BE:FIRST三山凌輝、“悪役”演じる上での葛藤「演じるのがすごく難しかった」アーティストと俳優が真逆と語る理由<「HiGH&LOW THE WORST X」インタビュー>
2022.08.27 17:00
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映画『HiGH&LOW THE WORST X』(読み:「X」=クロス/9月9日公開)に出演する俳優の三山凌輝(みやま・りょうき/23)のモデルプレスインタビュー。2021年にはBE:FIRSTのRYOKIとしてデビューを果たし、アーティスト、役者とあらゆる顔を持つ三山がこの作品に懸けた思いとは。
三山凌輝出演『HiGH&LOW THE WORST X』
2019年に公開された映画『HiGH&LOW THE WORST』の続編となる今作で三山はエンジ色の学ランを着た“血の門”と呼ばれる瀬ノ門工業高校の頭として君臨し鬼邪高を潰すためには手段を選ばない最悪の男・天下井公平役を演じる。中本悠太(NCT 127・YUTA)演じる瀬ノ門最強の男・須嵜亮とともに、川村壱馬(THE RAMPAGE)演じる花岡楓士雄が頭をはる鬼邪高の前に、最凶最悪の敵として立ちはだかる。三山凌輝『HiGH&LOW』出演でメンバーの反応は?
― 『HiGH&LOW THE WORST』を鑑賞していたということですが、改めてオファーをもらった際のお気持ちをお聞かせください。三山:ずっと『HiGH&LOW THE WORST』のファンで何回も観ていたので、続編に出演させて頂けることにすごくびっくりしました。悠太くんなど、他のキャストにも驚きましたし、一緒に作品を作れるのは僕としても夢を見ているようで、「この人たちとこういうことをやりたい」のようなものが願ったり叶ったりの作品になると感じました。メンバーにも『HiGH&LOW』シリーズのファンがいるので、すごく喜んでくれましたし、僕の悪役っぷりを楽しみにしてくれています。
三山凌輝、“悪役”天下井公平への向き合い方
― まさに今作の悪役となる天下井を演じた三山さんですが、役にはどのような印象を抱いていますか?三山:複雑ですね…。天下井は悪役と一言で言い切れない役だと思うんです。元々ではなく、環境によってあの性格が形成されたはずなので、どうしてこうなったのかを考えながら演じました。死ぬほど悪ぶろうとしすぎても結局少し人間らしさが残っちゃう、その一方で振り切ってすごいことをしてしまっていることもある人物なので、天下井のキャラクターを感じながら向き合っていました。少なからず真っ直ぐに自分の正義のようなものを貫いていると思うので、だからこそ後半に少し心情が変わるようなシーンが効いてくると思います。
須嵜に対する発言や話し方が少し優しく変わっている部分があるんですが、それも特に考えていたわけではなく、芝居をしていたら自然とそういう話し方になっていたんです。今になって「あのシーンは天下井っぽくなかったな」と思っても、そこがむしろ天下井らしさで、作品にすごくリアリティがプラスされると思うので、そのシーンは残って良かったと思いました。
三山凌輝、中本悠太とは「信頼関係ができていた」
― 特殊な間柄の天下井と須嵜ですが、その2人の関係性を作り上げる上で悠太さんとはどういったお話をされたのでしょうか?三山:撮影のときは時間がなかったんですけど、最後のシーンは「どうしても」とリハーサルをしっかりとやりました。そのシーンが2人にとって大事な物だと思っていて、前日もその日の撮影が全て終わった後の夜にリハをして挑んだんですが、撮影しているときから信頼関係ができていたので、本当に思ったことをそのまま話し合って、倒れ方や掴み方、動作1つにしても細かいところまで「こっちの方がいいかな?」とか「こっちにしようか」と修正し合って、リハを進めていた感じでした。一番は気持ちです。気持ちのぶつかり合い、感情の探り合いをリハから本気でやっていました。でも、やっぱり本番が一番いい画を撮れました。
三山凌輝、役に共感する部分「演じるのがすごく難しかった」
― 天下井を演じる上で苦労や葛藤したことはありましたか?三山:やっぱり役が始まったら孤独だったことです。その分カメラが回っていないときは皆とすごく仲良くして、誰かしらと一緒にいましたね。それと最初は天下井がやることに対して腑に落ちなかったことは多いです。自分を納得させて演じるのがすごく難しかったので、共感できるところを紡ぎ出せるように向き合うことが天下井と近づける唯一の手法でした。
― どういった部分に共感できましたか?
三山:圧や勢力など理不尽なことに押し潰されてやりたいことができないようなことが誰にでもあると思うんです。「嫌だな」と思っていても、上手く逃げる人が多いと思うんですけど、天下井の場合は家族や友人から愛情を真っ直ぐに受けられなかったことによって「人から認めてもらえないから自分でどうにかするしかない」という考えに至っていて、良い意味でも悪い意味でも逃げなかったのが天下井なんだと思っています。
三山凌輝が悲しみを乗り越えた方法
― 複雑な過去を持った天下井ですが、三山さんが怒りや悲しみなどを乗り越えたエピソードはありますか?三山:僕、すごくポジティブなので嫌なことがあっても寝たら忘れるような人間だったんです。でもコロナ禍になってから、言い方は良くないかもしれないんですが、初めて“病んだ”というか、ネガティブな感情を抱えることが多い瞬間があったんですね。そのときに「あ、ネガティブな感情って意外と大事だな」と思って。結果的に前を真っ直ぐ見てポジティブな思考回路に帰ることは大事ですけど、ネガティブで繊細な感情を経ることによって、理解の幅が広がったと思っています。
コロナ禍にネガティブな気持ちを抱えるようになってから天下井を演じることができて良かったです。役だけじゃなくて人としての感情の持って行き方にも通じるのかな。そこで大事なのは、ただ落ち込むんじゃなくて、悩む方向性に持って行くことというか。ただただ落胆していくだけじゃなくて、この状況をどうにか変えたい気持ちが大事なんだと思います。
―コロナ禍での葛藤を通して天下井もスムーズに演じられたのですね。
三山:少なからずヒントにはなりましたね。天下井という人格の中での抗っている部分というか、自分なりに自分を認めてあげたい、真っ直ぐでいる部分はそもそも自分とも似ています。だからこそ「ただの悪いやつじゃないんだろうな」というのは自分の中で大切にしておきたかったところです。
三山凌輝、俳優とアーティストでのアプローチ方法は「真逆です」
― 俳優とアーティストの間でアプローチに違いはありますか?三山:真逆です。やっぱりアーティストは本当に自分のエゴイズムやアーティシズムを音楽からパフォーマンスしていくものなんですけど、逆に役者は自分を削ぎ落として役に擦り合わせていって自分じゃないものに近づける努力をする作業なんです。そこのアプローチは真逆なんですが、先程話したネガティブな感情みたいなものは通ずると思っています。結局ネガティブな感情を得たことによって自己否定感を良い意味で活用することになったので、その点では俳優とアーティストは一貫していると感じました。
― 三山さんのように俳優でありアーティストである方々が沢山いる現場だったと思いますが、刺激になったことはありましたか?
三山:アーティストの人は感性がすごいと思いました。特に今回、悠太くんは初めて芝居されたと言っていたけど、全くそんな感じはなくて、向き合い方が本気なんです。ものを作る上で音楽だからとか芝居だからとかではなくて、そのものに対しての本質を見ることや、そこに対しての重要性、どこに目をつければ良いのかということにアーティストの方は特化していると思います。アーティストを一括りにするのは良くないんですが、そういうところにまでアーティシズムを発揮されているんだと感じます。だからこそ、アーティストの方はお芝居を自然にできる方も多いんだと改めて思いました。
三山凌輝、変化の1年を振り返る「怒涛でした」
― 三山さんにとって変化のあった1年だと思うのですが、振り返ってみていかがですか?三山:怒涛でした。この準備をしてきたのは何年も昔からの話なので、なんて言うんですかね…ここまで来る道のりも、自分にとってすごく長かったので、嬉しい気持ちが無いわけじゃないですが、嬉しい気持ちよりも安心する気持ちというか…。今回の作品には、わかりやすいアーティスト性も含まれているし、自分の中で役者として現時点までのある意味、集大成のような感じになっているんです。ここまでやらせていただいて周りの人にはすごく感謝しているし、出会いを繋いできた自分も頑張ったと思うし、人に愛されながら助けられながらやってきたので、そういう意味でやっといろいろと恩返しができると思ったし、自分にとってもやっとやりたいことがしっかりとやれている状態がすごく嬉しいです。
三山凌輝の夢を叶える秘訣
― モデルプレス読者の中には今、夢を追いかけている読者もたくさんいます。そういった読者に向けて、三山さんの「夢を叶える秘訣」を教えてください。三山:諦めないこと、しがみつくこと、好きなことに本当に向き合うというか…。向き合えば嫌いになる瞬間もありますよね。それはそれで離れてみてもいいと思います。今までそう思うことはなかったんですが、最近僕もそういう瞬間を感じるときがあって。嫌いなら一度離れてみれば良いけど、それでも好きという気持ちがあればもう一度戻ることもできると思います。そうなったら多分それをずっと続けた方が良いということなんですよね。ずっと好きだけど芽が出ない人も、後悔するよりは続けた方が良いので、自分が納得するまでやってあげた方が良いと思います。
あとは無駄な努力をしない。無駄な努力をせずに意味のある努力をしてあげる。本質的に何が大事なのかを見極めて努力する。何かをするにあたって「いやそこじゃなくない?」みたいなものを無くすことが一番です。時間は皆平等なので、その中で何が一番自分にとって成長できるかを考えた方が良いと思います。
― 三山さんが“無駄な努力”と感じてしまったことはありましたか?
三山:これは無駄な努力だったと思うことは1回も無いです。自然と好きなことに打ち込んで真っ直ぐになるのは無駄な努力じゃないと思います。それなりにちゃんとそれで実ることじゃないとそこまで努力できることはない気がするんですよね。無駄な努力をしている場合は自分でも「これが正解なのかな?」と感じると思います。わかりやすく言うと…難しいかもしれないけど、「有名な役者になりたいんです」と言っているのにSNSのフォロワーの数だけ稼ごうと頑張っているとかは意味が無いはずなので、そういうことについて考えてみることは良いと思います。
― ありがとうございました。
<インタビューこぼれ話>
中本悠太とのお揃いが話題となっていたリングを撮影当日にも着用していた三山。「その後のスケジュールが詰まっていて『これ可愛いじゃん!これにしよ』という感じだったんですよ。一緒に買ったんですけど、誕生日プレゼントとしてくれました」とそのリングの買い物秘話も明かしてくれた。(modelpress編集部)
『HiGH&LOW THE WORST X』ストーリー
SWORDの「O」鬼邪高校。定時と全日に分かれるSWORD地区最凶の不良高校である。その全日制で頭を張る花岡楓士雄(川村壱馬)は、数々の伝説を持つ最強の男・ラオウをたずねて、戸亜留市にある鈴蘭男子高校を訪れていた。その頃、鬼邪高の首を狙うSWORD内の不良達は、虎視眈々とその機会を伺っていた…。中でも、エンジ色の学ラン、通称“血の門”と呼ばれる瀬ノ門工業高校の頭・天下井公平(三山凌輝)は、須嵜亮(中本悠太)という最強の男の力を手に入れ、さらには、同じく鬼邪高の首を狙う鎌坂高校と江罵羅商業高校を傘下に加え、「三校連合」を築き、その勢力を拡大していく。鬼邪高の高城司(吉野北人)と轟洋介(前田公輝)は、そんな三校連合の怪しい動きをいち早く察知するも…その時は突然、訪れる。遂に、三校連合による鬼邪高狩りが始まったのだ。不意をつかれ、急襲されてしまう形となった鬼邪高の男達。圧倒的不利な状況下で、これまで己の拳一つで答えを導いて来た楓士雄は、次々に潰されていく仲間達を守り抜く事は出来るのか!?そして、三校連合最強の刺客、須嵜との頂上決戦に挑む楓士雄!楓士雄の拳はいったい何を語るのか?本物のテッペンを決める戦いが今、始まる。三山凌輝プロフィール
1999年4月26日生まれ、愛知県出身。俳優として映画「縁側ラヴァーズ」(2020)、「人狼ゲーム デスゲームの運営人」(2020)などに出演し、2021年8月より7人組ダンス&ボーカルグループ・BE:FIRSTのメンバーRYOKIとして活動を開始。演技作品、アーティスト活動と多岐に渡って活動している。
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