【アルファクス・フード・システム・藤井由実子氏】3億円の借金で起業― 壮絶な社内クーデター乗り越えた外食DX社長の仕事論<REAL VALUE×モデルプレス連動>
2026.01.08 19:00
堀江貴文・溝口勇児・三崎優太による経営エンターテイメント番組「REAL VALUE」と「モデルプレス」の共同インタビュー企画。今回は株式会社アルファクス・フード・システムの代表取締役社長・藤井由実子氏(58)に、生い立ちやこれまでの経緯、成功を掴むまでのエピソード、ビジネスで大切なことを聞いた。
「REAL VALUE」は堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人と各業界のスペシャリストが、本物の起業家を見極め、悩めるすべてのビジネスパーソンに“本当の価値と、本質的な学び”を説いていく番組(※堀江・三崎公式YouTubeで配信中)。
アルファクス・フード・システムは、山口県を拠点に外食産業向けシステム開発を行う企業。1996年に業界に先駆けてASPサービスを開始し、食材ロス削減や自動発注システムで飲食店の利益改善に貢献している。
藤井社長:子供時代は、祖父がお菓子やアイスクリームを製造する経営者であったことから、ピアノ、エレクトーン、書道、華道と習い、お嬢様学校といわれる高校に進学しました。祖父の家には住み込みのお手伝いさんもいて、従業員みんなと食事をするなど、会社が私の遊び場でもありました。
祖父は生活苦の子供たちを積極的に採用しており、ある時、同級生の男の子が工場で働いている姿を見かけました。「なぜ?」と母に聞くと「お父様が早くに亡くなられたから」と。子供ながらに複雑な思いを抱き、私自身も「働きたい」と懇願して、中学生でアイスクリームケーキの売り子を経験しました。販売実績もよく、そこで販売の楽しさを知ったのが仕事の原点です。
また、祖父は東京へ行く際に男孫しか連れて行かず、「女の子だから」と言われたことが悔しくて、いつか東京に行きたいと幼心に思っていました。
短大卒業後、幼稚園教諭を経て転職を考えた際、地元企業の「OA事業部社員募集・東京拠点拡大あり」という記事を見て応募しました。そこで面接官だったのが、今の主人です。
主人はSEとして、その会社の経営管理システムや給与システムなどを担っていたのですが、親会社が経営する飲食店の数値管理ができていなかったことから、「飲食店経営管理システム」を開発。メニューから食材展開をしてあるべき在庫数とあるべき発注数を自動算出するシステムを構築したことで、多くの東京地区のお客様を獲得でき、東京進出も果たしました。
転機は入社5年目、バブル崩壊時です。地元企業オーナーからOA事業部のMBO(経営陣による買収)を提案されました。資金などあるはずもなく、地元銀行にも相手にされませんでしたが、諦めずに奔走し、期限のわずか2週間前に都心の銀行から無担保社債3億円を借り入れることができたのです。こうして1993年、アルファクス・フード・システムを設立。2022年12月に社長に就任し、主人が会長を務めています。
モデルプレス:華やかな幼少期と、中学生で社会の厳しさと「働く喜び」を知った原体験のコントラストが非常に印象的です。何より、バブル崩壊という混乱期に、資金ゼロから巨額融資をたった2週間で取り付けたというエピソードには鳥肌が立ちました。そこには、単なる運だけでなく、藤井社長の道理を通すという強い信念と、周囲を動かす圧倒的な熱量があったのだと確信します。教諭という経歴から、一気に経営の修羅場へと飛び込んだその胆力こそが、今の強さの源泉なのだと思います。
藤井社長:今では当たり前となりましたが、1996年というインターネット黎明期に、外食産業向けイントラネット業務基幹システムをいち早く開発・提供しました。 売上管理にとどまらず、販売管理、在庫管理、発注管理、勤怠管理などのイントラネット基幹システムを提供しています。
当社の強みは、食材ロス率をメニューレシピ展開から正確に把握できることです。持ち出し、使用、廃棄データを取り入れた実在庫と、システム上の計算在庫を一品ごとに比較し、適正発注数量を完全自動化します。
月300万の売上で食材原価が35%(105万)だとすると、そのうち5%(15万)は食材ロスと言われます。当社のシステムは月額3万円程度から導入可能で、このロスを削減し、飲食店の利益構造を根本から改善できる点が、他社にはない圧倒的な強みです。
モデルプレス:外食産業において利益率の改善は永遠の課題ですが、低コストで見えない損失を確実な利益に変えられるというのは、経営者にとって革命的なインパクトがありますね。現場の細かな数字まで可視化し、経営の足腰を強くするこのシステムこそが、厳しい競争を生き抜く飲食店にとって最強の武器になっているのだと確信しました。
藤井社長:飲食店1店舗からのASP(アプリケーションサービスプロバイダ)サービスを始め、地道に積み上げてきた結果、現在では月額6,500万円の安定収入基盤ができたことです。
また、人手不足の飲食店に向けたメニュー配信をはじめ、テーブルオーダーシステムを業界で初めて開発。食材ごとのロスを見える化したことと、発注数量の自動集計など、飲食特化の開発を続けてきたことが成長の要因です。
創業時に九州のファミリーレストランチェーンの創業者・A様に採用していただいたことも大きかったです。レストランの店舗拡大と共にシステムもバージョンアップし、「自動発注システムは欠かせない」と喜んでいただけたことが事業成長のきっかけとなりました。その後、A様のご子息が経営するホテルにも食材発注を自動発注システムを導入いただくなど、現場の声に応え続けてきたことが成長要因です。
モデルプレス:コツコツと信頼を積み重ね、今や月6,500万円ものストック収益を生み出している点は、経営として非常に盤石であり、驚異的な継続力ですね。特に、創業時の顧客であるA様と共に成長し、その信頼がご子息の代にまで引き継がれているというエピソードには、単なるシステムベンダーを超えた、深いパートナーシップを感じずにはいられません。現場の「困った」を拾い上げ、業界初のシステムで応え続けてきたその誠実な歩みこそが、数字以上の信頼という最強の資産を築き上げているのですね。
藤井社長:信念は、社是にある「食文化の発展に情報システムで貢献する」こと。外食業界を軸にブレずに開発してきました。
やりがいは、身近にある飲食店で働く店員さんの勤務時間を短縮したり、金銭や食材管理を正確にしたりすることで、その先のお客様に喜んでもらえることです。心がけていることは、常にお客様の身になって考えること。システム会社でありながら、飲食店と同じく365日24時間のサポート対応も行っています。
モデルプレス:IT企業でありながら年中無休の体制を貫く姿勢には、並々ならぬ覚悟を感じます。システムを売って終わりではなく、飲食店が動いている時間は自分たちも共に走るという伴走者としての責任感が伝わってきます。テクノロジーの裏側にある人間味あふれる温かさが、御社の最大の魅力なのだと感じました。
藤井社長:会社を設立する時、母体企業からMBOで営業権を数億で買ったことです。近隣銀行は同会社の事業部が借りることから母体企業にお金が流れることを懸念し、どこも貸してくれませんでした。「親会社が倒産してから会社を始めればいい」と言う銀行もありましたが、それは道理上したくなかった。どんな状況であっても、恩義ある会社に対して筋を通し、MBOで独立するべき、そうでないと会社は発展しないと。
その結果、東京の投資銀行が助けてくれました。お世話になった会社や人に対して道理を通すこと」。これが私の原動力です。
その後、会社を乗っ取ろうとするクーデターが起きた時も、この会社を不正な手で奪うことは決してありえないし、あってはならないと思い、然るべく対応を行い解任しました。いろいろな揉め事はありますが、会社は創業者の思いがつまっている、と信じることが私の信念であり原動力になっています。
モデルプレス:損得勘定だけで考えれば、銀行の提案に乗るほうが楽だったかもしれません。しかし、そこで目先の利益よりも人としての筋を選び抜いた藤井社長の決断には、経営者としての矜持だけでなく、武士のような潔さを感じずにはいられません。どんな逆風の中でも、正しさを信じて創業者の想いを守り抜くその姿勢は、多くの迷えるリーダーにとっての羅針盤になるはずです。
藤井社長:上場廃止を経て、事業継続に向けて猛烈に再生を行っている傍ら、毎週楽しみに見ているREAL VALUE関係者の西川さんからランチ会のお誘いを受けたことがきっかけです。アンケートで会員になりたいと記載したら、即営業面談。入りたいならば、即決の方が良いと思い、契約に至りました。
まだ参加から一か月足らずではありますが、西川さんが、訳あり会社でも受け入れてくれたこと、個別にアシストしてくれること。また、クラブ自身が強い力、強い発信力を持っていることはすごいと思っています。今後クラブを活用して、事業継続のための協業企業と出会い、一緒に頑張っていきたいです。
モデルプレス:短期的な損得ではなく、人としての正しさを貫くからこそ、本当に困った時に手を差し伸べてくれる人が現れるのでしょう。現在も再生に向けて過酷な戦いの最中とのことですが、REAL VALUE CLUBという「本質」で繋がる仲間を得たことは、大きな力になるはずです。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
藤井社長:今までで一番の怒りと悲しみは、信頼していた部下による「クーデター」でした。 他事業で失敗した彼を救うために借金を肩代わりし、営業部長として招き入れ、生活費や事故の賠償金まで支援しました。
しかし、借金の時効と言われる10年目に、彼は恩を仇で返すように会社乗っ取りを画策したのです。主人である社長を解任しようとし、偽造増資まで計画していました。 さらに衝撃だったのは、彼が「借金は営業して返した」と開き直り、会社の経費で遊興に耽っていた事実を知った時です。「この世に鬼がいる」と感じました。
しかし、そこで折れることなく「怒りをエネルギーに」を合言葉に、当時の監査役や弁護士と共に徹底抗戦。裁判までの1ヶ月半は死に物狂いでしたが、結果として勝利し、クーデター組を解任することができました。彼らに加担していた社員も残っていたものの、監査役からのアドバイスもあり、解雇はしませんでした。
この経験で悟ったのは、人生は「ホログラム」と思った方が良いということ。経営者は役者であり、様々なことが起きても、見方によってどちらが良いか悪いかの結果はでません。周りに悪役がいたとしても、ゲームセットのボタンを押すのは自分自身です。経験のない道を歩んでいるのですから、自分自身の道を信じ、歩いていくことが大切だと思ます。
モデルプレス:ドラマや映画を超えるような壮絶な裏切りと、そこからの逆転劇に言葉を失いました。手厚く支援し、家族のように接していた相手からの裏切りは、金銭的な損害以上に精神を深く抉るものだったと想像します。しかし、そこで絶望に沈むのではなく、怒りすらも燃料に変えて戦い抜いたその精神力は、圧巻の一言です。その先の達観した境地は、修羅場をくぐり抜けた人だけが辿り着ける真理なのだと感じます。どんなに苦しい状況でも、シナリオは自分で書き換えられるのだと、強い勇気をいただきました。
藤井社長:事業を始めた時は、夢というよりも「花形ではない飲食店の裏側を支えたい」という一心でした。それを夢と呼ぶのかもしれません。
年齢を重ね、自身の病も経験した今、次は「健康」をどう共有していくかという新しいテーマに向き合っています。振り返ってみると、自分が大切だと思うことを「発信し続けること」。そしてそれが誰かに伝わっていくプロセスそのものが、夢を叶えるための行動なのだと感じています。
モデルプレス:「支えたい」という利他の想いが、結果として大きな夢の実現に繋がっていたのですね。そして今、ITという枠を超えて「健康」という新たなフィールドへ進もうとされている姿からは、経営者としての終わりのない探究心を感じます。「発信し続けること」が夢への第一歩。心に秘めているだけでは何も始まりませんが、言葉にして伝え続ければ、必ず共鳴する人が現れる。シンプルですが、これこそが真実なのだと気づかされました。
藤井社長:弊社が求めているのは、スキル以上に「人間力」です。 具体的には、
感受性豊かな方
自分の内面を強化できる方
前向きで魅力的な言動をとれる方
自ら挑戦して先導できる方
バイタリティのある方
変化に柔軟な対応がとれる方
上記を前提に、営業力、販売推進力を求めています。
私たちの仕事は、食文化の発展に情報システムで貢献することです。
【経営理念】
一、企業はなによりも人であり、自主性と起業家精神を重んじ、ひとりひとりの行動を重視します。
二、製品・サービスのすべての基準は、お客様であり、お客様に密着する姿勢を日々の基本とします。
三、提供するすべての製品・サービスの基本はローコストであり、我々自らが簡素な組織、小さな本社を実践し、“ひと”を通じての生産性向上に心がけます。
四、“食”という基軸から離れず、価値観に基づく実践を忘れません。
五、厳しさと緩やかさの両面を同時にもった、フラットで柔軟な組織づくりに心がけます。
【行動指針】
我が社の製品・サービスは、
一、“お客様の身になって考えた”ものであり、高品質なものでなければならない。
二、“お客様に驚きと感動を与えるもの”でなければならない。
我が社の社員は、
一、個人として尊重され、常に提案ができる環境、能力開発の機会、家族に対する責任を十分果たすことのできる環境でなければならない。
二、常に自己研鑽し、高い倫理観で、すべてのステークホルダーを意識して、時に組織の枠を超えて、判断しなければならない。
我が社は事業を通じて
一、地球環境の改善、外食産業の発展、地域社会の発展に貢献しなければならない。
二、企業と企業、人と人との“グッドコミュニケーション”で“共創未来”に努めなければならない。
我が社は、すべてにバランスある企業として、
一、適正な利益を確保し、お客様、社員、株主に配分しなければならない。
二、我が社が集中する分野に於いて、圧倒的に強い地位を確立し、維持しなければならない。
モデルプレス:「企業はなによりも人」という言葉が、これまでの藤井社長の壮絶な経験と相まって、非常に重みを持って響きます。技術力はもちろん大切ですが、それ以上に感受性や内面の強さを求める点に、アルファクス・フード・システムという会社の温かさと強さを感じました。お客様に感動を与えるためには、まず働く人が魅力的でなければならない。そんな本質を追求する環境でなら、仕事を通じて人間として大きく成長できるはずです。
3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
アルファクス・フード・システムは、山口県を拠点に外食産業向けシステム開発を行う企業。1996年に業界に先駆けてASPサービスを開始し、食材ロス削減や自動発注システムで飲食店の利益改善に貢献している。
お嬢様学校から「借金3億円」の勝負へ。教諭からの転身とMBOの覚悟
モデルプレス:これまでの生い立ちから起業に至るまでのきっかけを教えてください。藤井社長:子供時代は、祖父がお菓子やアイスクリームを製造する経営者であったことから、ピアノ、エレクトーン、書道、華道と習い、お嬢様学校といわれる高校に進学しました。祖父の家には住み込みのお手伝いさんもいて、従業員みんなと食事をするなど、会社が私の遊び場でもありました。
祖父は生活苦の子供たちを積極的に採用しており、ある時、同級生の男の子が工場で働いている姿を見かけました。「なぜ?」と母に聞くと「お父様が早くに亡くなられたから」と。子供ながらに複雑な思いを抱き、私自身も「働きたい」と懇願して、中学生でアイスクリームケーキの売り子を経験しました。販売実績もよく、そこで販売の楽しさを知ったのが仕事の原点です。
また、祖父は東京へ行く際に男孫しか連れて行かず、「女の子だから」と言われたことが悔しくて、いつか東京に行きたいと幼心に思っていました。
短大卒業後、幼稚園教諭を経て転職を考えた際、地元企業の「OA事業部社員募集・東京拠点拡大あり」という記事を見て応募しました。そこで面接官だったのが、今の主人です。
主人はSEとして、その会社の経営管理システムや給与システムなどを担っていたのですが、親会社が経営する飲食店の数値管理ができていなかったことから、「飲食店経営管理システム」を開発。メニューから食材展開をしてあるべき在庫数とあるべき発注数を自動算出するシステムを構築したことで、多くの東京地区のお客様を獲得でき、東京進出も果たしました。
転機は入社5年目、バブル崩壊時です。地元企業オーナーからOA事業部のMBO(経営陣による買収)を提案されました。資金などあるはずもなく、地元銀行にも相手にされませんでしたが、諦めずに奔走し、期限のわずか2週間前に都心の銀行から無担保社債3億円を借り入れることができたのです。こうして1993年、アルファクス・フード・システムを設立。2022年12月に社長に就任し、主人が会長を務めています。
モデルプレス:華やかな幼少期と、中学生で社会の厳しさと「働く喜び」を知った原体験のコントラストが非常に印象的です。何より、バブル崩壊という混乱期に、資金ゼロから巨額融資をたった2週間で取り付けたというエピソードには鳥肌が立ちました。そこには、単なる運だけでなく、藤井社長の道理を通すという強い信念と、周囲を動かす圧倒的な熱量があったのだと確信します。教諭という経歴から、一気に経営の修羅場へと飛び込んだその胆力こそが、今の強さの源泉なのだと思います。
外食産業の利益を守り抜く。業界初のシステムで起こした革命
モデルプレス:事業内容を教えてください。藤井社長:今では当たり前となりましたが、1996年というインターネット黎明期に、外食産業向けイントラネット業務基幹システムをいち早く開発・提供しました。 売上管理にとどまらず、販売管理、在庫管理、発注管理、勤怠管理などのイントラネット基幹システムを提供しています。
当社の強みは、食材ロス率をメニューレシピ展開から正確に把握できることです。持ち出し、使用、廃棄データを取り入れた実在庫と、システム上の計算在庫を一品ごとに比較し、適正発注数量を完全自動化します。
月300万の売上で食材原価が35%(105万)だとすると、そのうち5%(15万)は食材ロスと言われます。当社のシステムは月額3万円程度から導入可能で、このロスを削減し、飲食店の利益構造を根本から改善できる点が、他社にはない圧倒的な強みです。
モデルプレス:外食産業において利益率の改善は永遠の課題ですが、低コストで見えない損失を確実な利益に変えられるというのは、経営者にとって革命的なインパクトがありますね。現場の細かな数字まで可視化し、経営の足腰を強くするこのシステムこそが、厳しい競争を生き抜く飲食店にとって最強の武器になっているのだと確信しました。
月6,500万円の安定基盤と、顧客と共に進化する現場主義
モデルプレス:会社の成長の要因は何でしょう?藤井社長:飲食店1店舗からのASP(アプリケーションサービスプロバイダ)サービスを始め、地道に積み上げてきた結果、現在では月額6,500万円の安定収入基盤ができたことです。
また、人手不足の飲食店に向けたメニュー配信をはじめ、テーブルオーダーシステムを業界で初めて開発。食材ごとのロスを見える化したことと、発注数量の自動集計など、飲食特化の開発を続けてきたことが成長の要因です。
創業時に九州のファミリーレストランチェーンの創業者・A様に採用していただいたことも大きかったです。レストランの店舗拡大と共にシステムもバージョンアップし、「自動発注システムは欠かせない」と喜んでいただけたことが事業成長のきっかけとなりました。その後、A様のご子息が経営するホテルにも食材発注を自動発注システムを導入いただくなど、現場の声に応え続けてきたことが成長要因です。
モデルプレス:コツコツと信頼を積み重ね、今や月6,500万円ものストック収益を生み出している点は、経営として非常に盤石であり、驚異的な継続力ですね。特に、創業時の顧客であるA様と共に成長し、その信頼がご子息の代にまで引き継がれているというエピソードには、単なるシステムベンダーを超えた、深いパートナーシップを感じずにはいられません。現場の「困った」を拾い上げ、業界初のシステムで応え続けてきたその誠実な歩みこそが、数字以上の信頼という最強の資産を築き上げているのですね。
24時間365日の覚悟。すべては「お客様の喜び」のために
モデルプレス:仕事をする際に心がけていることを教えてください。藤井社長:信念は、社是にある「食文化の発展に情報システムで貢献する」こと。外食業界を軸にブレずに開発してきました。
やりがいは、身近にある飲食店で働く店員さんの勤務時間を短縮したり、金銭や食材管理を正確にしたりすることで、その先のお客様に喜んでもらえることです。心がけていることは、常にお客様の身になって考えること。システム会社でありながら、飲食店と同じく365日24時間のサポート対応も行っています。
モデルプレス:IT企業でありながら年中無休の体制を貫く姿勢には、並々ならぬ覚悟を感じます。システムを売って終わりではなく、飲食店が動いている時間は自分たちも共に走るという伴走者としての責任感が伝わってきます。テクノロジーの裏側にある人間味あふれる温かさが、御社の最大の魅力なのだと感じました。
恩義と道理を胸に。逆境でもブレない原動力
モデルプレス:がんばるための原動力は何ですか?藤井社長:会社を設立する時、母体企業からMBOで営業権を数億で買ったことです。近隣銀行は同会社の事業部が借りることから母体企業にお金が流れることを懸念し、どこも貸してくれませんでした。「親会社が倒産してから会社を始めればいい」と言う銀行もありましたが、それは道理上したくなかった。どんな状況であっても、恩義ある会社に対して筋を通し、MBOで独立するべき、そうでないと会社は発展しないと。
その結果、東京の投資銀行が助けてくれました。お世話になった会社や人に対して道理を通すこと」。これが私の原動力です。
その後、会社を乗っ取ろうとするクーデターが起きた時も、この会社を不正な手で奪うことは決してありえないし、あってはならないと思い、然るべく対応を行い解任しました。いろいろな揉め事はありますが、会社は創業者の思いがつまっている、と信じることが私の信念であり原動力になっています。
モデルプレス:損得勘定だけで考えれば、銀行の提案に乗るほうが楽だったかもしれません。しかし、そこで目先の利益よりも人としての筋を選び抜いた藤井社長の決断には、経営者としての矜持だけでなく、武士のような潔さを感じずにはいられません。どんな逆風の中でも、正しさを信じて創業者の想いを守り抜くその姿勢は、多くの迷えるリーダーにとっての羅針盤になるはずです。
会社の未来を繋ぐための一手
モデルプレス:「REAL VALUE CLUB」(※)に参加を決めた理由は何ですか?藤井社長:上場廃止を経て、事業継続に向けて猛烈に再生を行っている傍ら、毎週楽しみに見ているREAL VALUE関係者の西川さんからランチ会のお誘いを受けたことがきっかけです。アンケートで会員になりたいと記載したら、即営業面談。入りたいならば、即決の方が良いと思い、契約に至りました。
まだ参加から一か月足らずではありますが、西川さんが、訳あり会社でも受け入れてくれたこと、個別にアシストしてくれること。また、クラブ自身が強い力、強い発信力を持っていることはすごいと思っています。今後クラブを活用して、事業継続のための協業企業と出会い、一緒に頑張っていきたいです。
モデルプレス:短期的な損得ではなく、人としての正しさを貫くからこそ、本当に困った時に手を差し伸べてくれる人が現れるのでしょう。現在も再生に向けて過酷な戦いの最中とのことですが、REAL VALUE CLUBという「本質」で繋がる仲間を得たことは、大きな力になるはずです。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
信頼した部下の裏切り。社内クーデターを乗り越えた“怒りのエネルギー”
モデルプレス:モデルプレス読者の中でもいま様々な困難に直面している方もいると思います。今までの人生で怒りや悲しみを乗り越えたエピソードを教えてください。藤井社長:今までで一番の怒りと悲しみは、信頼していた部下による「クーデター」でした。 他事業で失敗した彼を救うために借金を肩代わりし、営業部長として招き入れ、生活費や事故の賠償金まで支援しました。
しかし、借金の時効と言われる10年目に、彼は恩を仇で返すように会社乗っ取りを画策したのです。主人である社長を解任しようとし、偽造増資まで計画していました。 さらに衝撃だったのは、彼が「借金は営業して返した」と開き直り、会社の経費で遊興に耽っていた事実を知った時です。「この世に鬼がいる」と感じました。
しかし、そこで折れることなく「怒りをエネルギーに」を合言葉に、当時の監査役や弁護士と共に徹底抗戦。裁判までの1ヶ月半は死に物狂いでしたが、結果として勝利し、クーデター組を解任することができました。彼らに加担していた社員も残っていたものの、監査役からのアドバイスもあり、解雇はしませんでした。
この経験で悟ったのは、人生は「ホログラム」と思った方が良いということ。経営者は役者であり、様々なことが起きても、見方によってどちらが良いか悪いかの結果はでません。周りに悪役がいたとしても、ゲームセットのボタンを押すのは自分自身です。経験のない道を歩んでいるのですから、自分自身の道を信じ、歩いていくことが大切だと思ます。
モデルプレス:ドラマや映画を超えるような壮絶な裏切りと、そこからの逆転劇に言葉を失いました。手厚く支援し、家族のように接していた相手からの裏切りは、金銭的な損害以上に精神を深く抉るものだったと想像します。しかし、そこで絶望に沈むのではなく、怒りすらも燃料に変えて戦い抜いたその精神力は、圧巻の一言です。その先の達観した境地は、修羅場をくぐり抜けた人だけが辿り着ける真理なのだと感じます。どんなに苦しい状況でも、シナリオは自分で書き換えられるのだと、強い勇気をいただきました。
夢はITから「健康」へ。発信し続けることが未来を拓く
モデルプレス:モデルプレス読者の中でもいま様々な夢を追いかけている方もいると思います。夢を叶える秘訣を教えてください。藤井社長:事業を始めた時は、夢というよりも「花形ではない飲食店の裏側を支えたい」という一心でした。それを夢と呼ぶのかもしれません。
年齢を重ね、自身の病も経験した今、次は「健康」をどう共有していくかという新しいテーマに向き合っています。振り返ってみると、自分が大切だと思うことを「発信し続けること」。そしてそれが誰かに伝わっていくプロセスそのものが、夢を叶えるための行動なのだと感じています。
モデルプレス:「支えたい」という利他の想いが、結果として大きな夢の実現に繋がっていたのですね。そして今、ITという枠を超えて「健康」という新たなフィールドへ進もうとされている姿からは、経営者としての終わりのない探究心を感じます。「発信し続けること」が夢への第一歩。心に秘めているだけでは何も始まりませんが、言葉にして伝え続ければ、必ず共鳴する人が現れる。シンプルですが、これこそが真実なのだと気づかされました。
「感受性」と「人間力」で勝負する。変化を楽しむ仲間を募集
モデルプレス:求める人材像について教えてください。藤井社長:弊社が求めているのは、スキル以上に「人間力」です。 具体的には、
感受性豊かな方
自分の内面を強化できる方
前向きで魅力的な言動をとれる方
自ら挑戦して先導できる方
バイタリティのある方
変化に柔軟な対応がとれる方
上記を前提に、営業力、販売推進力を求めています。
私たちの仕事は、食文化の発展に情報システムで貢献することです。
【経営理念】
一、企業はなによりも人であり、自主性と起業家精神を重んじ、ひとりひとりの行動を重視します。
二、製品・サービスのすべての基準は、お客様であり、お客様に密着する姿勢を日々の基本とします。
三、提供するすべての製品・サービスの基本はローコストであり、我々自らが簡素な組織、小さな本社を実践し、“ひと”を通じての生産性向上に心がけます。
四、“食”という基軸から離れず、価値観に基づく実践を忘れません。
五、厳しさと緩やかさの両面を同時にもった、フラットで柔軟な組織づくりに心がけます。
【行動指針】
我が社の製品・サービスは、
一、“お客様の身になって考えた”ものであり、高品質なものでなければならない。
二、“お客様に驚きと感動を与えるもの”でなければならない。
我が社の社員は、
一、個人として尊重され、常に提案ができる環境、能力開発の機会、家族に対する責任を十分果たすことのできる環境でなければならない。
二、常に自己研鑽し、高い倫理観で、すべてのステークホルダーを意識して、時に組織の枠を超えて、判断しなければならない。
我が社は事業を通じて
一、地球環境の改善、外食産業の発展、地域社会の発展に貢献しなければならない。
二、企業と企業、人と人との“グッドコミュニケーション”で“共創未来”に努めなければならない。
我が社は、すべてにバランスある企業として、
一、適正な利益を確保し、お客様、社員、株主に配分しなければならない。
二、我が社が集中する分野に於いて、圧倒的に強い地位を確立し、維持しなければならない。
モデルプレス:「企業はなによりも人」という言葉が、これまでの藤井社長の壮絶な経験と相まって、非常に重みを持って響きます。技術力はもちろん大切ですが、それ以上に感受性や内面の強さを求める点に、アルファクス・フード・システムという会社の温かさと強さを感じました。お客様に感動を与えるためには、まず働く人が魅力的でなければならない。そんな本質を追求する環境でなら、仕事を通じて人間として大きく成長できるはずです。
株式会社アルファクス・フード・システムについて
株式会社アルファクス・フード・システムは、山口県に本社を置き、札幌、東京、大阪、福岡に拠点を展開。外食産業に特化したシステム開発・提供を行う。「飲食店経営管理システム」、自動発注システム、「FOODGENESIS」ASP/クラウドサービスで業界最大級の実績を誇り、食材ロス削減を強みとする。まとめ
藤井由実子社長のインタビューを通じて見えたのは、どんな逆境も「道理」と「情熱」で覆す、しなやかで強靭なリーダー像でした。 3億円の借金から始まった起業、業界の常識を覆すシステムの開発、そして信頼していた部下の裏切りからの生還。そのすべてにおいて、藤井社長は逃げずに正面から立ち向かい、道を切り拓いてきました。「人生はホログラム、自分が主役」という言葉は、現代を生きる私たち全員への力強いエールです。 食文化を支えるDXのパイオニアとして、そして一人の人間として戦い続ける藤井社長とアルファクス・フード・システムは、これからも外食産業に、そして働く人々に、本質的な価値を届け続けてくれるでしょう。「REAL VALUE」とは
「REAL VALUE」はビジネスの第一線で活躍し続ける堀江貴文・溝口勇児・三崎優太が認める各領域のトップ経営者だけを厳選して始動した経営エンターテイメント番組。堀江・三崎の公式YouTubeにて配信中。3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
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