モデルプレスのインタビューに応じた 永田崇人(C)モデルプレス

永田崇人、関ジャニ∞丸山隆平からのプレゼント明かす 過去最高の緊張感で挑んだ稽古裏話<「パラダイス」インタビュー前編>

2022.10.29 09:00

関ジャニ∞の丸山隆平が主演を務める舞台「パラダイス」に出演している俳優の永田崇人(ながた・たかと/29)。インタビュー前編では、初共演となる丸山の印象や稽古場での様子を聞いた。念願の赤堀雅秋作品への出演だと、瞳を輝かせた永田。その奥に滲ませた闘志と信念とは――。


丸山隆平主演「パラダイス」

同作は、救いようのない詐欺グループの男たちの栄枯盛衰の物語。一見豊かで、平和ぼけしているかのような東京を舞台に、社会の底辺でうごめく男たちが刹那的な幸福を求め、破滅を予期しながらも走り続ける様を描く。

世の中にうまく馴染めない人間たちの機微を独自の観点で描き、不思議な空間へと誘う作風で高い評価を得てきた赤堀氏が演出を担当。2020年5月の公演に向けて準備が進む中、コロナ禍で中止となり、この度念願の上演となった。永田は、高齢者を狙う詐欺グループのリーダー・梶浩一(丸山)のもとで働く、生い立ちに訳ありな青年・若林弘を演じる。

永田崇人「パラダイス」出演決定は「不安と恐怖」

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― 「パラダイス」への出演が決まった時の率直な感想を教えてください。

永田:本当に嬉しかったです。赤堀さんの作品が大好きなので「こういうことってあるんだな」と思いました。好きだから出られるとは限らないので、運に恵まれているなと感じましたし、事務所の方にも感謝しています。

また、いつも赤堀さんの素敵な作品を見させていただいているだけに、正直不安と恐怖は同じだけありました。

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― 初めて台本を読んだ時にはどのように感じましたか?

この作品は少しずつ台本ができていく流れだったので、台本が届くのをファンのようにずっと楽しみに待っていました。台本を初めて読んだ時はまだ最初の数ページしか出来上がっていなくて、その先は何もわからないのに鳥肌が立ちました。赤堀さんの書くセリフ回しが好きなので、少しミーハーかもしれないですが「赤堀さんのセリフを発せられるんだ」という喜びがありました。

そのあとも、電車に乗っている最中に台本が届いた時は、1駅乗り過ごしてしまうほどのめり込んでしまいました。あっという間に台本を1周し、2周目に読んだ時も衝撃的でとても楽しかったです。

― 最初に感じた恐怖や不安はどう乗り越えていったのですか?

永田:不安を口にしているだけでは仕方ないので、自分ができることを精一杯表現することが必要だと思い、稽古に臨みました。(稽古が)どういうやり方になっていくかわからなかったですが、自分なりに解釈し、コミュニュケーションを取り、キャッチボールをしながら少しずつ形になっていった感覚がありました。

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― 台本を読んでいる時や稽古を通して1番心が動いた場面はどこですか?

永田:ラストシーンは何とも言えない感覚になり、凄みを感じました。決してわかりやすくはないのに、知っているようで気づかない隙間みたいなものを垣間見せてくれるような感覚でした。

永田崇人、丸山隆平との初共演で感じた“素敵”な一面は?

連日の舞台公演でも爽やかな笑顔の永田崇人(C)モデルプレス
連日の舞台公演でも爽やかな笑顔の永田崇人(C)モデルプレス
― 座長の丸山さんとは初共演ですが、第一印象を教えてください。

永田:最初からすごくハートフルな方だという印象で、実際に接してみてもすごく優しい方でした。本番が始まってからも印象の変化はないです。

― 座長としての丸山さんをどのように感じていますか?

永田:「座長です!」という感じがあまりないのがすごく素敵です。「俺がやるからついてこい」というタイプではなく、ただその役とお芝居に真摯に向き合っていらっしゃいます。どちらかというと赤堀さんが座長っぽいです。本番も居て下さるので、赤堀さんがみんなを引っ張っていると僕個人的には感じています。それに加えてカンパニー全体で一体となって進んでいる感じです。

― 丸山さんから刺激を受けた出来事はありましたか?

永田:本番を迎えて、日に日にお芝居が変わっていくので刺激を受けています。僕の役は正面から向かい合うことが多く、そういう時に相手の瞳の奥まで見るのが好きなのですが、瞳に光が入っている時と入っていない時で大きく違うなと感じ「面白いな」と楽しんでいます。

撮影中に見かけた犬が「可愛い」と見とれていた永田崇人(C)モデルプレス
撮影中に見かけた犬が「可愛い」と見とれていた永田崇人(C)モデルプレス
撮影中、鼻歌を歌っていた永田崇人(C)モデルプレス
撮影中、鼻歌を歌っていた永田崇人(C)モデルプレス
― 大阪公演を終え、東京公演も終盤になってきましたが本番を迎えてからは丸山さんとの交流は増えましたか?

永田:この間、丸山さんからすごく良いライダースジャケットをいただきました。「そのジャケットいいですね。かっこいいっすね」と話していたら下さいました。

まだ暑くて着られていないのですが、袖が少し長いので補正に出し、自分に合った1番良い状態で着たいと思っています!

永田崇人、初体験の稽古場での様子明かす

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― 稽古中で印象に残っている出来事はありますか?

永田:空気感は常にピリッとしていました。最初から最後までオンオフの切り替えもなく、ずっと緊張感があり、ここまで緊張感がある稽古場は初めてでした。稽古が終わり大阪に入る前に1度マッサージを受けたのですが、先生から「すごく気を張ってた?」と言われて「たぶんそうだと思います」という会話をしたぐらい凝っていたみたいです。それでも良い経験になり、面白い稽古でした。

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― これまでもたくさんの舞台に出られていますが、その中でも1番の緊張感だったんですね。

永田:他の舞台では、1ヶ月近く稽古をやっていると合間で少し気を抜いてお喋りをするなど、もう少し抜く感じがありました。今回の稽古は神聖な空気が漂い、気を抜くことが許されないように感じましたが、全員が真剣にお芝居と向き合い、高みを目指していたからこそだと思います。

例えば、呼び方について「丸山さんって呼んで良いのかな」という雰囲気があり、以前まで「丸ちゃんさん」と呼んでいました。でも「それなんか気持ち悪いからやめなよ」と言われ、丸山さんからは「丸ちゃんでええで」と声を掛けていただいたので、ようやく「丸ちゃん」と呼ぶことができたぐらい、人との距離がありました。ただ、僕の役柄はあまり他の役と通じ合っている必要がなく人との距離があって良かったので、やりづらさなどは感じていませんでした。本番が始まった最近は、共演者の方々の人間的な部分が見え隠れして、どんどん好きになっています。

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス

永田崇人、演じる役との向き合い方

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― 演じる役に共感した、「ここは自分とは違うな」と感じた部分をそれぞれ教えてください。

永田:若林は、他人からすごく愛してほしい人だと思うので、そういうところは似ているのかなと思います。違うなと感じた部分は、僕はもう少し空気や人の気持ちを考えられるかなと思います(笑)。

― 役の分析や落とし込む過程の中で大切にしていることはありますか?

永田:演じるキャラクターがどんな人生を歩んできたのかを考えます。でも、そればかりに固執して翼が無くなるように自由が無くなってしまうのは嫌なので、稽古場に行ったら調べてきたことは一旦忘れ、稽古で必要なことをやるという積み重ねを大切にしています。そこの折衷案が役として立ち上がってくるのかなと思います。

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― ちなみに、プライベートでも役を引きずるタイプですか?

永田:たまに引きずることはありますが、ほぼ引きずらないです。全く別人になろうとは思っていなくて、自分から出てくるものを使って演じていることが多いので、ある意味では自分だからだと思います。無意識ですが、すごく暗い役をやるとその反動で演じていない時にすごく明るくなるなど、バランスを取っている気がします。自分で「切り替えるぞ」とは思っていませんが、その方が楽なんです。

永田崇人、俳優人生7年目で成長したこと語る

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― ドラマや映画などの映像作品への出演も続いていますが、テレビと舞台で意識して変えていることはありますか?

永田:「別物だ」とよく聞きますが、「テレビと舞台は違うけど違わない」と僕自身は思っています。今はテクノロジーの発展によってテレビが主流になっていますが、芝居の起源を辿るとステージで演じていたところに行き着くので、演劇のお芝居がスタンダードであるべきだと思います。そういう意味で別物だとは思っていないです。ただ、テレビと舞台では使う技術が全く違うので、そこは意識しています。1番大切にしているのはジャンルを問わず自分の心が動く瞬間です。養成所に通っていた頃に講師の先生から教えていただいたことでもあるので、大事にしています。

半目になっていないか心配していた永田崇人(C)モデルプレス
半目になっていないか心配していた永田崇人(C)モデルプレス
― 映像作品への出演を通して成長したと感じることを教えてください。

永田:余裕ができました。昔は緊張しいだったので、現場で何をやったらいいかわからない状態でしたが、最近は少しずつ良い集中の仕方ができるようになったかなと感じます。また広く周りの人を見られるようになったかなと思います。現場での経験と慣れのおかげです。

永田崇人「パラダイス」で伝えたいこと

永田崇人(C)モデルプレス
永田崇人(C)モデルプレス
― この作品や役を通して伝えたいことは何ですか?

永田:最終的にどう受け取ってもらうかは観客に委ねるべきだと思っています。「こう伝わって欲しい」というのは役を殺す1つの要因で、それによって役が狭まってしまうと思っているので、ただこの作品の世界に没頭した結果、色々なことを感じ取ってもらえたら良いなと思っています。とても小さな世界で起こった人間の話なので、その人間模様を観てそれぞれの解釈で少しでも面白いと思ってもらいたいです。

僕は良い作品を観ると「今日は良い1日だったな」「また頑張ろう」と思えるので、そういう方がいてくれたら嬉しいですね。「身近な人を大切にできたら、戦争は起きていないのかな」と思う人もいるだろうし、捉え方は人それぞれだと思います。そこが赤堀さんの作品の良いところだと僕は思うので、まっしぐらに頑張っていきたいです。

次々にポーズを決めてくれた永田崇人(C)モデルプレス
次々にポーズを決めてくれた永田崇人(C)モデルプレス
★インタビュー後編では、永田の仕事への向き合い方や夢を叶える秘訣、30歳を目前に抱いている夢について迫った。


(modelpress編集部)

永田崇人(ながた・たかと)プロフィール

「モデルプレス」のボートを持ちノリノリでポーズを決めてくれた永田崇人(C)モデルプレス
「モデルプレス」のボートを持ちノリノリでポーズを決めてくれた永田崇人(C)モデルプレス
1993年8月27日生まれ。福岡県出身。2015年3月に開業した東京ワンピースタワーの「ONE PIECE LIVE ATTRACTION」で初代モンキー・D・ルフィ役を1年間務め、芸能界入り。2016年~2020年までハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズやドラマ「初めて恋をした日に読む話」(TBS系/2019年)に出演し、話題に。「部長と社畜の恋はもどかしい」(テレビ東京系ドラマParavi/2022年)、「ユーチューバーに娘はやらん!」(テレビ東京系/2022年)にレギュラー出演、映画「徒桜」(2021年)の公開など、映像作品でも存在感を高めている。さらに、ミュージカル「HOPE」(2021年)、朗読劇「リスナーたちの星空」(2022年)など活躍の場を広げ、現在は映画「向田理髪店」が公開中。2023年2月からは舞台「バンズ・ヴィジット 迷子の警察音楽隊」(東京・大阪・愛知での公演を予定)への出演が控えている。
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