モデルプレスのインタビューに応じた岸井ゆきの(C)モデルプレス

岸井ゆきの、結婚に憧れる理由とは リアルな夫婦喧嘩シーンができるまで【映画「佐藤さんと佐藤さん」インタビュー前編】

2025.11.29 08:00

11月28日(金)公開の映画『佐藤さんと佐藤さん』で宮沢氷魚とW主演を務める岸井ゆきの(きしい・ゆきの/33)のインタビュー。今作は、“佐藤さん”同士が付き合い、結婚、出産を経て見えた「夫婦」のカタチを描くリアルなマリッジストーリー。観た人は思わず自分語りをしたくなるような、どんなカップルや夫婦でも経験したことのあるちょっとした衝突やすれ違いが凝縮されている。作品と向き合い、岸井自身が感じた結婚生活の難しさや、パートナーとの理想の関係性とは。特に印象的な喧嘩のシーンを宮沢とどう作り上げていったか、撮影秘話も聞いた。【前編】

  

岸井ゆきの&宮沢氷魚W主演作 映画『佐藤さんと佐藤さん』

岸井ゆきの、宮沢氷魚 (C)2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
今作は『ミセス・ノイズィ』(2020)で人間の機微を巧みに描き注目を集めた天野千尋監督の最新作。

活発な佐藤サチ(岸井)と、真面目な佐藤タモツ(宮沢氷魚)。大学で出会った正反対な性格のふたりは気が合い、同棲を始める。5年後、弁護士を目指しているタモツは司法試験に失敗。サチは独学を続けるタモツに寄り添い応援するため、自身も勉強をして司法試験に挑むことに。そして見事合格したのは…サチだった。

弁護士になったサチと、子育てと家事をしながら勉強し続けるタモツ。あの時のふたりは変わってないはずなのに。なんでだろう、段々と変わっていくのは。恋人同士だったときには惹かれていた相手の魅力が、すれ違いの原因になる瞬間。 笑い合った日、ぶつかった日、沈黙の夜…揺れ動く日々がたくさん詰まった、別れまでの15年を描く。

岸井ゆきの、宮沢氷魚と初共演

― まず、作品の最初の印象を教えてください。

岸井:脚本を読んだときにすごくドラマチックだなと思いました。例えば10話かけたドラマでもできる話だと思ったんですけど、それを映画にしていて。夫婦の間の些細な喧嘩や子どもが生まれてからの関係性を自分は経験していないから、お互い優しく思いやりを持って接していたはずの夫婦生活だったのに、些細なことで爆発的な喧嘩を繰り返していく姿を15年間通して演じることができるのは面白いなと思いました。

― 宮沢さんとの共演はいかがでしたか?

岸井:この作品の後も共演しているんですけど、撮影としては今作が初共演でした。クランクインする前に何日か監督と3人でワークショップみたいなものをしたときに、本読みだけじゃなくただお喋りする時間を設けてもらって、お互いの趣味などを話す時間があったのが作品において力になったなと思います。

岸井ゆきの、夫婦の喧嘩シーンに共感「やっちゃうと思います」

岸井ゆきの、宮沢氷魚 (C)2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
岸井ゆきの(C)2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
岸井ゆきの、宮沢氷魚 (C)2025「佐藤さんと佐藤さん」製作委員会
― サチを演じるにあたって大事にした部分や準備したことを教えてください。

岸井:多くの年齢を演じるので、タモツとの最初の出会いのときから恋人、夫婦、子どもがいる家族という関係性によって変わっていくことを意識しました。全部を自分で演じることができて、割と順撮りになるようにしてくださっていたので、2人で関係性を作りながら演じることができました。あとは夫婦喧嘩についての実感が伴っていなかったので、監督がご自身の家族のことを結構脚本に盛り込んでいらっしゃるということで「今朝もこういう喧嘩してきたよ」みたいなお話を日々聞いて、そういう夫婦の関係性について教えてもらって作品に取り込みました。

― 岸井さん自身がサチに共感した部分や似ていると思った部分は?

岸井:些細な会話の中で、「トイレットペーパーないよ」から始まる喧嘩があるんですけど、ああいうのはやっちゃうと思います。いつもは気にしているし、話し合うときは思いやりを持って接したいと思っているんですけど、本当に些細な生活の中での言葉選びでお互い「えっ?」となることはあると思います。あのシーンもサチとしては深い意味はなかったと思うんですけど、やっぱり天気とか機嫌とかありますもんね。

岸井ゆきの(C)モデルプレス/スタイリスト:丸山 晃/ヘアメイク:茂木美鈴<衣装クレジット>ジャンプスーツ¥759,000(ジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン)※参考商品表示、ピアス¥1,210,000、リング右人差し指¥198,000、左人差し指¥198,000(すべてアーカー/アーカー ギンザシックス店)、その他スタイリスト私物【問い合わせ先】ジョルジオ アルマーニ ジャパン03-6274-7070/アーカー ギンザシックス店03-6274-6098
― 2人の喧嘩のシーンは掛け合いが大変だったと思うんですが、撮影はいかがでしたか?

岸井:たくさんリハーサルしました。喧嘩のシーンは全部本読みをして、監督のやりたいワークもあって結構準備して臨んだんですけど、やっぱり現場に入って実際のロケセットでやると動きも変わるし感情も変わるので、準備したことは潜在的に持っておきながら現場ではそのときの感情で演じるという流れで進めていきました。もちろん脚本通りやっているんですけど、外側から見ていると「ここでこういう言い方をするから喧嘩になるんじゃん」とわかるので、トイレットペーパーや、お弁当を今食べるか後で食べるかのシーンなど「なんでこんな些細なことですれ違っちゃうんだろう?」という想いもありますよね。演じるときは感情をのせて演じたので、感情があるからお互いぶつかってしまうことが切なかったです。

岸井ゆきの、自身は「ストレートに言えない場合が多い」

― 岸井さんは普段、身近な人とちょっとした喧嘩などはするタイプですか?身近な人とコミュニケーションを取るときに意識されていることを教えてください。

岸井:喧嘩の経験はあまりなくて、私は結構言葉にしたいタイプなんですけど、言葉にするまでのストロークがめちゃくちゃ長くてストレートに言いたいことを言えない場合が多いんです。ストレートに言っちゃうと言葉が強すぎたりするので、結局こねくり回して包みすぎて何が言いたいのか自分でもわからなくなっていくことがあるから、そういうときは自分で1回整理してから「本当は何が伝えたいんだろう」と相手を責めず自分の気持ちを伝えるためにはどうしたら良いかを考えます。

岸井ゆきの、理想のパートナーとの関係性とは

― 完成した作品を観たときの感想は?

岸井:自分が脚本通りに演じたはずなのに、観終わった後にタモツに対してすごく申し訳ない気持ちになって「ごめんね、タモツ」と思ったんですよね。みなさんがどんな風に感じられるかわからないんですけど、私はサチを演じたのでサチに感情移入して。それはちゃんと物語を観られたということだと思うから嬉しかったです。一緒に作ったスタッフさんだけじゃなくて、事務所のスタッフさんも観に来てくれたときにみなさんの話をいっぱいしてくれて、そういう感想が出てくることが映画にとってはすごく良いことだなと思って希望になりました。

― 結婚に対して幻滅されたりはしませんでしたか?

岸井:いろいろな方から「こういうことはうちもあるよ」とたくさん聞いて、こんなに誰かと一緒に生活をするのは大変なことなんだ、とは思いましたけど、そこでしか見られない景色がきっとあるんだろうとも思ったので幻滅はしなかったですし、逆にその景色を見てみたいとも思いました。

― パートナーは特別に大切な人だけどどこまで行っても他人でもあるので、関係性はすごく難しいところだと思いますが、どんな関係性が理想だと感じましたか?

岸井:結婚したことないからわからないんですけど、絶妙な距離感は大事だなと思います。おっしゃったようにどこまで行っても他人ではあるので、親しき仲にも礼儀ありという根源的なことは忘れないように。人間だから機嫌が悪いときや体調が悪いときもあるし、家族でも恋人でも夫婦でも人間としての裏側にちゃんと気を使える余裕がないと簡単にすれ違えちゃうんだろうなと感じました。

― 夫婦関係を続ける難しさを描いた作品ですが、サチとタモツはどうしていれば円満なままだったと思いますか?

岸井:2人はお互いの思いやりの角度が違うので、話し合えば良いということでもないなと思ったんですよね。どうしたら良かったんですかね?…というのは私も思っています。今までは私も話し合うことが大切だと思っていたんですけど、年齢を重ねると、全部言葉にして話し合えば良いというものではないなというのは思っていて。どこでも2人は間違ってないと思ったので。相手のことを考えているのにすれ違っちゃうのは、どうしたら良いですか(記者に逆質問)?でも、やっぱりサチが司法試験に受かっちゃったことが発端だと思います。

岸井ゆきのの結婚観 結婚に憧れる理由

― 今作では苗字が変わらない佐藤さん同士の結婚を描いていますが、結婚によって苗字が変わることや結婚観について、今作を通して感じたことを教えてください。

岸井:私は結婚したいというより新しい名前が欲しいですね。夫婦別姓の議論とは逆をいってしまうことになるかもしれないんですけど、自分の名前で活動していてどこまで行っても「岸井ゆきの」なので、最近は戻る場所が欲しいなというか、新しい名前があったら気持ち的に差別化できるなと思っていました。でも結婚しても自分の姓でいたいという人の話も聞くようになって、私は新しい名前を設けることによって逆にそれを自分のアイデンティティにしたいんですけど、苗字を変えたくない人たちもそこにアイデンティティがあるからで。深く話を聞くとそれを大事にしているという意味では同じかなと思いました。私は本名の「岸井ゆきの」がちょっと仮名のような気がしてしまって名前だけが飛び出しているような感じがしているので、そういう憧れはあります。

※後編に続く

(modelpress編集部)

岸井ゆきの(きしい・ゆきの/33)プロフィール

岸井ゆきの(C)モデルプレス
1992年2月11日生まれ、神奈川県出身。2009年俳優デビュー。以降、映画、ドラマ、CMなどで活躍。2017年、初主演を務めた映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』にて第39回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。映画『愛がなんだ』(2019)では第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。映画『ケイコ 目を澄ませて』(2022)では第46回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ多くの映画賞を受賞。近年の出演作に映画『若き見知らぬ者たち』(2024)、ドラマ「お別れホスピタル」「恋は闇」など。待機作にNHK放送100年特集ドラマ「火星の女王」(総合テレビ)、映画『すべて真夜中の恋人たち』(2026年公開予定)がある。
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