草野翔吾監督、山田杏奈、神尾楓珠、今井翼(提供写真)

今井翼「僕の若い頃の顔と系統が似ている」神尾楓珠に感謝 ラブシーン&アドリブ秘話も明かす「泣きそうになった」<彼女が好きなものは>

2021.11.26 21:30

映画『彼女が好きなものは』(12月3日公開)の先行上映舞台挨拶が26日、都内で行われ、神尾楓珠、山田杏奈、今井翼、草野翔吾監督が登壇した。

  
本作は、ゲイであることを隠しながら生活する男子高校生とBL好きを隠している女子同級生との恋愛を通じ、世間にはびこる“ふつう”という価値観とのギャップに向き合う男女の姿を描いたストーリー。

原作は、小説家・浅原ナオトの「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)。Web小説サイト「カクヨム」で話題となり、2018年2月に書籍化、2019年4月にはNHKで「腐女子、うっかりゲイに告る。」のタイトルでドラマ化もされ、大きな反響を呼んだ。

主人公の安藤純を演じるのは神尾。「異性を愛したい」「家庭を築きたい」と世間で“ふつう”と言われる幸せを手にしたいと願いながらも、自分らしさとの狭間で葛藤する純を繊細に演じている。純がゲイだと知らずに告白をする女子高校生の三浦紗枝役には山田。そのほか前田旺志郎、三浦獠太らが純と紗枝のクラスメイトを好演、純の恋人の佐々木誠役には今井が扮し、自分の性的指向やアイデンティティに悩む純にかつての自分を重ねるように、優しく寄り添う。

神尾楓珠、今井翼のアドリブに感動 ラブシーンも回顧

神尾楓珠(提供写真)
神尾は「僕自身には経験のないことなので、純の抱える葛藤などが掴みにくく難しいところもあったけれど、世間の目と自分の考えをすり合わせて純の悩みや葛藤と向き合っていきました」と撮影を回想。山田は「自分の好きなものが言えないところは純と共通する点。本当の自分をさらけ出すのは難しい事だけれど、その中で周りの人と共に生きていくのにはどうしたらいいのかを考えながら演じました」と役作りを振り返った。

今井は「僕自身にとって、このような役柄は初めて。同性を愛しているからと言って閉鎖的に過ごさなければいけないということはないと思います。同性を愛することは特別なことではありません、純には包容力をもって接しようと思いました。」と演じる上での心構えを口に。草野監督は満席の客席に大感激。「会場に入った瞬間にグッときました。一席空けの映画館ばかりに行っていたので、満席という景色に感激です」と満面の笑みを浮かべていた。

印象的なシーンの話題になると、今井は温泉デートのシーンで、純と誠が一緒にいる所を紗枝に目撃される場面を挙げた。紗枝から投げられたヨーヨーが破れて神尾、今井が水を浴びるというシーンでは「きちんと命中させないと衣装を乾かして一やり直さなければいけないので、実は一発勝負の撮影だったんです。内心ドキドキしていましたし、投げられることを分かっている風に見えてはいけないので、ビンタされる芝居と同じ要領で平静を装いながらやっていました」と苦労もあったよう。

山田杏奈(提供写真)
また神尾とのラブシーンを挙げて「女性とのラブシーンもそうですが、(神尾演じる)純がいちばん美しく見えるように心掛けて演じました。楓珠君は、若いのにとてもしっかりしている素敵な俳優さん、安心して演じることができました」と一回り以上年下の神尾に全幅の信頼を寄せていた。

すると神尾は、誠との別れのシーンでラムネが噴き出す箇所を挙げて「実際はラムネがこぼれる予定ではなかったけれど、いざ本番でやってみたらラムネがこぼれたんです。それを今井さんがとっさにハンカチを出して芝居でカバーしてくれたときは、誠さんの優しさに触れて泣きそうになりました。あのシーンを思い出すと今でも泣きそうになる」と今井のアドリブに感動。今井も「二人の最後の時間の中で自然とそういう演技になりました。撮影を重ねる中で生まれたコミュニケーションがそういうところに出たのかもしれないです」と心境を解説。草野監督も今井の咄嗟のアドリブに「今までの純と誠の関係性がギュッと見えた気がした、とてもいいシーンですよね!」と大興奮していた。

今井翼「若い頃の顔と系統が似ている」神尾楓珠に感謝

今井翼(提供写真)
今井は神尾について「巷では僕の若い頃の顔と(神尾君の)系統が似ていると言ってくれる人がいるみたいで、ありがたいんですよ」と神尾にお礼を言うと、神尾も「こちらこそですよ!」と恐縮しつつ「僕ら二人のシーンは濃い顔と濃い顔で迫力のあるシーンになっています」と笑わせた。そんな今井について神尾は「今井さんが初日の日に『初日は緊張するなぁ』と僕に声をかけてくれました、僕らの目線の高さに合わせてくださり、僕の緊張をほどいてくれました。純としてしっかり対峙できたのは、今井さんのお人柄のお陰です」と感謝していた。

最後に今井は「完成した作品を観た時に、高校生たちの透き通った美しさが画になっていると思います。自分も40にはなったけれども、またいつか学生服を着てお芝居ができたら笑」と学生役に意気込み。すかさず神尾が「それは監督にお願いしてください!」と草野監督に話を振ると、草野監督も「おおお!」と満更ではなさそうだった。(modelpress編集部)
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