オネェユニット・ENV ii GABRIELLA、グループ史上最も“煌びやか”な楽曲は「パワーワードがたくさん」<『あなたが私を綺麗にする訳じゃないの』インタビュー>
2022.10.26 17:15
Takassy(タカシ)、HIDEKiSM(ヒデキズム)、Kamus(カミュ)からなるオネェ3人組の総合エンターテイメントユニット・ENVii GABRIELLA(エンヴィ ガブリエラ、通称:エンガブ)。待望の最新シングル「あなたが私を綺麗にする訳じゃないの」が10月12日に先行配信スタート。さらに10月26日には懐かしの8cmシングルもリリースした。共感するポイントを散りばめたという歌詞や、8cmシングルを出すことになった意外な理由も明かした。
目次
エンガブ、新曲は「ハチャメチャ」
― 「あなたが私を綺麗にする訳じゃないの」リリースおめでとうございます!まずはどのような楽曲なのかを教えていただけますか?Takassy:この楽曲はタイトルがまず浮かんだんです。友達と話していたりTwitterを見ていると「恋愛が女を綺麗にする」とか「付き合ってる人のおかげで綺麗になったよね」とか、“誰かのために綺麗になった”という話が結構出てくるんです。でも、みんな自分で働いたお金で服を買ったり、エステに行ったり、ジムに通うわけで、最終的には“自分のために自分が自分を綺麗にしてる”ということを強く言いたいんです!そう思っている人も多いと思うんですよ。別に誰かのためじゃなくて、自分のために綺麗になっているんだって。「恋が私を綺麗にさせる」と聞くと素敵に感じるけど、そこには矛盾があるんです。
― その想いはタイトルだけでも伝わりますね。
Takassy:そうですね。曲に関してだとコスメブランドのCMとかで流れるような楽曲にしたいなと思って、今回は思いきり振り切ってミュ―ジカル調にしてみました。月曜日から金曜日までずっと働いていると1週間ってあっという間に終わるじゃないですか。その目まぐるしいドタバタ感を表現したいなと思って作りました。
― 曲を作る上で特にこだわったポイントなどはありますか?
Takassy:例えばカップリングの「オリビアを聴きながらを聴きながら」という楽曲に関しては、情景が浮かぶような物語風の歌詞にしているんです。ただ今回はびっくりハウスのようなハチャメチャな感じが出したかったので、あえて脈絡のない歌詞を意識して作りました。いつもは1曲に対してパワーワードが1つあればいいと思って作っていますが、今回に関してはもう随所にパワーワードになるような言葉をたくさん入れ込んだので、どれかが皆さんの気持ちがヒットすればいいかなと思っています。
― 確かに聴く人によって刺さるポイントは変わりそうな歌詞ですね。ちなみにHIDEKiSMさんが特に共感したポイントは?
HIDEKiSM:私はやっぱり「嗚呼自分に夢中」です(笑)。今回の楽曲は自分への応援ソングのような部分もあって、私自身すごくマッチしたんです。私の人生は誰のものでもなく自分のための人生だって。この楽曲をデモで聴かせてもらったときはすごく感銘を受けて、「本当そうよね」と解き放たれたような気持ちになりました。この曲で自信を持って欲しいとかではなく、たった1人の自分のために人生を謳歌してほしいという想いが伝わればいいなと思います!
― 誰かに捉われすぎずに。
HIDEKiSM:そうですね。ただ2番の最後に「私を綺麗に少しはするかもね」という歌詞があって、相手がいるというのは前提ではあるけれど、それも“自分があってこそ”という部分があるのかなって。
Takassy:結局は自由に何かをする時も、周りの人が支えてくれていたりするじゃないですか。そういった前提がある上で、HIDEKiSMが言ったように自分のために生きている人ってカッコいいと思うんです。周りも大切にしつつ、自分を一番大切にしてあげられる。
― 確かに自分のことをないがしろにしてしまう人もいますね。Kamusさんの共感したポイントは?
Kamus:私は2番サビ前の「世界は一つだけじゃない」という部分ですね。結構答えを出したがる人って多いと思うんですけど、私は押しつけがましくてあまり好きじゃないんです。最終的な決定権は私であって、自分がファイナルアンサ―をすることで自分である意味を持てるって。一番の歌詞に「あなたとの時間も考慮」とあるんですけど、それも自分を大切にしているからこそ“そういった関係”があると思っています。
― 先ほどTakassyさんが仰ったようにドタバタ感のあるMVも公開されていますね。
Takassy:「自分を綺麗にする」というのをライブの1日に例えているMVになっているんです。メイクだったりとか衣装とか、たくさんの努力があってやっとステ―ジで輝けると、全体を通して表現しています。それにスタッフさんやエキストラダンサーの方がたくさん出演しているのも、多くの協力があって綺麗になれているというメッセージを込めています。
― いくつもシーンがありましたが、撮影は大変でしたか?
3人:大変だったねぇ。
HIDEKiSM:場所は同じなんですけど、建物の中で使える場所は全部使って1日で撮影しました。私たちも大変だったけど、スタッフも大変だろうなって。タイトなスケジュールの中で大掛かりなこともしてくてれ、そのおかげでとても良いものができたと思います。
― 特に印象に残っているシーンや、見どころなどはどこですか?
Kamus:やっぱり一番は最後のダンサーさんと一緒に踊るシーンかな。100%の振り付けがあるというよりは“みんなで同じフロアで踊ってる”という熱い一体感が出ているシーンなんです。
HIDEKiSM:ラストのサビで一気に華やかになって、その後突然解き放たれて打ち上げが始まる感じだよね。
Kamus:そう。それにヒールで踊っているシーンでもあるので。
Takassy:よくあのシーンをヒ―ルで踊ったわよね。
HIDEKiSM:難しかった。本当によくやったわ。
Takassy:いつもなら“ヒールを履いている”という前提で振り付けを作るんですけど、Kamusが言ったようにグル―ヴだったりノリを重要視していたので。今まではジャンプしたりステップを踏むことってあまりしてこなかったんです。でも今回はヒ―ルを履いているということは度外視した振り付けになっています。
8cmシングルリリースの意外な裏話
― 「あなたが私を綺麗にする訳じゃないの」は懐かしの8cmシングル(※1)も数量限定で26日にリリースされました。なぜ8cmシングルを作ろうと?(※1)2000年ごろまで主流となっていた8cm規格のCD。ケースが縦に長いのも特徴。
Takassy:私たちは8cmシングル全盛期世代で、好きだったア―ティストはみんな8cmシングルを出していて、やっぱりアーティストたるもの8cmシングルは出したいという思いがあるんです。でも私たちはデビューも遅かったので、気づいた時には8cmシングルをほとんど見なくなりました。レ―ベル会社に「8cmシングルってもう出せないんですかね?出したいなぁ」みたいなことブツブツ言っていたら、8cmシングル出せることになりましたと言ってくださって。
― 「あなたが私を綺麗にする訳じゃないの」に合わせて8cmシングルを出すというよりも、いつか8cmシングルを出すことができればと?
Takassy:実は8cmシングルを出せると決まったのが先だったんです。8cmシングルありきで、どうせならサプライズ感のある楽曲がいいということになり今作に決まりました。
HIDEKiSM:よく工場あったわよね。
Kamus:ほとんど見ないもんね。
HIDEKiSM:さらに言うと「まだ聴けるの?」っていうね。
Takassy:そう!「8cmシングルって入れられんの?」っていう疑問もあるし、そもそもCDラジカセをほとんどの人が持っていないらしい。「CDはともかく何で8cmシングル出すの?」って感じですよね(笑)。
HIDEKiSM:やっぱりコレクションよね。懐かしい思い出をファンの方と一緒に共有したいという思いもありますし。
Takassy:CDの売り上げも、ここ1~2年で少し上がっているみたいね。80~90年代リバイバルでファッションやメイクのほかにCDをコレクションする若い方が増えているみたい。
― レコ―ドのコレクターもいますし、それと近い感覚なのかもしれないですね。
Takassy:そうですね。うちらが聴いていたCDがレコードみたいにコレクションされるって信じられなくない?
Kamus:確かに。不思議な感覚よね。
HIDEKiSM:やっぱりみんなも五感で感じられるのがいいわよね。今はデジタルな時代だけど、手で触って、目で見れるのはモノありきだし。私たちはCDを作ることへの慾がすごくあるわよね。
Takassy:CDに対する思入れやこだわりが強いからね。昔はもちろん配信なんてなかったし、CDを買って聴くまでどんな楽曲かも知らないなんてこともあったわ。そのドキドキ感と高揚感って今思うとかけがえのない時間だったし、CDがあることで音楽の価値も高まっていたと思うんです。だから私たちを応援してくれている方たちにもCDを買うワクワク感や買ってから流すまでのドキドキ感みたいなものを提供し続けたいという思いがあります。
― フタを開けた裏側には歌詞も?
Takassy:もちろん書いてあります!本当に当時のままです。「あなたが私を綺麗にする訳じゃないの」というタイトルも絶妙で、本当に昔のシングルっぽいですよね。
HIDEKiSM:ぎこちない感じのジャケ写もね。
Takassy:そうそう(笑)。
― 同世代の方は懐かしい思いもあり、若い方だと新鮮に感じるかもしれませんね。
Takassy:何これって感じでしょうね。
HIDEKiSM:そもそも「8cmって何のこと?」ってね。
Takassy:なんならマネ―ジャ―に言われたもん。だから「出なおせ」って言っておいた。
一同:(笑)。
エンガブ初の5大都市ツアー開催へ
― 今回のシングルはインパクトのあるタイトルですが、皆さんの美容やファッションに対するこだわりはありますか?HIDEKiSM:私はファッションが特に好きで、自分に似合ったお洋服を着た時はやっぱり快感なんです。もちろん内側の部分も大事ですけど、外側の部分が綺麗だと自分もテンションが上がりますし。私が特にこだわっているのは、ジェンダ―レスなファッション。自分のラインに合っていて、自分の“らしさ”を表現できるのを選ぶようにしているんですが、お洋服を買う時はレディ―スもメンズも全部見ます。例えばトップスはレディ―ス、ボトムスはメンズ、アクセサリ―はちょっと高めのレディ―ス物とか。ファッションをユニセックスに楽しむのが、個人的なこだわりです!
Takassy:私は昔「外見よりも内面」とか「ファッションにはこだわらない」という節があったんですよ。もちろん美容やファッションは好きだったんですけど、外見を主張するのは自分の美学に反するというか。「内面を鍛えてこその人間だ」と思っていたんですけど、HIDEKiSMが言ったように好きな服を着るとめっちゃ気分が上がるんです。その感情にあらがわずに楽しむようにしてみたら、考え方が凝り固まっていたなって気付いて。昔の私みたいに「外見よりも内面」と思っている人はいっぱいいると思うんですけど、「派手なメイクをしてみたい」「もっと違うファッションに挑戦してみたい」というような自分の気持ちに正直に従ってみると、もっと視野が広がって自分のことをもっと好きになれると思います。
― 何かきっかけがあって考え方が変わったんですか?
Takassy:きっかけというよりは年齢ですね。年を重ねていくと、若い時こだわってたものからある日突然ふっと解放されたりするじゃないですか。…でも、エンガブはきっかけになっていたかもしれないです。人前に出るようになって「今まで以上に見た目にこだわらなきゃいけない」と思ったときに「これ着てみたら似合うかも」と自分で閉めていたフタを開けてみたら解き放たれた感じはありました。割と何でも許されるユニットなので(笑)。
Kamus:私は体型維持が大切だと思っています。体形によってメイクやファッションって変わってくるじゃないですか。だから体づくりが一番大切だと思っていて、エンガブの活動を始めてから5~6年経ちますが当時から体重は変わっていないんです。どんなに忙しくてもジムに行くし、食事にも気を付けています。
― 今の体型がKamusさんのベストなんですね。
Kamus:そうですね。パフォーマンスしやすい体型が一番かなと思っています。ゴリゴリのマッチョでもいいんですけど、そうするとヒールで踊るのは難しそうなので。
― ありがとうございます。そして11月からはエンガブ初となる5大都市ツアーも予定されています。どのようなツアーにしていきたいですか?
Takassy:今年の初めに3大都市ツアーを行ったんですけど、本格的に大阪と名古屋でライブをしたんです。その時に「やっと来てくれた」という声がすごく多くて。元々私達の始まりはYouTubeで、場所関係なく見てくださっている方が多くて、「地元に来て欲しい」という声はたくさんいただいていたんです。だから私たちも「やっと行けた」という気持ちが強くて。今回はさらに2都市増えて5大都市ツアーになったんですけど、その皆さんの期待に応えられるライブにしたいなって思っています。ライブに来た方が楽しめるのはもちろん、「やっと来てくれた」という期待を裏切らないような「もう一度来たい!」と思えるライブにできればなって。
HIDEKiSM:5大都市ツアーをするのはチームとしても夢だったのですごくうれしいです!今後はもっとツアーを大きくしていきたいですね。会場も含めて。そのためにはTakassyが言ったように「楽しかった」「また来たい」と思えるようなライブにしないといけないので、そんなツアーにできればなと思います。
Kamus:私は地元が青森なので、個人的に北海道で開催されることがすごく嬉しいんです。同級生がライブに来てくれるという連絡もくれたし、いつか青森でやるのも夢じゃないなって。もっともっと大きくなって、いろんな場所でエンガブのライブをしたいと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)[PR]提供元:キングレコード株式会社
ENVii GABRIELLAプロフィール
アーティスト・作家としてメジャーアーティストにも楽曲提供をしているTakassy(souljuice)、アーティスト、タレントとしてTVやイベントで活躍するHIDEKiSM、ダンサーとしてイベント、バックダンサーとして活躍するKamus。それぞれが違うフィールドで活動していたが、2016年夏にTakassyがHIDEKiSMにユニットの構想を持ち掛けた事から、プロジェクトが始動。同年、2人の共通の知り合いであったKamusに白羽の矢を立て、正式に3人体制として活動が始まる。翌2017年3月1日にプロジェクトの開始を発表。同日より、YouTubeチャンネルにて動画で楽しむ新宿二丁目をコンセプトに、動画配信「スナックENVii GABRIELLA」を開始する。2022年10月現在、登録者数は19万人を越え、独自の観点から発信する情報やコスメの紹介、お悩み相談などYouTube界でも注目されている。
ゲイ・オネェである事の全てを武器に、音楽をメインとし、バラエティ・ショー・ファッション・アートを創り出す、オネェによる総合エンターテイメントユニット。ピンヒールをトレードマークとしており、ヒールでのステージパフォーマンスも大きな特徴である。
メンバープロフィール
Takassy(タカシ)リーダー、そして”スナック・エンガブ”のママ。ユニットの楽曲・アートワークを担当。専門学校ボーカル科を卒業後、soul juice(ソウルジュース)として、楽曲・デザイン・ステージングのセルフプロデュースを始める。インディーズにてフルアルバムを2枚リリース。2015年、クリエイター事務所「BeeTonics株式会社」に所属。メジャーアーティストへ楽曲提供を開始。(アルスマグナ、Predia、WEBER 他)楽曲がオリコン上位へのランクインを果たす。2017年エンガブ結成を機に、セクシャリティをカミングアウトした。
HIDEKiSM(ヒデキズム)
“スナック・エンガブ”のチーママ。ユニットの企画、マーケティングを担当するユニットのムードメーカー。ネオエンターテイナーとして、早くからLGBT系アーティストとしての活動を精力的に展開。2013年3月、フジテレビ「笑っていいとも!」第1回オネメンコンテストの第1回に出場し、満場一致で優勝。そのコーナーからの大反響により輩出されたオネメン5人組「オネップ」の一員として、半年間コーナーレギュラーとして出演。その後「解決!ナイナイアンサー」「ダウンタウンなう」や各テレビ誌、ファッション誌、日経エンタテインメントなどに登場。
Kamus(カミュ)
元陸上自衛隊 衛生科 手術班 所属。その後、ダンサーの夢を叶えるべく上京。ショーバーにてショーダンサー、アーティストのバックダンサーなど多岐にわたる活動でパフォーマンスを磨く。“スナック・エンガブ”の店子。ユニットの振付けを担当。多数のTVバラエティに出演経験を持つ(CX「笑っていいとも!オネメンコンテスト」/ TX「家、ついて行っていいですか」等)。「元自衛隊」「新宿二丁目バー店員」と言う異色の経歴を持つ。