モデルプレスのインタビューに応じたflumpool・山村隆太

flumpool・山村隆太、「逃げ出したくなるくらい悩んだ」“順風満帆じゃなかった”5年間の本音 モデルプレスインタビュー

2014.05.03 07:00

デビュー5周年イヤー、全国ツアー真っ只中のflumpoolのボーカル&ギター・山村隆太(29)が、これまでの活動を振り返った。

  

鮮烈デビューから人気バンドに…

flumpoolの最新曲「明日への賛歌」が、「めざましテレビ」(フジテレビ系)のデイリーテーマソングに起用。モデルプレスでは今回、山村にインタビューを実施し、楽曲の魅力とそこから垣間見える素顔、さらには恋愛観や今後の目標などあらゆる角度から現在の彼に迫った。

2008年10月、au「LISMO!」CMソングに起用された「花になれ」で華々しいデビューを飾ったflumpoolは、ボーカル&ギター・山村隆太、ギター・阪井一生、ベース・尼川元気、ドラム・小倉誠司の4人で構成されるロックバンド。キャッチーな楽曲と山村の力強くも伸びやかな歌声で多くの人々の心をつかみ、瞬く間にその名を轟かせていった。

その後は、2009年「NHK紅白歌合戦」に初出場、2011年「第78回NHK全国学校音楽コンクール課題曲」に書き下ろしの楽曲「証」を提供、2012年には全国42ヶ所52公演で、ワンマンライブツアー「flumpool 5th tour 2012『Because... I am』」を成功させるなど数々の話題を提供してきた。また、2013年には阪井がダイエットに専念するため、一時ビジュアル面での活動を休止することを発表。阪井に代わるビジュアル面でのサポートメンバーとして、井上裕介(NON STYLE)が復帰までの期間バンドに加入するなど、エンターテインメント性を持った活動でもファンを驚かせてきた。

5月21日にリリースする初のベストアルバム「The Best 2008-2014 『MONUMENT』」に収録される最新曲「明日への賛歌」は、“すべてをさらけ出して前を向いて進んでいく”というテーマのもと作成。作詞した山村は、その思いを体現するかの如く、今回のインタビューでも赤裸々に自身の思いを語った。

「この歌ほど実体験を書いたことはない」

山村隆太
― めざましテレビのデイリーテーマソングに起用された「明日への賛歌」について教えて下さい。

山村:デビューから5年が過ぎて、「もう一度夢を見たいって」っていう決意を書いた曲です。明日を素晴らしいものにするためにも今を大切にしなきゃなって思いで書きました。

― とても前向きで力強い歌詞ですが、どこからインスピレーションを受けたのですか?

山村:実は制作するにあたって、すごく悩んだんですよ。これまでいろんな曲を作ってきたんですけど、それから先っていうのが全然見えなくなっていて。昨年、武道館でライブをさせていただいたあとに、メンバーで集まって曲作りに注力した時期があったんですけど、それでもできなくて。このままじゃ音楽が何もできないって、バンドから逃げ出したくなるくらい悩んだことがあったんです。でも、改めて考えてみるとやっぱりこの4人で音楽をやりたいなって思いが湧いてきて。じゃあ、逃げ出したり悩んだりしたりもするけど、今いる場所に自分を縛りつけてでも、夢を追いかけていくべきじゃないかなって思ったんです。そういう意味では、すごく個人的な歌なのかもしれません。でも、こんな臆病な自分でも弱かった自分でも前向きになることができた。それをひとつのメッセージとして届けたいなって思いから書き上げました。

― まさに今のバンドの現状を描いた曲なんですね。今作のように、歌詞は実体験から書くことが多いんですか?

山村:曲によりますね。でも、この歌ほど実体験を書いたことはないです。デビューして間もなくのときは、flumpoolって「優等生」とか言われることもあったし、どこか周りのことを気にしながら生きていたんだと思うんですよ。でも、それが悪いとは思ってなくて、ちゃんと真面目に生きてきたなって自信につながっているんです。特に今回の曲でいうと、「聞き分けがいいなんて 笑われたって 華やかじゃないけれど 真っ当に生きてきた」っていうAメロのところで。そういうのは、今の自分の思いが出ているので少し恥ずかしいんですよね。

― 歌詞を通して自分をさらけ出すことには少し抵抗が?

山村:強さを見られるのはいいけど、やっぱり弱さとか悩んでる自分は少しね。音楽で夢を見てるんだから、常に強くいたいとは思うんですけど、そう簡単ではなくて…。そういう自分を見せるっていうのは、身を削ってるって感じがしてますね。

― なるほど。先ほど、「この歌ほど実体験を書いたことはない」とおっしゃっていましたが、そんな風に自分を出せるようになったきっかけって何かあったんでしょうか?

山村:このままじゃもう次がないなと思ったので。世間からは順風満帆なバンドに見られてるかもしれないけど、実際そうじゃなくて。新しいバンドも出てきますし、そんな中で自分たちの価値を見出していかなきゃいけないなと。代替がきくというか、そういう危機感みたいなものはもともと持っていたんですけど、5年経ってどこか惰性でやってしまっているというのもあったんです。僕らがやっていることっていうのは、人を楽しませることですから、それができなければ次はないなって常に考えています。でも、このままじゃ終わりたくない、しっかり掴んでいきたいっていう気持ちがあったので、今回その思いをさらけ出しました。

― 強い決意がこの曲を生み出したんですね。やはりflumpoolさんのデビューは鮮烈なものだったと思うのですが、当時を振り返ってみていかがですか?

山村:手放しで喜べるような感じはしなかったです。不安もあったし、やっぱりデビュー曲の「花になれ」は、プロデューサーの百田留衣さんが書いた曲なので、悔しいじゃないですか。でも、それがすごく世に広まった。もちろん、それは僕らが夢を見ていたことのひとつだったんですけどね。その両極端というか、広まれば広まるほど心にポッカリ穴が空く感じというか…。バンドを続けていける喜びがすごくあった分、複雑でしたね。

― そういった思いが解消されることなく5年間活動を?

山村:そういう思いから始まり、いろいろな悩みが常に生まれている感じでしたね。でも、その時々の思いは曲にしてきたし、ライブでも歌ってきました。「明日への賛歌」でもflumpoolの意思表明をしていますが、それと共に5年間の自分達の軌跡も詰め込んでいます。

「現実ではできないからこそ…」作詞に込めた思い

山村隆太
山村隆太
山村隆太
― 以前、ギターの阪井一生さんが「生まれ変わったら山村隆太になりたい。それくらい隆太は外見も内面も完璧だ」とおっしゃっていたので、内に秘めた葛藤があるとは…

山村:それはリップサービスですよ(笑)。僕は生まれ変わったら、(尼川)元気になりたいですもん。

― それはどんな理由から?

山村:すごく社交的だから、友達が多いんですよ。まぁ僕は僕で、コブクロの小渕(健太郎)さんに飲み会に誘ってもらったりとか、GLAYのTERUさんにフットサルに誘ってもらったりしています。よく考えると尊敬すべき方々とお付き合いさせていただいているから、やっぱり誰にも生まれ変わらなくていいですわ!

― あまり自分からはいけないタイプですか?

山村:奥手なんです。恋愛でも、相手が好きってわかるまで好きって言えないタイプですね。

― でも、メンバーから「隆太はすごいモテてた」と言われているのをよくお見かけするのですが。

山村:直接言ってくれる人に接することはできるんですけど、自分から何かアクションを起こすっていうのがすごく苦手。でも、現実ではできないからこそ、音楽の中ではストレートに思いを伝えています。自分から発信したいなって思っているんです。

― 恋愛の歌詞には願望が入っているということですか?

山村:入ってますね。音楽の中の自分の方が、本当の自分に近いかな。普段人と接するときは自分じゃない感じが時々しています。

山村隆太が考える“夢を叶える秘訣”

山村隆太
― そうなんですね。現在、大変お忙しい日々を送っているかと思うのですが、そんな中で溜まってしまったストレスはどうやって解消しているんですか? また、もしも「明日1日お休みです」と言われたら?

山村:フットサルします!

― ライブを乗り切るための体力もフットサルで?

山村:それはジムですね。週1、2回通っています。脱いだらすごいですよ!………嘘です(笑)。

― (笑)。では、最後になってしまいますが、現在もなお夢のために邁進し続ける山村さんから、夢を追いかける読者に向けてアドバイスをお願いします。

山村:僕が一番最初に夢を語ったのって、高3の春なんです。「音楽やりたいから、ボーカルレッスン行きたい」って両親に言ったんです。それが初めて人に夢を語った瞬間。でも、「あんたそれ、受験の逃げだよ」って言われて、そのときに「そんなことない」って言えなくて、そのあとは受験に向けてちゃんと勉強したけど、大学で音楽に戻ったんですよ。もし、高校のときに親の言うことを聞かずに音楽をやってたら、もっと早くこういう場所に来れたかもしれないし、逆にそういうことがあったから、自分の夢に確信をもって進めたかもしれない。それくらい未来って分からないし、そのときそのときで自分で決めることだと思う。ただ、そこで間違っちゃいけないのは、やっぱりそこの場で自分が好きだと思うことを一生懸命やるってこと。自分がやりたいなって思うことを貫きたいならそうすればいいし、親の期待に応えたいならそうすればいい。一生懸命何かをやっていれば、何かしら力になっていくんじゃないかなって思うので、今の自分にとって何が大事かってことを考えて、一番後悔しない道を選ぶべきなんじゃないかなって思います。

― ありがとうございました。

誰よりも真面目で真っ直ぐ生きている山村隆太。「優等生」と言われていたと何故かさみしげな表情で語ったが、それが彼の長所で最大の魅力。真っ直ぐ過ぎて折れることを知らないからこそ、ときに壁にぶつかり葛藤する。しかし、そこで諦めない姿勢もまた変わらない。いつもどんなときも夢を追いかけ続ける彼が今伝えたいメッセージは、“すべてをさらけ出して前を向いて進んでいく”ということ。8月まで続く全国ツアーでより一皮むけたflumpoolの音楽は深く胸に響くだろう。(モデルプレス)

flumpool・山村隆太
■flumpoolプロフィール

ボーカル&ギター・山村隆太、ギター・阪井一生、ベース・尼川元気、ドラム・小倉誠司の4人で構成される4人組ロックバンド。2008年10月、au「LISMO!」CMソングに起用された「花になれ」でメジャーデビューを果たす。2009年「NHK紅白歌合戦」に初出場、2011年「第78回NHK全国学校音楽コンクール課題曲」に書き下ろしの楽曲「証」を提供、2012年には全国42ヶ所52公演で、ワンマンライブツアー「flumpool 5th tour 2012『Because... I am』」を成功。現在全国21都市28公演を回る「flumpool 5th Anniversary tour 2014『MOMENT』」を開催中。8月には横浜アリーナ、大阪城ホールでのアリーナスペシャルも控えている。5月21日には初のベストアルバム「The Best 2008-2014 『MONUMENT』」を発表する。



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