいた役に対して、それ以上で返したいという思いは前提にありつつ、1人の人間が演じるものにはやっぱり限りがあるのかなと気付いたんです。狂気の役を10人演じれば、10通りになるけど、本人がいくら頑張っても、観ている人が『一緒だ』って思うこともありますから(笑)。そこはいつも戦いというか、葛藤しかないですが、同じ人間はいないからこそ、僕が演じる意味を持ちたいと思うようになりました。ここ2、3年は、そんなことを考えています」。

6月18日に公開となった、映画『MARS(マース)~ただ、君を愛してる~』でも同じことを思っていた。「僕の演じた役は、どこか暗さがある。本人が気付いていない狂気もある。それを表現するにあたって、この役をいただいた意味っていうのは、すごく考えました」。

3度目の共演・藤ヶ谷太輔とW主演で挑む

窪田正孝(C)劇場版「MARS~ただ、君を愛してる~」製作委員会  (C)惣領冬実/講談社
Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔とともにW主演を務める同作は、1996年~2000年まで「別冊フレンド」(講談社)にて連載され、少女マンガの枠を超えた“究極のラブストーリー”として圧倒的な支持を受けた惣領冬実氏の同名漫画が原作。1月期に放送された連続ドラマ(日本テレビ系)に引き続き、学園の人気者でありながら、心に傷を負い複雑な過去を抱える樫野零を藤ヶ谷、零の中学の同級生・桐島牧生を窪田、誰にも心を開かず孤独に生きてきたヒロイン・麻生キラを飯豊まりえが演じる。

藤ヶ谷とは、今回が3度目の共演。「太輔くんが演じた零が太陽なら、僕が演じた牧生は月」。正反対の魅力を持ったキャラクターを2人は演じた。

「悪者を悪者で演じたら、つまらなくなる」

撮影を振り返った窪田は、「大変でしたね…」としみじみと語った。

「やっぱり悪者を悪者で演じたら、つまらなくなると思ったんです。なので、僕は常に彼の味方でいるよう意識していました」と役に寄り添い、向き合ったからこそ、「もし、自分が零を演じたら、どうなっていたんだろう?」と、ふと頭に浮かんだ思いもあったようだ。

そしてそれは、彼の考える「この役をいただいた意味」に繋がっていく。「零は太陽さえも味方にしてしまう…僕は彼のような役に挑戦してこなかったんです。キラを包んであげる器っていうのは、太輔くん自身にもあって、それが芝居の中で嘘じゃない。本人の力量が反映されている。太輔くんも零のようにクラスのみんなから1番注目を浴びるタイプの存在だと思うので、自分が零だったらもっと陰湿な感じになっていたんじゃないかと思います。僕自身1人でいるのが楽な方だし、牧生も孤独を背負っているタイプなんですよ」と、「役を離れて見ている、もう1人の自分」が冷静に“それ”を捉えていた。

“今”思うこと「やっぱり僕は好きなんです」

今年28歳。30歳に向けて「息の長い役者」「掴めない役者」になりたいという思いが芽生えてきたという。

「染まらない役者になりたいとか、認められた役者になりたいとか思っていたんですけど、そう言ってる時点でおこがましいなって思うようになって。でも、やっぱり新しい人がどんどん出てくるシビアな世界ですし。そんな世界だから、難しいかもしれないけど、息の長い役者になりたいです。あとは、『あいつにあれをやらせたら、どうなるんだろう』って思ってくださる監督さんもいれば、『あの人はああいう芝居をするから』って計算する監督さんもいて、どちらもあるからこそ、掴めない役者にもなりたいと思います」。

本人は口下手だと言っていたが、真剣な眼差しで紡ぐ言葉からは、演技への思いが伝わってきた。

その熱を胸に、今日も役者道を邁進中――「『なんでこんな仕事してるんだろう?』って思うときもありますよ(笑)!でも、撮影の緊張感とか、何かが生まれてくる物静かな空間っていうのが、やっぱり僕は好きなんですよね」。(modelpress編集部)

窪田正孝(くぼた・まさたか)プロフィール

1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。175cm。B型。母の勧めで雑誌「De☆View」からスターダストプロモーションのオーディションを見つけ事務所入りし、2006年4月にフジテレビ系深夜ドラマ「チェケラッチョ!! in TOKYO」で初主演を務める。2012年6月「平清盛」に平重盛役でNHK大河ドラマにも初出演。2014年上半期放送のNHK連続テレビ小説「花子とアン」の出演で知名度を上げ、その後もTBS系ドラマ「Nのために」や「アルジャーノンに花束を」、日本テレビ系ドラマ「デスノート」など多くの話題作に出演した。2016年1月、日本テレビドラマ「MARS~ただ、君を愛してる~」ではKis-My-Ft2藤ヶ谷太輔とW主演を務め、同年6月18日に劇場版が公開する。ほか7月16日には映画「HiGH&LOW THE MOVIE」の公開も控えている。

映画『MARS(マース)~ただ、君を愛してる~』

公開日:6月18日
監督:耶雲哉治
原作:惣領冬実
キャスト:藤ヶ谷太輔、窪田正孝/飯豊まりえ、山崎紘菜、稲葉友

<あらすじ>
海で奇跡的に出逢った零(藤ヶ谷)とキラ(飯豊)。過去に心の傷を抱えながら孤独に生きてきた2人は惹かれあい、恋に落ちる。

そこに、零の死んだ弟・聖の親友、牧生(窪田)が現れる。よき理解者であるように見えた牧生は、実は零に特別な感情を抱き執着、キラの忌わしい過去を突き止め、2人を引き裂こうとする。

豹変した牧生の狂おしいほど切ない想いは、純粋すぎるがゆえに残酷な愛へと変わり、零とキラの運命に衝撃的な結末を引き寄せようとしていた─。

【Not Sponsored 記事】

あわせて読みたい

  1. 山崎紘菜の舞台上での行動にキスマイ藤ヶ谷&窪田正孝が大慌て「撮らないで!」

    モデルプレス

  2. キスマイ藤ヶ谷太輔、窪田正孝の無茶ぶりに照れ “胸キュン”再現でファン興奮

    モデルプレス

  3. キスマイ藤ヶ谷太輔&窪田正孝が仲良すぎ!30回キス、“腕グイ”に「ズキューン」…悶絶級の“クボガヤ”エピソードを振り返る

    モデルプレス

  4. 窪田正孝、キスマイ藤ヶ谷太輔を“ハグ”で全力応援!「すごく勉強になる」“超カッコいい”は誰の手に?<「キスブサ」潜入インタビュー>

    モデルプレス

  5. 窪田正孝「これからに影響する」役者として刺激

    モデルプレス

  6. キスマイ藤ヶ谷太輔×窪田正孝、お互いの“愛してる”ところは?目の前で告白

    モデルプレス

おすすめ特集

  1. 1月のカバーモデルは「25年ヒット予測」俳優部門に選出された木戸大聖

    特集

  2. 1月のカバーモデルは「25年ヒット予測」女優部門に選出された出口夏希

    特集

  3. 「2025年ヒット予測」発表 エンタメ・ライフスタイルなどトレンド完全予測

    特集

  4. グルメや歴史、豊かな自然に包まれる癒しの旅「鳥取女子旅」をご紹介!

    特集

  5. モデルプレス読者モデル 新メンバー加入!

    特集

  6. 国民的推しランキング!各種エンタメにまつわる読者ランキング、読者アンケート実施中

    特集

  7. モデルプレス独自取材!著名人が語る「夢を叶える秘訣」

    特集

  8. インフルエンサー影響力トレンドランキングを発表!「モデルプレスカウントダウン」

    特集

  9. "史上最大級のファッションフェスタ"TGC情報をたっぷり紹介

    特集

  10. アパレル業界を覗いてみよう!おしゃれスタッフ&求人情報もチェック

    特集

おすすめ記事

SPECIAL NEWS

記事ランキング

RANKING

  1. 01

    奥平大兼「御上先生」撮影で感じた松坂桃李のすごさ「学園モノをやっていないと見られない」気づきとは【インタビュー】

    モデルプレス

  2. 02

    松坂桃李「僕は強い人間ではありません」理想の夫婦像・夢を叶える秘訣から見えた生き方【「雪の花 ―ともに在りて―」インタビュー後編】

    モデルプレス

  3. 03

    「地獄の果てまで連れていく」脚本家イ・ナウォン氏、日韓で異なるドラマ制作方法語る「暗黙の了解とされている」

    モデルプレス

  4. 04

    日本版「わかっていても」ヒロイン南沙良インタビュー「すごく心強かった」横浜流星からの言葉

    モデルプレス

  5. 05

    「海に眠るダイヤモンド」神木隆之介ではない“本物の鉄平役”はどうやって決まった?演じた本人・百蔵充輝に聞いた、壮大なネタバラシの裏側【インタビュー】

    モデルプレス