映画『猫は抱くもの』で主演をつとめる沢尻エリカ(C)2018 『猫は抱くもの』製作委員会

沢尻エリカ「ヘルタースケルター」以来6年ぶり映画主演 元アイドル役でダンス&歌唱披露も<猫は抱くもの>

2017.12.20 08:00

女優の沢尻エリカが『ヘルタースケルター』(2012)以来6年ぶりに映画主演をつとめる『猫は抱くもの』が来年6月23日に公開されることが決まった。

  

沢尻エリカ×犬童一心監督 初タッグ

原作は人気推理小説「猫弁」シリーズで知られる大山淳子氏の同名小説。思い通りの生き方ができず、いつしか心に孤独を抱えてしまった30代女性と、自分を彼女の恋人だと信じて疑わない猫との関係を描いたファンタジー・テイストかつハートウォーミングな物語を、『ジョゼと虎と魚たち』(2003)、『メゾン・ド・ヒミコ』(2005)、そして『グーグーだって猫である』の映画版(2008)とドラマ版(2014・16)を手がけた“猫映画の名手”犬童一心監督が映画化する。

沢尻演じる主人公の沙織は、アイドルグループ「サニーズ」の元メンバーで、現在はとある地方都市のスーパーマーケットで働く33歳。歌手として芽が出ず、すべてに嫌気が差して都会から逃げてきた沙織が唯一心を許すのは、ペットショップで売れ残っていたロシアンブルーのオス猫「良男」だった。『ヘルタースケルター』や『新宿スワン』(2015)で見せた“強い女性”像からは一転、自分をうまく表現できず思うように生きられない30代女性のもどかしさを繊細に表現。本人による「サニーズ」のダンス&歌唱シーンもあり、表現者としての新境地に挑んでいる。

沢尻エリカ「限界を決めず、どこまでいけるか挑戦できた」

沢尻は「犬童監督の作品にはいつか出演してみたかった」と今作のオファーを即決し、念願の初タッグ。“人の世界”と“猫の世界”を混在させた独特の演出は「すごく、やりがいがありました。全編が今まで経験したこともない撮り方ばかりでした」といい「演じ分けが大変でしたけれど、全力投球でやりきるしかないなと(笑)。自分の限界を決めず、監督の演出のもとでどこまでいけるか挑戦できたと思います」と手応え。犬童監督も「沢尻エリカさんの魅力と実力を実感できました」と語っている。

10月30日より撮影を開始し、既にクランクアップ。脚本は『そこのみにて光輝く』(14)、『さよなら渓谷』(13)、『きみはいい子』(15)、『オーバー・フェンス』(16)の高田亮氏が手がける。(modelpress編集部)

沢尻エリカコメント

─ 今回、犬童監督から主演のオファーを受けられた際、どのように思われましたか?

沢尻:監督とは、私が『ヘルタースケルター』(2012年)に出演した翌年、日本アカデミー賞の授賞式で初めてお目に掛かったんです。その際にお話しさせていただいた印象が強く残っていて。いつかお仕事でご一緒できたらいいなと、ずっと思っていました。ですから今回オファーをいただいたときは、ほぼ即決でしたね。自分の中に、犬童監督への絶対的な信頼感みたいなものがあったので、自分の直感を信じようと思いました。

─ 主人公・大石沙織は元アイドルで、今はスーパーのレジ係をしている女性です。演じるにあたって意識されたこと、準備されたことはありましたか?

沢尻:事前に準備するというよりは、実際に現場に立ってみて、そこで感じたことをもとに、役を作りあげました。沙織を演じて感じたのは、すごく多面的なキャラクターだなということ。彼女は過去にアイドルとして挫折していて、その経験から逆に、自分というものをうまく出せなくなっている。でも芯の部分には「本当はこういう風に生きたかった」という強い想いも抱えている。沙織が心に抱えているもの自体は、実は多くの人たちと共通してるんじゃないかなとも感じました。

─ 本作が初タッグとなる犬童監督の演出はいかがでしたか?

沢尻:すごく、やりがいがありました。全編が今まで経験したこともない撮り方ばかりでした。舞台上で撮るシーンと実景シーンが混在していて、「人の世界」と「猫の世界」が入り混じっていたので、演じ分けが大変でしたけれど、全力投球でやりきるしかないなと(笑)。自分の限界を決めず、監督の演出のもとでどこまでいけるか挑戦できたと思います。

─ 主人公・沙織にとって、愛猫(良男)はどのような存在だと?

沢尻:たぶん沙織は、いろんなことに対して不器用な女性だと思うんです。周囲に対して自分をうまく出せないし、そういう自分にもどかしさを感じている。彼女にとって良男は、そういう「好きになれない自分」もすべて引っくるめて受け入れてくれる、最大の理解者なんじゃないかな。人間の恋人とはちょっと違うのかもしれないけれど……なくてはならない存在。これはペットに限った話ではなく、何かと良い関係で日々を過ごすことって、人にとって大事だと思うんですね。仕事で悩んだとき恋愛で悩んだとき、すべてを受け入れてくれる存在がいてくれること。自分を癒やし、ハッピーにしてくれるものを、心から大切にすることって、素敵だなと。この映画に出演して、考えたりしました。

犬童一心監督コメント

─ クランクアップを迎えた、現在の想いを教えてください。

犬童監督:沢尻エリカさんの魅力と実力を実感できました。名作「ヘルタースケルター」を見た私は、その沢尻さんの演技に感じ入り、アカデミー賞の受賞式の日に樋口真嗣監督とともに沢尻さんにその感動を伝えに行きました。いつか一緒に作品をという下心があったのは当然です。沢尻さんはその時のことを覚えていてくれました。自分の下心に感謝です。

─ 作品に込めた想いを教えてください。

犬童:うまくいかないことの輝き、置いてきぼりを食らっている時間の魅惑。成功への希求ではなく、積極的な諦めを選んだ時にこそ踏み出せる一歩、その爽快さ。元アイドルの沙織が自分を見つめ、未来への答えを探す最中、揺れる心のダイナミックな動きを、映画の遊びと、演者たちの魅力でエンターテインメントにしていきたい。そして、究極の相棒「猫」、その存在の大きさを表現したい。世代や年齢に関係なく楽しめる、人生の絵本を描いてみました。
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