会見を行った堺正章 (C)モデルプレス

堺正章、ムッシュかまやつさんを悼む「全部思い出になってしまった」

2017.03.03 20:08

グループサウンズ「ザ・スパイダース」のメンバーとして活躍し、日本の音楽界を牽引したミュージシャンのムッシュかまやつさん(本名:釜萢弘/かまやつ・ひろし/享年78歳)が1日、都内の病院にて、膵臓(すいぞう)がんのため亡くなった。3日、都内にて、同グループでボーカルを担当したタレントの堺正章が報道陣の取材に応じ、かまやつさんを悼んだ。

  

「思い出になってしまった」

かまやつさんは「ザ・スパイダース」に参加した後、代表曲の「あの時君は若かった」、「バン・バン・バン」、「ノー・ノー・ボーイ」などを作曲し、グループサウンズ全盛期を築いた。ソロ活動でも「我が良き友よ」などのヒット曲で知られる。

堺は「自分の気持ちの中で、すべてを納得するにはまだ時間が経っていなくて…」と心境を吐露。ひと呼吸を入れてから、「全部、かまやつさんとのことが思い出になってしまったといいますか。これから、まだまだ、色々と思い出を作れるのではないかという気持ちでいたのが僕の本心ですから、そういう意味では辛い…」と悲痛の表情を浮かべ、「何か、押しつぶされそうな気分で昨日の夜を過ごしました」と振り返った。

ステージ復帰を信じていた「時間がかかってもいいから」

堺正章 (C)モデルプレス
「昨日の朝、ご親族だけの納棺式がありました。僕は部外者だったのですが、行かせて頂きました。かまやつさんの顔を拝見することができました」と明かし、「もう、あの人からあの笑顔が見れないのだと思うと……。たいへん辛い気持ちで眠っている姿を拝見しました」と語った。

「かまやつさん自身はどう思っているのかは分かりませんが、僕は、お顔を拝見したときは、非常に、『やりとげた感があるお顔をしていたな』というふうに受け止めました」、「『充分に人生を謳歌したね』というふうな気持ちでお顔を見ることができたので、それは、僕の中で安らいでいる部分ではあります。とても穏やかな顔つきでした」と悼んだ。

堺は、「(かまやつさんの)病状がよくないということは、僕のところにも少し入っていたのですが、僕はいつの日か必ず復活をして、また、ステージをやってくれる人だろうと信じていましたから」と訃報が突然のものになったことを語った。

堺は、1月3日には、かまやつさんと、かまやつさんのいとこで歌手の森山良子と3人で会ったそうで、「『時間がかかってもいいから、復活してほしい』ということをその時に話しました。『大丈夫だよ』と彼自身は言っていました。本心なのか、僕を安心させようとして下さったのか、それは分かりませんが、そういうふうに言って下さって3日の夜にお別れしたのが最後でした」と述懐した。

偉大さを語る「ああいう人がいなくなるのは、辛い」

堺正章 (C)モデルプレス
「芸能界の先輩になりますけど、ある意味でいうと」としたうえで、「共に戦った、傷付いた、喜びも分かち合った、そういう苦楽を共にできた1人かなという意味で、かまやつさんの存在は大きい存在でした」と振り返った堺。「ザ・スパイダースというグループで初めてかまやつさんにお会いしましたけど、そのときからだんだんかまやつさん色が強くなりました。ザ・スパイダースというグループを大きくしてくれたのは、もちろん、リーダーの田辺(昭知さん)の功績がありますけど、かまやつさんはプロデューサー的に、『このグループをどういうふうにして行こうか』ということに対しては、田辺以上に思いを馳せて、グループにいてくれました。僕らがこの世界でこうやって長くできるための基礎というものを、ある意味で、かまやつさんが作って下さったという思いがあります」と続けた。

「自分で表現をすることもすごく素敵な人でしたが、人のいいところを見つけてあげることが上手かった人でした。あの人の存在は、ザ・スパイダースなどの固定されたものではない、ひとつ大きな意味での音楽界の中での大事な存在だったと思います」といい、「ああいう人がいなくなるのは、辛い」と言葉を詰まらせた。

「彼のキャラクターは一歩引いて、僕たちを前に出してくれて、その中で彼は見守ってくれながらいつもいた存在。彼の後ろからの守りがあるから、僕たちもその中で頑張れたということがありますので、大きな存在でした」とも。

また、堺は、取材に応じた3日当日に、ザ・スパイダースのリーダーだった田辺昭知さんと「かまやつさんを音楽で送れないか」という話をしたそうで、「『スパイダース葬』をやろうというふうに話が具体化するかもしれないということを2人で確認を取り合いました」と明かした。(modelpress編集部)
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