【ファイアーキッズ・遠藤元樹氏】AI発展後も残り続ける仕事を― 時計ビジネス衰退への危惧でSNSに1億投資 “究極の時計好き”の挑戦<REAL VALUE×モデルプレス連動>
2025.03.03 19:00
堀江貴文・溝口勇児・三崎優太による経営エンターテイメント番組「REAL VALUE」と「モデルプレス」の共同インタビュー企画。今回は株式会社ファイアーキッズ・遠藤元樹氏(46)に、生い立ちやこれまでの経緯、成功を掴むまでのエピソード、ビジネスで大切なことを聞いた。
「REAL VALUE」は堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人と各業界のスペシャリストが、本物の起業家を見極め、悩めるすべてのビジネスパーソンに“本当の価値と、本質的な学び”を説いていく番組(※堀江・三崎公式YouTubeで配信中)。
遠藤社長:父からの影響です。バイク・車などと同様に父の影響で時計に興味を持ち、18歳で初めて手にした時計はオメガのシーマスターでした。学生時代から興味のあった古着をキッカケにヴィンテージ時計に惹かれ、20代の頃はヴィンテージ時計の名店巡りをしていました。時代背景として1990年代に、ファッション・時計のブームが起き、原宿や渋谷がファッションの街としてフォーカスされた時代ですね。ルーズソックス、腰パンが流行った時代です。当時は、古着屋などに若者でも手に届く値段で時計が置いてあり、オメガも3~4万円で買えたのです。オメガのシーマスターは家電量販店で新品が10万円ほどで売っていました。メディアの影響も大きく、アクション映画の名作「スピード」でキアヌリーブスが付けていたGショックが当時一大ブームになっていました。そんなブームもあり必然的に時計にハマりやすい環境が身近にありました。
モデルプレス:単なるモノとしてではなく、その背景にあるストーリーや時代感まで含めて愛しているからこそ、今の遠藤社長の時計への情熱があるのだと感じますね。ファッション業界でご活躍されていたとのことですが、そこから時計業界、そしてファイアーキッズへ参画されるまでには、どのような経緯や想いがあったのでしょうか?
遠藤社長:ファイアーキッズに参画する前は、5~6年ほど時計を購入していませんでした。理由は時計屋に行ってもつまらないと感じていたためです。時計のマニアックな話がしたいのに、できないお店が多くなってしまったと感じていました。時計を見に行っても時計好きの店員さんに会えなかったため、購入するに至らなかったんです。時計に興味がない人が、楽しそうに時計を語る店員さんの接客を受けてついつい買ってしまう、といった体験が減っているような印象を感じていました。時計にプレミア価格がついてしまい時計の魅力を伝えるより、在庫がある事が奇跡だから買いです、という接客になってしまっているように感じました。
このような憂いを解消できるお店を作りたい、その想いが日に日に増していきました。またこのような状況が続けば、国内における時計ビジネスは衰退してしまうと感じました。店頭スタッフが薄給であること、時計業界の高齢化、限定的なマーケットなど、具体的な課題もわかっていました。現在ファイアーキッズの顧問を務める野村が第二創業した2022年以降に、私も縁があってファイアーキッズの時計好きメンバーの経営陣とともに、現状の時計業界に対して話をする機会があり、そして自分たちが好きな時計を生業にする時計業界に従事している人たちに対して、何かしらのアクションを起こしたくて、内側から変革を起こすため、「時計好き仲間を増やす」というパーパスを掲げるファイアーキッズと共に、時計業界に変革を起こすことを決めました。
モデルプレス:時計が好きだからこそ、業界の現状に強い問題意識を抱いていたのですね。ただ好きで集めるだけでなく、「このままでは業界が衰退する」という危機感を持ち、自ら変革を起こすために飛び込む決断は、並大抵の覚悟ではできないことだと思います。その熱意が、ファイアーキッズを動かす大きな原動力になっていると感じます。
遠藤社長:ファイアーキッズの成長には、いくつかの要因がありますが、まず重要な事は人であると考えています。私はファイアーキッズの経営に参画するまで、業界の現状に対して大きく3つの憂いを感じていました。1つが業界の低い給与水準への問題意識です。これだけ専門性が必要であるにも関わらず、お世辞にも高いとは言えない給与水準でした。2つ目は時計の話を楽しくできる場所が減少している点ですね。そして3つ目が、時計購入までの敷居の高さです。現行品がどんどん値上がりして、私が購入していた2000年前後のような感覚では、とても購入できる状態ではありませんでした。
ファイアーキッズではこれらの課題を解決させています。給与水準については未経験であっても最低年収を400万円としました。そして個人売上のノルマを設けず、店舗は時計の話を楽しむ場と定義しました。ウォッチメイトメンバー(販売スタッフ)も時計談義の重要性を理解しており、お客様へ時計を楽しんでいただける環境を提供できていると自負しています。さらに購入した時計を1年以内であれば80%で買い戻すことも行っています。レンタル感覚で、気軽に高級ブランドを身につけることができる環境を用意しました。異業種からの転職メンバーも多く、未経験で入社しても、トレーニングや相談できる環境を作る事ができた事も成長の要因と言えると考えています。
私はAIがどんなに進化するとしても、弊社の販売員・ウォッチメイトという職種は残り続けると思っています。画一的な自動販売機みたいな接客は、淘汰されるでしょう。しかし、人情のある、心の通った時計に関するコミュニケーションを得意とするファイアーキッズであれば、私のような時計の話をしたい人が集まり、AIには再現できない体験になると信じていますし、それが会社の成長に繋がると信じています。そして良い接客体験を提供するウォッチメイトメンバーのリフレッシュも重要と考えており、年間休日も120日以上としています。
そして最後は「時計好き仲間を増やす」ためのマーケティングです。具体的にはSNSのフォロワー数が中古時計業界でトップクラスにまでなり、業界のスタンダードを変革させたと思っています。Instagram、YouTubeともにほぼ毎日更新を続け、Instagramは現在では4万人のフォロワーがいます。ECサイトに掲載している商品写真にもこだわり、ただ白背景に商品が並ぶのが当たり前だった時計業界において、1枚1枚こだわり抜いた写真を掲載するようにしてこれが今では他店でも当たり前になってきています。そのクオリティーを担保するために、毎日プロカメラマンが3人体制で何十もの商品を撮影する体制を築いています。
経営の意思決定のスピードも弊社の特徴です。SNSのフォロワーを獲得するために、数ヶ月で1億円投資することもありました。
モデルプレス:スタッフの待遇改善、お客様が心から楽しめる場の提供、そして大胆なマーケティング戦略。すべてが「時計好き仲間を増やす」というパーパスに繋がっていますね。特に、個人のノルマをなくし、スタッフが安心して時計談義に集中できる環境を作ったことは、短期的な利益よりも長期的なファン作りを重視する遠藤社長の哲学の表れだと思います。AIには真似できない“人情のあるコミュニケーション”こそが、ファイアーキッズの唯一無二の価値なのだと確信しました。
遠藤社長:ファイアーキッズでは、報連相・凡事徹底・日々改善というバリューを掲げています。当たり前の事を会社のバリューとすることで、人が成長する環境を作っています。これは私も例外ではありません。現状維持ではなく、毎日1歩ずつでも前進する。KPTのフレームワークを活用し、凡事を徹底する。これを私もウォッチメイト達も同じフレームワークで続けていることが、会社の成長につながっていると思いますし、100年続く会社になる土台になると信じています。
モデルプレス:日々の小さな改善の積み重ねが、やがては大きな成長に繋がるという信念。この堅実な姿勢こそが、100年続く企業を目指すという壮大なビジョンの、最も重要な土台になっているのですね。
遠藤社長:時計と人ですね。経営する立場にありますが、今でも店頭に立つ時間を作るようにしており、時計についてお客様と話せる時間が何よりの原動力となる時間です。以前、課題認識していた「時計について話す場がない」という課題を解決できている実感があります。
ありきたりの言葉にはなりますが、接客対応したお客様の笑顔を店頭で見た時は格別ですね。知らなかった事を教えていただくこともあります。販売スタッフであるウォッチメイトの成長を感じた時も、パワーをもらえます。接客という観点で見てもマニュアル化が進んでいる現代において、各々が個性ある接客をできる環境を整備することは重要であると考えていますし、その点を理解し対応をしてくれているウォッチメイトを誇りに思います。
モデルプレス:経営者でありながら、今も店頭に立ち、お客様と時計の話をする時間を何よりの原動力としている。その言葉から、遠藤社長の根底にある「時計と人が好き」という純粋な想いが伝わってきます。スタッフ一人ひとりの個性を尊重し、その成長を心から喜ぶ姿は、まさに理想のリーダー像だと感じますね。
遠藤社長:時計の魅力を皆さんに訴求できる点はやはり魅力です。先ほども話した通り、「時計好き仲間を増やす」という想いが根幹にあります。影響力の高いマフィアの皆様に時計の魅力を伝えたい、そしてその先にいるまだ時計を身に付けていない方たちに魅力が繋がっていってほしい、そんな想いで参加を決めました。
そのほかにも、マーケティングや経営に関するコンサルティングを受けられるという点もやはり魅力です。これまでもSNSで多くの発信を見てきた方ばかりですので、デジタルマーケティングやブランディング広告といった点の知識ではなく、より高い視座からのコンサルティングが受けられるという点も大変魅力に感じております。
モデルプレス:ご自身のパーパスである「時計好き仲間を増やす」という想いを実現するため、影響力のある方々を巻き込み、さらに大きなムーブメントを起こそうという視座の高さに感銘を受けます。現状に満足せず、常に高みを目指して挑戦を続ける姿勢こそが、REAL VALUE CLUBが求める経営者像と完全に一致しているのだと思います。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
遠藤社長:2018年に視神経脊髄炎という病気を発症しました。翌年には脳炎が併発し右半身の感覚を失う経験をしています。病院を受診した時には即入院を言い渡され、当初は病院のベッドの上で仕事をしていた事もありましたが、投薬により急激な体重増加や身体的機能不全など通常の生活もままならない状況が4年ほど続きました。
その時に、仕事で付き合いのあったコンサルティング会社役員の知人より、事業計画書や人事教育の仕事を業務委託で依頼をいただき、様々な会社の事業計画書を作成させていただきました。このまま仕事ができなくなってしまうのではないかという不安に押しつぶされそうになりましたが、家族や友人と過ごす中で、身体が動くうちにやれるだけやろうという気持ちが芽生え、妻の理解もあり好きな時計で再起をかけようと覚悟。自分の理想とする時計体験を実現させたくファイアーキッズへの参画を決めました。
私は幸いにも病状は緩和し、現在は自分のやりたい事に向き合えています。困難や逆境は辛いものですが、私は病気になる以前よりパワフルに動けていると感じています。大小関わらず困難にぶつかっている時は精神的にも辛いものです。私も乗り越えようと思って乗り越えられたわけではなく、乗り越えるまでは先のことなんて考える事もできませんでした。しかし乗り越えたと自覚した時には、人として壁を越えたと実感しました。今困難に立ち向かっている人に、『乗り越えろ!』なんてメッセージングはできません。しかしその先を知っている者としてエールを送りたいと思います。
モデルプレス:当たり前の日常が送れないほどの苦しみを味わった中で、それでも前を向き、好きなことで再起を誓ったその精神力に、ただただ圧倒されます。困難を乗り越えたからこそ言える「以前よりパワフルに動けている」という言葉には、とてつもない重みと説得力があります。今、何かに苦しんでいる読者にとって、このエピソードは大きな希望の光になると思います。
遠藤社長:一人で叶える夢、チームで叶える夢、様々な夢があると思います。特に時計を好きになって感じることですが、いくつもの価値観が存在することに気が付いた時に、自身の知見や思考が広がった感覚になったことを覚えています。時計と同様に組織や人、社会にも様々な価値観が存在します。そのことを理解したうえで社会や組織に求められていることを把握すること。夢を叶えた先で何をするのか?夢は到達点ではなく通過点だと思います。夢を叶えるためには知識や経験がある人の話を聞き、取り入れる柔軟性も必要です。そして決断と行動力。ファイアーキッズのバリューである「報連相」「凡事徹底」「日々改善」は夢を叶える基礎となり、体現する事で夢を叶える事に一歩ずつ近づいていけると信じています。
モデルプレス:「夢は到達点ではなく通過点」という言葉が深く心に響きました。一つの目標を達成してもそこで終わるのではなく、さらにその先を見据えているのですね。多様な価値観を受け入れる柔軟性と、基礎を徹底する愚直さ、そして最後は決断し行動する力。夢を叶えるために必要な要素が、遠藤社長自身の生き方そのものに凝縮されているように感じます。
遠藤社長:ファイアーキッズのパーパスである「時計好き仲間を増やす」に賛同できるかどうかが何より重要です。要素としては「時計好きであること」、そして時計について相手がワクワクするように話して欲しいので「人たらしであること」も求める人物像として当てはまりますね。弊社はSNSも力を入れているので、積極的にYouTubeチャンネルやInstagramなどにも出演して、一緒に盛り上げてくれるような方であると嬉しいです!
モデルプレス:「時計好き仲間を増やす」という会社の目的そのものが、採用基準になっているのが非常に明確で、心に刺さりますね。「人たらし」という言葉のチョイスに、遠藤社長がどれだけコミュニケーションを大事にしているかが表れていると思います。ただ商品を売るのではなく、時計への愛を語り、お客様を巻き込み、一緒に楽しむ。そんな熱量を持った人が集まれば、最強のチームになることは間違いないでしょう。SNSで自分自身も会社の顔として発信していくことにワクワクできる人なら、ここは最高の舞台になるはずです。自分の「好き」を仕事にし、仲間と会社を盛り上げていく、そんなエキサイティングな毎日が目に浮かびます。
そして、その根底にあるのは、難病という大きな困難を乗り越えたからこそ得られた、揺るぎない強さと人間的な深みです。「時計好き仲間を増やす」というパーパスのもと、ファイアーキッズはこれからも、単なる時計店ではなく、人と人との繋がりを生み出すコミュニティとして、多くの人々の人生に彩りを与えていくことでしょう。遠藤社長とファイアーキッズの挑戦から、今後も目が離せません。
3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
18歳で手にしたオメガから始まった時計沼
モデルプレス:まずは、どのようなきっかけで時計の世界に魅了されたのでしょうか?遠藤社長:父からの影響です。バイク・車などと同様に父の影響で時計に興味を持ち、18歳で初めて手にした時計はオメガのシーマスターでした。学生時代から興味のあった古着をキッカケにヴィンテージ時計に惹かれ、20代の頃はヴィンテージ時計の名店巡りをしていました。時代背景として1990年代に、ファッション・時計のブームが起き、原宿や渋谷がファッションの街としてフォーカスされた時代ですね。ルーズソックス、腰パンが流行った時代です。当時は、古着屋などに若者でも手に届く値段で時計が置いてあり、オメガも3~4万円で買えたのです。オメガのシーマスターは家電量販店で新品が10万円ほどで売っていました。メディアの影響も大きく、アクション映画の名作「スピード」でキアヌリーブスが付けていたGショックが当時一大ブームになっていました。そんなブームもあり必然的に時計にハマりやすい環境が身近にありました。
モデルプレス:単なるモノとしてではなく、その背景にあるストーリーや時代感まで含めて愛しているからこそ、今の遠藤社長の時計への情熱があるのだと感じますね。ファッション業界でご活躍されていたとのことですが、そこから時計業界、そしてファイアーキッズへ参画されるまでには、どのような経緯や想いがあったのでしょうか?
遠藤社長:ファイアーキッズに参画する前は、5~6年ほど時計を購入していませんでした。理由は時計屋に行ってもつまらないと感じていたためです。時計のマニアックな話がしたいのに、できないお店が多くなってしまったと感じていました。時計を見に行っても時計好きの店員さんに会えなかったため、購入するに至らなかったんです。時計に興味がない人が、楽しそうに時計を語る店員さんの接客を受けてついつい買ってしまう、といった体験が減っているような印象を感じていました。時計にプレミア価格がついてしまい時計の魅力を伝えるより、在庫がある事が奇跡だから買いです、という接客になってしまっているように感じました。
このような憂いを解消できるお店を作りたい、その想いが日に日に増していきました。またこのような状況が続けば、国内における時計ビジネスは衰退してしまうと感じました。店頭スタッフが薄給であること、時計業界の高齢化、限定的なマーケットなど、具体的な課題もわかっていました。現在ファイアーキッズの顧問を務める野村が第二創業した2022年以降に、私も縁があってファイアーキッズの時計好きメンバーの経営陣とともに、現状の時計業界に対して話をする機会があり、そして自分たちが好きな時計を生業にする時計業界に従事している人たちに対して、何かしらのアクションを起こしたくて、内側から変革を起こすため、「時計好き仲間を増やす」というパーパスを掲げるファイアーキッズと共に、時計業界に変革を起こすことを決めました。
モデルプレス:時計が好きだからこそ、業界の現状に強い問題意識を抱いていたのですね。ただ好きで集めるだけでなく、「このままでは業界が衰退する」という危機感を持ち、自ら変革を起こすために飛び込む決断は、並大抵の覚悟ではできないことだと思います。その熱意が、ファイアーキッズを動かす大きな原動力になっていると感じます。
年収400万確約と1億円のSNS投資!業界の常識を覆した革命
モデルプレス:第二創業からわずかな期間で、ファイアーキッズを業界トップクラスの人気店へと成長させました。その急成長の裏には、どのような戦略や要因があったのでしょうか?遠藤社長:ファイアーキッズの成長には、いくつかの要因がありますが、まず重要な事は人であると考えています。私はファイアーキッズの経営に参画するまで、業界の現状に対して大きく3つの憂いを感じていました。1つが業界の低い給与水準への問題意識です。これだけ専門性が必要であるにも関わらず、お世辞にも高いとは言えない給与水準でした。2つ目は時計の話を楽しくできる場所が減少している点ですね。そして3つ目が、時計購入までの敷居の高さです。現行品がどんどん値上がりして、私が購入していた2000年前後のような感覚では、とても購入できる状態ではありませんでした。
ファイアーキッズではこれらの課題を解決させています。給与水準については未経験であっても最低年収を400万円としました。そして個人売上のノルマを設けず、店舗は時計の話を楽しむ場と定義しました。ウォッチメイトメンバー(販売スタッフ)も時計談義の重要性を理解しており、お客様へ時計を楽しんでいただける環境を提供できていると自負しています。さらに購入した時計を1年以内であれば80%で買い戻すことも行っています。レンタル感覚で、気軽に高級ブランドを身につけることができる環境を用意しました。異業種からの転職メンバーも多く、未経験で入社しても、トレーニングや相談できる環境を作る事ができた事も成長の要因と言えると考えています。
私はAIがどんなに進化するとしても、弊社の販売員・ウォッチメイトという職種は残り続けると思っています。画一的な自動販売機みたいな接客は、淘汰されるでしょう。しかし、人情のある、心の通った時計に関するコミュニケーションを得意とするファイアーキッズであれば、私のような時計の話をしたい人が集まり、AIには再現できない体験になると信じていますし、それが会社の成長に繋がると信じています。そして良い接客体験を提供するウォッチメイトメンバーのリフレッシュも重要と考えており、年間休日も120日以上としています。
そして最後は「時計好き仲間を増やす」ためのマーケティングです。具体的にはSNSのフォロワー数が中古時計業界でトップクラスにまでなり、業界のスタンダードを変革させたと思っています。Instagram、YouTubeともにほぼ毎日更新を続け、Instagramは現在では4万人のフォロワーがいます。ECサイトに掲載している商品写真にもこだわり、ただ白背景に商品が並ぶのが当たり前だった時計業界において、1枚1枚こだわり抜いた写真を掲載するようにしてこれが今では他店でも当たり前になってきています。そのクオリティーを担保するために、毎日プロカメラマンが3人体制で何十もの商品を撮影する体制を築いています。
経営の意思決定のスピードも弊社の特徴です。SNSのフォロワーを獲得するために、数ヶ月で1億円投資することもありました。
モデルプレス:スタッフの待遇改善、お客様が心から楽しめる場の提供、そして大胆なマーケティング戦略。すべてが「時計好き仲間を増やす」というパーパスに繋がっていますね。特に、個人のノルマをなくし、スタッフが安心して時計談義に集中できる環境を作ったことは、短期的な利益よりも長期的なファン作りを重視する遠藤社長の哲学の表れだと思います。AIには真似できない“人情のあるコミュニケーション”こそが、ファイアーキッズの唯一無二の価値なのだと確信しました。
100年続く会社へ、KPTで徹底する「日々改善」の精神
モデルプレス:100年続く会社を目指すうえで、遠藤社長が日々のお仕事の中で最も大切にされていること、組織全体で徹底していることがあれば教えてください。遠藤社長:ファイアーキッズでは、報連相・凡事徹底・日々改善というバリューを掲げています。当たり前の事を会社のバリューとすることで、人が成長する環境を作っています。これは私も例外ではありません。現状維持ではなく、毎日1歩ずつでも前進する。KPTのフレームワークを活用し、凡事を徹底する。これを私もウォッチメイト達も同じフレームワークで続けていることが、会社の成長につながっていると思いますし、100年続く会社になる土台になると信じています。
モデルプレス:日々の小さな改善の積み重ねが、やがては大きな成長に繋がるという信念。この堅実な姿勢こそが、100年続く企業を目指すという壮大なビジョンの、最も重要な土台になっているのですね。
原動力はお客様の笑顔とスタッフの成長、何より時計への尽きない愛
モデルプレス:業界を変革するという大きな目標に向かって突き進む中で、遠藤社長ご自身の“頑張る原動力”となっているものは何ですか?遠藤社長:時計と人ですね。経営する立場にありますが、今でも店頭に立つ時間を作るようにしており、時計についてお客様と話せる時間が何よりの原動力となる時間です。以前、課題認識していた「時計について話す場がない」という課題を解決できている実感があります。
ありきたりの言葉にはなりますが、接客対応したお客様の笑顔を店頭で見た時は格別ですね。知らなかった事を教えていただくこともあります。販売スタッフであるウォッチメイトの成長を感じた時も、パワーをもらえます。接客という観点で見てもマニュアル化が進んでいる現代において、各々が個性ある接客をできる環境を整備することは重要であると考えていますし、その点を理解し対応をしてくれているウォッチメイトを誇りに思います。
モデルプレス:経営者でありながら、今も店頭に立ち、お客様と時計の話をする時間を何よりの原動力としている。その言葉から、遠藤社長の根底にある「時計と人が好き」という純粋な想いが伝わってきます。スタッフ一人ひとりの個性を尊重し、その成長を心から喜ぶ姿は、まさに理想のリーダー像だと感じますね。
影響力ある経営者たちと共に「時計好き仲間を増やす」夢を加速
モデルプレス:今回、堀江さんたちが主宰する「REAL VALUE CLUB」(※)に参加を決めた理由を教えてください。遠藤社長:時計の魅力を皆さんに訴求できる点はやはり魅力です。先ほども話した通り、「時計好き仲間を増やす」という想いが根幹にあります。影響力の高いマフィアの皆様に時計の魅力を伝えたい、そしてその先にいるまだ時計を身に付けていない方たちに魅力が繋がっていってほしい、そんな想いで参加を決めました。
そのほかにも、マーケティングや経営に関するコンサルティングを受けられるという点もやはり魅力です。これまでもSNSで多くの発信を見てきた方ばかりですので、デジタルマーケティングやブランディング広告といった点の知識ではなく、より高い視座からのコンサルティングが受けられるという点も大変魅力に感じております。
モデルプレス:ご自身のパーパスである「時計好き仲間を増やす」という想いを実現するため、影響力のある方々を巻き込み、さらに大きなムーブメントを起こそうという視座の高さに感銘を受けます。現状に満足せず、常に高みを目指して挑戦を続ける姿勢こそが、REAL VALUE CLUBが求める経営者像と完全に一致しているのだと思います。
(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。
右半身の感覚を失う難病からの再起
モデルプレス:遠藤社長のそのパワフルな行動力の源泉に迫りたいのですが、これまでの人生で、大きな困難や逆境を乗り越えたご経験について教えてください。遠藤社長:2018年に視神経脊髄炎という病気を発症しました。翌年には脳炎が併発し右半身の感覚を失う経験をしています。病院を受診した時には即入院を言い渡され、当初は病院のベッドの上で仕事をしていた事もありましたが、投薬により急激な体重増加や身体的機能不全など通常の生活もままならない状況が4年ほど続きました。
その時に、仕事で付き合いのあったコンサルティング会社役員の知人より、事業計画書や人事教育の仕事を業務委託で依頼をいただき、様々な会社の事業計画書を作成させていただきました。このまま仕事ができなくなってしまうのではないかという不安に押しつぶされそうになりましたが、家族や友人と過ごす中で、身体が動くうちにやれるだけやろうという気持ちが芽生え、妻の理解もあり好きな時計で再起をかけようと覚悟。自分の理想とする時計体験を実現させたくファイアーキッズへの参画を決めました。
私は幸いにも病状は緩和し、現在は自分のやりたい事に向き合えています。困難や逆境は辛いものですが、私は病気になる以前よりパワフルに動けていると感じています。大小関わらず困難にぶつかっている時は精神的にも辛いものです。私も乗り越えようと思って乗り越えられたわけではなく、乗り越えるまでは先のことなんて考える事もできませんでした。しかし乗り越えたと自覚した時には、人として壁を越えたと実感しました。今困難に立ち向かっている人に、『乗り越えろ!』なんてメッセージングはできません。しかしその先を知っている者としてエールを送りたいと思います。
モデルプレス:当たり前の日常が送れないほどの苦しみを味わった中で、それでも前を向き、好きなことで再起を誓ったその精神力に、ただただ圧倒されます。困難を乗り越えたからこそ言える「以前よりパワフルに動けている」という言葉には、とてつもない重みと説得力があります。今、何かに苦しんでいる読者にとって、このエピソードは大きな希望の光になると思います。
夢は通過点、多様な価値観を受け入れる柔軟性と決断力が未来を拓く
モデルプレス:遠藤社長のように夢を追いかけている読者に向けて、ご自身の経験から考える「夢を叶える秘訣」を教えてください。遠藤社長:一人で叶える夢、チームで叶える夢、様々な夢があると思います。特に時計を好きになって感じることですが、いくつもの価値観が存在することに気が付いた時に、自身の知見や思考が広がった感覚になったことを覚えています。時計と同様に組織や人、社会にも様々な価値観が存在します。そのことを理解したうえで社会や組織に求められていることを把握すること。夢を叶えた先で何をするのか?夢は到達点ではなく通過点だと思います。夢を叶えるためには知識や経験がある人の話を聞き、取り入れる柔軟性も必要です。そして決断と行動力。ファイアーキッズのバリューである「報連相」「凡事徹底」「日々改善」は夢を叶える基礎となり、体現する事で夢を叶える事に一歩ずつ近づいていけると信じています。
モデルプレス:「夢は到達点ではなく通過点」という言葉が深く心に響きました。一つの目標を達成してもそこで終わるのではなく、さらにその先を見据えているのですね。多様な価値観を受け入れる柔軟性と、基礎を徹底する愚直さ、そして最後は決断し行動する力。夢を叶えるために必要な要素が、遠藤社長自身の生き方そのものに凝縮されているように感じます。
「人たらし」な時計好き求む!会社の顔としてSNSで輝ける最高の舞台へ
モデルプレス:そんなファイアーキッズで、遠藤社長はどのような方と一緒に働きたいと考えていますか?遠藤社長:ファイアーキッズのパーパスである「時計好き仲間を増やす」に賛同できるかどうかが何より重要です。要素としては「時計好きであること」、そして時計について相手がワクワクするように話して欲しいので「人たらしであること」も求める人物像として当てはまりますね。弊社はSNSも力を入れているので、積極的にYouTubeチャンネルやInstagramなどにも出演して、一緒に盛り上げてくれるような方であると嬉しいです!
モデルプレス:「時計好き仲間を増やす」という会社の目的そのものが、採用基準になっているのが非常に明確で、心に刺さりますね。「人たらし」という言葉のチョイスに、遠藤社長がどれだけコミュニケーションを大事にしているかが表れていると思います。ただ商品を売るのではなく、時計への愛を語り、お客様を巻き込み、一緒に楽しむ。そんな熱量を持った人が集まれば、最強のチームになることは間違いないでしょう。SNSで自分自身も会社の顔として発信していくことにワクワクできる人なら、ここは最高の舞台になるはずです。自分の「好き」を仕事にし、仲間と会社を盛り上げていく、そんなエキサイティングな毎日が目に浮かびます。
株式会社ファイアーキッズについて
株式会社ファイアーキッズは、1995年に横浜で創業したヴィンテージ時計専門店。1900年頃から2000年頃までの約100年間に製造・販売された機械式腕時計を中心に扱う。同社の最大の強みは、販売スタッフである「ウォッチメイト」だけでなく、普段は店頭に立たないスタッフも含め、チームメンバー全員が熱心な時計好きであること。「高品質なヴィンテージ・アンティーク時計をリーズナブルな価格でお届けしたい」という共通の想いを持ち、数ある一点物の時計の中から、お客様一人ひとりに最適な一本を提案。店舗は中野ブロードウェイ店、横浜本店に加え、2025年3月には銀座ナイン店のオープンを予定している。まとめ
今回のインタビューを通して、遠藤社長の時計への純粋な愛情、そして業界全体を良くしたいという強い使命感をひしひしと感じました。その情熱は、スタッフが誇りを持って働ける環境を整え、お客様が心から時計談義を楽しめる場所を作り、大胆な戦略で業界の常識を次々と塗り替えてきました。そして、その根底にあるのは、難病という大きな困難を乗り越えたからこそ得られた、揺るぎない強さと人間的な深みです。「時計好き仲間を増やす」というパーパスのもと、ファイアーキッズはこれからも、単なる時計店ではなく、人と人との繋がりを生み出すコミュニティとして、多くの人々の人生に彩りを与えていくことでしょう。遠藤社長とファイアーキッズの挑戦から、今後も目が離せません。
「REAL VALUE」とは
「REAL VALUE」はビジネスの第一線で活躍し続ける堀江貴文・溝口勇児・三崎優太が認める各領域のトップ経営者だけを厳選して始動した経営エンターテイメント番組。堀江・三崎の公式YouTubeにて配信中。3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)
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【正翔会・大西正嗣氏】挫折が導いた“歯学の道” スタッフ離脱、失明危機も業界に恩返し誓う理由「視点を変えると違う景色が…」<REAL VALUE×モデルプレス連動>モデルプレス