iKON(提供写真)

脱退・突然の結婚&妊娠…“本音を語り始めた”iKONへの期待と希望「幸せとは一体何だろうと思いながら生きていた」

2022.06.06 17:28

2015年に“BIGBANGの弟分”として華々しくデビューし、2018年には「LOVE SCENARIO」という国民的ヒット曲を生み出すも、突然のリーダー脱退、メンバーの結婚・妊娠報告と、波乱万丈の日々を過ごしてきたiKON。先日メンバーのBOBBY、JU-NE、DKが、テレビ番組でリーダー脱退からの心境を初告白したことで大きな注目を集めている。

  

iKON、皆が「不安」を抱えていることを告白

iKONはBIGBANGやWINNER、BLACKPINK,TREASUREを擁するYG ENTERTAINMENTのボーイズグループだ。BIGBANGを継ぐ者として2015年9月に華々しくデビューし、当時新人とは思えぬ快進撃を見せたiKONだが、3日放送の「オ・ウニョンの重宝相談所」(チャンネルA)に出演した3人は「最近僕らは息苦しくて不安だ」と口をそろえた。

同番組は、人気精神科医のオ・ウニョン博士が芸能人たちの本音を聞き出す番組。メンバー皆が不安を感じている理由は何か?と博士に聞かれた3人は「不安の理由が分からない」と告白する。

JU-NE/Photo by Getty Images
グループの今の“位置”についてどう考えるか聞かれたJU-NEは「僕たちは8年目です。正直に話すと、デビューした時に一度、『LOVE SCENARIO』で大衆の皆さんにものすごく愛された時にもう一度、2回の全盛期がありました。でも冷静に見ると、今は以前ほどの波及力もなく、さらに上へは行くことができずにいる。しかも人気は留まっているのではなく、下がってきました」と正直な思いを打ち明けた。

リーダーB.Iの脱退に初言及 明かされたメンバーの喪失感

B.I脱退前のiKON(左から)CHAN、SONG、BOBBY、JAY、DK、JU-NE、B.I (C)モデルプレス
活動していて最も大変だったときを聞かれたDKは「正直に言えばもちろん、B.I兄さんがチームを去って…」と、これまで触れられることのなかったB.Iの脱退に初めて言及。

B.Iは2019年6月12日、過去の薬物使用を報じられ、その日のうちに突如グループ脱退を発表した。彼は練習生時代からグループをまとめていた絶対的なリーダーであり、iKONのほとんどの楽曲を制作したプロデューサーでもあった。

DKは「僕らが6人になって、リーダーがチームからいなくなったので、ポカンとしてしまった。メンバーがやっていたたくさんのことがあったのに。メンバー全員が部屋から一歩も出なかったと思います」と当時の喪失感を初告白した。

JU-NEは「僕らは練習生の時からずっとチームだった。誰一人欠けずに。急に1人いなくなったので、僕は悲しいというよりも現実味がなかった」と言葉にし、B.Iと2人でラッパーを務めていたBOBBYは「これからどうしよう?という考えも浮かばずに、ただ『いなくなってしまったんだな…』と毎日感じて、何ヶ月間か過ごしました」と回顧。

さらにBOBBYは「チームの柱だった友人がいなくなって『iKONはこのままサヨナラか?』とも考えた。メンバーたちに『ハンビン(B.Iの本名)がいなくなったら、iKONは潰れる』と、とても強く言った記憶もある」と明かした。

メンバーはまた、B.Iの脱退以降、新曲を出しても大衆向けの番組等に出られなかったことを吐露。かつて騒がしくて明るかったメンバーたちの宿舎が、誰も自室から出ず静かになったことも告白した。自分の過ちではないにも関わらず、グループの負の部分を背負わなければならなかったメンバーに、博士は「どれだけ辛かっただろう」と声をかけ、「大衆の前では話しづらかったとしても、メンバー6人はこのことを本当に真剣に、深く、深く話し合い、お互いを慰めあって、お互いの心を聞いてあげるべき」とアドバイスを送った。

明かされたBOBBYの苦悩 突然の結婚への思い

BOBBY/Photo by Getty Images
続いて1人ずつの不安感を深掘りする中で、特に注目を集めたのはBOBBYだった。約10年一緒に過ごしている仲だが、BOBBYについてDKは「話さないのできちんと分からない」、JU-NEも「話を大概しないので、分からないときがある」と同じように語る。

BOBBYは「デビュー当時は“雰囲気メーカー”と呼ばれていたけど、最近は寡黙になった」と自らを省み、「どんな人とも気まずい。本当に正直に言うと(メンバーとも)みんな気まずい」と漏らした。来てもいない電話に出たり、トイレに行ったりして席を離れるときもあると言い、誰かと話をすること自体が「難しい」「疲れてしまう」と本心を明かした。

これに関連してBOBBYは「芸能人という生活が、僕が考えていたものとはとても違うんだなと思った」と、有名になってからの変化を口にする場面もあった。BOBBYは「僕がやりたい音楽をして、僕の姿をそのまま見せればいいのだと思っていたけど、人々は僕を見たいのではなくて、僕を通して見たい姿が見たいのだと。だったら画面の前で100%正直である必要は全然ないなと思った」と伝えた。

そしてBOBBYはこの日、自身の結婚と、子供の誕生についても初告白。BOBBYは昨年8月20日、自身のInstagramにて婚約と、お相手の妊娠を発表し世間を驚かせた。翌月には第一子となる男児が誕生した。

DK/Photo by Getty Images
DKは「(BOBBYが)1人1人に話していたのを覚えています。僕はただ何も言わずに抱きしめました。BOBBY兄さんがあんなに泣いているところを見るのは初めてでした」と当時を回想。

その時感じていたことを聞かれると、BOBBYは「両親と所属事務所に知らせ、関係者の人たちに会いに行き『こうなりました』と伝えて。すべて伝えたら、笑えてきたんです。『人生をすごくスペクタクルに生きるんだな(笑)』と。これからどうすればいいのか、家はどうするのか、結婚はどんな風にするのか、調べることがすごく多かったので、感情を感じる暇もなかったようです」としつつ「青少年たち、子どもたちの模範になるべき職業なのに、婚前妊娠が模範的とは言えないじゃないですか。それについて、模範的でいられずに申し訳なかった」と付け加えた。

芸能人という仕事をしながら生きる意味を見つけることが難しかったであろうBOBBYに、博士は「愛する人と出会い、子どもを授かったことが生きる意味だったのでは」と分析。BOBBYは「正直、幸せとは一体何だろうと思いながら生きていた。今は少し分かります」と少し笑顔を見せて語った。

改めて振り返るiKONの道筋 華々しいデビュー

上述したように彼らのデビューは非常に華々しいものだった。デビュー確定までに「WIN:Who is Next?」(2013)、「MIX&MATCH」(2014)という2度の過酷なサバイバルプログラムを経験。いずれもBIGBANGの後継が誕生するという意味で注目度が高かった番組だ。

さらにラッパーのB.I、BOBBYは韓国の若者で知らない人はいない、ラッパーの頂点を決める人気ヒップホップ番組「SHOW ME THE MONEY 3(以下、SMTM)」(2014)に出演。BOBBYはアイドル練習生というレッテルを打ち破って優勝を果たし、大いに知名度を上げた。

iKON(提供写真)
「SMTM」での活躍や、レジェンド的存在であるBIGBANGとの共演を果たし、デビュー前から注目の的だったiKON。遂に2015年9月にデビューすると、ファンの感動もひとしおだった。デビューから11日という短期間で地上波音楽番組の1位を獲得し、国内音楽チャートの1位も席巻。新人とは思えない快進撃を続けた。もちろん同年度の授賞式では新人賞を総なめにした。

2016年からは日本、中国等アジア圏でも活動も活発となり、大型新人としての人気を国外へも波及させていったiKON。「第58回日本レコード大賞」では最優秀新人賞も受賞した。

デビュー後日本での活躍も目立ったiKON (C)モデルプレス
一方、多忙を極めた海外スケジュールによって、国内での活動が満足にできなかったことも事実だ。2017年5月の新アルバム「NEW KIDS:BEGIN」は実に1年ぶりの国内カムバックとなり、あれだけ勢いのあったiKONが、このカムバックで音楽番組1位を獲得することはなかった。

「LOVE SCENARIO」で築いた新たな歴史と迎えた危機

「LOVE SCENARIO」当時のiKON (提供写真)
しかしiKONは、2018年1月リリースのアルバム「Return」で再び全盛期を迎えることとなる。同アルバムのタイトル曲「LOVE SCENARIO」が前例のないヒットとなったのだ。

子どもたちが学校で合唱するなど、社会現象とも言えるほど老若男女に愛される国民的ソングを生み出したiKON。国内チャートでは、ボーイズグループ楽曲で1位最長記録を作り、K-POPの歴史に刻まれる曲に。同年の音楽受賞式では大賞も受賞した。

デビュー日の勢いとは違う、成熟した魅力を身に着けたiKONの飛躍が再び始まると思われたが、その期待も長くは続かなかった。

6人体制になったiKON (提供写真)
2019年6月、B.Iが脱退。6人体制となり、翌2020年2月にようやく新章がスタートするも、JU-NEの言うように以前のような波及力はなくなっていた。チームの船長とも言えたB.Iの喪失は大きく、過去の栄光があるからこそ彼らの変化は大きく感じられた。

コロナ禍に突入したこともあり、各カムバックまでの空白期間も、1年以上と長くなっていったiKON。2021年には久々のレギュラー出演番組「KINGDOM:LEGENDARY WAR」で強烈な印象を残すも、最終順位は5位となり、後輩グループに上位を譲った。

これだけの紆余曲折を経てきたiKONだが、所属事務所の特徴でもある、楽曲と生のステージにコミットする姿勢は変わらない。「カッコつけない、模範的なアイドルにはならない」が彼らの良さでもあっただけに、現状への悔しさは増す。

iKONが「本音で語る」希望

KON (提供写真)
そんなiKONがデビュー7周年を目前に、沈黙を破り本音で語り始めた。アイドルだから、芸能人だからという理由で公にできなかったことを話したのだ。そのことは、彼らの心にたまった膿を流し、そして同じように語れぬ悩みを持ったアイドルたちの慰めになる可能性もある。

アイドルという職業は、スターダムを順調に駆け上がっていくことが成功例のように思われがちだが、自分の力だけではどうにもできないことが多すぎる彼らにとって、模範的な成功を手に入れる人などほとんどいないだろう。

過去の栄光も、それと共に感じた虚無感も、下降していく悔しさも、仲間や自分の過ちも、全て受け入れ、負の部分も隠さず、ありのまま自分らしく表現することがアーティストとしての成功ではないだろうか。

番組の最後に博士はiKONへ「ONE&ONLY iKON」という言葉を贈った。ONE&ONLY=どのグループとも違う唯一無二の場所に立つiKON。“7年のジンクス”の年を迎えるが、これからも長く長く、アーティストの“本当の幸せ”は何かを本音で語り合い、伝え、気づかせてくれる存在になることを願う。(modelpress編集部)
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