朝ドラ「あんぱん」中島歩、“次郎がのぶに惹かれた理由”とは 役とリンクした瞬間語る「傷ついてほしくない」【インタビュー前編】
NHK連続テレビ小説「あんぱん」(毎週月~土あさ8時~ほか)に若松次郎役として出演する俳優の中島歩(なかじま・あゆむ/36)に、モデルプレスらがインタビュー。前編では、自身が演じる次郎の魅力やこだわりを聞いた。
今田美桜ヒロイン連続テレビ小説「あんぱん」
今作は、“アンパンマン”を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、生きる意味も失っていた苦悩の日々と、それでも夢を忘れなかった2人が、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでを描く愛と勇気の物語。「花子とアン」(2011年度前期)以来、11年ぶりの朝ドラ出演となる中島。今作では、ヒロイン・朝田のぶ(今田美桜)の初めてのお見合い相手で、夫となった若松次郎を演じる。
中島歩「あんぱん」オファー時の心境
― 「花子とアン」以来11年ぶりの朝ドラ出演ですが、オファーを受けたときの心境をお聞かせください。中島:すごく嬉しかったですし、大舞台なので興奮しましたが、役どころや内容を聞いて難しそうだなとも思いました。やはり視聴者の方はのぶと嵩(北村匠海)をずっと見守っている中で、いきなり出てきた次郎がのぶと見合いをして結婚までしたので、嫌われてしまったら嫌だなと思いました。
― 今回の脚本は「花子とアン」と同じ中園ミホさんが担当されていますが、中園さんの脚本の魅力はどんなところだと思いますか?
中島:すごいパンチラインがありますよね。子どもの頃に「やまとなでしこ」(2000)を再放送で観ていて「残念ながらあなたといると私は幸せなんです」など、印象的なセリフをよく覚えています。
― 次郎のセリフで特に印象に残ったものはありますか?
中島:全部と言っていいくらい全て印象的です。次郎はずっとポジティブなことを言っていて「戦争が終わったら何がしたいですか?」など未来を想像させることを言うところが、逆に悲しさもあっていいですよね。
中島歩、憧れの俳優明かす「根本的に影響」
― 監督も「花子とアン」と同じ柳川強さんですが、次郎に関してはどんなことをお話しましたか?中島:最初の打ち合わせで「次郎という役をどう思うか」ということを聞かれて、僕の中で次郎はすごくいいことしか言わないなと思っていて、ともすると胡散臭くなって上滑りしてしまうと感じていたので、そのままお伝えしました。そうしたら柳川さんも同じように考えていたようで、「だから一癖ある中島くんにお願いしました」とおっしゃってくれました。
撮影の初日がのぶとのお見合いのシーンとレストランでプロポーズするシーンだったのですが、柳川さんからは表情や動きを抑えるよう指示をされました。僕の中では自分自身の仕草や表情がほんの少し出てもいいのかなと思っていたのですが、柳川さんから「これはやめよう」「ここは目を見て真っ直ぐ言おう」と言っていただき、そういう細かい部分が次郎の誠実さに繋がったと感じます。柳川さんとは「花子とアン」の後にもドラマ「返還交渉人〜いつか、沖縄を取り戻す〜」(NHK/2017)でご一緒したり、僕の芝居を観に来てくださったりとずっと交流があり、信頼している方なので、今回また一緒に作品を作れたのが嬉しいです。
― 「いいことしか言わないから、ともすると上滑りしちゃうかもしれない」と懸念していたとのことですが、そうならないように気を付けたことはありますか?
中島:ちゃんと全部のセリフを相手に掛ける、のぶに対してのアクションにすること。あと、彼女の言葉や様子にリアクションしてそれに応じたアクションを返すというように、コミュニケーションにすることを意識しました。また、事前に「このセリフはどういう思いで伝えるのか」ということを想像していました。落ち着かせるために言うのか、笑わせるために言うのか、元気づけるために言うのか…言い方が無限にあるので、全セリフ考えて準備していきました。彼女が言うセリフの一つひとつも今を生きる自分にとってどんな意味を持つのかを想像しながら作っていきました。そのうえで現場での相手のお芝居に反応していくという感じです。いつもやっていることですが今回は特に入念に取り組みました。
― 視聴者から「次郎はのぶの父・結太郎(加瀬亮)と通ずる部分がある」という声もありますが、中島さん自身はどう考えていますか?
中島:結太郎と同じようなセリフを言いますから、通ずる部分があるのではないかと思います。
― 加瀬亮さんの演技に影響を受けた部分はありますか?
中島:「あんぱん」に関して特別に影響を受けたことはないのですが、加瀬さんは昔から憧れの方なので俳優として根本的に影響されていると思います。
中島歩「あんぱん」現場での今田美桜との交流明かす
― 多くの共演者の方がいますが、現場ではどなたとよくお話していましたか?中島:浅田(美代子/朝田くら役)さんや江口(のりこ/朝田羽多子役)さんともたくさんお話しましたし、結構みなさんと話していました。知っている方が多かったので楽しかったです。今田さんといる時間も多いのですが、空き時間に何を話したらいいのかわからず、お芝居しているときはコミュニケーションしている感じですが、空き時間は薄い話しかできなかったです(笑)。
― 「もう少しコミュニケーションを取っておけばよかったな」という思いもあるのでしょうか?
中島:いや、あまり仲良くなりすぎても夫婦を演じるのが逆にこっ恥ずかしくなっちゃったりするので、あれで良かった気もします(笑)。
中島歩が考える、次郎がのぶに惹かれた理由
― のぶと次郎は3回会っただけで結婚に至りましたが、次郎はのぶのどういうところに惹かれたと思いますか?中島:レストランのシーンでのぶが抱えている矛盾や悩みを吐露するのですが、純粋すぎるがゆえの悩みを抱えていたり、軍国教育に夢中になってしまうと感じて、そういう純粋で清らかなところに惹かれたんじゃないかと思います。そのシーンを撮影しながら、僕自身「この人に傷ついてほしくないな」と思い、彼女を守るということが人間の良心を守ることなんじゃないかとさえ感じたんです。この物語は架空の話ですが、次郎という役には現代の日本人から見た戦争への思いが強く反映されているんじゃないかと思いました。
― のぶは次郎と出会って影響を受け、戦争への思いが変化していくのだと思いますが、そういう部分も意識していましたか?
中島:そうですね。戦後を生きるのぶに影響が残るようにしたいと思っていました。
中島歩、相談し作り上げたのぶとの関係変化
― この先、次郎とのぶの結婚生活も描かれていくと思いますが、夫婦の関係性をどのようにご覧になっていますか?中島:次郎が航海に出ているというのもありますが、2人のシーンが本当に少ないので夫婦の関係が積み上がっていく様を見せられないんです。今日(取材日放送の第43回)航海に出ましたが、次にのぶと一緒になるシーンでは何年か時間が経っており、その間に何度も会っているのですが放送内では描かれないので、距離が縮まっている様子を芝居で見せなければいけないんです。台本に書かれていることはもちろんですが、それ以外のところでも関係が深まっている様子を見せられるよう考えて、演出家の方とも相談してイメージを膨らませていきました。
― 具体的に、どのように関係性の変化を表現しましたか?
中島:1番わかりやすく言うと、呼び方が“のぶ”になっているところですかね。あと、次郎が帰ってくるシーンでのぶに服を脱がせてもらうなど、そういう細かい芝居で2人の日常があることを表現しました。また、親しくなっていくと感情や表情が豊かになるので、彼女に対して出る表情や冗談っぽいものを取り入れたりしました。次郎の有機的な人間臭いところが出るように、のぶも素直でいられる雰囲気を作るように意識しました。
中島歩、今田美桜との芝居で気付いた思い
― 中島さんが次郎の性格や人柄で好きなところはありますか?中島:戦争が終わったら何をしたいか、という話でカメラで撮って回りたいと言うのですが、僕から見て次郎は「生きることは楽しむべきもの」と考えているんじゃないかと思いました。僕自身もそういうポリシーがあるのですが、次郎にはそういう現代人の観点が反映されていると感じます。ヤムおんちゃん(屋村草吉/阿部サダヲ)は未来人なんじゃないかとさえ思っています(笑)。
― 次郎を演じる上でご自身とリンクした瞬間はありますか?
中島:僕はその役を通して自分を表現していくような形で取り組んでいます。今田さんと芝居をしながらも発見があり、彼女に傷ついてほしくない、彼女が傷つくと自分も傷つくと感じたんです。戦争は自分の好きなことや好きな人との関係をあっという間に壊してしまうんだと気付き、もし自分の身に降りかかったら嫌だなと思いました。新聞を読んでも戦争だらけで、次郎とのぶの状況も想像できてしまってすごく怖いことだと思いましたが、だからこそこのストーリーをみなさまに届けるべきだと思いました。
★後編では共演者とのエピソードや「花子とアン」について語ってもらった。
(modelpress編集部)
中島歩(なかじま・あゆむ)プロフィール
1988年10月7日生まれ、宮城県出身。大学在学中にモデル活動を始め、2013年に美輪明宏演出・主演の舞台「黒蜥蜴」のオーディションに合格し、俳優デビューを果たした。2014年「花子とアン」でテレビドラマ初レギュラー出演。最近ではNHK大河ドラマ「青天を衝け」(2021)、TBS系「不適切にもほどがある!」(2024)、フジテレビ系「海のはじまり」(2024)、映画「ラーゲリより愛を込めて」(2022)、「四月になれば彼女は」(2024)など、多くの話題作で活躍している。もっと詳しくみる
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