モデルプレスのインタビューに応じた長尾謙杜&山田杏奈(C)モデルプレス

なにわ男子・長尾謙杜&山田杏奈、再共演で挑んだ“危うい恋”「出会いが正解だったのか、間違いだったのか」【「恋に至る病」インタビュー】

2025.10.17 07:00

映画『恋に至る病』(10月24日公開)でW主演を務めるなにわ男子長尾謙杜(ながお・けんと/23)と女優の山田杏奈(やまだ・あんな/24)にモデルプレスがインタビュー。2022年に配信されたAmazon Original映画『HOMESTAY(ホームステイ)』以来、約3年ぶりの再共演となった2人が、互いの印象の変化や作品に込めた思い、そして作中で描かれる恋愛観について語ってくれた。

  

長尾謙杜&山田杏奈W主演「恋に至る病」

ポスタービジュアル(C)2025『恋に至る病』製作委員会
原作は、斜線堂有紀氏による同名小説(メディアワークス文庫/KADOKAWA刊)。2020年3月の発売直後からTikTokで話題となり、紹介動画は200万回再生を突破、30回以上の重版を重ねた話題作だ。

山田杏奈、長尾謙杜(C)2025『恋に至る病』製作委員会
この衝撃的な恋愛小説を、『月の満ち欠け』で第46回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した廣木隆一監督が映画化。内気な男子高校生・宮嶺望と、クラスの人気者・寄河景の不器用で一途な初恋を軸に、同級生の不審死や恋人への恐ろしい疑惑が絡み合う、“この秋、最もピュアで刺激的なラブストーリー”が誕生した。

長尾謙杜&山田杏奈、再共演という“運命”――「また共演できて嬉しかった」

長尾謙杜&山田杏奈(C)モデルプレス
本作で約3年ぶりの再共演を果たした2人。最初に再タッグを知ったときの率直な気持ちや、互いの印象の変化を語ってくれた。

長尾「台本を初めて読んだとき、相手役がまだ誰かを聞いていなかったんですけど、“山田さんが合いそうだな”って、なんとなく思っていたんです。それで後から『お相手は山田杏奈さんです』って聞いて、“やっぱり!”って(笑)。お芝居で一度ガッツリ共演した方と、こうして再共演させていただくのは初めてだったので、素直に嬉しかったです。この3年でお互い環境も変わって、僕自身CDデビューしたりといろいろ変化があった中で、また山田さんと同じ現場に立てるのがすごくありがたく感じました」

山田「私も、長尾くんとまたご一緒できると聞いて、本当に嬉しかったです。宮嶺役が長尾くんだと知ったとき、“すごく腑に落ちるな”と感じました。以前しっかり共演しているからこその信頼もありますし、今回演じた“景”というキャラクターは、先の読めない部分も多かったので、知っている相手とお芝居ができることに安心感がありました。前回からそれぞれ時間を重ねて、また一緒に作品を作れることを楽しみにしていました」

山田杏奈、長尾謙杜(C)2025『恋に至る病』製作委員会
お互いの根底にある空気感は変わらないと口をそろえる2人。ただ、時間を経た分だけ、それぞれの成長や余裕も感じ取れたようだ。

長尾「なんとなく“大人になったな”って思う瞬間もあります。例えば、ブラックコーヒーが飲めるようになったとか(笑)。『HOMESTAY(ホームステイ)』のときはオレンジジュースしか飲めなかったんですよ。そんな小さな変化も、自分で感じるようになりました」

山田「久しぶりに会う人って、“前はどんな感じで話してたっけ?”ってちょっと戸惑うこともあるんですけど、長尾くんはすごく自然に話しかけてくれて、“あ、こんな感じだったな”ってすぐに感覚が戻りました。長く会ってなくても距離を感じさせない人だなと思います」

役へのアプローチ――セリフよりも“空気感”で伝える難しさと魅力

長尾謙杜、山田杏奈(C)2025『恋に至る病』製作委員会
本作で2人が演じたのは、“言葉を抑えた演技”が求められるキャラクター。セリフではなく、視線や仕草、そして空気感で感情を伝えるという難しい表現に、どのように挑んだのか――その手応えや苦労について聞いた。

長尾「宮嶺は、言葉数も感情も控えめなキャラクターなので、“どれだけ繊細に表現できるか”が大事だと思っていました。目線や呼吸、ちょっとした間(ま)で“今この人は何を感じているのか”が自然に伝わるように意識しました。特に印象に残っているのは自転車を漕ぐシーン。汗の感触や息の上がり方まで、身体で記憶していて。セリフでは語らない分、リアルな佇まいをどう見せるかにこだわりました」

長尾謙杜、山田杏奈(C)2025『恋に至る病』製作委員会
山田「景は共感しづらい部分もあるキャラクターですが、私は彼女の“思い切りの良さ”に惹かれました。“こうしたい”と思ったら行動できる潔さがあって、清々しさもあるんですよね。策略的な面も魅力のひとつですが、難しかったのは“クラスの中で自然にカリスマ性を持つ”存在としてどう説得力を出すか。さらに、宮嶺と2人きりのときにだけ見せる素顔とのギャップを、どう表現するかにも悩みながら演じました」

廣木隆一監督の“余白を活かす”演出

山田杏奈(C)2025『恋に至る病』製作委員会
セリフが少ない分、空気感や余白の描写が鍵となった本作。廣木監督とのやりとりから、2人が感じた演出の魅力とは。

山田「監督は、細かく演技を指示するというよりも、現場全体の“空気”をすごく大切にされる方です。でもその中でも、『自転車で走る宮嶺に“頑張れ”って声をかける』とか、『追いついたらハグする』といった、台本にはない細やかな演出を加えてくださって。そのひとつひとつがキャラクターの人間味や関係性を豊かにしてくれました」

長尾謙杜(C)2025『恋に至る病』製作委員会
長尾「僕が印象に残っているのは、ワンカットで撮りきるシーンが多かったことです。生徒が大勢いる教室のシーンでも、“このカットだけでいきます”って回して、そのまま終わることもありました。リアルな一瞬を切り取るような感覚があって、すごく新鮮でした」

“エキセントリック”な恋――宮嶺と景、その関係性をどう捉えるか

長尾謙杜(C)モデルプレス
「僕は君が好きだ。たとえ、殺人犯だとしても」――そんな衝撃的なキャッチコピーが象徴するように、『恋に至る病』は単なるラブストーリーにとどまらない。一途さが加速し、やがて暴走、そして破滅へと向かっていく2人の姿は、観る人によってさまざまな解釈を生む物語だ。

長尾「最初は王道の青春恋愛映画かと思いきや、どんどんエキセントリックな方向に展開していって。ピュアだからこそ、深く堕ちていく構造がとても印象的でした。2人が出会った瞬間から、もうこうなる運命だったのかもしれない。出会いが正解だったのか、それとも間違いだったのか……人との出会いがここまで周囲に影響を与えるんだ、と感じさせられました」

山田「景は、自分の衝動に素直に生きてきた子なんです。でも、宮嶺と出会ったことで初めて、自分の感情が思い通りにならない経験をする。お互いにないものを持っているからこそ惹かれ合った関係で、きっと相手が違えばこうはならなかったと思います」

山田杏奈、長尾謙杜(C)2025『恋に至る病』製作委員会
そんな“少し怖さのある恋愛”を、2人はどう受け止めたのだろうか。

長尾「現実でこういう恋をするのは、正直大変だろうなって思います(笑)。でも、景って意外と主導権を握っているようにも見えるんですよね。恋愛って男性がリードするのが“普通”とされがちだけど、こういう形も全然あっていいなって。宮嶺が景にお願いしたのは、“先輩の自殺を止めてほしい”ということだけで、あとはただ一緒にいるだけ。その力関係って、見方によってはすごく健全だと思います」

山田「私は、安定した恋愛が一番だとは思いますけど(笑)、こういうスリリングな関係って、作品として観るととても惹き込まれるんですよね。観る人それぞれの恋愛観に問いかけるような作品になっていると思います」

山田杏奈(C)モデルプレス

現場で「半裸のおじさん」と遭遇?撮影中の笑えるハプニングと癒しの時間

長尾謙杜(C)2025『恋に至る病』製作委員会
張り詰めた物語の裏側では、思わず笑ってしまうような出来事も。撮影中の思い出深いエピソードを聞いた。

山田「景が『ここは大切な場所なの』って言うシーンがあるんですけど、そのロケ地が海水浴場のすぐ近くだったんです。ある日現場に行ったら、半裸のおじさんが普通に日向ぼっこしていて(笑)。現場のみんなが“えっ!?”ってなって、しばらくその場を離れて、日向ぼっこが終わるのを待つという出来事がありました(笑)」

長尾「それ、ありましたね(笑)。僕は、作品のモチーフにもなっている蝶々が、撮影中に偶然ひらひらと飛んでいたのが印象に残っています。偶然なんだけど奇跡みたいな瞬間が、今回の撮影中にはたくさんあった気がします」

山田杏奈(C)2025『恋に至る病』製作委員会
そして2人が“癒しの時間”として選ぶ場所にも、自然や動物という共通点があった。

山田「私は水族館ですね。撮影でも水族館に行くシーンがあったんですけど、あの時に感じた心地よさが忘れられなくて、その後も何度かプライベートで足を運びました。仕事で行くことも多いんですけど、癒される場所です」

長尾「僕は、自然の中で過ごす時間が一番のリフレッシュです。最近も友達と水族館に行ってきました。ウミガメを見たり、ジェットコースターに乗ったりしてすごく楽しかったです。でも、その様子がSNSに投稿されていて、『長尾くんがウミガメを見ててめっちゃ楽しそうでした』って(笑)。誰にも気づかれてないと思ってたので、ビックリしました(笑)」

撮影現場でもオフの時間でも、自然や偶然に癒されながら過ごした2人。その感覚は、作中の繊細な空気感にもきっと反映されている。

山田杏奈、長尾謙杜(C)2025『恋に至る病』製作委員会

誰と観るか、どう感じるか──映画が呼び起こす“共鳴”を期待して

長尾謙杜(C)2025『恋に至る病』製作委員会
TikTokで200万回再生を超える注目を集めるなど、公開前から話題沸騰の本作。主演の2人が共通して語るのは、「誰と観るか」「どんな立場で観るか」によって、まったく違う受け取り方ができるという点だ。

山田「私は“ひとりで観たい映画”だなって思います。でも、観終わったあとには“誰かと語り合いたくなる映画”でもある。あの人はどう思ったんだろう?って聞きたくなるんです。だから、友達や恋人と“別々に観てから感想をシェアする”というのも面白いかもしれませんね」

長尾「この映画って、“わかりやすい感動”ではないんです。たとえば『ジュラシック・パーク』みたいに、“恐竜がかっこいい!”って単純に楽しめるものとは違って、人によって感じ方が本当にバラバラになると思います。これまでの人生経験や、いま置かれている環境によっても、響く部分が変わってくる。友達と観ても、家族と観ても、それぞれ違う解釈が生まれる。観たあとに、“もう一度観たくなる映画”だと思います」

山田杏奈(C)2025『恋に至る病』製作委員会
物語の中で、登場人物の揺れ動く感情に寄り添っていくうちに、観る人自身の記憶や感情が静かに呼び起こされていく――。だからこそこの映画は、“ただ観る”だけでは終わらない。“観たあとに語りたくなる”、そんな余韻を持った作品なのだ。

あなたなら、誰と観て、何を感じるだろうか――その答えを探す時間こそが、この作品の魅力をより深くする。(modelpress編集部)

長尾謙杜(ながお・けんと)プロフィール

2002年8月15日生まれ、大阪府出身。2014年11月23日に事務所に入所し、2018年10月より結成されたなにわ男子のメンバーに選ばれ、2021年11月12日に『初心LOVE(うぶらぶ)』でCDデビュー。2019年4月期の日本テレビ系ドラマ『俺のスカート、どこ行った?』で連続ドラマ初出演。2022年2月に配信されたAmazon Original映画『HOMESTAY(ホームステイ)』で映画初主演を務めた。2025年は『室町無頼』、『おいしくて泣くとき』、『俺ではない炎上』(公開中)、『恋に至る病』(10月24日公開)と、4本の映画に出演するなど俳優としても活躍の幅を広げている。

山田杏奈(やまだ・あんな)プロフィール

2001年1月8日生まれ、埼玉県出身。2011年、「ちゃおガール☆2011 オーディション」でグランプリを受賞し、芸能界入り。2016年公開の宮藤官九郎監督作『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』で映画デビューを果たし、2018年の『ミスミソウ』で映画初主演を務めた。以降、数々の話題作に出演し、2025年には映画『正体』で第48回日本アカデミー賞・優秀助演女優賞を受賞。さらに、『ゴールデンカムイ』『正体』で新人俳優賞にも輝いた。現在はテレビ東京系ドラマ『シナントロープ』(毎週月曜よる11時6分~)に出演中。確かな演技力と存在感で、次世代を担う実力派女優として注目を集めている。
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