(上段左から)大谷亮介、清水くるみ、伊原六花、中尾ミエ(下段左から)松雪泰子、山田裕貴、ユースケ・サンタマリア(提供写真)

山田裕貴、音楽劇「海王星」主演に決定 父と恋仇になる主人公演じる

2021.08.12 13:00

俳優の山田裕貴が、12月6日から上演されるPARCO PRODUSE2021音楽劇『海王星』(※地方公演は2022年1月から大阪/富山/仙台/名古屋ほか)にて主演を務めることが決定。父と恋仇になる主人公を演じる。

  
寺山修司は、「中国の不思議な役人」(1977)「青ひげ公の城」(1979)をPARCO劇場に書き下ろし、演出するなど、ゆかりの深い人物だ。近年もパルコ・プロデュース作品として、数多くの寺山作品を上演してきた。そしてこの度、寺山が1963年「天井棧敷」結成前に書き下ろし、未上演であった音楽劇「海王星」が新生PARCO劇場にて上演されることが決まった。

出港しない船上ホテルを舞台に繰り広げられる、父と息子と父の婚約者の甘く哀しい祝祭劇。寺山の詩的な音律が映える台詞と、想像力をかきたてる魅惑的で怪しい登場人物によって彩られる世界は、まさに「寺山ワールド」の原点。

(1列目左から)松雪泰子、山田裕貴、ユースケ・サンタマリア(2列目左から)大谷亮介、清水くるみ、伊原六花、中尾ミエ(3列目左から)眼鏡太郎、坪井木の実、内田慈、野々山貴之、山岸門人(4列目左から)澤魁士、佐藤誓、冨永竜、白木原しのぶ(5列目左から)小山雲母、金井美樹、片桐美穂、吉井乃歌、志磨遼平、島ゆいか(提供写真)
主人公・猛夫、その父・彌平、彌平の婚約者・魔子の3人をめぐる悲恋の物語。猛夫を演じるのは、ヒット映画「東京リベンジャーズ」など注目度&人気爆発中の山田、PARCO劇場「藪原検校」での好演も記憶に新しい松雪泰子が魔子を、そして彌平を2015年の「タンゴ・冬の終わりに」以来のPARCO劇場出演となるユースケ・サンタマリアが演じる。

悪魔的少女そばかすに清水くるみ、猛夫を慕う那美を伊原六花とフレッシュな若手俳優が名を連ね、さらに実力派の中尾ミエ、大谷亮介らが共演する。

そして、演出を手掛けるのは、今もっとも勢いにのる演出家、眞鍋卓嗣。2020年、第55回紀伊國屋演劇賞個人賞及び、第28回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞した眞鍋は、今作がPARCO劇場初進出となる。また作曲を手掛けるのは、志磨遼平(ドレスコーズ)。舞台音楽は「三文オペラ」(2018年)、「人類史」(2020年)につづく3作目となるが、かつて「毛皮のマリーズ」として活動し、寺山からの影響を大きく受けた志磨による楽曲と、寺山の言葉の奇跡的な出会いの瞬間に注目だ。今回は、ドレスコーズの生演奏による上演となる。(modelpress編集部)

演出・眞鍋卓嗣コメント

この戯曲をはじめて読んだ時、「天井棧敷」創立前の作品ということもあってか、確かに寺山修司だけれども寺山修司じゃないような、そんな感想を持ちました。本家寺山ワールドの偉大さを感じながらも、天井棧敷への道を辿らなかったかも知れないもうひとつのオルタナティブな道を模索するつもりです。山田裕貴さんはじめ魅力的なキャストの皆さん、志磨遼平さんの楽曲と共に現在の私たちのエンターテイメントを目指したいと思います。

山田裕貴コメント

舞台の出演が決まるたび、まだ舞台経験が少ないからでしょうか、独特の緊張感に包まれます。音楽劇ということで、歌もあり、そして、贅沢な生演奏の音に包まれる中で、その音の力を借りながら世界に没入したいです。灰上猛夫という男を生きるにはかなり心や魂をすり減らすことになるだろうなと。愛とはなんなのか、人間は生まれながらに愛情というもの追い求めて、生きていますが、愛を追い求める人間たちはどのように削られ、どのような人生を辿るのか、そんな物語をぜひご覧ください。このようなご時世ではありますが、ぜひ、愛の物語を生で感じていただきたいです。PARCO劇場でお待ちしています。

松雪泰子コメント

寺山修司さんが「天井棧敷」結成前に書き下ろされた幻の音楽劇『海王星』、このたび初演になります。今は、寺山ワールドを体験できる喜びにあふれています。半世紀以上を経た今、寺山さんが生きた時代とは、異なる時代を生きる我々が生み出す『海王星』がどんな世界に立ち上がるのか。キャストの一人として、今から楽しみでなりません。幻想的な世界観を劇場で体感していただく観客の皆様の五感に、いやそれ以上の感覚に届く作品になりますよう稽古に励みたいと思っております。この度、演出家の眞鍋さん、そして音楽を担当される志磨遼平(ドレスコーズ)さん、皆様とのコラボレーションも、とても楽しみにしております。2021年12月、PARCO劇場今年最後の上演になります。劇場にてお待ちしております。

ユースケ・サンタマリアコメント

寺山修司作品に飛び込むのは2度目です。一度目は映画でした。今でも強烈に覚えている。暑い熱い夏の日々でした。因みに山田裕貴君も出演しています。そして、今回2度目の寺山作品。それも舞台上で生身で演じ、歌う…、勝手に不思議なご縁を感じて震えます。今回は飛び込むというより、浅瀬からゆっくり深く深く潜ってゆく…、そんなイメージでいきます。是非、PARCO劇場でお待ちしていますね。ブーストを2段階上げます。

「海王星」あらすじ

舞台は、戦艦の船底にある「北海岸ホテル」。嵐で船出を先延ばしにされた怪しげな人々が集まり、かりそめのパーティーに興じている。主人公・猛夫は一人落ち込んでいる。父、彌平の乗る船が嵐で難破し死んでしまったのだ。悲しむ猛夫のもとに、父と再婚し、義母となるはずだった魔子が現れる。

彌平の思い出を語り合う内に惹かれ合う猛夫と魔子、しかし、死んだはずの彌平が、生還したことにより、悲恋へと舵を切る。恋仇となった仲の良い親子、さらに猛夫を慕う那美と悪魔的少女そばかすの存在が、3人の恋慕を悲劇的に加速させる。そして、魔子の心は揺れるまま、彌平との結婚式を迎える。物語は、この5人を軸に、ブルースを唄う老婆や昆虫採集の少女たちなど寺山修司的な登場人物が現れ、様々な心情を唄い踊り、物哀しい祝祭劇を彩っていく。
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