新勢力「SHEIN」安さの秘訣に迫る マーケティング担当者に聞いたヒットの理由とは/『SHEIN POPUP OSAKA』(C)モデルプレス

新勢力「SHEIN」安さの秘訣に迫る マーケティング担当者に聞いたヒットの理由とは

2022.12.14 11:20

驚きの安さと圧倒的なバリエーションで話題のグローバルファッションブランドSHEIN。今回モデルプレスは「SHEIN JAPAN」に独自取材を行い、お手頃価格かつ豊富な商品数を実現するビジネスモデルやSDGsへの取り組み、今後の展望を聞いた。

  

SHEINが低価格を実現する理由

ショールーム『SHEIN TOKYO』の様子(C)モデルプレス
Webサイトやアプリを中心にファッション・ライフスタイルアイテムを販売するSHEINは、2012年にアメリカで初めてサービスを開始。手に取りやすい価格に加え、あらゆるアイテムが揃うバリエーションの豊富さで多くの若年層を魅了し、ヨーロッパ諸国、シンガポール等へ拡大していった。2020年12月より日本での本格展開をスタートするとSNSを中心に拡散され、今年は「東京ガールズコレクション」にも協賛するなどしてますます名を広めた。

SHEINがお手頃価格と多様な商品展開を可能にする理由について、「SHEIN JAPAN」マーケティングマネージャーを務める石井つかさ氏は、「コストを抑えた多様な商品の少量生産」、「追加生産時の生産量・タイミングの最適化」、「商品企画~発売の超短期化」という3つのポイントを挙げた。

取材に応じた「SHEIN JAPAN」マーケティングマネージャー・石井つかさ氏(C)モデルプレス
・「コストを抑えた多様な商品の少量生産」
SHEINは、数千軒のサプライヤー工場と先進的なITシステムで効率よく連携し、毎日数千点にまで及ぶ多様な商品を100~200点と少量ずつかつ低コストで生産する方法を確立。少しずつ生産することで在庫をコントロールしやすくなり、圧倒的なラインナップを取り揃えることができる。

・「追加生産時の生産量・タイミングの最適化」
リアルタイムで各商品の売れている量やスピードをモニタリングし、再生産の量・タイミングを精緻に推定することで「生産量の最適化」を実現。必要な分だけを最適なタイミングで作ることによって余剰在庫を減らし、コストを削減する。

・「商品企画~発売の超短期化」
SHEINの商品は、工場付近のメガ倉庫から世界中の消費者に直接届けられる。もの・資金の回転効率を改善することで商品企画から発売までを超短期化し、通常2~3週間ほどまで短縮しているという。無駄な時間・物流も徹底的に抑えてより安い商品価格を実現し、消費者へと還元。

SHEINアイテムによるコーディネート/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
SHEINアイテムによるコーディネート/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
SHEINアイテムによるコーディネート/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
革新的なビジネスモデルによって多種多様な商品を低価格で提供することに成功したSHEINは、コストを削減すると同時に、「大量生産・大量廃棄」と言われるファッション業界における環境問題に対しても解決の手がかりを見出した。前述した余剰在庫に関しては、業界の平均水準25~40%に対して1桁%まで引き下げ、環境負荷を軽減。さらに、温室効果ガス排出量を削減する計画の公表、地球への影響が少ない素材を使用したコレクションの発表など、SDGsへの取り組みにも積極的な姿勢を見せる。

安さだけではない、さらなる魅力を探る

シューズやバッグ、小物のラインナップも充実/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
低価格かつ豊富なラインナップで注目を浴びたSHEINは、世代を超えたさらなる広がりを見せる。その秘めたブランド力について、石井氏へのインタビューを通して発掘していく。

―2022年、SHEINで特に人気だったアイテムはありますか?

石井氏:展開ジャンルはレディース・メンズ・キッズ・ホーム&ペットと多岐に渡るので、特出した人気アイテム等の傾向はございません。ただ、レディースアパレル商品以外の売れ行きも伸びており、年齢・性別を超えた幅広いお客様にお使いいただいております。

メンズアイテム/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
キッズアイテム/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
ー日本では当初、若い世代を中心に人気が高かったように思います。そこから、年齢・性別を超えて広まっていった理由はなんでしょうか?

石井氏:もともとSNSでの口コミ投稿が多く、「#SHEIN購入品」が「SHIBUYA109 lab.トレンド大賞2022」にもランクインするなど若年層を中心に広がっていきました。その後、アパレルからは入りづらいお客様も、生活雑貨、アクセサリー類、小物類、キッチン用品、ペット用品と販売しているジャンルがかなり幅広いので、そういった部分からきっかけが生まれ、ご購入体験が良ければ次にアパレルや他のジャンルも試していただいているという形が多いと思います。

ー多様に展開していることが武器になっているという。

石井氏:そうですね。入り口が広いと思います。

ー確かに、雑貨やペットグッズはインターネットでも買いやすいですね。

石井氏:逆にそういったグッズだと、ECで購入された経験がある方も多いと思うので。

ーWebサイトを見ると、ペット用品のバリエーションも人間並に幅広く驚きました。

石井氏:小型犬から大型犬までサイズも多く、『SHEIN POPUP OSAKA』で全サイズを取り寄せたらサイズだけで棚の半分が埋まりました。それくらいサイズ展開が豊富です。また、犬以外にも猫向けのお洋服、おもちゃ、グルーミング用品などのグッズも幅広く取り揃えています。

ペット用の服やアクセサリーも/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス

10月にオリジナルコスメラインも上陸 今後の展望は?

SHEGLAM/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
ー今年10月にオリジナルコスメラインSHEGLAM(シーグラム)が上陸しました。日本での展開を決めた理由はありますか?

石井氏:海外では既に人気を集めており、SHEGLAM公式Instagramアカウントでは90万以上のフォロワー、TikTokでの「#SHEGLAM」の投稿においては14億(現在は17億以上)の視聴数が確認できています。この人気に加え、圧倒的な商品数と豊富なカラーバリエーション、さらにお手頃価格にも関わらず高品質を保つSHEGLAMは日本のお客様にも好評を得るだろうと想定し展開を開始しました。

ー注目アイテムは。

石井氏:どんな肌の色の方でもピッタリなトーンが見つかる、23色展開の「SHEGLAM コンプレクション ファンデーション」は、豊富なラインナップを展開しているSHEINならではの商品だと思います。崩れにくいタイプや保湿性に優れたタイプなど、機能面でも様々に揃えています。

「SHEGLAM」 コンプレクション プロロングラスティング ソフトマットファンデーション/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
ー最後に、SHEINの今後の展望を教えてください。

石井氏:今後も弊社理念である「ファッションスタイルに関係なく誰もが無条件に自分自身を表現できる」という体験をお客様に届けるため、世界中の最新ファッショントレンドを反映した高品質な商品を、手頃な価格で、最高の顧客体験を通じて迅速にお客様に提供していきます。また、日本のお客様の声を商品およびサービスの改善に活かし、日本中で愛されるブランドを目指します。

ーありがとうございました。

長期間ショールーム『SHEIN TOKYO』オープン

『SHEIN TOKYO』 11月13日初日オープンの様子(C)SHEIN
今年の夏に日本初のポップアップツアーを成功させたSHEINは、試着できる体験型スペースとして、大阪・心斎橋で『SHEIN POPUP OSAKA』を開催中(~2023年1月27日まで)。さらに、「SHEIN JAPAN」初の長期間ショールームとして東京・原宿に『SHEIN TOKYO』をオープンした。

タグのQRコードを読み取って購入/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
グッズやギフトカードがもれなく当たるガチャ/『SHEIN TOKYO』(C)モデルプレス
ショールーム内での販売は行わず、商品タグのQRコードを読み込むことでWebサイトおよび公式アプリにて購入可能。フィッティングルームはもちろん、ガチャやフォトブース等楽しめるスポットも用意されており、ECプラットフォームを超えたブランド体験の場となっている。(modelpress編集部)


『SHEIN TOKYO』外観(C)モデルプレス

『SHEIN TOKYO』概要

オープン日:2022年11月13日(日)
場所:〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-25-­91・2F b-town C棟(原宿駅から徒歩約10分)
時間:11:00~19:00
定休日:2022年12月31日(土)、2023年1月1日(日)
店舗面積:201平方メートル
展示:フィッティングルーム 3部屋/フォトブース/SHEINガチャ
※オープン日時・営業時間について、予告なく変更になる場合あり

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