【上白石萌音「カムカムエヴリバディ」インタビュー】撮影中支えになった「おかえりモネ」清原果耶の存在 互いに“贈りあった”ものとは
2021.10.30 13:00
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2021年度後期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で初代ヒロインを務める女優の上白石萌音(かみしらいし・もね/23)が、このほど行われた取材会に出席。モデルプレスでは、撮影中に連絡をとっていたという「おかえりモネ」ヒロイン・清原果耶とのエピソードなどを聞いた。<後編>
上白石萌音が“大好き”な登場人物
― この作品にはたくさんの個性的な登場人物がいますが、特に気になるキャラクターはいますか?上白石:ちょっとマニアックになってしまうかもしれないのですが、安子が暮らす商店街にある「あかにし」というお店の一人息子の吉右衛門くん(笑)。もちろんお父さんの吉兵衛さんも大好きなのですが、吉右衛門くんを演じられた中川聖一郎くん、そしてこれからさらに成長した吉右衛門くんを見せてくれるもう1人の男の子が、最初の本読みでセリフを発した瞬間の衝撃が忘れられないです。
「吉右衛門くんってこういう子だったんだ」というのを第一声で気付かせてくれて、その時の衝撃は撮影が始まってからも全く薄れませんでした。確実に物語の中の軸として強烈な個性を放ってくれているので、2人の今後がすごく楽しみです。また、物語の中のオアシスとしてもぜひ楽しみにしていただきたいキャラクターになっています。
― どのような部分に衝撃を受けたのでしょうか?
上白石:聞いたことのないセリフ回しでした!なんだかとても高貴な感じだったんです。昭和のちょっとおませで“人生3回目”みたいな感じのしゃべり方だったので、もう全員心掴まれていましたし、濱田岳さんも「俺も子役の時こんな芝居したかった」と言っていました(笑)。もう吉右衛門くんが本当に大好きです!最高です!
兄役・濱田岳との関係性
― 兄役の濱田さんとは他にどのようなやりとりをされたのでしょうか?上白石:岳さんとは初めて私が主演を務めた「舞妓はレディ」(2014年)という映画でご一緒していて、今回はその時ぶりの共演でした。私は岳さんのことが大好きなので兄妹になれてとても嬉しかったですし、岳さんも私を「ご飯に連れていきたい」とおっしゃってくれていました。ご時世的に叶わなかったのですが、「いつか一緒にご飯に行けたら、こういうところに連れて行きたい」と言ってくださったのがすごく嬉しくて、何年かかってもいいので実現させたいです。撮影がひと段落ついた時には、出演者・スタッフの方全員からのメッセージカードが入った温かいアルバムをいただいたのですが、岳さんはそこに「いつ飲みに行く?」って書いていました(笑)。早く行ける日が来ればいいなと思っています!
― 本当にお兄さんのような存在なんですね。
上白石:そうですね。岳さんが演じる算太は風来坊的なところがあってなかなかおうちにいなかったので、私もあまり会えなかったのですが、安子が算太に会うとすごく元気をもらって「やっぱ必要な人じゃな」と言うのと同じように、私も岳さんに会う度すごくパワーをいただいていました。
2代目ヒロイン・深津絵里からの贈り物
― 2代目ヒロイン・深津絵里さんと3代目ヒロイン・川栄李奈さんとは何かお話しされましたか?上白石:先日ポスター撮影があり、お久しぶりにお二方にお会いできました。本来ならば深津さんが演じるるいと私が演じる安子は出会えないのですが、時空を超えて会うことができて(笑)、カムカム英語のお話をしました。「カムカムエヴリバディ」の曲があって、「これを幼いるいと歌ったんですよ」と伝えたら、現場でスタッフさんが流してくださって。娘に思い出話をするような不思議な感覚がありました。
― お三方の関係も不思議ですよね。
上白石:そうなんです。交わることはないのですが、いつも支えとしてお二方が心の中にいます。
― 上白石さんが安子を演じる時に、るいとひなたを演じる深津さん・川栄さんの顔が浮かんだ瞬間はあったのでしょうか?
上白石:そこはあまり意識はしなかったです。ただただ目の前にいる幼いるいを見て、「この子のために」という思いでした。ですが、撮影の合間にふと我に返った時「あ、この子が深津さんになるんだな」というのは思ったりしました(笑)。深津さんはプロデューサーさんを通してすごく素敵なプレゼントを贈ってくださって、撮影中は毎日つけていました。
上白石萌音、井上真央に「強く憧れました」
― 上白石さんがこれまで観た“朝ドラ”の中で、印象に残っている作品はありますか?上白石:私が中学1年生でデビューした年にやっていたのが、井上真央さんがヒロインの「おひさま」(2011年)でした。毎日録画して、学校から帰って正座して観ていました。真央さんが演じる陽子先生に強く憧れましたし、日々の楽しみでした。そこからおこがましいながらも、いつのまにか“朝ドラ”というものへの憧れが芽生えていることに気付き、誰にも言っていませんでしたが、その思いはずっと温め続けていました。
― 「おひさま」をきっかけに、そこからずっと「“朝ドラ”に出たい」という思いがあったんですね。
上白石:毎朝15分でみんなに元気を与えて、それを見てみんな仕事や学校に行って頑張るって「なんて素敵なことだろう」と思いました。「いつか私もこういうことができる女優さんになりたいな」と。
― 今までも色々な作品に出ていらっしゃいますが、これまでの作品と“朝ドラ”の違いはありますか?
上白石:1人の人間を演じるというところでは、あまり違いはないと思います。ですが、ここまで長い期間同じ人を演じるというのは、今まであまり経験がなかったです。しかも今回は3倍濃縮でお届けする形になっていてとにかく展開が早いので、毎シーンハイライトのように感じました。そこを丁寧に一つずつ演じていくというのはとても勉強になりましたし、今後も今回の学びがことあるごとに思い出されるだろうなと思います。
上白石萌音&清原果耶が“贈りあった”ものとは
― 上白石さんがこれまで共演されてきた人の中には、歴代の“朝ドラ”に出演されている方もたくさんいらっしゃいますが、今回の出演が決まった時や撮影中に、過去の出演者のどなたかにご相談することはありましたか?上白石:「おかえりモネ」の清原果耶とずっと連絡を取り合っていました(笑)!
― そうだったんですね!具体的にアドバイスをもらったりしたのでしょうか?
上白石:アドバイスというよりかは、お互いに労い合う感じでした。「お疲れ様」「ちゃんと食べるんだよ」とお肉を贈りあったりして(笑)。同時に撮影をしていて、私は3人ヒロインがいる中の1人ですが、果耶は1人でヒロインをつとめて長期に渡って頑張っていて。私も朝8時にメイクをしながら「おかえりモネ」を観ていたので「超素敵だよ!もう本当に最高!」とずっと伝えていました。
また“朝ドラ”がカラー放送になった最初のヒロインの藤田弓子さんと2年ほど前にご一緒した時に「萌音ちゃん“朝ドラ”きっとやると思うよ」と言っていただけたのもすごく嬉しかったです。まだ決まってもいないのに「大変だけど頑張ってね」と言ってくださいました(笑)。
上白石萌音「英語を勉強していてよかった」と感じた瞬間
― 英語のセリフはいかがでしたか?工夫されたことがあれば教えてください。上白石:ラジオ音源の美しいお手本と、親身に指導してくださる英語の先生がいらしたので、とても心強かったです。安子の英語力は0からのスタートなので、上達の過程を丁寧に表現できるよう、先生や監督と緻密に相談をしながら進めました。
― 安子が14歳で英語にすごく熱中していたように、上白石さんが小中学生の時に熱中していたことはなんですか?
上白石:私もその頃から英語が大好きでした。ちょうどメキシコに住んでいた時期が小学3~5年生で、帰国してから英語に目覚めて、公文に通って毎日勉強を頑張ったり、中学校では英語の授業でクラスメイトと競ったり…。どうして当時あんなにモチベーションがあったのかはわからないですが、未だに英語が大好きなのであの頃に火が付いたんだなと思っています(笑)。
― ちなみに「この英語、なんか好き!」みたいなものはありますか?
上白石:「R」の発音が好きです(笑)。「R」を発音していると「英語喋ってるな」と実感できて、特に「R」の後に「L」が来るとすごく楽しいです。「Really?」みたいな(笑)。そこに結構陶酔していました(笑)。
「私、今かっこいいかも!」「今イケてるかもしれない!」みたいな、そういうところに私はモチベーションがありました。安子も英語の音を「音楽みたい」と言うのですが、私もその音として惹かれる感覚がとてもよくわかって。ですが、当時の私はそれを「音楽みたい」と表現することはなかなかできなかったので、「あ~、安子の感性の素敵さがあるな」と感じたセリフでした。
― これまでの経験の中で、外国での印象的な出来事はありますか?
上白石:3年ほど前に初めて1人で海外に行きました。ロンドンに行って、とにかく舞台をたくさん観たいと思って。向こうの観劇スタイルってすごくフランクで、着席するやいなや隣り合った見知らぬ人とたくさん話すんです。ある作品を観ていた時に、とても仲良くなった若いカップルがいて、「今度旅行で日本に行こうと思ってる」と言われたので、東京でオススメの場所や「あわよくば鹿児島にも行ってみて」と私の故郷を勧めたりして(笑)。舞台が終わる頃には名残惜しくなってハグして別れたのですが、現地の人と互いに好きなものについて話し合って素敵な思い出を作ることができたので、「英語を勉強していてよかった」と思いました。
「カムカムエヴリバディ」見どころポイントは?
― 上白石さんは英語がお得意でありながら、安子が最初ぎこちなく英語を話す場面の表現力に驚きました。今後、安子は上白石さんと同じぐらいのレベルまで上達していくのでしょうか?上白石:そこはぜひ楽しみにしていただきたいのですが、安子の吸収力は本当にすごいです(笑)!安子が今後どのくらい英語を勉強して話せるようになるのかというところは、一つの注目ポイントとして応援していただけたらと思います。
― 最後に視聴者の方へ向けて、作品の見どころを教えてください。
物語の幕開けは本当に温かく幸せに満ちています。ここから100年の中でいろいろなことが起こると思いますが、この温かさはずっと根底に流れるのだと思います。日々を懸命に生きて、親から子へと愛を渡していく、命の物語です。このリレーを、「ラジオ英語会話」がどうつなぐのか、それによってどう物語が動いていくのか、楽しみにご覧いただけると嬉しいです。
― 貴重なお話をありがとうございました。
(modelpress編集部)
上白石萌音(かみしらいし・もね)プロフィール
1998年1月27日生まれ。鹿児島県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞受賞し芸能界入り。2014年、映画「舞妓はレディ」で初主演、日本インターネット映画大賞・ニューフェイスブレイク賞、日本映画ベストインパクト賞、全国映連賞・女優賞、第38回日本アカデミー賞・新人俳優賞など各賞を受賞。2016年、映画「ちはやふる -上の句/下の句-」「溺れるナイフ」に出演し注目を集め、驚異的な大ヒットを記録している映画「君の名は。」では、ヒロイン・宮水三葉役を務めた。さらに「恋はつづくよどこまでも」(TBS系/2020年)「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(TBS系/2021年)「青天を衝け」(NHK/2021年)など、歌手やナレーターとしても活躍している。
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