眞栄田郷敦、 板垣李光人、中島セナ、秋谷郁甫(C)山口つばさ/講談社(C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

「ブルーピリオド」眞栄田郷敦、1カットごとに監督とディスカッション スタッフの準備時間も休憩場所に戻らず【現場レポート】

2024.07.20 18:00

眞栄田郷敦が主演を務める映画「ブルーピリオド」(8月9日公開)の現場レポートが到着した。

  

漫画「ブルーピリオド」実写映画化

眞栄田郷敦(C)山口つばさ/講談社(C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会
2017年6月に月刊アフタヌーンで連載が開始されてから「TSUTAYAコミック大賞」「このマンガがすごい!」など国内の主要漫画賞にノミネートされ、累計発行部数は700万部を超える人気傑作漫画「ブルーピリオド」(作:山口つばさ)を萩原健太郎監督が実写映画化。

本作は、からっぽだった高校生が1枚の絵をきっかけに美術の世界に本気で挑み、国内最難関の美術大学を目指して奮闘していく物語。美術の経験も才能もない素人が天才的な画力を持つライバル達や、答えのないアートという壁に苦悩しながらも、情熱だけを武器に圧倒的努力で困難を乗り越えていく熱量は、多くの読者の心を動かしてきた。好きなことに出会えた高揚感、その先に訪れる葛藤をもリアルに描いた原作の魅力そのままに、好きなことを持つすべての人の胸を打つ感動作が誕生した。

眞栄田郷敦主演「ブルーピリオド」現場取材レポート

板垣李光人(C)山口つばさ/講談社(C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会
2023年の7月中旬に、夢に向かって本気になった八虎(眞栄田)が、美大受験専門の予備校への参加を決め、講習を受けるシーンの撮影が行われた。ロケ地となったのは、本物の美術予備校、新宿美術学院(現 ena 美術)。新宿美術学院は、原作に登場する予備校のモデルにもなっている場所だ。八虎を刺激する存在となる天才ライバル、世田介(板垣李光人)との衝撃の出合いも描かれる重要なシーンとなる。

うだるような暑さが連日続いていたが、窓に暗幕が施された教室に足を踏み入れると、外の夏空が嘘のように、そこに「ブルーピリオド」の世界が広がっていた。イーゼルや椅子、画材がしまわれたロッカーや棚に並んだ本などすべて、実際に予備校で使用されているものをそのまま拝借。生徒役のエキストラは実際に絵を描ける人が参加し、道具も自らのものを持参している。

眞栄田郷敦、1カットごとに監督とディスカッション

撮影場所(C)山口つばさ/講談社(C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会
床に残る絵の具や木炭の跡からも、絵に向き合っている人たちの苦悩や情熱など、本物の息遣いが伝わってくるようだ。八虎はここで、切磋琢磨していくことになる面々と出合いを果たす。八虎役の眞栄田は「いい目をしている」ことが起用の決め手となった。

空っぽだった八虎が好きなものに出合って本気になるという変化を体現したが、この日の予備校のシーンでも、八虎に芽生えたワクワク感が目の表情からも見て取れる。眞栄田はワンカット撮り終えるごとに、萩原健太郎監督とディスカッション。自分のアイデアも積極的に繰り出しながらキャラクターやシーンをぐんぐん掘り下げていくなど、彼らの強固な信頼関係が伝わってくる。

眞栄田郷敦、スタッフに差し入れ

また、スタッフが次のシーンの準備や段取りをする際にも、眞栄田は休憩場所に戻らず、ものづくりの一員としてその場に待機。教室の空気を自分の身に染み込ませると同時に、若いスタッフが生き生きと働く現場の熱気をたっぷりと浴びながら、撮影をしていた。眞栄田のアイスの差し入れに現場がワッと沸き立つ場面もあり、彼の前のめりの姿勢が現場の原動力となっていた。

当日は、八虎と世田介の初対面のシーンも撮影された。八虎をはじめとする生徒たちは、キャンバスに向かって石膏像のデッサンを始める。世田介は、担当教師の大葉先生(江口のりこ)に「デッサンって、見たままを描けばいいんですよね?」と質問。デッサン初心者であるとともに、道具を揃えられていないと思われる世田介を目にして、八虎は「これよかったら」と道具を差し出す。しかし、世田介からは「誰、お前」と言われてしまう...という、ライバルになっていく2人の今後を予感させるシーンだ。カットがかかると、萩原監督やスタッフも「八虎、かわいそう」と思わず苦笑い。肩を落とす八虎、世田介の冷たい視線を、絶妙な表情で演じ切った眞栄田と板垣の芝居にもぜひ注目してほしい。

そして、おかっぱ頭がトレードマークの大葉先生は、前髪アリのスタイルにしたいという江口からの提案もあり、ビジュアルや大声で生徒を励ます姿も原作そのもの。三つ編みの橋田悠(秋谷郁甫)、グラデーションのヘアカラーの桑名マキ(中島セナ)も、原作から飛び出してきたようだ。現場には、絵画指導の海老澤功氏と、美術アドバイザーの川田龍氏も同席。絵を描く姿勢や鉛筆の走らせ方など細かい所作まで、萩原監督が「今の場面はどうですか?」と質問をし、違和感があればすぐに修正をしていく。

板垣李光人、鉛筆の持ち方に世田介の“天才らしさ”にじませる

撮影場所(C)山口つばさ/講談社(C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会
眞栄田はクランクインの半年前、板垣は約3ヶ月前から絵の練習をスタートさせたとあって、撮影時には、海老澤氏と川田氏も役者陣の絵描きとしての芝居に「まったく違和感がない」と太鼓判。絵の練習の際、眞栄田は監督も驚くほどの集中力を発揮し、海老澤氏が「この調子で頑張れば本当に藝大に受かるんじゃないか」というまでに上達した。一方の板垣はもともと原作ファンで、とりわけ世田介が大好きだったという。この日の撮影シーンでは、鉛筆の持ち方にまで世田介の“天才らしさ”をにじませていたのも印象的。川田氏も「絶妙!」と楽しそうな笑顔を見せていた。

生徒が描き終えた、20枚ほどのデッサンがズラリと並んだ様子も圧巻。それぞれの絵から、絵の上達具合、受験生としてのレベル、キャラクターの個性までわかるなど、シーンやキャラクターごとに合わせた絵が用意されている。眞栄田も「すごい」とやわらかな笑顔を浮かべ、生徒役のキャストたちと興味深そうに絵を眺めていた。最終的には、74人のアーティストが協力して、401枚もの絵が揃ったという本作。ロケ地、絵の練習に励んだキャスト陣が放つ熱気、こだわりを込めて用意された絵など、細部にわたって“本物”の迫力がみなぎっている。(modelpress編集部)

「ブルーピリオド」ストーリー

ソツなく器用に生きてきた高校生・矢口八虎は、苦手な美術の授業の課題「私の好きな風景」に困っていた。悩んだ末に、1番好きな「明け方の青い渋谷」を描いてみた。その時、絵を通じて初めて本当の自分をさらけ出せたような気がした八虎は、美術に興味を持ちはじめ、どんどんのめりこんでいく。そして、国内最難関の美術大学への受験を決意するのだが...。立ちはだかる才能あふれるライバル達。正解のない「アート」という大きな壁。経験も才能も持ってない自分はどう戦う。苦悩と挫折の果てに、八虎は【自分だけの色】で描くことができるのか。
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