宮崎駿監督、「監督になって良かったと思ったことは一度もない」<引退会見・一問一答>【2】

2013.09.06 20:21

アニメ映画監督の宮崎駿氏が6日、都内で行われた引退会見に、株式会社スタジオジブリ代表取締役プロデューサー・鈴木敏夫氏、代表取締役社長・星野康二氏とともに出席し、記者からの質問に応じた。

  
以下、会見の主な一問一答【2】。

- 引退ということで子どもたちからたくさん「ありがとう」の声があがっていますが、子どもたちへのメッセージをお願いします

宮崎監督:そんなかっこいいことは言えません。私たちのつくった映画を見てくれたら、なにか伝わるかもしれません。

- 監督になって良かったことはありますか?

宮崎監督:監督になってよかったと思ったことはは一度も有りません。アニメーターになってよかった思ったことは何度もあります。アニメーターというのは、風や表情や眼差し、そういうものを上手く描けたときは2、3日は幸せになれるんです。監督は最後に判決を待たないといけないでしょ?これは胃に良くないです。アニメーターは自分にあってる良い職業だったと思っています。

- 奥様には引退をどのように伝えましたか?

宮崎監督:家内には「こういう引退の話をした」と言いました。お弁当は「今後もよろしくお願いします」言ったら、「ふん」と言われましたけど。日ごろからこの年になって、毎日弁当を作っている人はいないと言われておりますので、「誠に申し訳ないのですが、よろしくお願いします」と。というのは、外食は向かない人間に改造されてしまっていて、昔良く行っていたラーメン屋にいったらあまりのしょっぱさに驚いて、味がうすいものを食わされるようになってしまったんですね。

- 以前と比べて痩せたようにお見受けします、健康状態はいかがですか?

宮崎監督:僕は今63.2キロです。実は50年前、アニメーターになった時は57キロだった。それが60キロを超えたのは結婚したせいなんですけど、70キロを超えたこともありました。そのころの自分の写真を見ると醜い豚のようで辛いんです。映画を作るために体調を整える必要があるので、外食をやめて、朝をしっかり食べて、昼は家内のお弁当、夜はおかずだけにしました。だからこれは女房の教育おかげ。最後57キロになって死ねるといいと思います。健康はいろいろな問題はありますけども、とても心配してくれる方々がいるので、なんとかなると思います。

- この仕事の醍醐味はどんなところですか?

宮崎監督:18の時からこの仕事を始めのですが、アニメーションの仕事は世界の秘密を覗き見ること。奥深くてやるに値する仕事だと思います。映画ができるのか、それは新しいものなのか、そういうことは自分にとって重圧でしたけど。

- 1984年に公開された「風の谷のナウシカ」の続編は作られる?

宮崎監督:それはありません。

- 今後ジブリの若手監督の作品にアドバイザーとして関与される考えは?

宮崎監督:ありません。

- 長い映画監督生活の中で辛かったことはどんなことですか?

宮崎監督:どの作品も本当にスケジュールが辛かった。終わりまでわかってる作品はつくったことがない。見通しのないまま作る作品が多かったので、毎回辛かったです。スタッフはどこにたどり着くかわからないままでやっていたので、よくやってくれましたよ。

- 「風立ちぬ」製作に5年とかかったのには、どんな理由がありましたか?

宮崎監督:1年間隔で作った作品もあります。「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「となりのトトロ」「魔女の宅急便」は作る前から色々な材料が会って出口があった。それからは何を作るのか考えなくてはいけなくなって、段々と時間がかかるようになったと思います。実際「風立ちぬ」では机に座っていたのは7時間が限界。僕は机に向かって描くことが仕事で、その時間をどれくらい取れるかが勝負だった。この年齢になりますとそれがキツくなって来まして、鉛筆を置いたらぱっと帰っちゃうようになりました。それでも限界ギリギリだったんです。これ以上続けるのは無理だと思いました。

- 最後になにか一言、お願いします。

宮崎監督:長い間お世話になりました。もう二度とこういうことはないと思います。

<宮崎駿・引退会見 一問一答はこちら>
【1】http://mdpr.jp/news/1276086
【2】http://mdpr.jp/news/1276114

宮崎監督は1979年に「ルパン三世 カリオストロの城」で監督デビュー。代表作「千と千尋の神隠し」(01年)はベルリン国際映画祭においてアニメ史上初の金熊賞を受賞した。ほか、「風の谷のナウシカ」(84年)「となりのトトロ」(88年)「崖の上のポニョ」(08年)など、手がけた長編映画は11本に及び、2012年には文化功労者に選出されている。これまでも何度か引退を示唆してきたが、監督としてアニメ製作に取り組み続けてきた。(モデルプレス)

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