吉沢亮(C)土田世紀/日本文芸社,ANIPLEX, Inc.

吉沢亮&小栗旬ら主演で「かぞく」実写映画化「るろ剣」デザイン・澤寛(澤田石和寛)が監督デビュー

2023.09.25 18:14

俳優の吉沢亮永瀬正敏小栗旬阿部進之介が主演を務める映画『かぞく』が11月3日(金・祝)に公開されることが決定した。

  

吉沢亮&小栗旬ら主演で「かぞく」実写映画化

小栗旬(C)土田世紀/日本文芸社,ANIPLEX, Inc.
17歳で漫画家デビュー、代表作『未成年』『編集王』『雲出づるところ』を送りだし『同じ月を見ている』では平成11年度文化庁メディア芸術祭優秀賞を受賞、人気作家としてのキャリアを積み重ねていた2012年、突然この世を去った伝説の漫画家・土田世紀。松本大洋を初め多くの漫画家が影響をうけた土田の生きざまを色濃く描く未完の絶筆作品『かぞく』を実写映画化。

脚本・監督を務めるのは、映画『十三人の刺客』『るろうに剣心』シリーズ、人気TVCM『au 三太郎』シリーズの衣裳デザイン、キャラクターデザインを務めてきた澤田石和寛。写真作家、映像作家として活動する澤寛(Kan Sawa)として、吉沢・小栗らをキャストに迎え、映画監督デビューを果たす。

永瀬正敏(C)土田世紀/日本文芸社,ANIPLEX, Inc.
『かぞく』のなかで描かれた5つのエピソードを原作として、澤寛自身の生い立ちや経験を織り交ぜ、現代家族を包括的に描く映画へと昇華させた。旧来の家族構造から「核家族」を基準に、「婚姻関係」「親子関係」「血縁関係」「法や倫理に背いた関係」「父とは」「母とは」「子とは」などのテーマを各エピソードに振り分け、土田が描いた物語が現代家族の背負ってきた旧来の家族構造の特徴である家父長制家族の諸問題から生まれた物語であったとして、それぞれ家族の再生を試みながら「家族とは何か」を問いかける。

音楽には舞台音楽家である棚川寛子(『アンティゴネ』『マハーバーラタ』など)を起用。SPAC静岡県舞台芸術センター芸術総監督である宮城聰氏協力のもと、ムーバーとスピーカーに分ける演劇様式を極めたSPACの俳優たちによる音楽演奏と共に、映画の外から映画へ介入する「声や息の出演」という独自の表現を確立し、映画へ音楽と息を吹き込む。サウンドデザインはアピチャッポン・ウィーラセタクン監督作品『世紀の光』『ブンミおじさんの森』『メモリア』などに参加してきた清水宏一が担当。棚川の音楽、SPACの演奏とともに、映画独自の世界観を築いている。撮影は山本英夫が担当し、山本が撮影したフィルム映像を、澤寛自身でカラグレーディングの指揮をとり、色彩を確立。秋田と千葉を中心としたロケーションから日本の風土を写すことで、日本的霊性を映像に呼び込み、映像美を手に入れている。

阿部進之介(C)土田世紀/日本文芸社,ANIPLEX, Inc.
監督デビュー作にもかかわらず、豪華俳優陣が出演、すでに国際映画祭への招待も決定しており、その期待度の高さが分かる。今後の展開に注目だ。(modelpress編集部)

ストーリー

父が失踪したマコトは、母と2人、住み慣れた街を離れて新しい街へと向かう。内縁の妻と密やかに生活を送るケンジ、その妻ハルカはある秘密を抱えていた。妻を亡くし、父1人で2人の子供を育てるタケオは、子供たちと海へドライブに出かけた。久しぶりに実家へ帰ってきたユウイチは、自分の名を呼ぶ女性に森の中へといざなわれていく。―これは4人の男の4つの家族が、複雑に絡み合い、喪失から再生へと向かう様を、静かに描く叙情詩。

監督:澤寛コメント

ずっと現代における「家族とは何か」と考えてきた。私にとって家族とは他人も同然で、家族に何かを求める意思を持つことはなかった。家族という組織は親子、夫婦それぞれが、その時代を生き抜くために互いの“扱い”を変えながら、愛も遺恨も引き連れて出産と育成という本能をもとに、社会環境の変化に合わせてその時代に必要な関係を維持しながら、役割を変えてきたのだ。家族とは親が子供を育てるという関係以上のものではないように感じていた撮影当時の私は、劇内に登場する家族関係を崩壊させようと思っていた。離れていく家族から、「家族」を感じることができると思っていたのだ。

2019年に撮影をしたのち、一年後の7月に残りを撮影した。全ての撮影を終え、2020年の9月から自宅アトリエで編集作業に入り、シナリオと撮影済み素材を見ながら、この映画の結末を改めて考えていた。親は子供に何ができるのだろうか。子供は親に何ができるのだろうか。家族とは何か。本格的なポストプロダクションに入る前、私は20年ぶりに実家を訪れ独り身の母と会話をし、これまで感じてきた、家族を好きと思えなかった理由を述べた。そして、私の父親、彼女の元夫が数年前に亡くなっていたことを伝えた。元夫の人生の結末を聞いた母の口から、私の幼少期に起きた家族の事情を伝えられた。それは子供からの目線であったからなのかもしれない。しかし、その時の私は、家族というものは、生きていようが死んでいようが関係がなく、自身が自身であるために必要な存在なのだと理解した。

この映画の呼吸を聴く。私の目に見える世界は少しずつ変わっていく。私は、この不思議な関係を描くことで、家族の未来を描き出したのだ。
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