松坂桃李(C)石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会

松坂桃李、1.5日で“童貞”から“娼夫”へチェンジ 過酷な撮影期間&役作りを明かす<娼年>

2018.03.02 10:00

俳優の松坂桃李が主演をつとめる映画「娼年」(4月6日公開)。“童貞”役を演じていた作品から、たった1.5日で“娼夫”へシフトチェンジしていたことを明かした。

  

松坂桃李主演「娼年」

原作は2001年の直木賞候補となった石田衣良の恋愛小説。女性の欲望をありのままに描いた刺激的な内容と、女性たちに向き合うことで変化を遂げていく主人公リョウの姿を繊細な表現で描き、多くの女性から共感を集めた。そして遂に、2016年の伝説の舞台と同じ松坂桃李x三浦大輔のコンビは困難と言われた映画化に挑んだ。

松坂桃李、1.5日で“童貞”から“娼夫”へ

松坂桃李(C)石田衣良/集英社 2017映画『娼年』製作委員会
この数年、多彩な役に挑戦し、振り幅の広い俳優として進化し続ける松坂。2009年「侍戦隊シンケンジャー」(テレビ朝日系)で俳優デビュー、NHK連続テレビ小説「梅ちゃん先生」(2012)、『ツナグ』(2012)、大河ドラマ「軍師官兵衛」(2014/NHK)などで大きな注目を集めるが、その後も演じた役柄は、『日本のいちばん長い日』(2015)の青年将校・畑中健二役、『ピースオブケイク』のオカマの天ちゃん(2015)、『劇場版MOZU』の殺人鬼・権藤剛役(2015)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(2017)でペラペラなゲス男・水島真役、『パディントン2』(2018)では紳士でおっちょこちょいなクマのパディントンの吹き替え声優を務めるなど枚挙にいとまがないほど、あらゆる方向への広がりが確認できる。そんな中、ある方向で最大限に真逆に振れたのが、「ゆとりですがなにか」(2016・2017/日本テレビ系)の童貞の小学校教師・山路一豊役と、『娼年』の娼夫・リョウ役。

実は、その対極にある役柄を演じた2作品は、撮影時期が2017年の春、「ゆとりですがなにか」のスペシャルドラマ「ゆとりですがなにか純米吟醸純情編」(日本テレビ系)クランクアップ後、そのわずか1.5日後に映画『娼年』の撮影が開始されたという。つまり、松坂は“童貞”から“娼夫”に1日半でシフトチェンジしたことになる。

松坂桃李“娼夫”の役作りは?

たった1.5日後のクランクインに驚くと、松坂は「舞台をやっていたので、リョウはすでに自分の中にあったのが大きかったです。流れも把握していましたし。だからこれだけ濃い作品に1.5日でクランクインできたのだと思います」と振り返る。舞台の感覚をとり戻すというより、「『娼年』の映画化の話を聞いた時から頭の片隅にずっとあり、モチベーション、スタンスの準備はしていました」と言う。

加えて、『娼年』ならではの切り替え術を明かした。「今回は、その1.5日の間に渋谷に移り住んだんです。環境を変えました。撮影期間中(約3週間)はずっと渋谷のビジネスホテルに住んでいました。この作品は、その日の撮影での熱量を次の日も冷まさない状態に保ちたかったのですが、家に帰ると好きなマンガやゲームがあってリフレッシュしてしまうので、半ば強制的に自分を追い込むためです。撮影場所も渋谷が多かったですし」。

松坂桃李「撮影があまりに過酷」

さらに、「自宅から通ったら、現場に行っていなかったかもしれません。撮影があまりに過酷で…。この作品を身近なところに置く。それが重要でした」と、撮影現場を振り返った。30代を見据え、難役もいとわず走り続ける松坂が、「ここまで精神的に追い込まれた現場は初めてかもしれません」と語る。

これは、映画史における「事件」になる。困難と言われた映画化に、「“性描写”に関しては一切妥協しない」と言う三浦大輔監督とともに臨んだ松坂が、「舞台同様、無になりました」と語るように、監督、スタッフ、俳優陣が全身全霊を込めて作っていた。(modelpress編集部)

ストーリー

主人公の森中領(もりなかりょう)は東京の名門大学生。日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っている。ある日、領の中学校の同級生で、ホストクラブに勤める田嶋進也(たじましんや)が、美しい女性をバーに連れてきた。女性の名前は御堂静香(みどうしずか)。「女なんてつまんないよ」という領に静香は“情熱の試験“を受けさせる。それは、静香が会員制コールクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。
 
入店を決意した領は、その翌日に静香の元を訪れ、娼夫「リョウ」として仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく。
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