【MTJグループ・山重柾人氏】“99%の苦難”を“1%の歓喜”へ 数億円の損失越え、和牛エンタメテックビジネスで世界を獲る“ゼロモチベーション”の経営論<REAL VALUE×モデルプレス連動>
2025.12.16 19:00
堀江貴文・溝口勇児・三崎優太による経営エンターテイメント番組「REAL VALUE」と「モデルプレス」の共同インタビュー企画。今回はMTJグループ株式会社の代表取締役・山重柾人氏(29)に、生い立ちやこれまでの経緯、成功を掴むまでのエピソード、ビジネスで大切なことを聞いた。
「REAL VALUE」は堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人と各業界のスペシャリストが、本物の起業家を見極め、悩めるすべてのビジネスパーソンに“本当の価値と、本質的な学び”を説いていく番組(※堀江・三崎公式YouTubeで配信中)。
MTJグループ株式会社は、和牛を軸にしたイベント「WAGYU FES」の主催・プロデュースを国内外で展開。「和牛IP&メディア事業」、「和牛飲食事業」、「和牛卸事業」、「WAGYU AI事業」を川上から川下をワンストップで管理し、リアルデジタル上で繋ぐ「和牛OSサービス」を通じ、日本の食宝を世界に届けている。
山重社長:幼少期から高校まで、真面目にやっていたのはサッカーだけでした。サッカーと友人と遊ぶことしかしておらず、勉強はしていません。「サッカーだけやればいい」という考えで、それ以外の事には関心がなく、学校も行ったり行かなかったりで、ヤンチャな方だったと思います。
また、父親は経営者で、母親もバリバリ仕事をしており、家を留守にすることも多く、自炊したり家に帰らず、自由な環境で、自分で考えて生きていく環境でした。「自由=責任がついてくる」を学びました。両親は非常に厳しく、自分のことは自分でやらされましたし、起業して苦しい時もこれまで金銭的な支援は一切なかったです(笑)。
人に話せるような学生生活ではなかったですし、成績も素行も悪く、高校に進学できるかわからないほどでした。「高校に行かず働きたい」という思いが非常に強く、サッカー特待は多くありましたが中学側のNGで行くところが本当になかったです。運良く高校に進学でき、部員が100名ほどいるサッカー部に入部しました。そこは、自衛隊のような厳しい環境下で、サッカーで結果を出さなければ生き残れないし、生活態度が悪ければ坊主にされるような、上下関係も厳しい世界でした。
適応するのには時間がかかりましたが、自分自身が変われたのはこの高校時代からだと思います。「仲間意識」や「どんな困難や苦しい事があっても逃げない、やり切る」という姿勢は、この時に学んで人格形成されていきました。
モデルプレス:経営者であるお父様からの直接の支援が一切なかったという環境が、逆に山重社長の「自分で考えて生き抜く力」を強烈に育て上げたのですね。高校時代の厳しい環境で「逃げない」ことを学んだ経験が、今の経営の核になっていると感じます。
山重社長:「和牛IP&メディア事業(WAGYU FES)」、「和牛飲食事業」、「和牛卸事業」、「WAGYU AI事業」を川上から川下をワンストップで管理し、リアルデジタル上で繋ぐ「和牛OSサービス」を展開しています。また和牛というコンテンツで日本各地で自主リスクで和牛イベントを主催したり、大型音楽フェスやスポーツ興行等に必ずあるフードエリアを、和牛をテーマに開発・企画・制作・運営等の受託プロデュースを行い和牛のリアルメディアを作っています。
それに付随してオフィシャルフードストアやタイアップストア、催事出店等で全国のイベントや百貨店に自分達が開発した和牛商品の展開も行っております。
海外事業としては、「WAGYU FES」の展開準備および和牛の輸出を行っています。ここでの勝算は、日本人であること自体が強力なアドバンテージになる点です。
10代から海外を見てきた中で、成長する海外市場に対し、日本市場が伸び悩む現実を肌で感じてきました。外貨を稼がない限り、僕らの世代は厳しくなる。その危機感からあえて古い業界の和牛ビジネス参入を決意しました。しかし、単に商社のように和牛を卸すだけでは、僕らのような規模の会社は太刀打ちできません。そこで、自社IPである「WAGYU FES」を育て、リアルメディアとしてワンストップで開発・展開する道を選びました。
フェスを通じて和牛の認知を上げ、売れにくい部位も料理として体験してもらうことで価値を生む。このサイクルが輸出事業を拡大させ、業界全体の活性化にも繋がると確信しています。
また今後の展開でアライアンスパートナーとして、業界最大手のエスフーズの輸出分野での協業や、日本一のスゴいプロデューサーのおちまさと氏、2,600店舗の飲食店をプロデュースして上場した三浦氏など、和牛のバリューをあげるために、異業種の経営者・投資家たちとアライアンスを組み、国内と海外展開を育てています。これは時間とコストが非常にかかる事業です。古い業界ならではの困難もありますが、だからこそ挑戦する価値があり、面白いと感じています。
古い業界に我々のような勢いあるスタートアップ企業がIP開発企画力や実行力、AIおよびDXを駆使していくことで、業界のイノベーションを起こせると自負しています。
モデルプレス:単なる輸出入ではなく、「WAGYU FES」という自社IPを育ててリアルメディア化する、という着眼点が素晴らしいと思います。業界のレジェンドたちと組んで、時間とコストがかかる困難な道にあえて挑戦している点に、本気度の高さを感じますね。
山重社長:受託事業だけに頼らなかったことです。小さくてもいいから、自分達のお金や繋がりで“和牛のリアルメディア”を作ろうと決意し、この5年間、和牛エンターテイメント事業として自社IPの「食肉祭」や「WAGYU FES」を開催してきました。失敗を繰り返しながらも諦めずに育ててきた結果、徐々に上手くいき始め、実績ができてきたんです。
今では、その実績を見て色々な企業からフードエリアの開発・企画の受託制作や、コラボ商品のお話をいただいたり、事業を横に展開できるようになったりしたことで、「少しは成長してきたな」と実感しています。
モデルプレス:目先の利益(受託事業)だけに捉われず、「自分たちのリアルメディアを作る」という未来への投資を5年間続けたことが、今の信頼と実績に繋がっているんですね。失敗を恐れずに自社IPを育て続けた胆力が、最大の勝因だと感じます。
山重社長:心がけていることは2つあって、まず一つは「絶対に逃げない」ことです。人間は強い生き物ではないので、トラブルや困難に直面すれば逃げたくなります。周りから厳しい言葉や批判をいただく時もあります。そんな時でも、今自分ができることや、時には頭を下げることから逃げずに向き合う。辛く苦しくても最後までやり遂げれば、解決した時にまた関係が強化されるからです。
もう一つは「全て自己責任」と考えること。起きる全てのことは自分の責任だと捉えています。時には「自分は悪くないのに」と思いたい時もありました。ですが、どれだけ時間がかかろうが、結果が悪かろうが、それは全部自分の責任だと受け止めて逃げない。そして、足りないところを強化し、責任を全うできるようにする。理想と現実の自分のギャップに苦しみつつも、常に「自分に全て矢印を向ける」ことを意識しています。
モデルプレス:「逃げない」ことと「全て自己責任」と捉えることは、言うは易く行うは難しだと思います。批判や困難から逃げず、すべてを自分事として矢印を内側に向ける。その連続が、人間関係を強化し、ご自身を成長させてきたのだと強く伝わってきます。
山重社長:和牛は、誰もが「美味しい」と知っている日本の食宝です。日本人が食べたら「美味しい」、海外の人が食べたら「デリシャス」。どちらも同じ「笑顔」を生みます。この笑顔こそが世界共通言語であり、和牛を通じてこの笑顔を増やすことが、不安や孤独、争いを少しでも減らすことに繋がると信じています。それが僕の活力です。
モチベーションや気晴らし、趣味なども特にありません。僕は「ゼロモチベーション」と呼んでいますが、和牛の価値を上げるためにやるべきことを積み重ねるだけです。その結果として「ここまで成長した」と後でわかるものだと信じているので、ただ当たり前のことを着々とやっています。
モデルプレス:「美味しい」は「デリシャス」で、世界共通の笑顔を生む、という視点がとても素敵です。和牛を通じて争いを減らしたいという壮大なビジョンが、日々の行動を支えているのですね。「ゼロモチベーション」という言葉に、やるべきことを淡々と、しかし確実に積み重ねる経営者としての凄みを感じます。
山重社長:参加の理由は溝口(勇児)さんがいたからです。昨年の夏に「XD」という音楽フェスを共同創業および経営させていただき、多くの困難やチーム内での強烈なぶつかり合いを経験しました。毎週の定例会や深夜MTG、時には溝口さんとも議論を交わしました。
議論や指摘をした時に人格否定ではなく、一つの目標を成し遂げるためには必要な要素です。これは「プロスポーツチームなのか、サークル活動なのか」という話であり、プロのような環境でなければ何かを成し遂げることは無理だと改めて学べました。REAL VALUE CLUBには、そういった本気の方々が多く集まりそうだと思い、参加させていただきました。
僕自身、特別な才能やキャリアがあるわけではありませんが、「まずはやってみる精神」と「やりきる根性」、「逃げないこと」に加え、もう一段階成長したいと思っています。昨年の夏は、過去で一番成長した夏でした。中でも溝口さんの起業家・経営者としての圧倒的な知識、スキル、経験、人間力は強烈で、一番の学びとなりました。
自分でも成長を実感できた中でお声がけ頂いたので、これは「また成長の機会だ」と感謝し、自分の幅を広げるために参加を決めました。
モデルプレス:溝口さんとの共同事業での強烈な原体験が、参加の決め手だったのですね。「プロスポーツチームか、サークル活動か」という視点、まさに本物のビジネス環境だと思います。圧倒的な実力者たちとの真剣勝負の場に身を置くことで、ご自身の幅をさらに広げようとする姿勢に感銘を受けます。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
山重社長:人生で怒りや悲しみは、いくつかあります。僕は、理不尽なことがこれまで他人より多くあった方だと思います。創業時にメンバーに何千万円も横領されたり、助けを求められた取引先に何億円もの売掛金を踏み倒されたり。
ビジョンを誓い合ったメンバーたちに愛を持って厳しい指摘をしたら一斉に離れられたり、風評被害で取引をしてもらえなくなったり、大切な仲間が裏切られて精神を病んだり、自殺したりと…本当に色々なことがありました。
こうした経験が何度もあるうちに、いつしか「自殺者を減らしたい」「頑張っている人の孤独や不安をサポートできる側の人間でありたい」と強く思うようになりました。18歳で個人事業主になってから、いま29歳の起業家に至るまで、非常に多くの孤独と悲しみを感じてきました。
周囲からは「起業家で目立っていいね」「同世代より稼いでいいね」と言われることもありますが、苦しいことの方が圧倒的に多いのが事実です。1%の達成感や仲間との喜びを共有するために、99%の苦しみや葛藤と戦っています。それでも継続しているのは、自らが普通の人ができないような経験をし、何度も頭を下げ、多くの人に助けられながらも、苦しくてもなんとか乗り越えてきたからです。
そうして得た気づきと経験によって「大切なものを守る力」をつけることが、結果として、僕がサポートしたいと思う「孤独や不安を抱える人」たちを助けられる幅を広げることにも繋がると信じています。困難や苦しみを乗り越えた先にある「なりたい自分像」や「実現したい環境」の解像度を上げることで、乗り越えていける。今後も色々あると思いますが、乗り越えてさらに強くなりたいです。
モデルプレス:創業期の横領、巨額の踏み倒し、メンバーの離反…壮絶な経験をされてきたんですね。「1%の達成感のために99%苦しむ」という言葉に、経営者の孤独と覚悟の重さを感じます。それでも乗り越え続けてきたのは、ご自身が「大切なものを守る力をつけるため」という強い思いがあるからなのだと、胸が熱くなります。
山重社長:私はまだ志を叶えていませんが、確実に近づいていると思います。志は、「和牛で世界を笑顔で繋いでいきたい」。これが生きている間に実現できるかはわかりませんが、挑戦する価値は絶対にあります。
ゴールをそこに設定し、僕は多くの「点」を打ち続けています。時には「どうしてそんなことを?どう繋がるの?」と思われることもあるかもしれません。ですが、僕には道筋が見えています。点と点が線になり、やがて面になるためには、とにかく新しい「種」を蒔き続けなければならないんです。つまり、それは「新しいことに挑戦し続ける」ことを意味します。
挑戦する時は、いつも「そんなのできないよ」「現実を見ろ」などと言われるものです。多くのご意見やご指摘をいただきますが、僕は真摯に耳を傾けて、良いものは取り入れ、違うと思うものは参考意見として保管するようにしています。今の世の中は、挑戦しなくても生きていけると思います。ですが、その中で挑戦することは、本当に勇気がいることだと感じます。
僕は、挑戦しないで評論だけする大人よりも、挑戦して時には失敗し、時には上手くいきながらコツコツ成長している大人の方が「かっこいい」と思います。だからこそ、挑戦を応援するような社会を、皆さんと一緒につくっていけたら嬉しいです。
モデルプレス:「和牛で世界を笑顔で繋ぐ」という大きな志に向かって、今も「種を蒔き続けている」最中なのですね。「挑戦していないで評論だけする大人よりも、挑戦して失敗している大人の方がかっこいい」という言葉は、夢を追う全ての読者の背中を押してくれると思います。
山重社長:目指している社風は、「自由と自己責任」。そして「権利を主張するなら、まずは義務を全うしようぜ」といった組織づくりです。一緒に働きたいのは、「逃げない人」「小利口ではない人」「かっこつけずやりきる人」、そして「素直な人」。
もちろん優秀さやスキルも重要ですが、それらは環境や自らの努力で後からついてくると思っています。それよりも大事にしているのが、今お伝えした「人としての土台」です。この土台があるからこそ色々なことを積み重ねていけるので、土台が無い人とは働けないと考えています。
期待する能力も「他責じゃない人」であれば、あとは特にありません。あればラッキー、くらいで考えています。それよりも、ビジョンの実現にフルコミットさえしてくれたらいい。唯一譲れないものは、「がむしゃらにやりきってくれるかどうか」です。小利口に立ち回って、上司にいい顔をしてうまくかわしていくタイプではなく、正々堂々とまっすぐでいてほしい。逆も同じで管理職だけど行動と背中で見せられないタイプもいらないです。
実務を通じてスキルや知識は必ず獲得できます。仲間なのですから、沢山失敗もしていいし、迷惑もかけていい。ただ、「素直」で「ズルくない」方と働きたいと思います。
モデルプレス:「逃げない人、小利口ではない人、かっこつけずやりきる人、素直な人」。これは、まさに山重社長ご自身が体現されてきた生き方そのものだと感じます。スキルは後からついてくる、それよりも「人としての土台」を何より重視するというメッセージは、本質的で非常に熱いですね。ビジョンにフルコミットし、正々堂々とがむしゃらにやりきれる。そんな方々が集う組織は、間違いなく強いチームになると思います。
グループ会社:Wellen株式会社、株式会社LIBENDLE、World Wide Wagyu(タイ)、World Wide Wagyu(マレーシア)、World Wide Wagyu(シンガポール)
【拠点】
東京:東京都港区六本木7丁目14-16 リバースビル
99%の苦しみを味わってでも、仲間を守り、挑戦を続ける。その「かっこいい」生き様に、多くの人が惹きつけられるのだと感じます。MTJグループの挑戦は、まだ始まったばかりです。
3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
MTJグループ株式会社は、和牛を軸にしたイベント「WAGYU FES」の主催・プロデュースを国内外で展開。「和牛IP&メディア事業」、「和牛飲食事業」、「和牛卸事業」、「WAGYU AI事業」を川上から川下をワンストップで管理し、リアルデジタル上で繋ぐ「和牛OSサービス」を通じ、日本の食宝を世界に届けている。
サッカーと下積み生活で培った「逃げない・やり切る」原点
モデルプレス:これまでの生い立ちから起業に至るまでのきっかけを教えてください。山重社長:幼少期から高校まで、真面目にやっていたのはサッカーだけでした。サッカーと友人と遊ぶことしかしておらず、勉強はしていません。「サッカーだけやればいい」という考えで、それ以外の事には関心がなく、学校も行ったり行かなかったりで、ヤンチャな方だったと思います。
また、父親は経営者で、母親もバリバリ仕事をしており、家を留守にすることも多く、自炊したり家に帰らず、自由な環境で、自分で考えて生きていく環境でした。「自由=責任がついてくる」を学びました。両親は非常に厳しく、自分のことは自分でやらされましたし、起業して苦しい時もこれまで金銭的な支援は一切なかったです(笑)。
人に話せるような学生生活ではなかったですし、成績も素行も悪く、高校に進学できるかわからないほどでした。「高校に行かず働きたい」という思いが非常に強く、サッカー特待は多くありましたが中学側のNGで行くところが本当になかったです。運良く高校に進学でき、部員が100名ほどいるサッカー部に入部しました。そこは、自衛隊のような厳しい環境下で、サッカーで結果を出さなければ生き残れないし、生活態度が悪ければ坊主にされるような、上下関係も厳しい世界でした。
適応するのには時間がかかりましたが、自分自身が変われたのはこの高校時代からだと思います。「仲間意識」や「どんな困難や苦しい事があっても逃げない、やり切る」という姿勢は、この時に学んで人格形成されていきました。
モデルプレス:経営者であるお父様からの直接の支援が一切なかったという環境が、逆に山重社長の「自分で考えて生き抜く力」を強烈に育て上げたのですね。高校時代の厳しい環境で「逃げない」ことを学んだ経験が、今の経営の核になっていると感じます。
日本人であることの強み、「WAGYU FES」というリアルメディア戦略
モデルプレス:事業内容を教えてください。山重社長:「和牛IP&メディア事業(WAGYU FES)」、「和牛飲食事業」、「和牛卸事業」、「WAGYU AI事業」を川上から川下をワンストップで管理し、リアルデジタル上で繋ぐ「和牛OSサービス」を展開しています。また和牛というコンテンツで日本各地で自主リスクで和牛イベントを主催したり、大型音楽フェスやスポーツ興行等に必ずあるフードエリアを、和牛をテーマに開発・企画・制作・運営等の受託プロデュースを行い和牛のリアルメディアを作っています。
それに付随してオフィシャルフードストアやタイアップストア、催事出店等で全国のイベントや百貨店に自分達が開発した和牛商品の展開も行っております。
海外事業としては、「WAGYU FES」の展開準備および和牛の輸出を行っています。ここでの勝算は、日本人であること自体が強力なアドバンテージになる点です。
10代から海外を見てきた中で、成長する海外市場に対し、日本市場が伸び悩む現実を肌で感じてきました。外貨を稼がない限り、僕らの世代は厳しくなる。その危機感からあえて古い業界の和牛ビジネス参入を決意しました。しかし、単に商社のように和牛を卸すだけでは、僕らのような規模の会社は太刀打ちできません。そこで、自社IPである「WAGYU FES」を育て、リアルメディアとしてワンストップで開発・展開する道を選びました。
フェスを通じて和牛の認知を上げ、売れにくい部位も料理として体験してもらうことで価値を生む。このサイクルが輸出事業を拡大させ、業界全体の活性化にも繋がると確信しています。
また今後の展開でアライアンスパートナーとして、業界最大手のエスフーズの輸出分野での協業や、日本一のスゴいプロデューサーのおちまさと氏、2,600店舗の飲食店をプロデュースして上場した三浦氏など、和牛のバリューをあげるために、異業種の経営者・投資家たちとアライアンスを組み、国内と海外展開を育てています。これは時間とコストが非常にかかる事業です。古い業界ならではの困難もありますが、だからこそ挑戦する価値があり、面白いと感じています。
古い業界に我々のような勢いあるスタートアップ企業がIP開発企画力や実行力、AIおよびDXを駆使していくことで、業界のイノベーションを起こせると自負しています。
モデルプレス:単なる輸出入ではなく、「WAGYU FES」という自社IPを育ててリアルメディア化する、という着眼点が素晴らしいと思います。業界のレジェンドたちと組んで、時間とコストがかかる困難な道にあえて挑戦している点に、本気度の高さを感じますね。
受託事業の先へ 5年間育て続けた自社IPという財産
モデルプレス:会社の成長の要因は何でしょう?山重社長:受託事業だけに頼らなかったことです。小さくてもいいから、自分達のお金や繋がりで“和牛のリアルメディア”を作ろうと決意し、この5年間、和牛エンターテイメント事業として自社IPの「食肉祭」や「WAGYU FES」を開催してきました。失敗を繰り返しながらも諦めずに育ててきた結果、徐々に上手くいき始め、実績ができてきたんです。
今では、その実績を見て色々な企業からフードエリアの開発・企画の受託制作や、コラボ商品のお話をいただいたり、事業を横に展開できるようになったりしたことで、「少しは成長してきたな」と実感しています。
モデルプレス:目先の利益(受託事業)だけに捉われず、「自分たちのリアルメディアを作る」という未来への投資を5年間続けたことが、今の信頼と実績に繋がっているんですね。失敗を恐れずに自社IPを育て続けた胆力が、最大の勝因だと感じます。
「絶対に逃げない」「全て自己責任」2つの揺るぎない信念
モデルプレス:仕事をする際に心がけていることを教えてください。山重社長:心がけていることは2つあって、まず一つは「絶対に逃げない」ことです。人間は強い生き物ではないので、トラブルや困難に直面すれば逃げたくなります。周りから厳しい言葉や批判をいただく時もあります。そんな時でも、今自分ができることや、時には頭を下げることから逃げずに向き合う。辛く苦しくても最後までやり遂げれば、解決した時にまた関係が強化されるからです。
もう一つは「全て自己責任」と考えること。起きる全てのことは自分の責任だと捉えています。時には「自分は悪くないのに」と思いたい時もありました。ですが、どれだけ時間がかかろうが、結果が悪かろうが、それは全部自分の責任だと受け止めて逃げない。そして、足りないところを強化し、責任を全うできるようにする。理想と現実の自分のギャップに苦しみつつも、常に「自分に全て矢印を向ける」ことを意識しています。
モデルプレス:「逃げない」ことと「全て自己責任」と捉えることは、言うは易く行うは難しだと思います。批判や困難から逃げず、すべてを自分事として矢印を内側に向ける。その連続が、人間関係を強化し、ご自身を成長させてきたのだと強く伝わってきます。
和牛は世界共通の笑顔。原動力は「ゼロモチベーション」
モデルプレス:がんばるための原動力は何ですか?山重社長:和牛は、誰もが「美味しい」と知っている日本の食宝です。日本人が食べたら「美味しい」、海外の人が食べたら「デリシャス」。どちらも同じ「笑顔」を生みます。この笑顔こそが世界共通言語であり、和牛を通じてこの笑顔を増やすことが、不安や孤独、争いを少しでも減らすことに繋がると信じています。それが僕の活力です。
モチベーションや気晴らし、趣味なども特にありません。僕は「ゼロモチベーション」と呼んでいますが、和牛の価値を上げるためにやるべきことを積み重ねるだけです。その結果として「ここまで成長した」と後でわかるものだと信じているので、ただ当たり前のことを着々とやっています。
モデルプレス:「美味しい」は「デリシャス」で、世界共通の笑顔を生む、という視点がとても素敵です。和牛を通じて争いを減らしたいという壮大なビジョンが、日々の行動を支えているのですね。「ゼロモチベーション」という言葉に、やるべきことを淡々と、しかし確実に積み重ねる経営者としての凄みを感じます。
溝口勇児氏との出会い。更なる成長を求めた理由
モデルプレス:REAL VALUE CLUB(※)に参加を決めた理由は何ですか?山重社長:参加の理由は溝口(勇児)さんがいたからです。昨年の夏に「XD」という音楽フェスを共同創業および経営させていただき、多くの困難やチーム内での強烈なぶつかり合いを経験しました。毎週の定例会や深夜MTG、時には溝口さんとも議論を交わしました。
議論や指摘をした時に人格否定ではなく、一つの目標を成し遂げるためには必要な要素です。これは「プロスポーツチームなのか、サークル活動なのか」という話であり、プロのような環境でなければ何かを成し遂げることは無理だと改めて学べました。REAL VALUE CLUBには、そういった本気の方々が多く集まりそうだと思い、参加させていただきました。
僕自身、特別な才能やキャリアがあるわけではありませんが、「まずはやってみる精神」と「やりきる根性」、「逃げないこと」に加え、もう一段階成長したいと思っています。昨年の夏は、過去で一番成長した夏でした。中でも溝口さんの起業家・経営者としての圧倒的な知識、スキル、経験、人間力は強烈で、一番の学びとなりました。
自分でも成長を実感できた中でお声がけ頂いたので、これは「また成長の機会だ」と感謝し、自分の幅を広げるために参加を決めました。
モデルプレス:溝口さんとの共同事業での強烈な原体験が、参加の決め手だったのですね。「プロスポーツチームか、サークル活動か」という視点、まさに本物のビジネス環境だと思います。圧倒的な実力者たちとの真剣勝負の場に身を置くことで、ご自身の幅をさらに広げようとする姿勢に感銘を受けます。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
99%の苦しみと1%の喜び。数々の裏切りを越え「守る力」を
モデルプレス:今までの人生で怒りや悲しみを乗り越えたエピソードを教えてください。山重社長:人生で怒りや悲しみは、いくつかあります。僕は、理不尽なことがこれまで他人より多くあった方だと思います。創業時にメンバーに何千万円も横領されたり、助けを求められた取引先に何億円もの売掛金を踏み倒されたり。
ビジョンを誓い合ったメンバーたちに愛を持って厳しい指摘をしたら一斉に離れられたり、風評被害で取引をしてもらえなくなったり、大切な仲間が裏切られて精神を病んだり、自殺したりと…本当に色々なことがありました。
こうした経験が何度もあるうちに、いつしか「自殺者を減らしたい」「頑張っている人の孤独や不安をサポートできる側の人間でありたい」と強く思うようになりました。18歳で個人事業主になってから、いま29歳の起業家に至るまで、非常に多くの孤独と悲しみを感じてきました。
周囲からは「起業家で目立っていいね」「同世代より稼いでいいね」と言われることもありますが、苦しいことの方が圧倒的に多いのが事実です。1%の達成感や仲間との喜びを共有するために、99%の苦しみや葛藤と戦っています。それでも継続しているのは、自らが普通の人ができないような経験をし、何度も頭を下げ、多くの人に助けられながらも、苦しくてもなんとか乗り越えてきたからです。
そうして得た気づきと経験によって「大切なものを守る力」をつけることが、結果として、僕がサポートしたいと思う「孤独や不安を抱える人」たちを助けられる幅を広げることにも繋がると信じています。困難や苦しみを乗り越えた先にある「なりたい自分像」や「実現したい環境」の解像度を上げることで、乗り越えていける。今後も色々あると思いますが、乗り越えてさらに強くなりたいです。
モデルプレス:創業期の横領、巨額の踏み倒し、メンバーの離反…壮絶な経験をされてきたんですね。「1%の達成感のために99%苦しむ」という言葉に、経営者の孤独と覚悟の重さを感じます。それでも乗り越え続けてきたのは、ご自身が「大切なものを守る力をつけるため」という強い思いがあるからなのだと、胸が熱くなります。
評論家よりも挑戦者であれ。点と点を線にする「種まき」の哲学
モデルプレス:モデルプレス読者の中でもいま様々な夢を追いかけている方もいると思います。夢を叶える秘訣を教えてください。山重社長:私はまだ志を叶えていませんが、確実に近づいていると思います。志は、「和牛で世界を笑顔で繋いでいきたい」。これが生きている間に実現できるかはわかりませんが、挑戦する価値は絶対にあります。
ゴールをそこに設定し、僕は多くの「点」を打ち続けています。時には「どうしてそんなことを?どう繋がるの?」と思われることもあるかもしれません。ですが、僕には道筋が見えています。点と点が線になり、やがて面になるためには、とにかく新しい「種」を蒔き続けなければならないんです。つまり、それは「新しいことに挑戦し続ける」ことを意味します。
挑戦する時は、いつも「そんなのできないよ」「現実を見ろ」などと言われるものです。多くのご意見やご指摘をいただきますが、僕は真摯に耳を傾けて、良いものは取り入れ、違うと思うものは参考意見として保管するようにしています。今の世の中は、挑戦しなくても生きていけると思います。ですが、その中で挑戦することは、本当に勇気がいることだと感じます。
僕は、挑戦しないで評論だけする大人よりも、挑戦して時には失敗し、時には上手くいきながらコツコツ成長している大人の方が「かっこいい」と思います。だからこそ、挑戦を応援するような社会を、皆さんと一緒につくっていけたら嬉しいです。
モデルプレス:「和牛で世界を笑顔で繋ぐ」という大きな志に向かって、今も「種を蒔き続けている」最中なのですね。「挑戦していないで評論だけする大人よりも、挑戦して失敗している大人の方がかっこいい」という言葉は、夢を追う全ての読者の背中を押してくれると思います。
スキルより「土台」 小利口ではなく、素直で、逃げず、やりきる人
モデルプレス:求める人材像を教えてください。山重社長:目指している社風は、「自由と自己責任」。そして「権利を主張するなら、まずは義務を全うしようぜ」といった組織づくりです。一緒に働きたいのは、「逃げない人」「小利口ではない人」「かっこつけずやりきる人」、そして「素直な人」。
もちろん優秀さやスキルも重要ですが、それらは環境や自らの努力で後からついてくると思っています。それよりも大事にしているのが、今お伝えした「人としての土台」です。この土台があるからこそ色々なことを積み重ねていけるので、土台が無い人とは働けないと考えています。
期待する能力も「他責じゃない人」であれば、あとは特にありません。あればラッキー、くらいで考えています。それよりも、ビジョンの実現にフルコミットさえしてくれたらいい。唯一譲れないものは、「がむしゃらにやりきってくれるかどうか」です。小利口に立ち回って、上司にいい顔をしてうまくかわしていくタイプではなく、正々堂々とまっすぐでいてほしい。逆も同じで管理職だけど行動と背中で見せられないタイプもいらないです。
実務を通じてスキルや知識は必ず獲得できます。仲間なのですから、沢山失敗もしていいし、迷惑もかけていい。ただ、「素直」で「ズルくない」方と働きたいと思います。
モデルプレス:「逃げない人、小利口ではない人、かっこつけずやりきる人、素直な人」。これは、まさに山重社長ご自身が体現されてきた生き方そのものだと感じます。スキルは後からついてくる、それよりも「人としての土台」を何より重視するというメッセージは、本質的で非常に熱いですね。ビジョンにフルコミットし、正々堂々とがむしゃらにやりきれる。そんな方々が集う組織は、間違いなく強いチームになると思います。
MTJグループ株式会社
MTJグループ株式会社は、「和牛IP&メディア事業」、「和牛飲食事業」、「和牛卸事業」、「WAGYU AI事業」を川上から川下をワンストップで管理し、リアルデジタル上で繋ぐ「和牛OSサービス」を展開して、日本の食宝である和牛の価値を世界に届けることをミッションとする。グループ会社:Wellen株式会社、株式会社LIBENDLE、World Wide Wagyu(タイ)、World Wide Wagyu(マレーシア)、World Wide Wagyu(シンガポール)
【拠点】
東京:東京都港区六本木7丁目14-16 リバースビル
まとめ
壮絶な過去を乗り越え、「和牛で世界を笑顔にする」という壮大なビジョンを掲げる山重社長。その言葉の端々からは、「絶対に逃げない」「すべて自己責任」という強烈な覚悟と、ビジョンへの揺るぎないコミットメントが伝わってきました。99%の苦しみを味わってでも、仲間を守り、挑戦を続ける。その「かっこいい」生き様に、多くの人が惹きつけられるのだと感じます。MTJグループの挑戦は、まだ始まったばかりです。
「REAL VALUE」とは
「REAL VALUE」はビジネスの第一線で活躍し続ける堀江貴文・溝口勇児・三崎優太が認める各領域のトップ経営者だけを厳選して始動した経営エンターテイメント番組。堀江・三崎の公式YouTubeにて配信中。3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
【Not Sponsored 記事】
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