三一節/Photo by Getty Images

韓国で「3月1日」の意味は?K-POP、韓国ドラマファンが日韓の歴史と向き合う重要性

2024.03.05 15:40

韓国では3月1日が「三一節」という祝日に制定されている。K-カルチャーブームの大きな波が続く日本。日本人にとっても、覚えておかなければいけない「三一節」の意味を、今一度確認したい。

  

「三一節」で祝う「3.1独立運動」とは

「三一節」とは、今から105年前、当時の韓国で起きた「3.1独立運動」を記念するものだ。1910年から1945年までの約35年間、朝鮮半島は植民地として日本に支配されていた。当時朝鮮の人々は、日本の圧政によって差別や搾取に苦しみ、劣悪な環境での生活を強いられた。日本語での教育が強制され、言葉や文化も奪われた。日本による容赦のない弾圧の中でも、朝鮮の人々は各地で独立を目指し抵抗運動を行った。その中で最も大きな勢いを持ったのが「3.1独立運動」だ。

1919年、33人の主導者たちが「独立宣言書」を想起し、3月1日にソウル(当時の京城)のパゴダ公園で行われた集会で宣言書が朗読された。集会には学生や民衆が数千人集まり、その後「独立万歳」の声をとどろかせながらソウル市中へとデモ行進が行われたという。暴力に頼らず「独立万歳」を叫ぶこの運動は、ソウルから朝鮮全土の農村へまでも広がり、植民地支配への抵抗の大きなうねりとなっていく。日本政府による朝鮮総督府は運動を激しく弾圧し、大量の参加者を逮捕・拷問したほか、各地で虐殺も行った。

「3.1独立運動」が大きく変えた歴史

一連の運動は、多くの犠牲者を出しながらも大きな歴史的価値を持つムーブメントとなる。

3月1日に発表された「独立宣言書」では、冒頭で『わたしたちは、わたしたちの国である朝鮮国が独立国であること、また朝鮮人が自由な民であることを宣言する。このことを世界の人びとに伝え、人類が平等であるということの大切さを明らかにし、後々までこのことを教え、民族が自分たちで自分のことを決めていくという当たり前の権利を持ち続けようとする』と宣言する。「民族自決(各民族が自らの事は自ら決定できるということ)」の重要性を世界へ強く訴え、「3.1独立運動」が先駆けとなって世界中で植民地支配されていた各地の民族独立運動に影響を与えていった。

また「3.1独立運動」の勢いを受け、同年4月には朝鮮の独立運動家たちが上海で亡命政府「大韓民国臨時政府」を樹立する。この時制定された「大韓民国臨時憲章」では、王による君主制が続いていた朝鮮半島の5000年の歴史の中で初めて、“国民が主権を持つ”民主共和制とすることが謳われる。このように「3.1独立運動」は、日本への抵抗はもちろん、自分たちの民族と国民を守り、自分たちの権利を持つことの重要性を主張した意味のあるターニングポイントだった。

歴史を認識しないままファンを続けていたら…

ただ現代の日本で、過去の植民地支配や独立運動について、韓国側と同じレベルの認識が出来ている人がどれほどいるだろう。日本の歴史の教科書において、「韓国併合」はあまり日本の加害性を感じさせないニュアンスで記述され、それほど印象にも残らない分量だ。

しかし韓国の人々からすれば、他国に蹂躙され、数多の犠牲を出しながら自分たちの国を取り戻すために闘った歴史は、永遠に刻まれるべき記憶。だからこそ、SNSでこの祝日を祝う投稿をしたり、この日は日本についての投稿を控える人もいる。8月15日も同様に、韓国にとっては日本の植民地支配が終わり自分たちの国を取り戻した記念日「光復節」だ。その大切な記憶を、加害者側だった国の国民がたった数十年で忘れたり、受け流してしまうこと、それが「もう過去のこと」「仕方のないこと」として甘受されるだろうか。

多くの日本人が、悪意を持ってその歴史を軽んじ、忘れようとしているわけではないだろう。学校で教科書通り歴史を学んでも、日本ではそのような意識が芽生えにくいかもしれない。だからといって、このズレをそのままにしておいては、気づかぬまま自分が加害者となり、応援しているはずのものと摩擦を繰り返すことになり得る。何の悪気なしにふと発した一言でさえ、配慮にかけると指摘が集まることがある。それを日本のK-カルチャーファンは“自分事”として落とし込み、日韓の歴史と向き合いながら応援していくことの重要性を学ぶべきだろう。(modelpress編集部)
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