【KEYクリエーション・大平達也氏】若気の至りで独立。パチスロ業界でヒット生む経営者の“失敗をエンタメに変える”勝負論<REAL VALUE×モデルプレス連動>
2025.12.10 19:00
堀江貴文・溝口勇児・三崎優太による経営エンターテイメント番組「REAL VALUE」と「モデルプレス」の共同インタビュー企画。今回は株式会社KEYクリエーション代表取締役・大平達也氏(48)、生い立ちやこれまでの経緯、成功を掴むまでのエピソード、ビジネスで大切なことを聞いた。
「REAL VALUE」は堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人と各業界のスペシャリストが、本物の起業家を見極め、悩めるすべてのビジネスパーソンに“本当の価値と、本質的な学び”を説いていく番組(※堀江・三崎公式YouTubeで配信中)。
KEYクリエーションは、パチスロを中心としたエンターテインメントコンテンツの企画・開発・映像制作を行う企業。確率設計という仕組みと、演出による感情へのアプローチを融合させ、ユーザーの心を動かすヒット作を数多く生み出している。
大平社長: 埼玉県児玉町(現・本庄市)出身なのですが、決して裕福な家庭ではありませんでした。ただ、幼い頃から“楽しむこと”と“勝つこと”にはとにかく貪欲でしたね。小学生の時に出会った初代ファミコンは人生を変えた存在です。マリオではクリアできた時の達成感に、ドラクエでは努力が報われる喜びに夢中になりました。
もう一つ衝撃を受けたのが、コーエーの『信長の野望』や『三国志』。武将たちの戦略や人間ドラマに心を奪われ、自分を振り返ると“曹操に憧れる劉備”のような子どもでした。今でもその感覚は変わっていません。
サッカーやテニスも大好きで、負けるのが何より嫌いでした。持っていないゲームでも、持ち主に負けるのが悔しくて、勝つまで友達の家に通い続けるような少年でしたから。また、父に連れられて行ったパチンコ店や競馬・競艇などで“勝負の空気”を肌で感じていたのも、今の自分につながっていると思います。
大学時代、時給の高さに惹かれてパチンコホールでアルバイトをしていました。もともと数字や確率が得意だったこともあり、パチスロメーカーに就職。入社後は確率設計を担当し、「勝負の抑揚をデザインできる仕事」にのめり込みました。ちょうどAT機が登場し、中堅メーカーがトップへ躍り出る過程を開発のど真ん中で経験できたのは大きな財産です。
しかし、組織の中では自由に作れない現実にも直面しました。「自分なら、もっと面白いものを作れるかもしれない」と思い始めたのが、起業の原点です。実際に独立を決めたのは、若気の至りというか、挑戦したい思いが先走った部分もありました。会社に不満はありませんでしたが、挑戦せずに終わる人生の方が怖かったんです。
創業は、取締役2名と現場責任者の私の3人でスタート。当時の代表が持つ別法人の会議室を借り、6人で始めました。狭い部屋の半分が喫煙所という環境でしたが、そこには確かな熱がありました。仕事が途絶えるような時期もありましたが、「どうにかなるじゃなく、どうにかするだけ」と腹をくくり、前に進んできました。新人時代に市場回収寸前の失敗をした経験から、「失敗こそ次の成功の種」という考えが根づきました。
今も私の原動力はあの頃の感覚です。
好きな言葉は『キングダム』桓騎将軍の「心配すんな、全部うまくいく」。 不安や逆境の中でも、どうにかして道を切り拓く。その信念だけは、今も昔も変わっていません。
モデルプレス:戦略的な冷徹さと人間的な熱量の両方をお持ちであることが伝わってきます。また幼少期からの原体験が、単なる遊びではなく、人生を切り拓くための勝ち筋を見つける訓練になっていたようにも感じられます。小規模なオフィスから始まったというエピソードも、まさにベンチャーらしい熱気を感じさせますが、そこから意志の力で現実を変えてこられた姿勢こそが、経営者としての強さの源泉なのですね。
大平社長:当社は、パチスロを中心にエンターテインメントコンテンツの企画・開発・映像制作を行っています。演出開発や確率設計など“遊びの仕組み”をデザインする領域に強みがあり、メーカー様やIP企業との共同開発を通じて、ユーザーの感情を動かすコンテンツを生み出しています。
他社との違いは、数字と感情の両方を理解している点です。確率の裏側にある“ドキドキの作り方”を誰よりも熟知している。“遊びも仕事も全力”をモットーに、市場のシェアを塗り替えるようなヒット作を生み出す、それが私たちの仕事の面白さです。
モデルプレス:エンターテインメントを「確率」という仕組みと、「ドキドキ」という感情の両面から因数分解されている点が非常に興味深いです。多くの企業がどちらか一方に偏りがちな中で、その両輪を完全に掌握しているからこそ、ユーザーの心理を意図的に、かつ劇的に動かすことができるのだと理解しました。まさに人の心を科学し、デザインするという、クリエイティブの本質を突いた事業ですね。
大平社長:最大の要因は「運と縁」、そして「人」です。中心メンバーが辞めてピンチに陥った時も、若手が育ち、昔の仲間が助けてくれたり、エース級の人材が中途で入社したりと、不思議と流れがつながってきました。創業初期のデビュー作が大ヒットしたことも追い風となり、人材が自然と集まる会社へと成長。
“スキルより人間力”を重視して採用を進めた結果、気づけばスキルも人間性も高いチームができあがりました。現在は社員約60名、協力会社を含め100名規模にまで成長。人と縁を信じる文化が、私たちの成長の原動力です。
モデルプレス: 「運と縁」とおっしゃいますが、それは偶然ではなく、大平社長がこれまで誠実に人と向き合ってきたからこそ巡ってきた必然のように思えます。危機的状況でかつての仲間が助けてくれるというのは、経営者の人徳以外の何物でもありません。スキル偏重にならず「人間力」を信じ抜いた結果、組織として最強のチームが出来上がったという事実は、多くの組織論における一つの正解を示しているように思います。
大平社長:「正直に、誠実に、そして楽しく」。この3つを常に大切にしています。エンタメの仕事は、どんなに技術や企画力があっても、最後は“人の熱”で決まります。信頼のない現場からは、面白いものは絶対に生まれません。
また、失敗を恐れず挑戦する姿勢も大切にしています。私自身、新人時代に大きな失敗を経験しましたが、その時に支えてくれた上司の器の大きさが忘れられません。だからこそ今は、部下の挑戦には極力口を出さない。良い失敗を重ねて成長してほしい。「やってみなきゃわからない」——それが、私の仕事の基本姿勢です。
モデルプレス: エンターテインメントという煌びやかなアウトプットの裏には、泥臭く誠実な人間関係が必要不可欠なのですね。かつてご自身が受け取った上司からの恩を、今は部下への任せる勇気として還元されている点に、組織としての良質な循環と、大平社長のリーダーとしての器の大きさを感じます。
大平社長:原動力は“人”です。仲間の成長、家族の存在、そして共に刺激を受け合う経営者仲間の存在が、自分を動かす大きな力になっています。
会社を経営していると、自分のためだけでは頑張れません。若手が成長し、初めて成果を出した瞬間や、社員が自信を持って挑戦している姿を見ると、自分のこと以上に嬉しくなります。
家族の支えも欠かせません。どんなに忙しくても、娘と過ごす時間や妻への感謝を忘れないようにしています。家庭が安定していると、自然と心も穏やかになり、仕事への集中力が高まります。
また「REAL VALUE CLUB」に参加を決めた理由は、創業から15年以上が経ち、良くも悪くも安定してきた自分に気づいたからです。もう一度、自分を揺さぶる刺激が欲しかった。
ここには業種も価値観も異なる経営者が集まって、本音で語り合える環境があり、立場や業界の違う仲間と話すことで、視野が広がり、自分の弱さにも気づかされます。ここでの出会いや学びが、必ず次の10年を形づくると感じています。これからは、得た刺激を自社の成長と業界の進化に還元していきたいです。
モデルプレス:ご自身の成功以上に、社員の方々の成長やご家族の幸せを原動力にされている点が非常に素敵ですね。ある程度の成功を収めた段階でも自戒し、あえて厳しい環境や異質な刺激を求めにいく姿勢こそが、トップランナーであり続ける理由なのだと確信しました。クラブで得られる化学反応が、御社の次のフェーズをどう進化させるのか楽しみでなりません。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
大平社長:社会人1年目の時、自分のミスが原因で市場から全て回収されかねない事態になったことがありました。眠れない日々が続き、「もうこの仕事は向いていない」と思ったほどです。けれど、その時に上司がかけてくれたのは叱責ではなく、「ミスを恐れて何もしないほうが失敗だ」という言葉でした。その一言で、失敗は終わりではなく成長の種だと気づけたんです。
それ以来、怒りや悲しみ、挫折に出会うたびに「この出来事も自分を成長させるためにある」と受け止めるようになりました。経営者になってからも、信頼していた仲間の退職や思い通りにいかない現実に直面するたび、悔しさや無力感を感じます。
でも、そうした経験を通じて「人の気持ちは変えられない。だからこそ、自分が変わり続けるしかない」と学びました。桓騎将軍の「心配すんな、全部うまくいく」という言葉が、今も心の支えです。怒りや悲しみを越えた先には、必ず新しい出会いや成長がある。そう信じて、どんな時も前を向くようにしています。
モデルプレス:かつての上司のお言葉は、今の時代にこそ響く金言ですね。絶望的な状況を「成長の種」と捉え直すマインドセットの転換は、言葉で言うほど簡単ではありません。それを実践し、自分が変わるしかないという境地に達した大平社長だからこそ、多くの人がついていきたくなる求心力が生まれているのだと思います。困難そのものを否定せず、受け入れて糧にする姿勢に深く感銘を受けました。
大平社長:「やってみること」と「続けること」だと思います。最初から完璧を求めすぎると、一歩目が出なくなる。私も会社を立ち上げた当初は、根拠のない自信しかありませんでした。でも、行動してみると、仲間が増え、信頼が積み重なり、結果として形になっていった。“やりながら学ぶ”という姿勢こそ、夢を現実に近づける最大の力です。
うまくいかないことも当然あります。でも、失敗も含めてすべて“自分の物語”にしてしまえばいい。転んだ回数より、立ち上がった回数のほうが多ければ、それはもう成功です。
私はいつも、「どうにかなる」ではなく「どうにかする」と考えています。チャンスは待つものではなく、作るもの。そして、夢は“叶えるもの”というより、“更新していくもの”だと思っています。
もし今、挑戦に迷っている人がいたら伝えたい。失敗を恐れず、まず一歩踏み出してみてください。続けていけば、必ず景色が変わります。夢は、動き続ける人にしか見えないものです。
モデルプレス: 「夢は更新していくもの」という言葉には、目から鱗が落ちる思いです。ゴールテープを切って終わりではなく、動き続けることで常に見える景色が変わり、夢の形も進化していく。そのプロセス自体を楽しむことが人生の醍醐味なのかもしれません。挑戦を躊躇している読者の背中を力強く、そして優しく押してくれるメッセージですね。
大平社長: 私たちは「遊びも仕事も全力」を掲げています。エンターテインメントの仕事は、正解がない世界。だからこそ、一緒に働きたいのは「面白がれる人」です。自分の役割を超えて、仲間と一緒に試行錯誤を楽しめる人。うまくいかなくても「次はどうしよう」と前を向ける人。
そして何より、人を大切にできる人と働きたい。技術や経験よりも、まずは“人間力”です。挨拶ができる、感謝を伝えられる、約束を守る——そんな当たり前を大切にできる人が、結局は一番強い。もちろん、挑戦する勇気も欠かせません。失敗してもいい。私自身がそうやって成長してきたからこそ、社員にも思いきり挑戦してほしい。「失敗を恐れて何もしないほうが失敗」という考えが、会社全体に根づいています。挑戦する人を支え、仲間の成功を心から喜べる——そんなチームでありたいと思っています。
私たちが掲げる理念は「心をつなぎ、笑顔をつくる」。これはお客様に対してだけではなく、社内の仲間や取引先、すべての人に対しての約束です。誰かを楽しませたい、感動させたい、そんな純粋な気持ちを持つ人と一緒に働きたい。仕事を通じて、自分の人生も豊かにしていく。そんな“本気で遊び、本気で働く人”が集まる場所であり続けたいと思っています。この環境で、自分の力を試してみたいと思う方を、心から歓迎します。
モデルプレス: 失敗を恐れない独自の哲学が、経営トップだけでなく組織全体に根付いている環境は、クリエイターやビジネスパーソンにとって、まさに理想郷と言えるのではないでしょうか。単なる労働力の提供ではなく、自分の人生を豊かにするために働く場所として、これほど熱く、心理的安全性の高いステージは稀有だと思います。この場所で本気で遊び、働くことは、間違いなくその人の人生にとってかけがえのない財産になることでしょう。
3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
KEYクリエーションは、パチスロを中心としたエンターテインメントコンテンツの企画・開発・映像制作を行う企業。確率設計という仕組みと、演出による感情へのアプローチを融合させ、ユーザーの心を動かすヒット作を数多く生み出している。
「勝負の抑揚」に魅せられた少年時代…逆境さえもエンタメに変える
モデルプレス: まずは、大平社長の原点からお伺いさせてください。現在のエンタメ事業に通じるルーツは、どのような少年時代にあったのでしょうか?大平社長: 埼玉県児玉町(現・本庄市)出身なのですが、決して裕福な家庭ではありませんでした。ただ、幼い頃から“楽しむこと”と“勝つこと”にはとにかく貪欲でしたね。小学生の時に出会った初代ファミコンは人生を変えた存在です。マリオではクリアできた時の達成感に、ドラクエでは努力が報われる喜びに夢中になりました。
もう一つ衝撃を受けたのが、コーエーの『信長の野望』や『三国志』。武将たちの戦略や人間ドラマに心を奪われ、自分を振り返ると“曹操に憧れる劉備”のような子どもでした。今でもその感覚は変わっていません。
サッカーやテニスも大好きで、負けるのが何より嫌いでした。持っていないゲームでも、持ち主に負けるのが悔しくて、勝つまで友達の家に通い続けるような少年でしたから。また、父に連れられて行ったパチンコ店や競馬・競艇などで“勝負の空気”を肌で感じていたのも、今の自分につながっていると思います。
大学時代、時給の高さに惹かれてパチンコホールでアルバイトをしていました。もともと数字や確率が得意だったこともあり、パチスロメーカーに就職。入社後は確率設計を担当し、「勝負の抑揚をデザインできる仕事」にのめり込みました。ちょうどAT機が登場し、中堅メーカーがトップへ躍り出る過程を開発のど真ん中で経験できたのは大きな財産です。
しかし、組織の中では自由に作れない現実にも直面しました。「自分なら、もっと面白いものを作れるかもしれない」と思い始めたのが、起業の原点です。実際に独立を決めたのは、若気の至りというか、挑戦したい思いが先走った部分もありました。会社に不満はありませんでしたが、挑戦せずに終わる人生の方が怖かったんです。
創業は、取締役2名と現場責任者の私の3人でスタート。当時の代表が持つ別法人の会議室を借り、6人で始めました。狭い部屋の半分が喫煙所という環境でしたが、そこには確かな熱がありました。仕事が途絶えるような時期もありましたが、「どうにかなるじゃなく、どうにかするだけ」と腹をくくり、前に進んできました。新人時代に市場回収寸前の失敗をした経験から、「失敗こそ次の成功の種」という考えが根づきました。
今も私の原動力はあの頃の感覚です。
好きな言葉は『キングダム』桓騎将軍の「心配すんな、全部うまくいく」。 不安や逆境の中でも、どうにかして道を切り拓く。その信念だけは、今も昔も変わっていません。
モデルプレス:戦略的な冷徹さと人間的な熱量の両方をお持ちであることが伝わってきます。また幼少期からの原体験が、単なる遊びではなく、人生を切り拓くための勝ち筋を見つける訓練になっていたようにも感じられます。小規模なオフィスから始まったというエピソードも、まさにベンチャーらしい熱気を感じさせますが、そこから意志の力で現実を変えてこられた姿勢こそが、経営者としての強さの源泉なのですね。
ヒット作を生み出す“遊びの仕組み”の正体
モデルプレス:御社の事業内容について、他社にはない強みや面白さを教えていただけますか?大平社長:当社は、パチスロを中心にエンターテインメントコンテンツの企画・開発・映像制作を行っています。演出開発や確率設計など“遊びの仕組み”をデザインする領域に強みがあり、メーカー様やIP企業との共同開発を通じて、ユーザーの感情を動かすコンテンツを生み出しています。
他社との違いは、数字と感情の両方を理解している点です。確率の裏側にある“ドキドキの作り方”を誰よりも熟知している。“遊びも仕事も全力”をモットーに、市場のシェアを塗り替えるようなヒット作を生み出す、それが私たちの仕事の面白さです。
モデルプレス:エンターテインメントを「確率」という仕組みと、「ドキドキ」という感情の両面から因数分解されている点が非常に興味深いです。多くの企業がどちらか一方に偏りがちな中で、その両輪を完全に掌握しているからこそ、ユーザーの心理を意図的に、かつ劇的に動かすことができるのだと理解しました。まさに人の心を科学し、デザインするという、クリエイティブの本質を突いた事業ですね。
“スキルより人間力”で築き上げた最強チームの絆
モデルプレス:創業からここまで成長されてきた背景には、どのような要因があったのでしょうか?大平社長:最大の要因は「運と縁」、そして「人」です。中心メンバーが辞めてピンチに陥った時も、若手が育ち、昔の仲間が助けてくれたり、エース級の人材が中途で入社したりと、不思議と流れがつながってきました。創業初期のデビュー作が大ヒットしたことも追い風となり、人材が自然と集まる会社へと成長。
“スキルより人間力”を重視して採用を進めた結果、気づけばスキルも人間性も高いチームができあがりました。現在は社員約60名、協力会社を含め100名規模にまで成長。人と縁を信じる文化が、私たちの成長の原動力です。
モデルプレス: 「運と縁」とおっしゃいますが、それは偶然ではなく、大平社長がこれまで誠実に人と向き合ってきたからこそ巡ってきた必然のように思えます。危機的状況でかつての仲間が助けてくれるというのは、経営者の人徳以外の何物でもありません。スキル偏重にならず「人間力」を信じ抜いた結果、組織として最強のチームが出来上がったという事実は、多くの組織論における一つの正解を示しているように思います。
失敗を恐れぬ挑戦が生む“熱狂”が、エンタメの常識を覆す
モデルプレス:仕事をする上で、大切にされている信念や心がけについて教えてください。大平社長:「正直に、誠実に、そして楽しく」。この3つを常に大切にしています。エンタメの仕事は、どんなに技術や企画力があっても、最後は“人の熱”で決まります。信頼のない現場からは、面白いものは絶対に生まれません。
また、失敗を恐れず挑戦する姿勢も大切にしています。私自身、新人時代に大きな失敗を経験しましたが、その時に支えてくれた上司の器の大きさが忘れられません。だからこそ今は、部下の挑戦には極力口を出さない。良い失敗を重ねて成長してほしい。「やってみなきゃわからない」——それが、私の仕事の基本姿勢です。
モデルプレス: エンターテインメントという煌びやかなアウトプットの裏には、泥臭く誠実な人間関係が必要不可欠なのですね。かつてご自身が受け取った上司からの恩を、今は部下への任せる勇気として還元されている点に、組織としての良質な循環と、大平社長のリーダーとしての器の大きさを感じます。
異業種のトップリーダーたちとの“本音の対話”が次なる革新を呼ぶ
モデルプレス: 日々プレッシャーもある中で、大平社長が頑張り続けられる原動力は何でしょうか?また、「REAL VALUE CLUB(※)」へ参加された理由もお聞かせください。大平社長:原動力は“人”です。仲間の成長、家族の存在、そして共に刺激を受け合う経営者仲間の存在が、自分を動かす大きな力になっています。
会社を経営していると、自分のためだけでは頑張れません。若手が成長し、初めて成果を出した瞬間や、社員が自信を持って挑戦している姿を見ると、自分のこと以上に嬉しくなります。
家族の支えも欠かせません。どんなに忙しくても、娘と過ごす時間や妻への感謝を忘れないようにしています。家庭が安定していると、自然と心も穏やかになり、仕事への集中力が高まります。
また「REAL VALUE CLUB」に参加を決めた理由は、創業から15年以上が経ち、良くも悪くも安定してきた自分に気づいたからです。もう一度、自分を揺さぶる刺激が欲しかった。
ここには業種も価値観も異なる経営者が集まって、本音で語り合える環境があり、立場や業界の違う仲間と話すことで、視野が広がり、自分の弱さにも気づかされます。ここでの出会いや学びが、必ず次の10年を形づくると感じています。これからは、得た刺激を自社の成長と業界の進化に還元していきたいです。
モデルプレス:ご自身の成功以上に、社員の方々の成長やご家族の幸せを原動力にされている点が非常に素敵ですね。ある程度の成功を収めた段階でも自戒し、あえて厳しい環境や異質な刺激を求めにいく姿勢こそが、トップランナーであり続ける理由なのだと確信しました。クラブで得られる化学反応が、御社の次のフェーズをどう進化させるのか楽しみでなりません。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
市場全回収の悪夢から学んだ“究極の教訓”と不屈の経営哲学
モデルプレス:読者の中には困難に直面している方もいます。これまでの人生で最も苦しかった経験と、それをどう乗り越えたか教えていただけますか?大平社長:社会人1年目の時、自分のミスが原因で市場から全て回収されかねない事態になったことがありました。眠れない日々が続き、「もうこの仕事は向いていない」と思ったほどです。けれど、その時に上司がかけてくれたのは叱責ではなく、「ミスを恐れて何もしないほうが失敗だ」という言葉でした。その一言で、失敗は終わりではなく成長の種だと気づけたんです。
それ以来、怒りや悲しみ、挫折に出会うたびに「この出来事も自分を成長させるためにある」と受け止めるようになりました。経営者になってからも、信頼していた仲間の退職や思い通りにいかない現実に直面するたび、悔しさや無力感を感じます。
でも、そうした経験を通じて「人の気持ちは変えられない。だからこそ、自分が変わり続けるしかない」と学びました。桓騎将軍の「心配すんな、全部うまくいく」という言葉が、今も心の支えです。怒りや悲しみを越えた先には、必ず新しい出会いや成長がある。そう信じて、どんな時も前を向くようにしています。
モデルプレス:かつての上司のお言葉は、今の時代にこそ響く金言ですね。絶望的な状況を「成長の種」と捉え直すマインドセットの転換は、言葉で言うほど簡単ではありません。それを実践し、自分が変わるしかないという境地に達した大平社長だからこそ、多くの人がついていきたくなる求心力が生まれているのだと思います。困難そのものを否定せず、受け入れて糧にする姿勢に深く感銘を受けました。
一歩踏み出す勇気が、まだ見ぬ景色を見せてくれる
モデルプレス:夢を追いかけている読者に向けて、夢を叶えるための秘訣を教えてください。大平社長:「やってみること」と「続けること」だと思います。最初から完璧を求めすぎると、一歩目が出なくなる。私も会社を立ち上げた当初は、根拠のない自信しかありませんでした。でも、行動してみると、仲間が増え、信頼が積み重なり、結果として形になっていった。“やりながら学ぶ”という姿勢こそ、夢を現実に近づける最大の力です。
うまくいかないことも当然あります。でも、失敗も含めてすべて“自分の物語”にしてしまえばいい。転んだ回数より、立ち上がった回数のほうが多ければ、それはもう成功です。
私はいつも、「どうにかなる」ではなく「どうにかする」と考えています。チャンスは待つものではなく、作るもの。そして、夢は“叶えるもの”というより、“更新していくもの”だと思っています。
もし今、挑戦に迷っている人がいたら伝えたい。失敗を恐れず、まず一歩踏み出してみてください。続けていけば、必ず景色が変わります。夢は、動き続ける人にしか見えないものです。
モデルプレス: 「夢は更新していくもの」という言葉には、目から鱗が落ちる思いです。ゴールテープを切って終わりではなく、動き続けることで常に見える景色が変わり、夢の形も進化していく。そのプロセス自体を楽しむことが人生の醍醐味なのかもしれません。挑戦を躊躇している読者の背中を力強く、そして優しく押してくれるメッセージですね。
「遊びも仕事も全力」人生を最高に面白くするステージが、ここにある
モデルプレス:最後に、求める人物像について熱いメッセージをお願いします。大平社長: 私たちは「遊びも仕事も全力」を掲げています。エンターテインメントの仕事は、正解がない世界。だからこそ、一緒に働きたいのは「面白がれる人」です。自分の役割を超えて、仲間と一緒に試行錯誤を楽しめる人。うまくいかなくても「次はどうしよう」と前を向ける人。
そして何より、人を大切にできる人と働きたい。技術や経験よりも、まずは“人間力”です。挨拶ができる、感謝を伝えられる、約束を守る——そんな当たり前を大切にできる人が、結局は一番強い。もちろん、挑戦する勇気も欠かせません。失敗してもいい。私自身がそうやって成長してきたからこそ、社員にも思いきり挑戦してほしい。「失敗を恐れて何もしないほうが失敗」という考えが、会社全体に根づいています。挑戦する人を支え、仲間の成功を心から喜べる——そんなチームでありたいと思っています。
私たちが掲げる理念は「心をつなぎ、笑顔をつくる」。これはお客様に対してだけではなく、社内の仲間や取引先、すべての人に対しての約束です。誰かを楽しませたい、感動させたい、そんな純粋な気持ちを持つ人と一緒に働きたい。仕事を通じて、自分の人生も豊かにしていく。そんな“本気で遊び、本気で働く人”が集まる場所であり続けたいと思っています。この環境で、自分の力を試してみたいと思う方を、心から歓迎します。
モデルプレス: 失敗を恐れない独自の哲学が、経営トップだけでなく組織全体に根付いている環境は、クリエイターやビジネスパーソンにとって、まさに理想郷と言えるのではないでしょうか。単なる労働力の提供ではなく、自分の人生を豊かにするために働く場所として、これほど熱く、心理的安全性の高いステージは稀有だと思います。この場所で本気で遊び、働くことは、間違いなくその人の人生にとってかけがえのない財産になることでしょう。
株式会社KEYクリエーションについて
パチスロを中心に、エンターテインメントコンテンツの企画・開発・映像制作を行うKEYクリエーション。演出設計と確率設計の両軸から“市場を塗り替えるヒット作”を生み出し続けてきた。「心をつなぎ、笑顔をつくる」を理念に、社員・協力会社を合わせた約100名体制で、人間力を軸にした組織づくりを推進。次の時代の“遊びの本質”を創造し続けている。まとめ
大平社長の言葉の端々から感じられたのは、徹底した「人間讃歌」の精神です。デジタルな確率や数値を扱う側面の強いビジネスでありながら、その中心には常に泥臭いほどの「人への信頼」と「情熱」がありました。失敗を許容し、むしろ推奨する器の大きさ、そして「夢は更新するもの」という前向きな人生観は、働く場所を探している人だけでなく、現代を生きるすべての人に勇気を与えるものです。KEYクリエーションは単なる制作会社ではなく、関わるすべての人の人生を“エンターテインメント”に変えてしまう、最高の舞台なのだと感じました。「REAL VALUE」とは
「REAL VALUE」はビジネスの第一線で活躍し続ける堀江貴文・溝口勇児・三崎優太が認める各領域のトップ経営者だけを厳選して始動した経営エンターテイメント番組。堀江・三崎の公式YouTubeにて配信中。3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
【Not Sponsored 記事】
関連記事
-
【Villa Repro・羽田徹氏】31歳でクビ、売上ゼロ…絶望からの逆転劇。成長続ける“別荘民泊”の勝算と本質<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【22世紀アート・向田翔一氏】パニック症を経て辿り着いた境地。“成約率30%”常識覆す異色の出版社の勝ち筋<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【GT・若井泰文氏】“企画力×生産力×スピード感”でアパレルの常識を覆す「服で人生を変える」多角化戦略の真髄<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【ラ・フィールドコーポレーション・吉田浩氏】「資金繰りで命を絶つ経営者を二度と見たくない」中小企業再生に導く“心を整える財務術”<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【真魚始・中嶋幸昌氏】父の死、裏切り、借金ー ゼロから「水産×IP」で年商3.3億円企業へ。絶望の淵から這い上がった壮絶な逆境突破力<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【unlock.ly・三島徹平氏】創業4年で年商60億円、銀行やオーナーから選ばれ続ける理由とは?商社・PEファンド経験者が挑む事業承継のリアル<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス
「経営者」カテゴリーの最新記事
-
【Villa Repro・羽田徹氏】31歳でクビ、売上ゼロ…絶望からの逆転劇。成長続ける“別荘民泊”の勝算と本質<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【22世紀アート・向田翔一氏】パニック症を経て辿り着いた境地。“成約率30%”常識覆す異色の出版社の勝ち筋<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【GT・若井泰文氏】“企画力×生産力×スピード感”でアパレルの常識を覆す「服で人生を変える」多角化戦略の真髄<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【ラ・フィールドコーポレーション・吉田浩氏】「資金繰りで命を絶つ経営者を二度と見たくない」中小企業再生に導く“心を整える財務術”<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【真魚始・中嶋幸昌氏】父の死、裏切り、借金ー ゼロから「水産×IP」で年商3.3億円企業へ。絶望の淵から這い上がった壮絶な逆境突破力<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【unlock.ly・三島徹平氏】創業4年で年商60億円、銀行やオーナーから選ばれ続ける理由とは?商社・PEファンド経験者が挑む事業承継のリアル<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【&グループ・渡部剛氏】「新卒1年目で年商4億」の社長も誕生 引退を撤回した45歳会長が明かす“挫折を資産に変える”勝利の方程式<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【Bancor・山口龍成氏】貯金0円・借金1億円からの逆転劇 年商30億社長が語る「全世界80億人のためのインフラ」を目指す原動力<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス -
【Sooon・金本相太氏】累計1,500人超えのスクール運営。年収3~5倍を輩出する営業メソッド&夢を叶える「1%の選択」<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス





