松下洸平、小学生キャストと向き合う真摯な姿勢 「一生かけて恩返ししたい」恩師の俳優とは【「放課後カルテ」モデルプレスインタビュー】
2024.10.11 21:00
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モデルプレスの独自企画「今月のカバーモデル」で2024年10月のカバーモデルを務めた俳優の松下洸平(まつした・こうへい/37)。地上波ドラマ単独初主演作となる、日本テレビ系土ドラ9「放課後カルテ」(毎週土曜よる9時)が12日よりスタートする。これまで様々な職業、キャラクターで魅了してきた松下が今作で演じるのは、ぶっきらぼうな小児科医。温かく柔和なイメージの松下自身とは一見真逆のキャラクターだ。「最終的には、そんな牧野先生が愛らしく見えてくれると良いなと思っています」と語る役柄への想い、小学生キャストへの真摯な姿勢に迫った。【モデルプレスインタビュー】
松下洸平主演土ドラ9「放課後カルテ」
同作は、小学校を舞台に、口も態度もでかい小児科医・牧野(松下)が、子ども達の“言葉にできないSOS”を見抜き、未来へ向かう背中を押す“保健室ヒューマンドラマ”。原作は、日生マユの人気マンガ「放課後カルテ」(講談社「BE・LOVE」所載)。世代を超えて多くの読者から愛されている作品の初めてのドラマ化となる。小学生キャストは、500人規模のオーディションから30人が選出された。松下洸平「放課後カルテ」牧野先生役の難しさ
― 撮影が始まってみて改めて感じる難しさや、役どころに対しての想いを教えてください。松下:すごくぶっきらぼうで人と関わるのが苦手というところは、演じていてやっぱり難しいなと思います。僕自身は人と話すのも好きだし、子どもと接するのも好きな方なので気持ちをグッとこらえています(笑)。牧野先生は児童に対しても、よく言えば子供扱いしないで対等に接しているのに、見方によってはそれが寄り添い方を知らない大人という風にも見られてしまう…周りからも「子どもにそんな言い方しないでほしい」と言われるんですけど、牧野先生なりの信念をもって接しているのでその塩梅が難しいです。
― 一報発表時のコメントでも「牧野先生をただのツンケンした、何を考えているのか分からない人にはしたくない」とおっしゃっていましたが、どういった表現を意識されていますか?
松下:子どもたちと同じ目線に立って物事を見られる人という面もしっかり視聴者の皆さんには伝わってほしいと思います。あとは、ぶっきらぼうな態度を取ってしまうことにも何か理由があるんですよね。もちろん児童たちと触れ合うことで全話を通して牧野先生の少しトゲトゲした心がちょっとずつ丸くなっていく様はお届けできると思うんですけど、人の性格はなかなか変えられないし、根本的な彼の思想やDNAに刻み込まれた性格は変わらないから、最終回も相変わらずムスッとしているのではないかとは思います(笑)。でも主人公に共感できないとドラマは面白くないと思うので、ただムスッとしているだけの人じゃなくて、彼なりの医師としての子どもとの向き合い方を見せて、最終的にはそんな牧野先生が愛らしく見えてくれると良いなと思っています。
松下洸平、子どもたちに“優しすぎて”NGも
― 今までの松下さんの役柄ではあまり見せたことのないぶっきらぼうなキャラクターが放送前から話題を呼んでいます。実際ムスッとした表情が多いですか?松下:多分、作品の中で笑うことは1回もないです。なので、新しい挑戦になっていると思います。ただ、普段前室やカメラが回っていないところでは子どもたちと一緒に遊んで和気あいあいとやっているので、撮影でもついつい優しくなってしまってNGを出してしまって、監督に「ちょっと優しすぎるのでもう少し厳しめに行っても良いと思います」と言っていただくこともあります。撮影が始まった当初は彼らも僕も緊張していたんですけど、1ヶ月くらい経って名前も覚えて向こうも僕に対しての緊張感も良い意味で少しずつなくなってきて、そうすると子どもたちのお芝居が素晴らしいし可愛いので無意識に微笑んでしまいそうになるんです(笑)。
― 松下さん自身と牧野先生が少しでも似ている部分や共通点はありますか?
松下:なるべく人と接するときに嘘をつかずにいたいなとは思います。そこは牧野先生も徹底していて、本人は無自覚かもしれませんけど、正直な人だから絶対嘘はつかない。それ故に誤解されることも多いけど、自分もそうでありたいなといつも思っているのでそこはすごく共感できます。
松下洸平、小学生キャストに伝えていること・接する上で心がけていることとは
― 松下さんから小学生キャストの皆さんにアドバイスされることはありますか?松下:まだまだ芝居経験の少ない子どもたちも多いので、あまり型にはまったお芝居をして欲しくないと思っていて、ときどき伝えます。お家でご家族と一緒にセリフをたくさん練習してくる児童たちも多いので、それは本当に素晴らしいことだし、そうやって努力することは後々彼らにとってかけがえのない宝物になると思います。ただ練習しすぎてしまうと本番で気持ちのキャッチボールができなくなってしまうから、練習してきたことプラス、現場で起きることを常に新鮮に感じて欲しいと思っています。
― 現場ではどんな会話や遊びをしたり、コミュニケーションを取っていますか?
松下: 500人のオーディションを通過してきたんだということをひしひしと感じるくらいとても礼儀正しくて、大人ですら難しいお芝居の細かいニュアンスを理解して実践しているので、すごいなといつも見ています。カメラが回っているときは集中してお芝居をしているんですけど、子ども同士の控室では、聞いたことがないような大きな声で笑い合ったりはしゃいだりするから、そこも見ていて微笑ましいし可愛いです。集めているカードゲームを持ってきている子がいたら一緒に見たり、あとは詳しくは言えないですけど、恋バナとかも聞きます(笑)。
― えー!最近の小学生は大人ですね。
松下:本当にそうなんです。「どこどこにデート行った」とか恋愛事情を聞いたりしています。
一同:(笑)
― 昔から子どもはお好きですか?
松下:触れ合うのはとても楽しいです。自分がこれだけ大人になったから言えることだとは思いますけど、子どもたちの発想力が面白いし、吸収力が本当にすごいので、だからこそ自分たちも気をつけなきゃなと思います。このドラマの撮影は数ヶ月で終わってしまうので、この期間だけでも、俳優としていろいろな現場に行くときに役に立つこともそうだし、それ以上に大人になっていく過程でつまずいたり壁にぶち当たったりしたときにこの現場でのことを思い出せる何かを1個でも、持って帰ってもらいたいです。今の僕もスタッフさんたちも、彼ら彼女にとっての影響力がすごく大きいと思うので、だからこそ真摯に向き合いたいなと思います。
松下洸平、自身の小学生時代振り返る
― ご自身の学生時代の保健室の思い出はありますか?松下:僕自身はあんまり保健室にお世話になることはなかったんですけど、周りのいろんな人から話を聞いて保健室がよりどころだった人たちはすごく多いんだなと思いました。そこにいる先生は親でもなければ担任の先生とも違うので、保健室の先生にしか言えないことが児童たちにはあるんだなと。
― 悩みや寂しさを抱えている児童たちが、1話目から描かれますが、松下さん自身が小学生の頃抱えていた悩みや、悩みを乗り越えた思い出があったら教えてください。
松下:僕は本当に、悩まなかったです(笑)。よく捉えると、ポジティブなんだと思いますけど、すごくボーっとしていたというか、そもそもいろいろな物事を難しく捉えることができない子どもで。身体があまり強くなかったので授業中にお腹が痛くなって行った記憶は1、2回ほどありますけど、基本は健康だったので、怪我とか擦りむいたりしてもほっといていたので全然気にしていなかったです(笑)。
― では、今回の作品でこういった悩みを抱えている児童たちがいることに改めて気づかされましたか?
松下:お話をいただいてから原作を読ませていただいて、目に見えない病気や悩みがあるところは、子どもたちも大人と一緒だなと改めて気付かされました。本当のことが言えなくて疑われてしまったり、学校だけじゃなくてそれぞれの家庭にもいろいろな事情があってそこで悩みを抱えている子どももでてくるんですけど、大人になると危機管理能力や回避する力も出てくるし、いろんな形をとって自分で解決できることも多いかもしれないけど、子どもたちにはまだその力が備わってないこともあるので、だからこそ保健室の存在は大切だと思いました。牧野先生は「子どもだから、なんだ」と怒るんですけど、そういう考えを持っているからこそ子どもの小さな痛みや悩みに気づけるんじゃないかなと思います。
松下洸平、ビジュアルのこだわりとは
― たくさんの役柄を演じられてきた松下さんですが、医者役は初めてですか?松下:初めてではないのですが、経験は少ないです。こないだ牧野先生が大学病院の小児科医だったころの回想も撮影したんですけど、医療シーンが保健室にいるときとは違うドラマみたいでした。すごくドラマチックな展開になって学校のシーンに慣れていたので「俺、別のドラマ撮影してる?」と思いながら、ちょっと戸惑いました(笑)。原作を読んでいたからそういうシーンが来るのはわかっていたんですけど、いざ飛び込んでみると、すごく本格的な医療ドラマでもあるんだなと実感しました。牧野先生のキャラクターはさほど変わることがないんですけど、小児科にいた頃の牧野先生はすごくピリピリしているんです。そこは少し保健室の中にいるときや、児童たちと接しているときとさらに表現を変えました。ちょっと苦しそうな表情とか、追い詰められた表情は多く入れるようにして、そこが本当に一番しんどかった頃の牧野先生だと思うので、力を入れて演じています。
― 現実でも作品でも良いのですが、参考にしたお医者さん像はありますか?
松下:作品はないんですけど、医療監修の先生方が常に現場にはいてくださるので、こういう場合小児科の先生はどういう処置をするのかということは細かく聞くようにしています。あと、僕自身も子供の頃そうでしたが、やはり病院は子どもたちにとってはちょっと怖い場所というイメージがありますよね。病院によってはそれを解消するためにいろいろな工夫をなさっているところがあって、いろいろな科がある中で、小児科のスペースはちょっと特別な空気感がある場所だと思いました。医療従事者の方がすごく気を遣って、なるべく子どもたちを緊張させないようにしている努力を随所から感じました。
― 今回ヘアスタイルや眼鏡など、ビジュアルも新鮮ですが、こだわっている部分はありますか?
松下:原作があるので、なるべく原作の牧野先生のビジュアルに近づけたいと思って作りました。衣装とか髪型でキャラクターが決まってしまう部分もあるので、衣装合わせのときに割と細かく話し合いましたね。例えば腕時計や靴など。綺麗好きなのかそうではないのか、何に興味があって何に興味がないのか、そういうところに性格が出ると思っています。ファッションにさほど興味のない人というのはなんとなくあったので、それがどれぐらいなのか、というのはみんなと話し合って決めました。腕時計はスマートウォッチにしようかとも話したんですけど、先生なのでちゃんと秒針のあるものにしたいということで、真っ黒に白地の文字盤がついているものにしたんです。実は場面ごとにちゃんとその時間に合わせて撮影をしているんですけど、そこは少し苦労しています(笑)。
松下洸平が背中を押された経験「一生かけて恩返ししたい」恩師とは
― 今作では、牧野先生が児童の言葉にできないSOSを見抜いて背中を押すストーリーが描かれますが、学生時代に限らず、松下さんが悩みを抱えているときに誰かに背中を押された経験はありますか?松下:いっぱいありますが、悩んだり行き詰まっているときに自分の存在をスキル面で信じてくれた人は一生かけて恩返ししたいなと思います。例えばまだテレビとかに出ていなかった頃、ご縁で岡田准一さんと映画をご一緒させていただいたんですけど、現場で芝居のことや、時代劇だったので殺陣のことも教えてくれて、僕は本当に下手でいつも足を引っ張っていたんですけど、岡田さんは「あとは売れるだけだね、松下くん」と言ってくれて。半ば諦めかけていた頃ではあったのですごく救いになって、何か大きなチャンスさえあれば自分にも可能性があるのかなと思わせてくれました。
― 松下さんにとっての恩師なんですね。松下さんのブレイク後、お話することは?
松下:岡田さんもそのことは覚えていてくださったので、その後も何度かお食事を行かせていただいたり、お話する機会があって、気にかけてくださいます。テレビに出させてもらえるようになってからも、環境が変わったことに対しての戸惑いももちろん少なからずあったので、そういう相談もさせていただきました。だから今も恩返しというか、「岡田さん見てくれているのかな」と思いながらやっています。
― 素敵なお話をありがとうございました。
(modelpress編集部)
「放課後カルテ」第1話あらすじ(10月12日放送)
小児科医の牧野(松下洸平)が、「学校医」として東多摩第八小学校に赴任した。仏頂面で「保健室にはなるべく来ないでもらいたい」と言い放つ牧野に、児童たちも、6年2組の担任・篠谷(森川葵)も唖然。牧野は医師を学校に常駐させるという新たな試みで大学病院から送られたのだが、その影にある事情を抱えていた…。その日、いつものように保健室にやってきた児童・ゆき(増田梨沙)。授業中にもよく居眠りをしてしまうゆきは、保健室で寝る時間が心のオアシスだったが、「勝手に寝るな」と牧野に言われ、その平穏が破られる。
一方、やんちゃな児童・拓真(柊吾)は、裏山の立入禁止エリアにカッコいい秘密基地を発見したと大興奮。興味を持った宏哉(吉田奏佑)と大和(山口暖人)を引き連れて、裏山に行くことに。しかし、体調が良くないことを隠していた拓真は、藪の中で突然倒れてしまう…。篠谷と共に現場に向かった牧野は、拓真の症状を見て即座に病気を絞り込んでいく。
数日後、一向に居眠りが改善しないゆきについて、牧野に相談しに来た篠谷。児童の本心を理解する難しさを吐露する篠谷だが、気持ちを理解してくれない牧野と、言い合いになってしまう。するとそこに、ゆきがグラウンドで倒れたという知らせが届き―――。
松下洸平(まつした・こうへい/37)プロフィール
1987年3月6日生まれ、東京都出身。2009年より俳優デビュー。2018年、第26回読売演劇大賞にて、ミュージカル「スリル・ミー」と舞台「母と暮せば」での演技が評価され、新人賞にあたる杉村春子賞と優秀男優賞を受賞。2019年、朝の連続テレビ小説「スカーレット」で脚光を浴びる。近年の主な出演作にドラマ「#リモラブ 〜普通の恋は邪道〜」(2020)、「知ってるワイフ」(2021)、「最愛」(2021)、「やんごとなき一族」(2022)、「アトムの童」(2022)、「合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜」(2023)、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(2023)、「潜入捜査官 松下洸平」(2023)、「いちばんすきな花」(2023)、「9ボーダー」(2024)、大河ドラマ「光る君へ」 (2024)、映画「アイ・アム まきもと」(2022)、「ミステリと言う勿れ」(2023)など。待機作に映画「室井慎次 敗れざる者」(10月11日公開)、「室井慎次 生き続ける者」(11月15日公開)、ミュージカル「ケイン&アベル」が2025年1~3月に上演予定。アーティストとしては、2021年に2度目のCDデビューを果たし、11月6日には4thシングル「愛してるって言ってみてもいいかな」をリリースする。
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