早見あかり×向井理映画で話題のバンド、 「不安や恐怖があった」鮮烈デビューから“異例”の挑戦…すべてを語る モデルプレスインタビュー
2014.05.07 07:00
元ももいろクローバーで女優の早見あかりと向井理が共演する映画「百瀬、こっちを向いて。」の主題歌「こっちを向いてよ」が、「切ない」「感動する」と話題を集めている。モデルプレスでは今回、主題歌を担当するスリーピースピアノロックバンド・WEAVERのボーカル&ピアノ・杉本雄治(25)にインタビューを行い、ベールに隠された素顔に迫った。
話題の映画主題歌を書き下ろし
映画「百瀬、こっちを向いて。」は、中田永一の同名小説を原作に、思春期の男女が織りなす日常をリアルに描き出した青春ストーリー。主題歌「こっちを向いてよ」は、映画のための書き下ろし。嘘を通じて描かれる初恋の苦しみや葛藤、ノスタルジアや瑞々しさが詰め込まれた楽曲で、テーマは「叶わなかった恋」。ピアノの音色と切ない歌詞が甘酸っぱいストーリーとリンクして、より一層映画の世界観を盛り立てている。主題歌を歌うWEAVERは、杉本雄治のピアノ、奥野翔太のベース、河邉徹のドラムで構成。2010年「僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~」がau「LISMO!」CMソングに抜擢、新人賞を受賞するという鮮烈なデビューを飾った彼ら。2013年6月初のNHKホールライブを成功させ、12月にはタイのフェスに出演するなど国内外の活動が活発になる中、今年10月のデビュー5周年を目前に、一皮むけるため1月末からロンドンへ半年間留学に出発。今後、さらなるブレイクが期待される最注目バンドのひとつだ。
「全体から感じ取った」
― 映画「百瀬、こっちを向いて。」の主題歌「こっちを向いてよ」が話題となっていますね。まずは、楽曲について教えて下さい。杉本:映画の主題歌を書き下ろしてほしいとオファーをいただいて、昨年の4月頃に台本をいただきました。そこから撮影現場にも行かせていただいて、舞台となった学校の雰囲気や自分たちの学生時代とリンクさせながら書かせていただきました。
― 映画にぴったりな切ない楽曲ですが、インスピレーションは台本から?
杉本:ストーリー性や映画の世界観を大事にしたいなと思って、台本はもちろん全体から感じ取りました。今回は、耶雲哉治監督からイントロがピアノで始まる曲というリクエストもいただいていたので、そこから作り始めました。ピアノは僕達WEAVERのアイデンティティでもあるので、嬉しいリクエストだったし、実際に出来上がった映画を観たらピアノの優しい音色が切ないストーリーにすごくぴったりだったのでよかったです。
鮮烈デビューを振り返る「必死だった」
― 映画の世界観を盛り立てていましたよね。WEAVERさんは2010年に鮮烈なデビューを飾り、一躍人気バンドの仲間入りを果たしましたが、当時を振り返ってみていかかですか?杉本:当時は、周りの環境についていくのに必死だったって感覚が強いですね。デビューする前は自分たちの街で、自分たちでライブをお願いしてっていう環境にいて、そこから急にすごく沢山の人が自分たちの音楽を支えてくれるようになって…。そういう人たちの期待に答えなきゃいけないって、そういう焦りも感じ始めて。自分たちの音楽を聞いてくれるファンの人たちがどんどん増えていって、満足してくれるのかとかちゃんと届いてるのかなってことを、考えていました。もちろん、届いているからこそ自分たちの音楽を聞いて、支えてくださっていると思うんですけど、なぜか不安を感じてしまうことが多くて…。
― それは、環境によって自分が変わっていったということですか?
杉本:音楽を始めた当時は、自分に対して歌っていたし、自分たちバンドが楽しいものやそこで成立してしまう音楽だけを作っていたんです。でも、デビューすると何千人、何万人の前でライブをすることもあって、そういう人たち全員を感動させるにはどういうものを作っていったらいいんだろうって考えが生まれたんです。音楽にしろ、ライブにしろ作り方や考え方が変わってきましたね。
― 現在、WEAVERのみなさんはロンドン留学中ということですが、踏み切った理由はそういった価値観の変化が関係しているんですか?
杉本:そうですね。デビューしてからは不安で紆余曲折しながら進むことが多かったんです。自分たちの確信の持てる音楽を目指してはいるんですけど、100%自信のある音楽を作ることが難しくて、すごく悩んで気がついたらそこから5年って月日が経っていて…。5年目の理想に近づくために、殻をぶち破っていかないといけないなって思いがあったので、今までと同じことをやっていてもしょうがないなって考えてロンドン留学を決めました。もちろん英語を勉強するという意味や海外に向け発信していくという意味もあるんですが、自分たちの理想像として今までやったことのない、考えたこともないぶち抜けたものをやるっていうのが重要なんじゃないかなっていう考えが根底にありました。
― そういう思いがあるんですね。日本から離れてしまうことに不安は?
杉本:すごく不安でした。実は、最初にロンドンに行くって話が出たのは去年の4月くらいだったんです。その頃にひとつのツアーを終えて、そこでロンドンに行くっていう決意をしたんです。でも、やっぱり離れてしまう不安や恐怖っていうのがすごくあって、僕達と日本にいるファンの方たちをつなぐ何かを作らないといけないなって思いました。そのひとつが、今回のシングルでもありますね。
ロンドンでの生活は?
― そうだったんですね。留学が始まって2ヶ月半が経ちますが、何か変化はありましたか?杉本:英語が聞こえるようになってきました。学校や友達との間で不自由がない程度ですが…。
― ロンドンでは語学学校に?
杉本:メンバー3人バラバラに住んで、別の語学学校に通っています。
― バラバラに!?
杉本:はい。やっぱり一緒にいると、日本語をしゃべってしまうので。
― 留学に対する強い決意が感じられます!
杉本:行ったばっかりの頃はホームシックにもなりましたけどね(笑)。最初の2、3週間はメンバーには全く会わなかったですけど、最近は曲作りのために週2、3回くらい会ってるので、今はあんまりさみしいって感じなくなりました。でも、ご飯が美味しくない(笑)。
― それは辛いですね(笑)。
杉本:向こうはお酒を飲みながらコミュニケーションをとる機会が多いので、あんまりお酒を飲まない僕にとっては…ね(笑)。
― なるほど(笑)。留学は7月までの期限付きだとお聞きしたのですが、その後の目標は?
杉本:まずはベストアルバムをリリースするので、それを目標に頑張っています。そのあとはツアーが始まるので、そこでどんな自分たちを見せることができるのかなって楽しみにしています。
ベールに隠された素顔に迫る
― ファンの方も大きな期待を寄せていると思います。では、ここからは杉本さんのプライベートに迫っていきたいと思います。ベースの奥野さん、ドラムの河邉さんとは幼なじみということですが、メンバーとの出会いについて教えて下さい。杉本:最初に出会ったのが僕と奥野なんです。共通の知人がいて、その子を介して出会ったんですけど、大人っぽかったんで第一印象は「先輩だろうな~」だったんです(笑)。で、逆に奥野は、当時僕の髪型がリーゼントだったから、それはそれでいろいろ思うことがあったみたいです(笑)。
― リーゼント?もしかして杉本さんは少しやんちゃだった…
杉本:中学で少し(笑)。真面目な学校だったので、「何あいつ?絶対友達にはならへん」って印象を持ったって言ってました。
― お互いインパクトのある出会いだったんですね。メンバー間の立ち位置は?
杉本:よく奥野が長男で、僕が次男、河邉が末っ子って言われます。奥野は本当に長男っぽいし、河邉はやんちゃで人懐っこくて、まさに末っ子。で、僕は何なんでしょう(笑)?
― 真ん中っ子は、よくバランスがいいって言われていますよね。
杉本:おっ!それでいきましょう(笑)!
恋愛観を告白「叶ったらダメになる」
― (笑)。新曲「こっちを向いてよ」では、「叶わなかった恋」がテーマとなっていますが、杉本さん自身「叶わなかった恋」の思い出はありますか?杉本:ありますね。高校2年生の頃に、すごく憧れていたマドンナ的な先輩がいたんです。仲も良かったし、ご飯とかも行ってたりしてたんですけど、向こうが京都の大学を受験するからってなかなか会えなくなっていって…。勉強の邪魔もできないし、でも会いたいしってすごく揺れてた時期がありましたね。彼女は塾に行ってたんですけど、終わる時間に塾まで行って待ってたり。結果的には、大学に合格して京都に行ってしまったので、会えなくなって伝えられず切ないまま…。
― 切ない…。杉本さんは尽くすタイプなんですね。
杉本:そうですね。好きになったらなんでもしたくなっちゃう。でも、叶ったらダメになる(笑)。威張ったりはしないんですけど、1人でいる時間も好きなので…。学生の頃からずっと音楽をやっていたし曲も作っていたので、どうしてもそっちを優先してしまう自分がいますね。
― やっぱり音楽が第一なんですね。外見的な好みは?
杉本:ロンドンに行ってから改めて思ったのは、アジア人は美しいなってことだったんです。日本人もそうだし、黒髪の女性ってすごく妖艶で色気がある。行く前はブロンズヘアの方に憧れてたんですけど、いざそこでずっと生活してみると黒髪の良さに気が付きました。イギリス人の友達も、やっぱり黒髪のロングヘアは美しいって言ってましたよ。なので、外国に行く女性の方には絶対黒髪をオススメします!
― なるほど!年上と年下なら?
杉本:好きなのは歳上です。でも、実際付き合った人はそうでないっていう矛盾があったりして(笑)。
― 現在25歳ということですが、結婚を意識することはありますか?
杉本:結婚願望はすごくあります。20歳くらいのときからずっと。でも、冷静に考えたら自分の音楽もあるし、全然理想には達してないので、まだまだかなって思います。
寝ても醒めても“音楽”
― 現在、ロンドン留学中と音楽活動を平行して行うなど、大変お忙しい日々を送っていると思いますが、そんな中で溜まってしまったストレスはどうやって解消するんですか?杉本:インドア派なので、とにかく音楽。音楽を聞くことが一番のリラックス法ですね。あとは寝るか買い物か。
― 買い物はどんなものを?
杉本:洋服もですが、オーディオ機器とか見に行くのが好きですね。
― やっぱり音楽関連なんですね(笑)。
杉本:大好きなんです(笑)。
― では、音楽が大好きで音楽の中で生きてきた杉本さんが考える“夢を叶える秘訣”を教えて下さい。
杉本:コンプレックスって誰もが抱いてると思うんです。それは見た目のコンプレックスだったり、性格のコンプレックスだったり…。僕も実際に見た目がコンプレックスだったし、音楽を初めてからは自分の歌にコンプレックスを持つようになったし。なかなか上手く表現できなかったり、自分の声質だったり、意外とボーカルの人ってみんなそうなんですよ。でも、そこを好きになってあげれたときに前に進めるんですよね。それを好きになってあげるために努力もしないといけないし、やっぱりそういう自分のことを好きになってあげることで人に優しくもできると思うし。意外と自分がダメだと思ってるところが武器になると思うので、そういうところを大事にしてあげるといいなと思います。
― 心に響きました。最後になってしまいますが、今後の意気込みとファンの方へ一言メッセージをよろしくお願いします。
杉本:今年の10月に僕達は5周年を迎えるので、そこに向けてロンドンで得ていることってすごく重要になってくると思います。この半年間、日本のファンの方にはそれを期待して待っていてほしいし、待っていてくれてると思うので、そこに対する精一杯の音楽をツアーで見せたいです。ツアーでは、「こっちを向いてよ」も披露するので、それも期待してほしいです。
― ありがとうございました。
華々しい経歴ばかりが先行してしまうが、本人は至って冷静。その一方で、圧倒的な才能を見せつけているにも関わらずどこか臆病だった。「不安」という言葉を何度となく口にしたが、その真意は誰よりも高く掲げた理想があるから。目指している場所があまりにも高い彼らにとっては、飾り立てた言葉よりも音楽でファンとつながっているという確信の方がずっと大切。その確固たる確信を得るために、彼らはこれからも音楽の世界でもがき輝き続けるのだろう。(モデルプレス)
■WEAVERプロフィール
杉本雄治のピアノ、奥野翔太のベース、河邉徹のドラムで構成されるスリーピースピアノロックバンド。2009年10月に配信限定シングル「白朝夢」でデビュー。2010年「僕らの永遠~何度生まれ変わっても、手を繋ぎたいだけの愛だから~」がau「LISMO!」CMソングに抜擢、新人賞を受賞するという鮮烈なデビューを飾った。2013年6月初のNHKホールライブを成功させ、12月にはタイのフェスに出演するなど国内外の活動が活発になる中、2014年1月末からロンドンへ半年間留学に出発した。6月にはベストアルバム「ID」をリリースし、秋には約1年半ぶりとなる全国ツアーを予定している。
■ニューシングル「こっちを向いてよ」(2014年5月7日発売)
映画「百瀬、こっちを向いて。」の主題歌として書き下ろしされたWEAVERにとって4枚目のシングル。“嘘”を通じて描かれる初恋の苦み・葛藤、ノスタルジアや瑞々しさが詰め込まれた楽曲となっている。
■WEAVERオフィシャルサイト
http://www.weavermusic.jp/
■WEAVER最新曲「こっちを向いてよ」ミュージックビデオ
http://youtu.be/SOQo1rjRFFo