岡田将生が大切にしている信念 初心を忘れず第一線で輝き続けられる理由<「ザ・トラベルナース」インタビュー>
2022.10.27 07:00
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テレビ朝日系木曜ドラマ『ザ・トラベルナース』(毎週木曜よる9時~)で主演を務める俳優の岡田将生(おかだ・まさき/33)が、モデルプレスのインタビューに応じた。2006年のデビュー以来、数々のドラマや映画に出演し第一線で活躍し続けている岡田に、本作の撮影エピソードから、中井貴一との共演、俳優としての信念、ここまで長く続けて来られた理由までたっぷりと語ってもらった。
岡田将生主演「ザ・トラベルナース」
本作は、スーツケースひとつを手にいろんな街を渡り歩き看護に従事する、優れた資格を持ったフリーランス看護師=トラベルナースの那須田歩(岡田)と、その相棒となる伝説の看護師・九鬼静(中井)の活躍を描く。テレビ朝日のヒットシリーズ『ドクターX~外科医・大門未知子~』の生みの親である脚本家・中園ミホが脚本を手がけ、パンデミック後の高齢化社会でもっとも混沌としている看護の世界に焦点を当てた痛快医療ドラマ。
みんなに愛される岡田将生「毎日行きたくなるような現場が一番良い」
― アメリカ帰りという設定でキャラクターも濃く、医療系のセリフもあり大変だったと思うのですが、役作りで大切にしたことを教えてください。岡田:僕はトラベルナースという言葉自体、今回の作品を通して初めて知りました。スタッフの方々が事前にトラベルナースについての資料を丁寧にまとめてくださったので、それを見て理解するところからのスタートでした。僕が演じる歩はアメリカでも優秀なナースで、日本でも通用するレベルなのですが、日本に来るとコミュニケーション能力不足が露呈してしまうんです。中井さん演じる静さんと出会うことによって変わっていく姿を大切に、そこの強弱が1話でしっかり出せればいいなと思いながら現場に入ったことを覚えています。連続ドラマだといろいろなシーンでキャラクターの幅を広げられることができるので、だんだん成長していく姿を意識しながら演じています。
― 歩は優秀なナースですが、岡田さんから見た印象は率直にいかがですか?
岡田:日本社会とアメリカ社会は全然違っていて、アメリカで生き抜くためにはきっと歩みたいに精神力や体力が強くないとやっていけないと思うので、そこはすごくリスペクトするポイントです。日本では思ったことを言わないことがあると思うのですが、アメリカでは思ったことをその場で言うことが多くて、歩もそうなのですが、それが歩の良さでもあるんです。アメリカではお互いをリスペクトし合っていて、お互いがより良い環境にするために話し合いをする。日本の人は、それをちょっと避けている人たちが多いように思います。そういった部分を、中井さんと上手くお芝居で表現できれば、より面白い関係性で、より面白いドラマになるのではないかなと思っています。
1話の歩は正直とっつきにくいかもしれません(笑)。やっぱり他のナースの方々とはお仕事のスピード感が違うので、そういうところのズレに関しては、視聴者の方に「嫌なやつ」「面倒くさいやつ」と思われるかもしれませんが、どこか愛されるような抜け感を中園さんも要所要所で脚本に入れてくださったので、「またこんなことを言っちゃったよ、歩くん」と見守ってもらえたら嬉しいです。僕も自分で演じていて可愛いなと思うところもありますし、静さんとのバランスがとても重要になってくるので、歩が反発すればするほど2人の繋がりが深くなってくると思います。
― 先日行われた制作発表記者会見では、岡田さんの発言で皆さんが笑顔になられていて雰囲気の良さを感じたのですが、現場で愛されているなと感じたエピソードや裏話があればお聞かせください。
岡田:未だに人前が慣れなくて、緊張もします。33歳になったので、引っ張っていかなきゃいけないと思う自分もいるのですが、やっぱりそうではない自分もいるので、あまり嘘をつかずに皆さんと接したいと思っているんです。でも中井さんもよくおっしゃっているのですが、この現場に関しては、ナースの横の繋がりがとても大切で、皆さんと足並みを揃えて進んでいくチームワークを見せなければいけないので、何度も共演させていただいている寺島しのぶさんや、初共演の野呂佳代さんも含めて、皆さんで一緒に現場を盛り上げてくださっています。
スタッフの方もそれを理解して現場の空気を作ってくださっているので、誰かがNGを出しても盛り上がるし、すごく良い空気感で撮影できています。緊張感のあるシーンでも、ナースステーションがあるだけで、ちょっとホッとするんです。皆さんでご飯を食べているシーンでは、野呂さんがエビフライとかその食卓に出た食材のTシャツを衣装で着ていらっしゃっていて(笑)、それがすごく可愛くて現場がほっこりしています。そういうところも視聴者の方に楽しんで見てもらえたら嬉しいです。
― ドクターチームのキャストの方々も豪華ですが、ドクターチームとはどういうコミュニケーションを取っていますか?
岡田:柳葉(敏郎)さんと中井さん、お2人のお話に参加させていただいたりしました。最近常々思うのですが、やっぱり毎日行きたくなるような現場が一番良いと思うんです。自分が今こうして主演という立ち位置でやらせてもらっている分、居心地の良い現場にしたくて、それは中井さんともお話ししました。良い緊張感は必要ですが、要らない緊張感をなくすためには、みんなでより明るく同じ方向を向いている現場にしたい気持ちがあったので、皆さんともちゃんとコミュニケーションを取れるよう心がけていました。
岡田将生、中井貴一と10年ぶり共演でバディ 俳優人生に変化
― 今回中井さんと10年ぶりの共演ということですが、久々に共演して「成長した」「変わった」と言われたエピソードはありますか?岡田:10年以上前に中井さんとお仕事をさせてもらった時は、あまり深いお芝居のセッションがなかったので、もっと中井さんとお芝居できるように頑張ろうと思っていたんです。それが時を経てこうしてバディとして共演できるとは思っていなかったので、共演できると聞いた時は純粋に嬉しかったです。
成長した姿を見せるというより、嘘のない自分をさらけ出しながら中井さんとドラマを作っていくことが、今回自分がやるべきことだと思っているので、中井さんとは空き時間も「果たしてそれが正解なのかどうかは僕も分からないけど、こういうふうにやりたい」というふうに、お芝居についてお話しさせていただいています。
僕も日頃から作品とはちゃんと向き合っているつもりですが、中井さんがその何倍も深く考えて向き合っていらっしゃる姿をずっと見ていたので、とても勉強になりました。そして中井さんが僕を立ててくれて、「君がやりたいようにやりなさい。全力で守ってあげる」という言葉をくださったので、僕も「こういうふうにしたい」と全力でぶつかっていけたのかなと思っています。
― 中井さんと共演したことで、これまでのご自身の俳優人生において変化はありそうですか?
岡田:変わると思います。多分それに正確に気付くのは、3年後、5年後、10年後かもしれないですが、やっぱり今30歳を越えて、次に40歳になるまでに、ずっとお仕事ができる俳優というのはこういう方だということを、中井さんから今回のドラマで教えてもらった気がするんです。お芝居はもちろんですが、人間力も含めて、多分40歳、50歳になった時に、このドラマが自分にとって一つのキーになる作品だと思うんだろうなと今感じています。
― 脚本家の中園ミホさんとは、どのようなお話をされたのでしょうか?
岡田:僕は今回中園さんと初めてお会いしたので、最初に自己紹介をして、トラベルナースという職業があることについてのお話をお聞きしました。あとは、今自分が感じていることや、お仕事とどう向き合っているかをお話しさせていただいたのですが、企画の段階からプロデューサーの方や脚本家の方と会うのが初めてだったので、より一層力が入ったというか、より良い現場にしたいなと思えて、すごく良い時間でした。
― 情報解禁の際、「中園さんに思わず本音を吐露して恥ずかしくなりながら帰った」とコメントしていましたが、その本音というのは?
岡田:恥ずかしくて言えないです(笑)。自分自身、あまり人に本音を言える瞬間が少ないのですが、中園さんと(エグゼクティブ)プロデューサーの内山聖子さんには、なぜか口が滑って素直に自分が思っている感情を吐露してしまっていたので、お2人には嘘がつけないなと思いました。内山さんに関しては、僕が16歳くらいからお世話になっているので、またこうやってお仕事ができることもすごく嬉しかったです。だからこそ口が滑ってしまったのかもしれません(笑)。帰ってから「恥ずかしかったな…」と思って、そのことは僕の中で秘めておこうと思いました(笑)。
― (笑)。ちなみに岡田さんの本音に対して、どのような反応をしていましたか?
岡田:どう思ったのかは聞いていないですが、温かく受け止めてくださった印象でした。
― まだコロナ禍が続く中ですが、このような状況下で医療ドラマをやるにあたっての思いをお聞かせください。
岡田:医療ドラマに限らず、どの作品に関してもその状況を頭に置きながら取り組んでいるのですが、今最前線で戦ってくださっている医療従事者の方々には本当にリスペクトの気持ちでいっぱいです。だからこそ自分が今できる予防は毎日しっかりしています。やっぱり職業ものやスポーツものの作品はどこか現実味がない部分があると、そこで説得力がなくなってしまうと思うんです。
なので今回、中井さんとは「なるべく小さな嘘をなくそう」とお話ししています。きっと実際のナースの方々もドラマを見てくださると思うので、共感を得られるようなシーンをどんどん作って、楽しんでもらえる作品になればいいなと思います。
― ナースのお仕事を実際に深く知っていく中で、これまで知らなかった大変な作業などはありましたか?
岡田:本当に体力がいるお仕事だなと実感しました。こんなにもたくさんの患者さんがいる中で正確に把握して、自分の体力も含めて患者さんと向き合わなきゃならないんだなと。医師より患者さんと接する時間が長い分、患者さんをより知ることができて、その患者さんのご家族も含めたメンタルケアをされているので、すごく大変な職業だなと改めて思いました。今後もし僕が病院に行った時にナースの方がいらっしゃったら、本当に頭が下がる思いです。
俳優・岡田将生の信念「無理はしない」第一線で輝き続けられる理由
― 岡田さんはずっと第一線でご活躍されていますが、長く続けて来られた理由や秘訣はありますか?岡田:僕がこのお仕事をするうえでもっとも意識しているのは、幅広くいろんな役をやるということです。安定したところへは行かず、あまりやったことのない役や作品にチャレンジしていくことを毎年考えて挑戦していたら、気づけばこんなに年月が経っていました。新しい作品に呼んでいただけるととても嬉しいですし、「やってやるぞ!」という気持ちになります。それを見てくださった方々から、またお声をかけていただいたりしているので、ちょっとずつの積み重ねでここまで来ることができました。
― 先程「人前に立つのが慣れていない」とお話しされていましたが、初心を忘れずにいることも長く続ける秘訣のひとつなのでしょうか?
岡田:やっぱりそうだと思います。何十人ものスタッフさんたちの中でお芝居をするのは恥ずかしいですし、全然慣れないです。でもある先輩に、「その恥ずかしさがなくなってしまうと良くない」と言われていたので、このままでもいいのかなと。人前に出るお仕事だから慣れないと、と思いつつも、慣れないものは慣れない、と思ってしまいます(笑)。
― 岡田さんが俳優としてお仕事をする上で、大切にしていること・信念はありますか?
岡田:無理はしないこと。なるべく自分らしく、そのままでいようということです。
岡田将生が怒り・悲しみを乗り越えた方法
― モデルプレスの読者には、日々不安な思いや悩みを抱えている人がたくさんいます。岡田さんがこれまで怒りや悲しみを乗り越えたエピソードや、アドバイスをぜひお聞かせください。岡田:それはなかなか乗り越えられないです。時に怒りや悲しみを抱えながらお仕事しています。でもそれが社会人なんだと思います。その怒りや悲しみとどう折り合いをつけていくかが自分自身の問題で、折り合いがつかなかったら、一回休んでもいいと思います。そんなに深く考えず、もう少し楽に考えてもいい気がします。無理はするべきじゃないです。
でもお仕事だから貫き通すというのも大切だと思うので、そんな自分と上手く付き合っていければいいですよね。僕はこうして取材で皆さんと会ってお話しするとパワーをもらえるので、一緒にお仕事をする人たちのことを大切にしています。
― 素敵なお話をありがとうございます。最後に改めて、ドラマの見どころをお聞かせください。
岡田:毎話本当に素敵なゲストの方々が出てくださっていて、僕たちナースがどれだけゲストの方々に寄り添えるかが一つの見どころとなっています。そして歩と静さんの関係性も少しずつ変化していきます。人はそんなに簡単に変われるものではないと思うのですが、“静イズム”と言われるものが歩の体に入っていく姿が徐々にあらわれて来ると思うので、そういった変化にも注目して見ていただけたら嬉しいです。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
岡田将生(おかだ・まさき)プロフィール
1989年8月15日生まれ、東京都出身。2006年にデビュー。以降、映画・ドラマなど次々に話題作に出演。近年の主な出演作は、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(カンテレ・フジテレビ/2021)、映画『さんかく窓の外側は夜』(2021)、『ドライブ・マイ・カー』(2021)など。ナレーションを務める『SWITCHインタビュー 達人達』(NHK Eテレ)が放送中。2023年夏に主演映画『1秒先の彼』が公開予定。スタイリスト:大石裕介
ヘアメイク:小林麗子
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