中村倫也「水曜日が消えた」インタビュー 今後演じてみたい役柄は?集団での“立ち位置”も明かす
2020.06.27 07:00
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俳優の中村倫也(なかむら・ともや/33)が主演を務める映画『水曜日が消えた』が公開中。どんな役柄も変幻自在に演じ、見るものを魅了する中村が今作で挑んだのが、1人の人間の内側で曜日ごとに入れ替わって暮らしている“7人の僕”。モデルプレスのインタビューに応じ、1人7役を演じきった撮影エピソードや、ストーリーから発展した“曜日”にまつわるあれこれ、今後演じてみたい役柄など様々な質問に答えてくれた。
中村倫也主演『水曜日が消えた』
同作は、“7人の僕”のうち最も地味でつまらない、通称“火曜日”の視点を通して描かれていく世界の物語。中村は4年ぶりの主演作でキャラクターが全く異なる“7人の僕”を卓越した表現力で自在に演じ分けた。
メガホンをとったのは次の時代を担う気鋭の映像クリエイター100人を選出するプロジェクト「映像作家100人2019」に選ばれるなど注目を集める吉野耕平監督。今回、自身発案の完全オリジナル脚本で長編映画デビューを果たし、監督・脚本・VFXをすべて自ら担当した。
中村倫也、1人7役も「7役演じていることが出ちゃいけない映画」
― 今回1人7役ということで変わった作品だと思いますが、オファーを受けたときの心境をお聞かせ下さい。中村:「7役演じます」と説明をマネージャーから聞いたときは「何それ、どんな作品なんだろう?」と思ったんですけど、台本を読んで7役演じていることが出ちゃいけない映画だなと考えて、あくまで日常のぬくもりとか温度感が品よく残る表現をすることが大事だと思って臨みました。
― 監督のインタビューで、クランクインの際、中村さんが各曜日のキャラクターについて深く考えてきてくれたとおっしゃっていたのですが、どういった準備をされましたか?
中村:いつもと同じで特別なことはしていないです。台本を元にそれぞれの役に対して想像を膨らませたり。監督が絵を描けるので、イメージデッサンみたいなものを頂いて、そういうものを頼りにやっていきました。
― 演じる前と演じた後で特に印象が変わった曜日はありますか?
中村:(アウトドアの趣味を持つ)“日曜日”ですね。演じたら大好きになりました。あいつに関しては何にも役作りしてないんです。存在感としてミステリアスでヒントが少ないんだけど、釣った魚を「どうぞ」って冷蔵庫に入れていたり未知な部分が必要な役で、“気になるやつ”としていることが大事だなと思ったので、現場の楽しみとして個人的に取っておいて「何が出るかな」状態でやったら「なんかこいつ楽しそうだな、気になるな」となりました。
中村倫也、深川麻衣との遊びがいがあったシーン
― 撮影で一番苦労したシーンは?中村:監督と話して準備してイメージを共有したのは、VFXやCGを使っているシーン。“火曜日”が歩いていて視界がバッーと変わって場面が変わって自分のリアクションから始まるところのCGの兼ね合い。現場では映像がどうなるか分からないので、自分のリアクションが話の流れに適切になっているか、そういうところは繊細に監督と話し合いました。
― 個人的に楽しんだシーンは?
中村:図書館のシーンかな。綺麗な女の人(深川麻衣演じる図書館司書・瑞野)にドギマギする“火曜日”は遊びがいがあるなと思いました。惚れた相手の前でどんな表情するかって、人柄が出るじゃないですか。選択肢は無数にある中で“火曜日”くんが“火曜日”くんらしく、でも”火曜日”くんらしくなくなっている微妙なさじ加減を読むのが楽しかったです。
― “火曜日”のように一目惚れしたり、いつもすれ違う人に恋をしたりする経験は共感できる人も多いと思うんですが、中村さんはいかがですか?
中村:(そんな経験)ありますか(笑)?一目惚れは厳密に言うとないのかな~。中学校のときに「可愛いな」と思う女子がいて、女子と喋るタイプの男子じゃなかったので喋ったことなかったんですけどある日学校の行事でスキー合宿があって、風呂上がりの濡れ髪のその子を見たときに、初めて濡れ髪の異性の同級生を見て、“サーン!”ってなったんですよ(笑)。一目じゃないけどその瞬間のインパクトで「好き!!」となって告白しました。なので、知らない人に初対面で(恋をする)ということではないんですが、そういう気持ちも理解はできますね。
中村倫也と“曜日”トーク「僕の中で曜日が関わることは○○と〇〇だけ」
― では、もし一週間のうち1日しか過ごせないとして選べるとしたら何曜日が良いですか?中村:…嫌だ(笑)!この仕事をしていると、曜日感覚があんまりなくて僕の中で曜日が関わることは月曜の「週刊少年ジャンプ」(発売)と金曜の「バナナムーン」(TBSラジオ「金曜JUNK バナナマンのバナナムーンGOLD」)だけなので、じゃあ金曜になるのかな?
― 「何曜日が好き」という感覚はあまりないですか?
中村:あります?
― 学生だったら月曜日が憂鬱とか…
中村:学生時代も僕はなかったですね。学校楽しくて好きでしたし、休みは休みで楽しかったし、毎日ハッピー坊や(笑)。
― 確かに俳優さんは、曜日感覚難しいですよね。
中村:今日が何曜日か僕知らないですもん(笑)。土日は学校とか、平日使えないロケ地に行くとか、車に乗っているときに「今日やたら道空いてるなあ」とか、意識するのはそういうときくらいですね。
中村倫也、人とシェアできるもの・できないものは?
― 7人の僕による共同生活を描いた作品としても楽しめました。7人の僕はマグカップや服なども全員別々にしていますが、中村さんがもし人と共同生活するとしたらシェアできるものとシェアできないものは何ですか?中村:えー、分かんない(笑)!歯ブラシはシェアしたくない、服もしないでしょ。でも、後輩が家に遊びに来て泊まって帰るときは部屋着とか貸すし、そういう意味ではシェアできているので、できないものの方が少ないかもしれません。あんまり思いつかない。
― もし同じ状況になったら“火曜日”のように嫌なことを回される役回りになるのか、“月曜日”みたいに自由奔放になるのか、どちらでしょうか?
中村:そういう意味ではどっちもないです。自由奔放にはしないですし、“火曜日”みたいに周りがアク強いやつばかりの立場になっても絶対文句言いますから。諦めるところは諦めて受け入れつつ、「これはわがまま言わせて」と提案したり。だから中間じゃないかな。
― 仕切ることもありますか?
中村:それも結構メンツによったりしますね。例えば飲み会とかでも色んなやついるじゃないですか?「あんまり率先して会話回すやついないな」と思ったらそういうことするし、「よく楽しんでいるやつがいるな」と思ったら見ているし、「ツッコミいないな」と思ったらツッコむし、持ちつ持たれつその場を良くして皆で楽しく過ごします。
― では、観客の方に今作を通じて感じて欲しいことを教えて下さい。
中村:出てくる登場人物は“7曜日”だけじゃなく、他のキャラクターも皆、気が付いたら愛着が湧くと思います。作品自体も距離が縮まるものになっていると思うので、どこにフォーカスするかできっと色々な感じ方、観方があると思って僕が何か言わなくても観てくれたら絶対損しないと思うし、自由に楽しんで欲しいです。…観終わったらなんか元気や力が出る作品だと思いますよ。
中村倫也、今後やりたい役柄は…モデルプレスで宣言すると実現する都市伝説?
― 2020年も折り返しですが、半年振り返って俳優業としてはどうでしたか?中村:まだ「美食探偵 明智五郎」しかやっていないんですけど、充実しています。『水曜日が消えた』もそうなんですけど、クランクインした日に分かるんですよね。一緒に仕事する人たちの空気感全体で「なんか面白いことになるな」という感覚があって、そういう意味では非常に楽しく過ごしています。
― 前々回の単独インタビューから今後挑戦したい役柄を聞いていて、毎回答えて下さった役柄がその後実現しているので、またここで今後演じてみたい役柄をお聞きできればと思います。
中村:モデルプレスで言ったら実現する都市伝説(笑)?そうだな…バカみたいにラブラブの夫婦で、バカみたいに可愛い子供がいてバカみたいな日々を毎日過ごしている、そんな役がやりたいです。例えば漫画や小説を読んでいて、「これ実写化したいな」と思うことがあるんですけど、いっつも僕が好きなのは平和なものなんですよね。何の変哲もない平和な作品が好きなのでやりたいです。
― では、最後に夢を追うモデルプレス読者に向けて、夢を叶える秘訣を教えて下さい。
中村:やっぱりお金じゃないですか?…とか夢がないことを言って(笑)。大したもんじゃないからな~。夢なんて叶わないことの方が多いですからね。でも諦めずにもがいて前に進まないといつまで経っても叶わないものだし、やりたいならやる、やりたくなくなったら他のこと考える、動くしかない。あとは、努力だけじゃどうにもならないこともあるし、運とか出会いとかタイミングとか色んなものがあると思いますけど、欲しいなら欲しいと思うことが大事なんじゃないでしょうか。頑張るしかないですよね。
― ありがとうございます。
インタビューこぼれ話
多忙なスケジュールの中、急遽取材が実現した取材当日。モデルプレスの単独インタビューが2018年ぶりと伝えると、「そうですよね。僕干されていますか?やらかしましたか?いやいや、いつも色々と記事にして下さって(笑)」とジョークを飛ばして笑わせてくれました。「バカみたいな平和な夫婦役」が見れる日、期待して待っております。(modelpress編集部)中村倫也(なかむら・ともや)プロフィール
1986年12月24日生まれ。2005年に俳優デビュー。2014年に「ヒストリーボーイズ」にて舞台初主演。同作で第22回読売演劇大賞優秀男優賞受賞。2018年には連続テレビ小説「半分、青い。」(NHK)に出演。そのほか「崖っぷちホテル!」(18/日本テレビ)、「ドロ刑 -警視庁捜査三課-」(2018/日本テレビ)、「初めて恋をした日に読む話」(19/TBS)、「凪のお暇」(19/TBS)などに出演。2020年はスペシャルドラマ「不協和音 炎の刑事 VS 氷の検事」(テレビ朝日)が放送され、主演を務める「美食探偵 明智五郎」(日本テレビ)が放送中。主な映画出演作は、『SPINNING KITE』(主演・13)、『星ガ丘ワンダーランド』(主演・16)、『愚行録』(17)、『3月のライオン 前編・後編』(17)、『孤狼の血』(18)、『長いお別れ』(19)、『台風家族』(19)、『屍人荘の殺人』(19)、『影裏』(20)など多数。公開待機作には、『人数の町』(9月4日公開)、『騙し絵の牙』(近日公開)、『サイレント・トーキョー』(20年12月公開予定)などがある。
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