雑誌「egg」復刊の意義、ギャル編集長が語る「個性と自由の象徴」
2019.05.08 20:00
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2014年に休刊した伝説のギャル雑誌『egg』が5月1日、令和の幕開けとともに復刊号を発売した。かつてギャルのバイブルとして愛された同誌が「いま」復活する意義、そしてこれからのギャルについて、赤荻瞳編集長(22)に話を聞いた。
伝説のギャル雑誌『egg』復刊「新しいメディアに」
1995年に創刊された同誌は、当時の女子高生たちのファッション、メイク、恋愛事情などを取り上げ、ルーズソックスやコギャル、へそ出しルックなどのブームを創出。プリクラでは両手を前に大きく広げる“eggポーズ”が女子高生の定番となった。1990年代後半~2000年にかけてブームとなったガングロ肌×メッシュヘアの「ヤマンバ」もいち早く誌面で紹介。ガングロギャルが表紙を飾るなど、ギャルのバイブルとして愛された。
2014年の休刊を経て、2018年3月に「1年以内に雑誌復刊」を目標に『web版egg』として復活。YouTubeチャンネルを中心に渋谷女子高生のリアルを発信し、ギャルモデルたちがオリジナル楽曲でパラパラを踊る動画などが話題を呼んだ。
Web版復活時から雑誌の復刊を見据えていたという赤荻編集長。「私自身、小学校の高学年くらいから読者だったので、個人的にも雑誌という形で『egg』を復活させたいというのが当初からの目標でした。今は雑誌がすごく売れるという時代ではないので、月刊ではなく、年に何度か季刊誌としてやっていけたらと思っています。その分、ほかの媒体ではやっていない、Webと紙の両方を連動させた新しいメディアにしていきたい」と語る。
新生『egg』はギャルのリアルを発信する“カルチャー誌”
その復活号では、ギャルファッションやメイクの紹介だけでなく、モデルたちが体を張った企画や恋愛事情を赤裸々に深掘りした企画も打ち出した。「『ギャルのリアル』と『ぶっ飛んだ企画』が新生eggの見どころです。たとえばモデルたちがパンストを被って引っ張られるという企画もあるんですが、普通の雑誌はそんなことしないじゃないですか(笑)。『雑誌でそんなことしていいんだ』っていうeggならではの面白さは絶対に入れたいと思いました。ファッションやメイク雑誌というよりはカルチャー誌。渋谷の流行を紹介するだけでなく、今のギャルそのものを紹介したいと思っています。メイン読者は中高生ですが、30代の方などegg全盛期の読者にも懐かしさと新しさを感じてもらえる内容になっていると思います」と胸を張る。“ギャルの衰退”と叫ばれた時代もあったが、Web版で復活してからの約1年で“ギャル復活”の確かな手応えも感じた。「復刊を懸けた1万リツイート企画を2時間で達成した時に、改めてegg読者の熱量や注目度の高さを実感しました。今の小中学生はギャルというものを知らない子がほとんど。ですが、Webで毎日動画を更新していくうちに、そういった世代からも『見た目は強めだけど中身は純粋とわかってギャルが好きになった』『ギャルのイメージが変わりました』『一歩踏み出す勇気をもらいました』という声を多くいただくようになりました」。
ギャルへの注目が集まった理由を赤荻編集長はこうも分析する。「Web版が復活したタイミングがすごく良かったんだと思います。ちょうど改元が決まったり、安室奈美恵さんの引退で改めてギャルファッションがスポットを浴びたり…。そのいい波に乗れたんだと思います」。そして「『ギャル=平成』『昔流行ったもの』という概念を変えて、令和でさらにギャルをバージョンアップするんだということをアピールしていきたい」と熱を込めて語った。
令和ギャルは「個性と自由の象徴」 日本の女性へ『egg』が送るメッセージ
誌面に登場するのは、“ギャルマインド”を持ったモデルたち。「個性と自由の象徴、それがギャルマインド。eggモデルは自分の好きなファッション、かわいいと思うものを表現する力を持った子ばかりです。自分を持っている子、個性を出せる子がこれからの時代を担っていく。可愛いだけでは人気にはなれない時代だと思います」。復活号で表紙を飾ったのも、“白ギャル”という新たなギャル像を確立させた伊藤桃々(もも)、小麦肌の“強めギャル”鈴木綺麗(きぃりぷ)と、全くタイプは違えど、それぞれに強烈な個性を持っている2人だ。
「平成のギャルといえば、全身アルバ(当時のギャルの象徴的なファッションブランド「アルバローザ」)で肌が黒くて白いリップというイメージ。ですが最近は、メイクもプチプラが流行ったり100均コスメも質が良くなったりと、メイクもファッションも若い子たちが手を伸ばせる幅が広がって、選択肢がすごく増えました。いまは本当にいろんなギャルがいるので、その個性を大切に、モデルたちが発信したいファッションを取り上げて、その文化を盛り上げていきたい」とモデルたちの個性を雑誌の色にしていきたいと赤荻編集長。
そして、“個性と自由の象徴=ギャルカルチャー”を発信する『egg』 を通して、日本のすべての女の子たちへエールを届けたいと語る。
「これまで渋谷ギャルたちが自分を表現する場はセンター街や109など、ストリートだけでしたが、今はSNSの時代。自分を表現する場所はたくさんあります。だけどその中で自分を偽って表現したり、ルールに縛られすぎて本当の自分を出せずにいる人が多いように感じます。それはすごくもったいない。だから『egg』は、自分を自由に発信する楽しさを伝えていきたいんです。“自分を偽るのはもったいない、自分のやりたいことをやろうよ!”そんなメッセージが、日本の女の子の一歩踏み出す勇気につながればいいなと思っています」。
(modelpress編集部)
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