乃木坂46井上和の「チートじゃない」話――2回目は甘えられない。「とにかくもがく」からの脱却【インタビュー】
2024.08.23 12:00
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乃木坂46の新曲「チートデイ」(8月21日発売)で自身2度目の表題曲センターを務める井上和(19)。「美少女すぎる」「圧倒的なヒロイン」と話題になったお披露目から2年半、はやくも国民的アイドルグループの中心メンバーとして活躍する、彼女の心の奥底に触れた。<モデルプレスインタビュー>
乃木坂46に加入したのが2022年の2月。オーディション応募総数8万7852人から選ばれた5期生の一人で、ビジュアルもさることながら、当時17歳とは思えない佇まいと歌唱力でファンを何度も騒がせた。2023年8月に発売されたグループの33rdシングル「おひとりさま天国」で初の表題曲センターを経験。2024年4月からはファッション誌「non-no」の専属モデルも務めるなど、活動の幅を広げている。
言葉を選ばなければ、「チート」だな、と思う人もいるのでは。それほど順風満帆に知名度を上げ、人気を得ている。現在、乃木坂46の主要イベント「真夏の全国ツアー」で座長という大役を2年連続で務めている彼女。昨年の千秋楽スピーチで「できないことの多さ」に涙を流し「もっと誰かの期待に応えられるような人になりたい」と誓ってからの1年、どのようなことを考えて活動してきたのか、話を聞いた。
【井上】いやいや(笑)。
― すみません(笑)。でも井上さんのことをよく知る方々は、それが才能ではなくて、努力の賜物と知っている。こだわり出したら終わりがないものとは思いますが、一つの作品、パフォーマンス、ライブなど、どこまで突き詰めるようにしていますか。
【井上】ファンの皆さんに喜んでいただくのが私たちの仕事であって、喜んでいただくためにいろんなことを準備して頑張っているので、まずそれが1番大事なところにあります。でも乃木坂46のファンの皆さんは本当に優しいので、私たちが出すものすべてを受け入れてくださいます。好きだよ、良かったよ、と伝えてくださるので、自分が頑張ったと言えるところまでは頑張らないといけない、進んでいかないといけないとは強く思っています。自分で自分を褒められるところまでやりきれているか、それはすごく大事にしています。
― 山下美月さんが卒業して初めてのシングルで表題曲のセンターです。プレッシャーはありますか。
【井上】あります。ずっと感じないようにはしていますが、やはりすごくプレッシャーです。今後の乃木坂46の進む道を示す上でとても大事なものだと思っているので、そのタイミングで自分をこのポジションに置いていただいたことの意味を考えれば考えるほど、責任を持ってやらないといけないと思います。でも「チートデイ」は私一人で歌っているわけではなくて、乃木坂46のみんなで盛り上げていくシングル。プレッシャーを感じているだけではなく、楽しんでいかないとって思っています。
― 「チートデイ」は「真夏の全国ツアー」大阪公演が初披露となりました。
【井上】どの楽曲も、初披露の時点で、これが今の100%です、とお見せしますが、特に夏のシングルはライブがあるので、ライブでの披露を重ねながら、私たちメンバーとファンの皆さんで一緒に育てていく感覚が強いです。誰もがなにか曲を聴いたとき、景色、匂いなどいろんなものが蘇ると思うんですけど、「チートデイ」を聴いたときに、今年のツアーを思い出してもらえるようになったら完成だなと思っているので、そういう意味で完成はまだまだこれから。でもあのときに出せる最大限でファンの皆さんにお届けできました。
【井上】どうでしょう…(苦笑)。私の主観で、なれた、なれていない、とは言いづらいですが、でもそうなるために、なにもしてなかったわけでないです。昨年の全国ツアーの期間を経て、自分の言葉を信じてもらうには、誰かに尊敬してもらえるようになるには「嘘なく生きること」が必要だと思いました。でもときにはそれが裏目に出てしまうこともあって、やり切るのは難しいなと感じることもありました。
― 裏目、どういうことですか。
【井上】嘘には愛のある嘘もたくさんあって、嘘で一括りにしてしまうと誤解が生まれてしまうと思っています。それでも私は思ったことを嘘なく伝えることをできる限りしてきました。日々のメンバーやスタッフさんへはもちろん、こういうインタビューをしていただく機会も。私は乃木坂46のメンバーであるということから、こういう回答をする方がきっと無難なんだろうな、こういう答えをきっとほしいんだろうな、ファンの皆さんもこれを言ったら喜んでくださるんだろうな、とかもあるんですけど、そうではなくて、私がいま感じていること、感じたことを嘘なくきちんと言葉にして伝えるのを大事にしてきました。
【井上】初めてじゃないっていうのは、甘えられないということだと感じていて。昨年は乃木坂46に入って1年が経過して、やっと先輩方とパフォーマンスできる機会や楽曲が増えてきたばかりの頃。常に新しい初めてが舞い込んでくる中で、初めての座長でした。いま考えたら、できなくても甘えられた部分がたくさんありましたし、たぶんものすごく甘えていました。でも今年は去年1度経験しているからこそ、「2年目だからできるよね」という雰囲気を勝手かもしれないけど感じてしまいます。
― それをどう乗り越えようとしていますか。
【井上】これから6期生が入ってくるタイミングで、乃木坂46の中でも大事な夏のツアーを私が座長というポジションでまわる。その意味を考えたときに、私ができない、どうしよう、となよなよしているよりも、人間はこれだけ強くなれるんだぞ、っていうところを見せないといけないような気がしていて。私はたぶん、強そうと思われやすいと思うんですけど、頑張るのもあまり上手にできないですし、一人でできることもそんなに多くないです…。とにかくもがく、とにかく頑張る、きっとその姿でも許された昨年から、自分はなにをしたらいいのか、すでに具体的なことがあるのかと聞かれると答えるのは難しいですが、でも失敗を怖がらずにというか、とにかく自分にできることは全部足を踏み込もうという気持ちでいます。
― 今年の神宮公演でさらに成長した井上さんを観ることができそうです。
【井上】頑張ります。あと例えつらくても、この夏は笑っていたい、というのも目標です。
【井上】そのときに話したことと根本的には変わっていないですが、これまで活動してきてすごく思うのは、なにより近くにいてくれる人を大切にすること。家族であったり、友だちであったり、お仕事だったらスタッフさんだったり、今日のインタビュアーさんだったりカメラマンさん編集者さんだったり。大切にすることでやっぱり繋がるものって絶対にあるんですよね。以前、お話させていただいたように、わかりやすい部分で言うと、笑顔でいると前向きになれます。ほとんどの人にはネガティブな部分があって、つらいな、できないな、と思ったり、自分に自信を持てない部分も絶対にあると思うんですけど、笑顔でいる人はやっぱりポジティブに見えるし、ポジティブな人は人を惹きつけると思うので、夢を叶える秘訣、同じようなことにはなってしまうんですけど、とにかく私は自分がネガティブだと思っているので、意識して笑うようにしているっていうのはすごくあります。周りの人を大事にするというのは当たり前のことですが、いざ自分がお仕事をしてみると、本当に大事なことだなって思います。
― かっこいい…。人間誰しもネガティブになってしまうときはありますが、井上さんでもそうなんですね。
【井上】たぶん自信100%です、みたいな人はそんなに多くなくて。ネガティブ99%だけど1%の自信を、人前に出るときは100%に見せる、私たちの仕事はそんな仕事だと思っています。そういう意味でのポジティブさというか、見栄を張っていたら1%の自信が10%に上がって、20%、30%になっていく。私はそう感じることが多いので、自分のネガティブ思考はきっと変わらないけど、少ない自信をポジティブに変えていく努力はできると思うし、していきたいと思います。
― 井上さんが今いる場所にいられる理由を垣間見た気がします。きっとそう思っているから、努力することを止めない。
【井上】頑張らないと本当になにもできないので…(苦笑)。
― 頑張ってもがく姿もまたキラキラ見えるんだと思います。
(modelpress編集部)
PHOTO:矢沢隆則
言葉を選ばなければ、「チート」だな、と思う人もいるのでは。それほど順風満帆に知名度を上げ、人気を得ている。現在、乃木坂46の主要イベント「真夏の全国ツアー」で座長という大役を2年連続で務めている彼女。昨年の千秋楽スピーチで「できないことの多さ」に涙を流し「もっと誰かの期待に応えられるような人になりたい」と誓ってからの1年、どのようなことを考えて活動してきたのか、話を聞いた。
井上和がパフォーマンスを突き詰める上で大事にしていること
― 謙遜されることを前提に言うのですが、井上和さんの存在自体がチート、というネットの声をよく見かけます。ビジュアル、歌唱力、誰かの憧れになるために生まれてきたような。【井上】いやいや(笑)。
― すみません(笑)。でも井上さんのことをよく知る方々は、それが才能ではなくて、努力の賜物と知っている。こだわり出したら終わりがないものとは思いますが、一つの作品、パフォーマンス、ライブなど、どこまで突き詰めるようにしていますか。
【井上】ファンの皆さんに喜んでいただくのが私たちの仕事であって、喜んでいただくためにいろんなことを準備して頑張っているので、まずそれが1番大事なところにあります。でも乃木坂46のファンの皆さんは本当に優しいので、私たちが出すものすべてを受け入れてくださいます。好きだよ、良かったよ、と伝えてくださるので、自分が頑張ったと言えるところまでは頑張らないといけない、進んでいかないといけないとは強く思っています。自分で自分を褒められるところまでやりきれているか、それはすごく大事にしています。
― 山下美月さんが卒業して初めてのシングルで表題曲のセンターです。プレッシャーはありますか。
【井上】あります。ずっと感じないようにはしていますが、やはりすごくプレッシャーです。今後の乃木坂46の進む道を示す上でとても大事なものだと思っているので、そのタイミングで自分をこのポジションに置いていただいたことの意味を考えれば考えるほど、責任を持ってやらないといけないと思います。でも「チートデイ」は私一人で歌っているわけではなくて、乃木坂46のみんなで盛り上げていくシングル。プレッシャーを感じているだけではなく、楽しんでいかないとって思っています。
― 「チートデイ」は「真夏の全国ツアー」大阪公演が初披露となりました。
【井上】どの楽曲も、初披露の時点で、これが今の100%です、とお見せしますが、特に夏のシングルはライブがあるので、ライブでの披露を重ねながら、私たちメンバーとファンの皆さんで一緒に育てていく感覚が強いです。誰もがなにか曲を聴いたとき、景色、匂いなどいろんなものが蘇ると思うんですけど、「チートデイ」を聴いたときに、今年のツアーを思い出してもらえるようになったら完成だなと思っているので、そういう意味で完成はまだまだこれから。でもあのときに出せる最大限でファンの皆さんにお届けできました。
成長するために…
― 昨年の「真夏の全国ツアー」千秋楽のスピーチ、とても感情を揺さぶられました。先輩からの手紙を引き合いに「身近な人に尊敬してもらえるような人になることが目標」という話もしていましたが、あれから1年経ち、少しは近づけたかな、という実感はありますか。【井上】どうでしょう…(苦笑)。私の主観で、なれた、なれていない、とは言いづらいですが、でもそうなるために、なにもしてなかったわけでないです。昨年の全国ツアーの期間を経て、自分の言葉を信じてもらうには、誰かに尊敬してもらえるようになるには「嘘なく生きること」が必要だと思いました。でもときにはそれが裏目に出てしまうこともあって、やり切るのは難しいなと感じることもありました。
― 裏目、どういうことですか。
【井上】嘘には愛のある嘘もたくさんあって、嘘で一括りにしてしまうと誤解が生まれてしまうと思っています。それでも私は思ったことを嘘なく伝えることをできる限りしてきました。日々のメンバーやスタッフさんへはもちろん、こういうインタビューをしていただく機会も。私は乃木坂46のメンバーであるということから、こういう回答をする方がきっと無難なんだろうな、こういう答えをきっとほしいんだろうな、ファンの皆さんもこれを言ったら喜んでくださるんだろうな、とかもあるんですけど、そうではなくて、私がいま感じていること、感じたことを嘘なくきちんと言葉にして伝えるのを大事にしてきました。
初めてのつらさ、成長した上で感じる2回目のつらさ
― 井上さんに期待してしまう方々の気持ちがわかった気がします。昨年の座長は初めてのつらさがあったと思いますが、今年は今年なりのつらさがきっとあるのでは。【井上】初めてじゃないっていうのは、甘えられないということだと感じていて。昨年は乃木坂46に入って1年が経過して、やっと先輩方とパフォーマンスできる機会や楽曲が増えてきたばかりの頃。常に新しい初めてが舞い込んでくる中で、初めての座長でした。いま考えたら、できなくても甘えられた部分がたくさんありましたし、たぶんものすごく甘えていました。でも今年は去年1度経験しているからこそ、「2年目だからできるよね」という雰囲気を勝手かもしれないけど感じてしまいます。
― それをどう乗り越えようとしていますか。
【井上】これから6期生が入ってくるタイミングで、乃木坂46の中でも大事な夏のツアーを私が座長というポジションでまわる。その意味を考えたときに、私ができない、どうしよう、となよなよしているよりも、人間はこれだけ強くなれるんだぞ、っていうところを見せないといけないような気がしていて。私はたぶん、強そうと思われやすいと思うんですけど、頑張るのもあまり上手にできないですし、一人でできることもそんなに多くないです…。とにかくもがく、とにかく頑張る、きっとその姿でも許された昨年から、自分はなにをしたらいいのか、すでに具体的なことがあるのかと聞かれると答えるのは難しいですが、でも失敗を怖がらずにというか、とにかく自分にできることは全部足を踏み込もうという気持ちでいます。
― 今年の神宮公演でさらに成長した井上さんを観ることができそうです。
【井上】頑張ります。あと例えつらくても、この夏は笑っていたい、というのも目標です。
井上和の「夢を叶える秘訣」は「意識して笑う」「周りの人を大事にする」
― 井上さんが約1年半前に話していた「夢を叶える秘訣」が、口角を上げることを意識するようになってからより前向きに頑張れるようになった気がする、ということから「笑う」でした。それからまだ日は浅いですが、今は初めてのことも多いからこそ、考えに変化も起きやすい時期なのかなと。もし今思うようになったことがあれば教えてください。【井上】そのときに話したことと根本的には変わっていないですが、これまで活動してきてすごく思うのは、なにより近くにいてくれる人を大切にすること。家族であったり、友だちであったり、お仕事だったらスタッフさんだったり、今日のインタビュアーさんだったりカメラマンさん編集者さんだったり。大切にすることでやっぱり繋がるものって絶対にあるんですよね。以前、お話させていただいたように、わかりやすい部分で言うと、笑顔でいると前向きになれます。ほとんどの人にはネガティブな部分があって、つらいな、できないな、と思ったり、自分に自信を持てない部分も絶対にあると思うんですけど、笑顔でいる人はやっぱりポジティブに見えるし、ポジティブな人は人を惹きつけると思うので、夢を叶える秘訣、同じようなことにはなってしまうんですけど、とにかく私は自分がネガティブだと思っているので、意識して笑うようにしているっていうのはすごくあります。周りの人を大事にするというのは当たり前のことですが、いざ自分がお仕事をしてみると、本当に大事なことだなって思います。
― かっこいい…。人間誰しもネガティブになってしまうときはありますが、井上さんでもそうなんですね。
【井上】たぶん自信100%です、みたいな人はそんなに多くなくて。ネガティブ99%だけど1%の自信を、人前に出るときは100%に見せる、私たちの仕事はそんな仕事だと思っています。そういう意味でのポジティブさというか、見栄を張っていたら1%の自信が10%に上がって、20%、30%になっていく。私はそう感じることが多いので、自分のネガティブ思考はきっと変わらないけど、少ない自信をポジティブに変えていく努力はできると思うし、していきたいと思います。
― 井上さんが今いる場所にいられる理由を垣間見た気がします。きっとそう思っているから、努力することを止めない。
【井上】頑張らないと本当になにもできないので…(苦笑)。
― 頑張ってもがく姿もまたキラキラ見えるんだと思います。
(modelpress編集部)
PHOTO:矢沢隆則
井上和(いのうえ・なぎ)プロフィール
2005年2月17日生まれ(みずがめ座)、神奈川県出身。158cm。B型。「乃木坂46 新メンバー募集オーディション」に合格し、2022年2月に5期生としてお披露目された。愛称は「なぎ」「にゃぎ」「にゃん」など。MBTI診断は「INTP」。「2023年モデルプレスヒット予測」アイドル部門に選出。2023年8月に発売されたグループの33rdシングル「おひとりさま天国」で初の表題曲センターに抜てきされた。2024年4月よりファッション誌「non-no」の専属モデルを務める。乃木坂46・36thシングル「チートデイ」
乃木坂46にとって通算36枚目のシングル「チートデイ」。表題曲は5期生の井上和がセンターを務めており、「ずる」をしてでも会いに行きたい恋する気持ちを歌った、夏らしいアップテンポな楽曲となっている。ミュージックビデオは7月下旬、2日間にわたってシンガポールで撮影。テーマは「夏の海を特別なものにしたかった女の子たち」で、海外の日本人学校に通う高校生と国際交流サークルの大学生たちが汗をかきながらミニFMを作るひと夏の思い出を描いた。
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