ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)

【ファイアーキッズ・遠藤元樹氏】AI発展後も残り続ける仕事を― 時計ビジネス衰退への危惧でSNSに1億投資 “究極の時計好き”の挑戦<REAL VALUE×モデルプレス連動>

2025.03.03 19:00

堀江貴文・溝口勇児・三崎優太による経営エンターテイメント番組「REAL VALUE」と「モデルプレス」の共同インタビュー企画。今回は株式会社ファイアーキッズ(FIRE KIDS)のCEO・遠藤元樹氏に、生い立ちやこれまでの経緯、成功を掴むまでのエピソード、ビジネスで大切なことを聞いた。

「REAL VALUE」は堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人と各業界のスペシャリストが、本物の起業家を見極め、悩めるすべてのビジネスパーソンに“本当の価値と、本質的な学び”を説いていく番組(※堀江・三崎公式YouTubeで配信中)。

ファイアーキッズは1995年に横浜で創業し、現在は横浜・中野・銀座(2025年3月オープン)に店舗を構えるヴィンテージ時計専門店。約20年間、ファッション業界にてブランド運営を行ってきた遠藤氏は「時計好き仲間を増やす」というパーパスを掲げるファイアーキッズに参画し、時計業界に変革を起こすことを決めた。

これまでの生い立ちから起業にいたるまで

ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
<時計にハマるまでの原体験>

【遠藤氏】父からの影響です。バイク・車などと同様に父の影響で時計に興味を持ち、18歳で初めて手にした時計はオメガのシーマスターでした。学生時代から興味のあった古着をキッカケにヴィンテージ時計に惹かれ、20代の頃はヴィンテージ時計の名店巡りをしていました。時代背景として1990年代に、ファッション・時計のブームが起き、原宿や渋谷がファッションの街としてフォーカスされた時代ですね。ルーズソックス、腰パンが流行った時代です。当時は、古着屋などに若者でも手に届く値段で時計が置いてあり、オメガも3~4万円で買えたのです。オメガのシーマスターは家電量販店で新品が10万円ほどで売っていました。メディアの影響も大きく、アクション映画の名作「スピード」でキアヌリーブスが付けていたGショックが当時一大ブームになっていました。そんなブームもあり必然的に時計にハマりやすい環境が身近にありました。

ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
<ファイアーキッズに参画するまで>

【遠藤氏】ファイアーキッズに参画する前は、5~6年ほど時計を購入していませんでした。理由は時計屋に行ってもつまらないと感じていたためです。時計のマニアックな話がしたいのに、できないお店が多くなってしまったと感じていました。時計を見に行っても時計好きの店員さんに会えなかったため、購入するに至らなかったんです。時計に興味がない人が、楽しそうに時計を語る店員さんの接客を受けてついつい買ってしまう、といった体験が減っているような印象を感じていました。時計にプレミア価格がついてしまい時計の魅力を伝えるより、在庫がある事が奇跡だから買いです、という接客になってしまっているように感じました。

このような憂いを解消できるお店を作りたい、その想いが日に日に増していきました。またこのような状況が続けば、国内における時計ビジネスは衰退してしまうと感じました。店頭スタッフが薄給であること、時計業界の高齢化、限定的なマーケットなど、具体的な課題もわかっていました。現在ファイアーキッズの顧問を務める野村が第二創業した2022年以降に、私も縁があってファイアーキッズの時計好きメンバーの経営陣とともに、現状の時計業界に対して話をする機会があり、そして自分たちが好きな時計を生業にする時計業界に従事している人たちに対して、何かしらのアクションを起こしたくて、内側から変革を起こすため、「時計好き仲間を増やす」というパーパスを掲げるファイアーキッズと共に、時計業界に変革を起こすことを決めました。

会社成長の要因

ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
【遠藤氏】ファイアーキッズの成長には、いくつかの要因がありますが、まず重要な事は人であると考えています。私はファイアーキッズの経営に参画するまで、業界の現状に対して大きく3つの憂いを感じていました。1つが業界の低い給与水準への問題意識です。これだけ専門性が必要であるにも関わらず、お世辞にも高いとは言えない給与水準でした。2つ目は時計の話を楽しくできる場所が減少している点ですね。そして3つ目が、時計購入までの敷居の高さです。現行品がどんどん値上がりして、私が購入していた2000年前後のような感覚では、とても購入できる状態ではありませんでした。

ファイアーキッズではこれらの課題を解決させています。給与水準については未経験であっても最低年収を400万円としました。そして個人売上のノルマを設けず、店舗は時計の話を楽しむ場と定義しました。ウォッチメイトメンバー(販売スタッフ)も時計談義の重要性を理解しており、お客様へ時計を楽しんでいただける環境を提供できていると自負しています。さらに購入した時計を1年以内であれば80%で買い戻すことも行っています。レンタル感覚で、気軽に高級ブランドを身につけることができる環境を用意しました。異業種からの転職メンバーも多く、未経験で入社しても、トレーニングや相談できる環境を作る事ができた事も成長の要因と言えると考えています。

私はAIがどんなに進化するとしても、弊社の販売員・ウォッチメイトという職種は残り続けると思っています。画一的な自動販売機みたいな接客は、淘汰されるでしょう。しかし、人情のある、心の通った時計に関するコミュニケーションを得意とするファイアーキッズであれば、私のような時計の話をしたい人が集まり、AIには再現できない体験になると信じていますし、それが会社の成長に繋がると信じています。そして良い接客体験を提供するウォッチメイトメンバーのリフレッシュも重要と考えており、年間休日も120日以上としています。

そして最後は「時計好き仲間を増やす」ためのマーケティングです。具体的にはSNSのフォロワー数が中古時計業界でトップクラスにまでなり、業界のスタンダードを変革させたと思っています。Instagram、YouTubeともにほぼ毎日更新を続け、Instagramは現在では4万人のフォロワーがいます。ECサイトに掲載している商品写真にもこだわり、ただ白背景に商品が並ぶのが当たり前だった時計業界において、1枚1枚こだわり抜いた写真を掲載するようにしてこれが今では他店でも当たり前になってきています。そのクオリティーを担保するために、毎日プロカメラマンが3人体制で何十もの商品を撮影する体制を築いています。

経営の意思決定のスピードも弊社の特徴です。SNSのフォロワーを獲得するために、数ヶ月で1億円投資することもありました。

仕事で心がけていること

【遠藤氏】ファイアーキッズでは、報連相・凡事徹底・日々改善というバリューを掲げています。当たり前の事を会社のバリューとすることで、人が成長する環境を作っています。これは私も例外ではありません。現状維持ではなく、毎日1歩ずつでも前進する。KPTのフレームワークを活用し、凡事を徹底する。これを私もウォッチメイト達も同じフレームワークで続けていることが、会社の成長につながっていると思いますし、100年続く会社になる土台になると信じています。

頑張る原動力になっているもの

【遠藤氏】時計と人ですね。経営する立場にありますが、今でも店頭に立つ時間を作るようにしており、時計についてお客様と話せる時間が何よりの原動力となる時間です。以前、課題認識していた「時計について話す場がない」という課題を解決できている実感があります。

ありきたりの言葉にはなりますが、接客対応したお客様の笑顔を店頭で見た時は格別ですね。知らなかった事を教えていただくこともあります。販売スタッフであるウォッチメイトの成長を感じた時も、パワーをもらえます。接客という観点で見てもマニュアル化が進んでいる現代において、各々が個性ある接客をできる環境を整備することは重要であると考えていますし、その点を理解し対応をしてくれているウォッチメイトを誇りに思います。

「REAL VALUE CLUB」(※)に参加を決めた理由

【遠藤氏】時計の魅力を皆さんに訴求できる点はやはり魅力です。先ほども話した通り、「時計好き仲間を増やす」という想いが根幹にあります。影響力の高いマフィアの皆様に時計の魅力を伝えたい、そしてその先にいるまだ時計を身に付けていない方たちに魅力が繋がっていってほしい、そんな想いで参加を決めました。

そのほかにも、マーケティングや経営に関するコンサルティングを受けられるという点もやはり魅力です。これまでもSNSで多くの発信を見てきた方ばかりですので、デジタルマーケティングやブランディング広告といった点の知識ではなく、より高い視座からのコンサルティングが受けられるという点も大変魅力に感じております。

(※)「REAL VALUE CLUB」は、堀江貴文・溝口勇児・三崎優太の3人に認められる他、限られた人だけが入会できるもの。あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。

人生で怒りや悲しみを乗り越えたエピソード

ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
【遠藤氏】2018年に視神経脊髄炎という病気を発症しました。翌年には脳炎が併発し右半身の感覚を失う経験をしています。病院を受診した時には即入院を言い渡され、当初は病院のベッドの上で仕事をしていた事もありましたが、投薬により急激な体重増加や身体的機能不全など通常の生活もままならない状況が4年ほど続きました。

その時に、仕事で付き合いのあったコンサルティング会社役員の知人より、事業計画書や人事教育の仕事を業務委託で依頼をいただき、様々な会社の事業計画書を作成させていただきました。このまま仕事ができなくなってしまうのではないかという不安に押しつぶされそうになりましたが、家族や友人と過ごす中で、身体が動くうちにやれるだけやろうという気持ちが芽生え、妻の理解もあり好きな時計で再起をかけようと覚悟。自分の理想とする時計体験を実現させたくファイアーキッズへの参画を決めました。

私は幸いにも病状は緩和し、現在は自分のやりたい事に向き合えています。困難や逆境は辛いものですが、私は病気になる以前よりパワフルに動けていると感じています。大小関わらず困難にぶつかっている時は精神的にも辛いものです。私も乗り越えようと思って乗り越えられたわけではなく、乗り越えるまでは先のことなんて考える事もできませんでした。しかし乗り越えたと自覚した時には、人として壁を越えたと実感しました。今困難に立ち向かっている人に、『乗り越えろ!』なんてメッセージングはできません。しかしその先を知っている者としてエールを送りたいと思います。

ファイヤーキッズ遠藤元樹氏の「夢を叶える秘訣」

ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
ファイアーキッズCEO・遠藤元樹氏(提供写真)
【遠藤氏】一人で叶える夢、チームで叶える夢、様々な夢があると思います。特に時計を好きになって感じることですが、いくつもの価値観が存在することに気が付いた時に、自身の知見や思考が広がった感覚になったことを覚えています。時計と同様に組織や人、社会にも様々な価値観が存在します。そのことを理解したうえで社会や組織に求められていることを把握すること。夢を叶えた先で何をするのか?夢は到達点ではなく通過点だと思います。夢を叶えるためには知識や経験がある人の話を聞き、取り入れる柔軟性も必要です。そして決断と行動力。ファイアーキッズのバリューである「報連相」「凡事徹底」「日々改善」は夢を叶える基礎となり、体現する事で夢を叶える事に一歩ずつ近づいていけると信じています。

株式会社ファイアーキッズについて

<企業プロフィール>

【遠藤氏】ファイアーキッズでは、1900年頃から2000年頃までの、約100年の間に製造・販売された機械式腕時計を中心に扱っています。ファイアーキッズの自慢は、ウォッチメイト(販売スタッフ)だけではなく普段店舗には出ていない裏方も含めて「チームメンバーが全員時計好きである」ということです。そんなスタッフ達が「高品質なヴィンテージ・アンティーク時計をリーズナブルな価格でお届けしたい」という想いを持って、一点物の時計の中から、お客様にピッタリの一本をお探しさせていただきます。中野ブロードウェイ店、横浜本店に加え、2025年3月に銀座ナイン店をオープン予定です。

<求める人物像>

【遠藤氏】ファイアーキッズのパーパスである「時計好き仲間を増やす」に賛同できるかどうかが何より重要です。要素としては「時計好きであること」、そして時計について相手がワクワクするように話して欲しいので「人たらしであること」も求める人物像として当てはまりますね。弊社はSNSも力を入れているので、積極的にYouTubeチャンネルやInstagramなどにも出演して、一緒に盛り上げてくれるような方であると嬉しいです!

「REAL VALUE」とは

「REAL VALUE」はビジネスの第一線で活躍し続ける堀江貴文・溝口勇児・三崎優太が認める各領域のトップ経営者だけを厳選して始動した経営エンターテイメント番組。堀江・三崎の公式YouTubeにて配信中。


3人に認められる他、限られた人だけが入会できる「REAL VALUE CLUB」は、あらゆる領域のトップ経営者が集い、本質的な学びを得られる経営者コミュニティ。堀江・溝口・三崎を筆頭に各領域のトップ経営者とリアルで繋がれる他、コンテンツ動画を月2~4回配信(アーカイブが見放題)、ファウンダー&マネジメントチーム及び事務局からビジネスアイデアの提供など、経営をアップデートするためのノウハウを提供していく。(modelpress編集部)

【Not Sponsored 記事】

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