(左から)吉沢亮、二階堂ふみ、行定勲監督(提供写真)

二階堂ふみ&吉沢亮、ベルリン国際映画祭降臨 「リバーズ・エッジ」で快挙

2018.02.16 13:47

女優の二階堂ふみと俳優の吉沢亮が現地時間で15日、世界三大映画祭のひとつであるベルリン国際映画祭に参加。出演映画『リバーズ・エッジ(公開中)がパノラマ部門に正式出品され、レッドカーペット後に行われた公式上映で観客と共に映画を鑑賞。上映後に行われた質疑応答に参加した。

  
パノラマ部門は世界中から良質の作品を幅広いジャンルで集めた部門。同作はオープニング作品を飾ったが、オープニングに邦画が選出されるのは、2007年の山田洋次監督『武士の一分』以来の11年ぶりの快挙となった。

(左から)小川真司プロデューサー、吉沢亮、二階堂ふみ、行定勲監督(提供写真)
二階堂ふみ(提供写真)
吉沢亮(提供写真)

二階堂ふみ&吉沢亮がレッドカーペットに

映画祭のメイン会場となるBerlinale Palast(ベルリナーレ・パレスト)のレッドカーペットに登場した二階堂、吉沢、行定勲監督、小川真司プロデューサー。レッドカーペットを歩いた感想を聞かれると二階堂は「すごい盛り上がっていて、ベルリンに来ることが出来たということを実感していて、とても感動しております」と笑顔で話し、吉沢も「楽しいです。僕は、映画祭自体というものが初めてで、街全体の活気もすごくて、楽しい経験をしているな、と思っています」と初めての映画祭への参加に興奮を抑えきれない様子だった。

(左から)吉沢亮、二階堂ふみ、行定勲監督(提供写真)
公式上映が行われたのは、メイン会場の近隣にあるCinemaxx(シネマックス)。映画は、21時の回、21時15分の回、21時30分の回と、異例の3スクリーンで上映。595名、278名、300名を収容する会場は全て満席だった。

上映会の様子(提供写真)
上映前に登壇した行定監督は「皆さんこんばんは」とまずはドイツ語で挨拶。続けて、「ベルリンに呼んでいただいたのは、今回で5回目ですが、まさかのオープニング作品に選ばれるとは思ってもいませんでした。本当に感謝しております」と映画祭に感謝の意を述べた。

上映会の様子(提供写真)

二階堂ふみ&吉沢亮、撮影を振り返る

その後、二階堂と吉沢は満員の観客と一緒に映画を鑑賞。映画が終了すると、会場は大きな拍手と歓声に包まれた。

(左から)二階堂ふみ、行定勲監督、吉沢亮(提供写真)
観客席から舞台上に登壇した二階堂、吉沢は、鑑賞した観客から素晴らしい演技を見せた二人がどのような役作りをしたかを尋ねられると「いかに演じるかということではなく、テクニカルなことでもなくて、どういう風にその場所で勘が生きるかということが、今回の作品では重要なプロセスだったと思います」(二階堂)「現場に入ってからは、先ほど二階堂さんがおっしゃった通り、どう現場で生きるかということを考えていました」(吉沢)と答え、二人とも現場の空気感で役作りをしたことを明かした。 

上映会の様子(提供写真)
続けて、映画の舞台が1994年と設定されていることで、監督と役者の間での世代間のギャップを観客から問われ、監督が「僕にとって90年代というのは非常につまらない青春時代でした。でも、彼らからすると『よかったんじゃないか』とか、特に二階堂からは『80年代とか90年代って面白そうだよね』って言うんですね。もうすでに、ここにギャップがありますよね。でも、その20数年後の今を生きている彼らと一緒に映画を作るってことは、もしかしたら、自分の青春時代を振り返るには一番いい相手だったと思いました」と話すと、二階堂は「90年代に起こった出来事のことは、鮮明には覚えていなくとも、体で覚えていたり、匂いや感覚がしみ込んでいるものがあります」と同意。吉沢も「ファッションや話題は異なりますが、根本的な部分は今の人たちと90年代の人たちの間で違いはないと思っています。この作品は90年代の若い高校生の話ですけど、はけ口というモノが90年代と今で変わっただけだと思ってます」と続け、観客の質問に丁寧に答えていた。

(左から)二階堂ふみ、行定勲監督、吉沢亮(提供写真)
世界で初めて上映され、観客の反応に手ごたえを感じた様子だった3人。パノラマ部門に出品された作品は観客賞、国際批評家連盟賞などの受賞対象とされており、発表は現地時間の24日を予定している。

(左から)二階堂ふみ、行定勲監督、吉沢亮(提供写真)
同作は、世代を超えて熱狂的な支持を集め続ける漫画家・岡崎京子氏の作品群の中でも、とりわけ最高傑作との呼び声が高い、同名漫画を映画化。90年代の都市に生きる若者たちの欲望や不安、焦燥感を鮮烈に描き出す。(modelpress編集部)

(左から)二階堂ふみ、行定勲監督、吉沢亮(提供写真)

レッドカーペット後のコメント

― レッドカーペットを歩いてみていかがですか?

監督:いよいよベルリンの映画祭が始まるんだなっと思ってます。注目度が高くて、活気もあって、すごく楽しいです。

吉沢:楽しいです。僕は、映画祭自体というものが初めてですし、街全体の活気もすごくて、楽しい経験をしているな、と思ってます。

二階堂:すごい盛り上がってて、ベルリンに来ることが出来たということを実感していて、とても感動しております。

― 二階堂さんがお召しになっている衣装、すごく素敵です。

二階堂:ポイントは、日本の映画なので、日本のブランドを着たいなと思いました。「UNDER COVER」というブランドで、色がグリーンで青春らしさを出せたらと思いました。

― これから『リバーズ・エッジ』が公式上映されますが、心境はいかがですか?

二階堂:若い世代と、今まで色んな映画を作り続けてこられた世代の方、みんなで作った映画なので、魂のぶつかり合いのようなものを感じていただけたらいいなと思ってます。

監督:僕は5回目のベルリンですが、レッドカーペットを歩いたのは初めてです。すごく注目していただけているなと。ベルリンの人たちの反応(はすごく大事です)。ここから世界にその反応が拡がっていくんで、すごく楽しみにしてます。

吉沢:キャストもスタッフも全員魂を削りながら撮った作品なので、ホントにたくさんの方々に見ていただきたいです。ベルリンの映画祭で皆さんのどんな反応が返ってくるのか、すごく楽しみです。

上映後のQ&A(質疑応答)

観客からの質問:二階堂さんと吉沢さんにお聞きします。今回の役は心理的な部分はもちろんのこと、肉体的な部分でも今回の役作りは大変だったと思います。役作りの過程を教えてください。

二階堂:あまり何か役を特別に作るとか、どういうキャラクターであるかはあまり考えずに、そのまま映画の撮影現場に行って、同世代の方々と引き出し合いながら形作っていきました。あとは、いかに演じるかということではなく、テクニカルなことでもなくて、どういう風にその場所で勘が生きるかということが、今回の作品では重要なプロセスだったと思います。

吉沢:現場に入る前に2回ぐらいリハーサルがあり、作品性について話をしましたが、現場に入ってからは、先ほど二階堂さんがおっしゃった通り、どう現場で生きるかということを考えていました。監督からは、演出があったというよりは、生命力を試されていたな、と思う瞬間が何度もありました。色んな意味でとても刺激的な現場で、試されている現場だと感じました。

観客からの質問:とて多面的で様々な色合いやトーンのある映画でした。この映画の中では、世代のギャップがあると思います。監督は90年代を実際に生きてこられた。キャストの二人はまだ生まれてもいなかった。自分が生きた時代とまだその時代に生まれていない俳優たちの間にあるギャップについてお話ください。

監督:僕にとって90年代というのは非常につまらない青春時代でした。でも、彼らからすると「よかったんじゃないか」とか、特に二階堂からは「80年代とか90年代って面白そうだよね」って言うんですね。もうすでに、ここにギャップがありますよね。でも、その20数年後の今を生きている彼らと一緒に映画を作るってことは、もしかしたら、自分の青春時代を振り返るには一番いい相手だったと思いました。

僕は、いままで常に未来に向けて映画を作ってきました。この映画は、過去の自分と向き合って作った映画になりました。なので、僕にとってはいい経験になりました。

二階堂:私と吉沢君はちょうど94年に生まれているので、その95年のテロと地震のことは記憶にはないんですけど、私たちも青春時代に別の大きな地震を体験したりしています。90年代に起こった出来事のことは、鮮明には覚えていなくとも、体で覚えていたり、匂いや感覚がしみ込んでいるものがあります。

吉沢:僕も1994年に生まれて、その90年代の記憶はほぼありません。こういった作品とかで、90年代の話に触れて、90年代を知ることのほうが多いです。ただ、この作品で言うと、ファッションや話題は異なりますが、根本的な部分は今の人たちと90年代の人たちの間で違いはないと思っています。

この作品は90年代の若い高校生の話ですけど、はけ口というモノが90年代と今で変わっただけだと思ってます。90年代はドラッグやセックス、暴力だったのが、現代ではSNSになったりして、はけ口の幅が拡がったりとか方向性が変わっただけで、根本にあるものはなんら変わっていないと思いながら、僕はこの映画作りに参加していました。

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