りゅうちぇる「バラエティとSNSでは無理だなと思った」性別にとらわれない自分の“色”表現し続ける信念<RYUCHELL「SUPER CANDY BOY」インタビュー>
2019.04.01 07:30
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昨年2月にアーティスト“RYUCHELL”として音楽活動をスタートさせたタレントのりゅうちぇるが、4月10日にファーストアルバム『SUPER CANDY BOY』をリリース。バラエティ番組やSNSを通じ、世代を超えて絶大な支持を集める彼が、「歌でしかできない」と歌手活動を続ける深い理由に迫った。
自身の過去の経験から「誰もが持っている個性(色)を、隠したり偽ったりせず、大切にしてほしい」という強い想いを持ち、2018 年から音楽活動を始動させたRYUCHELL。アルバムタイトル『SUPER CANDY BOY』には、“CANDY(女の子っぽいもの)”と“BOY(男の子っぽいもの)”という2つの単語を組み合わせ、RYUCHELL ならではの世界観を表現したいという思いが込められている。
Twitter、Instagramともに120万人以上のフォロワーを誇り、最近ではテレビでも「個性を隠さず貫くことの大切さ」というメッセージを発信する存在となった彼。すでに絶大な影響力を持ちながらも、なぜ歌手という新たなフィールドに立ち、そして歌い続けるのだろうか。
RYUCHELL:去年RYUCHELLとしてアーティストデビューして、ライブやリリース配信をさせていただいたのですが、初めてのジャンルのお仕事ということでとても緊張した年でもありました。“バラエティのりゅうちぇる”ではなく“アーティストのRYUCHELL”をこれからみなさんに知ってもらうという中で、どういう曲、どういうビジュアルをお届けするのか、探り探りでもあったんです。ですが今回初めてアルバムとして形になるということで、僕の大好きな世界観をしっかり知ってもらうのはもちろん、バラエティでは伝えられない “ハッピーなりゅうちぇるに至るまでの過程”をメッセージとして歌で伝えたいと思いました。これを聞けば今の僕や、これまでの道のりもみなさんに分かっていただけると思います。僕の自己紹介、名刺のような作品になりました。
― アーティスト活動を始めて、様々な反応があったと思います。どう受け止めていましたか?
RYUCHELL:世に出ないと評価がわからないという意味では、最初からすごく勉強になりました。やっぱりデビュー曲は大切にしたかったというのもあって、最初は自分の好きなものをどんどん取り入れ過ぎたようです。曲は80~90年代のユーロビート、ダンスもユーロビートに合うジャズダンス、MVもわざと画質を荒く、衣装・メイクも全てその時代のもの…という風に意識し過ぎて、みなさんからすると逆にサブカルっぽくなってしまったというか、「これは伝わっているのだろうか?」という感触もありました。なので『Hands up!! If you're Awesome』というデビュー曲のおかげで、今後は自分の大好きなものを消さないようしっかり意識しつつ、一方でみなさんにも共感してもらえて、可愛いと思ってもらえるいいバランスで作品を作っていかないといけないのだな、ということに気づけたんです。
― アーティスト“RYUCHELL”としてのバランスが徐々に見えてきたと。
RYUCHELL:そうですね。伝えたいメッセージがうまく伝わるように、僕も努力しないといけない。みんなに押し付けるだけじゃなく、自分にも努力できることがあると思いました。じゃあ実際どんな曲がいいんだろう?と迷っていた時に、スタッフさんがヒャダインさんを紹介してくださったんです。ヒャダインさんは僕の好きなもの、伝えたいこともちゃんと分かってくださって、本当に天才だなと思います(笑)。すごくいい人と巡り会えました。
― ヒャダインさんとのタッグは、息子さんの名前をタイトルにした2ndシングル「Link」からですね。
RYUCHELL:そうなんです。当時ぺこりんが妊娠していて、正直、自分の子供のことを歌にするのはすごく抵抗がありました。まだ産まれてもない子供を仕事に巻き込む感じがして。でもヒャダインさんが作って下さった曲を聴いた時に、僕ら家族の話だけではなくて、みなさんにも大切な人を思って共感してもらえるような曲になっていて、これはみんなに聴いてほしいと思ったんです。ニュー・ジャック・スウィングのサウンドとか、大好きな80~90’sの世界観もしっかり表現できて、嘘偽りないメッセージを伝えられると思いました。デビュー曲から成長したというか、RYUCHELLとしてのあり方が見えてきた感じでしたね。
RYUCHELL:そうですね、普段から僕がCANDYとBOYを組み合わせて「自分は男の子でもなく女の子でもなくCANDY BOYなの」と言っているように、みなさんも性別や年齢にとらわれず、“自分で自分のジャンルを作っていいんだよ”というメッセージを伝えたくて。例えば“桃太郎”も、桃という可愛らしいイメージと、男の子を組み合わせたものですよね。今では当たり前に昔話としてあるけれど、その物語が無かったら、キラキラネームと言われてしまうと思うんですよ。ずっと昔から存在しているから、それが普通になる。「こういう人もいていいんだ」という考え方をずっと続けていけば、風変わりなものも文化になっていくんです。今認めてもらえなくても、将来当たり前になることが必ずあると思うんですよね。そういったメッセージを伝えるためにも『SUPER CANDY BOY』しか思い浮かばなかったです。
― 曲の歌詞もそうですが、SNSや様々な媒体を通して、いつも分かりやすい言葉で「多様性の重要性」を伝えられていますね。お子さんが産まれたこともそのような意識に影響を与えていますか?
RYUCHELL:そうですね。僕自身も中学時代とかは人の目を気にして、自分を偽っていたことがありました。これからリンクにも、そういう時期が必ず来ると思うんです。そんな時に周りに流されて、自分の好きなものを偽って、違う自分を演じて生きてしまうと、自信も無くなるし、夢も、どこに進むべきかも分からなくなってしまう。でもリンクには、どんな時でも自分を愛せる子になってほしい。例えば、同性愛の方だったり、いろんな方がいるけれど、馬鹿にされるかもしれないと思ったり、コンプレックスがあったりしても、自分の色を守れるようになってほしいんです。そのためには僕とぺこりんが、誰に何を言われても、キラキラ自分らしく生きている姿を見せることが、すごく大切だと思っています。親が人の目を気にして生きていたら、それを真似されてしまうと思うので。自分の色を出す、自分を表現するということはずっと伝えていきたいし、それをしっかりと僕たちが子供に見せてあげたいと思っています。
―どうしても自分を他人に合わせてしまったり、他人に合わせる方がうまくいくんじゃないか、と思ってしまうこともあると思います。そういう時、RYUCHELLさんならどうされますか?
RYUCHELL:マナーやルールはもちろん守るべきですが、マナーもルールもないのに自分から個性を隠したり、偽ってしまうのは「一度きりの人生なのに、なんで周りの人の目で生きてしまうんだろう」と思います。周りの人のために生きているわけではないし、もっと自分を甘やかしてもいいし、自分のことを幸せにしてあげていい。
僕は学生時代からすごく派手だったので、いろんな人からからかわれたり、「なにあいつ」と言われることも沢山ありました。例えば自分が大好きな人や、尊敬する人に何かを言われたら自分を見つめ直すきっかけになるかもしれませんが、本当の僕を知らない人に何か言われても「僕の何を知ってるんですか?」と思うんですよね。好きなもの、信じているもの、何も知らないくせに、見た目だけで決めつけるのはただの食わず嫌いですし、気にしなくなりました。
それに僕の場合、高校からはSNSも始めて、沢山の方がフォローしてくれたり、ファンの子もできたので、「分かってくれる人がいる」ということが自信にもつながりましたね。
RYUCHELL:そうですね。それこそ「ほんとに強いね」とよく言われるんですが、本当はガラスのハートだし、落ち込んだりすることもあります。そういう時にファンの方の応援があって「僕には家族も、ファンの方もいるし、何も怖くないや」と思える。僕にとっての居場所だなと思います。
それにSNSのコメントでは、自分を出せなくてすごく悩んでいたりとか、自分の色が分からない、自分のなりたい自分がそもそも分からない、自分に自信がない、自分を出してもやっぱり出し続けるのが怖い…といった声を、年齢問わず本当に沢山いただくんです。それが歌を始める原動力になりました。逆にそういうコメントが無かったら、歌は始めていないです。
― そういった声に歌で応えようと。
RYUCHELL:そうです。バラエティとSNSでは無理だな、と思ったので。
― バラエティとSNSでは無理だと思ったのはなぜですか?
RYUCHELL:バラエティは、僕一人では作れないし、僕一人の構成ではないので無理だと思いました。それにテレビではやっぱり“ハッピーなりゅうちぇる”を見て「疲れがとれたな」「面白いな」って思ってもらえる方が自分の中でもしっくりくるんです。SNSは、思ったことをすぐ言える魅力がありつつ、作品とまでは行かないし、時代を超えてずっと残るものではない。それに文章だけだと必要以上に強く伝わってしまったり、本当に伝えたいことが弱く伝わってしまったりしますよね。でも歌を通すと、例えば「頑張って」や「ありがとう」という言葉って、文章で見てもあまり響かないのに、歌で聴くとグッと心に入ったりすることがあるじゃないですか。歌のパワーってそういうことだと思うんです。僕は学生時代「glee」というドラマがすごく好きで、音楽を通して元気が出るという経験を沢山してきたので、歌ならできるって思って。
― 以前Twitterでは、「歌で全部を歌えたいからSNSをやめようかと思った」ということもおっしゃられていましたね。
RYUCHELL:はい。考えていることを日々のSNSで全て出してしまうと、せっかく歌を頑張ろうと思っているのに、もったいないんじゃないかな、と思っていたんです。伝えたいことは歌で伝えたいから、SNSではそんなに語らないようにしよう、と。でも、その瞬間にすぐ伝えるべきことって生きていたらありますよね。なので今は、バラエティ・SNS・アーティストという3人の自分がいて、それぞれ違うものなんだ、と考えています。それにSNSはみなさんとの繋がりを強く感じられるので、やっぱり大切にしたいですね。
― バラエティでの露出が多かった数年前と比べると、お仕事のジャンルもかなり変わってきていると思います。今後その3つの比重はどうなっていくのでしょうか。
RYUCHELL:どちらかを少なくしてどちらかを多くする、というのはそんなになくて、全て自分を表現する大切な要素だと思っています。ただ、バラエティとSNSのりゅうちぇるをみなさんに沢山愛していただいて、本当に感謝している一方で、まだ僕がアーティスト・RYUCHELLとして歌を出していることは知らない方も沢山います。やると決めた以上中途半端にはできないですし、今は歌を頑張っていかなきゃいけないと思っています。それに歌のお仕事をさせてもらって、ファンのみなさんと会える機会がすごく多くなったんです。自分ではそんなつもり全然無かったのですが、今まではどうしても“テレビの向こうの人”というイメージが強かったみたいで。今回はリリースイベントもさせていただきますし、テレビの向こうから応援してくれていた方々と会えるのがすごく嬉しくて、これからもライブを沢山したいな、と思っています。
RYUCHELL:やっぱり「自分を好きになること」が一番大事だと思います。自分を好きじゃない人ってまず、夢を見つけられないと思うんです。小さい頃って、いい意味でみんなナルシストじゃないですか。「自分のこと大好き」と思っているから「お姫様になる、プロ野球選手になる…」と言えるけれど、大人になったらやっぱり現実を見てしまう。でもそれは現実を決めつけているだけだと思うんですね。以前、「自分を愛せない」という子に「夢がない」と言われたことがあるんです。「でも、好きなものはないの?」と聞くと「ワンちゃんが好き」と返ってきたので「じゃあそれを仕事にしないの?」と聞いたら、「自分にはできない」ってなったんですよ。もし自分のことを愛せていたら、「私、ワンちゃんが好きだからワンちゃんの仕事する」って言えると思う。なぜそんなに自分に自信がないのか…と考えたら、やっぱり人と比べてしまっているんだと思うんですね。なので、自分を愛してあげることが、そもそもの一歩かなと思います。
― 堂々と活動されているRYUCHELLさんを見ていたら、自分を愛することの大切さに気づけそうです。
RYUCHELL:だから、僕が自信を持って自分の道を進んでいる姿を見て、「明日から自分らしく生きてみたい、生きていこう」と思ってもらえるような、パワーを与えられたら、きっかけを作れたらと心から思っています。
― ありがとうございました。
――――――バラエティ番組で“ハッピー”を届け、SNSを通じファンのSOSに耳を傾けるりゅうちぇる。『自分の色を隠さず、偽らず、自分を愛してあげよう』そのメッセージを人々へ、そして息子へ伝えるため、これからもRYUCHELLとして歌い続ける。(modelpress編集部)
「普通」の男の子像からはみ出している自分に、生きづらさを感じていた学生時代。
その状況を変えたいという気持ちからTwitterを始め、偽りない自分を発信し始める。
高校卒業後、どんな個性も受け止めてくれる街「原宿」に上京し、ありのままの自分を表現していくことを決意。オリジナリティあふれるファッションセンスで、ショップ店員をするかたわら読者モデルとして活躍。その後、テレビのバラエティ番組出演をきっかけに、奔放なキャラクターで全国区のタレントとなる。討論番組へ出演した際に、自分の意見への共感が励みとなり、それ以来メッセージを詞にして書き溜めるように。
2018年、その想いをより広く伝えるために音楽活動を本格始動した。
Twitter、Instagramともに120万人以上のフォロワーを誇り、最近ではテレビでも「個性を隠さず貫くことの大切さ」というメッセージを発信する存在となった彼。すでに絶大な影響力を持ちながらも、なぜ歌手という新たなフィールドに立ち、そして歌い続けるのだろうか。
“RYUCHELL”デビューから1年 初アルバムに込める思い
― 初アルバムにRYUCHELLさんが込めた思い、伝えたいメッセージを教えて下さい。RYUCHELL:去年RYUCHELLとしてアーティストデビューして、ライブやリリース配信をさせていただいたのですが、初めてのジャンルのお仕事ということでとても緊張した年でもありました。“バラエティのりゅうちぇる”ではなく“アーティストのRYUCHELL”をこれからみなさんに知ってもらうという中で、どういう曲、どういうビジュアルをお届けするのか、探り探りでもあったんです。ですが今回初めてアルバムとして形になるということで、僕の大好きな世界観をしっかり知ってもらうのはもちろん、バラエティでは伝えられない “ハッピーなりゅうちぇるに至るまでの過程”をメッセージとして歌で伝えたいと思いました。これを聞けば今の僕や、これまでの道のりもみなさんに分かっていただけると思います。僕の自己紹介、名刺のような作品になりました。
― アーティスト活動を始めて、様々な反応があったと思います。どう受け止めていましたか?
RYUCHELL:世に出ないと評価がわからないという意味では、最初からすごく勉強になりました。やっぱりデビュー曲は大切にしたかったというのもあって、最初は自分の好きなものをどんどん取り入れ過ぎたようです。曲は80~90年代のユーロビート、ダンスもユーロビートに合うジャズダンス、MVもわざと画質を荒く、衣装・メイクも全てその時代のもの…という風に意識し過ぎて、みなさんからすると逆にサブカルっぽくなってしまったというか、「これは伝わっているのだろうか?」という感触もありました。なので『Hands up!! If you're Awesome』というデビュー曲のおかげで、今後は自分の大好きなものを消さないようしっかり意識しつつ、一方でみなさんにも共感してもらえて、可愛いと思ってもらえるいいバランスで作品を作っていかないといけないのだな、ということに気づけたんです。
― アーティスト“RYUCHELL”としてのバランスが徐々に見えてきたと。
RYUCHELL:そうですね。伝えたいメッセージがうまく伝わるように、僕も努力しないといけない。みんなに押し付けるだけじゃなく、自分にも努力できることがあると思いました。じゃあ実際どんな曲がいいんだろう?と迷っていた時に、スタッフさんがヒャダインさんを紹介してくださったんです。ヒャダインさんは僕の好きなもの、伝えたいこともちゃんと分かってくださって、本当に天才だなと思います(笑)。すごくいい人と巡り会えました。
― ヒャダインさんとのタッグは、息子さんの名前をタイトルにした2ndシングル「Link」からですね。
RYUCHELL:そうなんです。当時ぺこりんが妊娠していて、正直、自分の子供のことを歌にするのはすごく抵抗がありました。まだ産まれてもない子供を仕事に巻き込む感じがして。でもヒャダインさんが作って下さった曲を聴いた時に、僕ら家族の話だけではなくて、みなさんにも大切な人を思って共感してもらえるような曲になっていて、これはみんなに聴いてほしいと思ったんです。ニュー・ジャック・スウィングのサウンドとか、大好きな80~90’sの世界観もしっかり表現できて、嘘偽りないメッセージを伝えられると思いました。デビュー曲から成長したというか、RYUCHELLとしてのあり方が見えてきた感じでしたね。
「個性を隠さないこと、多様性の大切さ」RYUCHELLが伝え続けること
― タイトルの『SUPER CANDY BOY』からも分かるように、今回のアルバムは“性別にとらわれない”世界観がメインテーマになっていますね。RYUCHELL:そうですね、普段から僕がCANDYとBOYを組み合わせて「自分は男の子でもなく女の子でもなくCANDY BOYなの」と言っているように、みなさんも性別や年齢にとらわれず、“自分で自分のジャンルを作っていいんだよ”というメッセージを伝えたくて。例えば“桃太郎”も、桃という可愛らしいイメージと、男の子を組み合わせたものですよね。今では当たり前に昔話としてあるけれど、その物語が無かったら、キラキラネームと言われてしまうと思うんですよ。ずっと昔から存在しているから、それが普通になる。「こういう人もいていいんだ」という考え方をずっと続けていけば、風変わりなものも文化になっていくんです。今認めてもらえなくても、将来当たり前になることが必ずあると思うんですよね。そういったメッセージを伝えるためにも『SUPER CANDY BOY』しか思い浮かばなかったです。
― 曲の歌詞もそうですが、SNSや様々な媒体を通して、いつも分かりやすい言葉で「多様性の重要性」を伝えられていますね。お子さんが産まれたこともそのような意識に影響を与えていますか?
RYUCHELL:そうですね。僕自身も中学時代とかは人の目を気にして、自分を偽っていたことがありました。これからリンクにも、そういう時期が必ず来ると思うんです。そんな時に周りに流されて、自分の好きなものを偽って、違う自分を演じて生きてしまうと、自信も無くなるし、夢も、どこに進むべきかも分からなくなってしまう。でもリンクには、どんな時でも自分を愛せる子になってほしい。例えば、同性愛の方だったり、いろんな方がいるけれど、馬鹿にされるかもしれないと思ったり、コンプレックスがあったりしても、自分の色を守れるようになってほしいんです。そのためには僕とぺこりんが、誰に何を言われても、キラキラ自分らしく生きている姿を見せることが、すごく大切だと思っています。親が人の目を気にして生きていたら、それを真似されてしまうと思うので。自分の色を出す、自分を表現するということはずっと伝えていきたいし、それをしっかりと僕たちが子供に見せてあげたいと思っています。
―どうしても自分を他人に合わせてしまったり、他人に合わせる方がうまくいくんじゃないか、と思ってしまうこともあると思います。そういう時、RYUCHELLさんならどうされますか?
RYUCHELL:マナーやルールはもちろん守るべきですが、マナーもルールもないのに自分から個性を隠したり、偽ってしまうのは「一度きりの人生なのに、なんで周りの人の目で生きてしまうんだろう」と思います。周りの人のために生きているわけではないし、もっと自分を甘やかしてもいいし、自分のことを幸せにしてあげていい。
僕は学生時代からすごく派手だったので、いろんな人からからかわれたり、「なにあいつ」と言われることも沢山ありました。例えば自分が大好きな人や、尊敬する人に何かを言われたら自分を見つめ直すきっかけになるかもしれませんが、本当の僕を知らない人に何か言われても「僕の何を知ってるんですか?」と思うんですよね。好きなもの、信じているもの、何も知らないくせに、見た目だけで決めつけるのはただの食わず嫌いですし、気にしなくなりました。
それに僕の場合、高校からはSNSも始めて、沢山の方がフォローしてくれたり、ファンの子もできたので、「分かってくれる人がいる」ということが自信にもつながりましたね。
「バラエティとSNSでは無理だな、と思った」RYUCHELLが歌う理由
― ファンの方の共感や声援が大きな力になっているのですね。RYUCHELL:そうですね。それこそ「ほんとに強いね」とよく言われるんですが、本当はガラスのハートだし、落ち込んだりすることもあります。そういう時にファンの方の応援があって「僕には家族も、ファンの方もいるし、何も怖くないや」と思える。僕にとっての居場所だなと思います。
それにSNSのコメントでは、自分を出せなくてすごく悩んでいたりとか、自分の色が分からない、自分のなりたい自分がそもそも分からない、自分に自信がない、自分を出してもやっぱり出し続けるのが怖い…といった声を、年齢問わず本当に沢山いただくんです。それが歌を始める原動力になりました。逆にそういうコメントが無かったら、歌は始めていないです。
― そういった声に歌で応えようと。
RYUCHELL:そうです。バラエティとSNSでは無理だな、と思ったので。
― バラエティとSNSでは無理だと思ったのはなぜですか?
RYUCHELL:バラエティは、僕一人では作れないし、僕一人の構成ではないので無理だと思いました。それにテレビではやっぱり“ハッピーなりゅうちぇる”を見て「疲れがとれたな」「面白いな」って思ってもらえる方が自分の中でもしっくりくるんです。SNSは、思ったことをすぐ言える魅力がありつつ、作品とまでは行かないし、時代を超えてずっと残るものではない。それに文章だけだと必要以上に強く伝わってしまったり、本当に伝えたいことが弱く伝わってしまったりしますよね。でも歌を通すと、例えば「頑張って」や「ありがとう」という言葉って、文章で見てもあまり響かないのに、歌で聴くとグッと心に入ったりすることがあるじゃないですか。歌のパワーってそういうことだと思うんです。僕は学生時代「glee」というドラマがすごく好きで、音楽を通して元気が出るという経験を沢山してきたので、歌ならできるって思って。
― 以前Twitterでは、「歌で全部を歌えたいからSNSをやめようかと思った」ということもおっしゃられていましたね。
RYUCHELL:はい。考えていることを日々のSNSで全て出してしまうと、せっかく歌を頑張ろうと思っているのに、もったいないんじゃないかな、と思っていたんです。伝えたいことは歌で伝えたいから、SNSではそんなに語らないようにしよう、と。でも、その瞬間にすぐ伝えるべきことって生きていたらありますよね。なので今は、バラエティ・SNS・アーティストという3人の自分がいて、それぞれ違うものなんだ、と考えています。それにSNSはみなさんとの繋がりを強く感じられるので、やっぱり大切にしたいですね。
― バラエティでの露出が多かった数年前と比べると、お仕事のジャンルもかなり変わってきていると思います。今後その3つの比重はどうなっていくのでしょうか。
RYUCHELL:どちらかを少なくしてどちらかを多くする、というのはそんなになくて、全て自分を表現する大切な要素だと思っています。ただ、バラエティとSNSのりゅうちぇるをみなさんに沢山愛していただいて、本当に感謝している一方で、まだ僕がアーティスト・RYUCHELLとして歌を出していることは知らない方も沢山います。やると決めた以上中途半端にはできないですし、今は歌を頑張っていかなきゃいけないと思っています。それに歌のお仕事をさせてもらって、ファンのみなさんと会える機会がすごく多くなったんです。自分ではそんなつもり全然無かったのですが、今まではどうしても“テレビの向こうの人”というイメージが強かったみたいで。今回はリリースイベントもさせていただきますし、テレビの向こうから応援してくれていた方々と会えるのがすごく嬉しくて、これからもライブを沢山したいな、と思っています。
夢を叶える秘訣
― 最後に、歌で思いを伝える夢を叶えたRYUCHELLさんからモデルプレス読者に、“夢を叶える秘訣”を教えてください。RYUCHELL:やっぱり「自分を好きになること」が一番大事だと思います。自分を好きじゃない人ってまず、夢を見つけられないと思うんです。小さい頃って、いい意味でみんなナルシストじゃないですか。「自分のこと大好き」と思っているから「お姫様になる、プロ野球選手になる…」と言えるけれど、大人になったらやっぱり現実を見てしまう。でもそれは現実を決めつけているだけだと思うんですね。以前、「自分を愛せない」という子に「夢がない」と言われたことがあるんです。「でも、好きなものはないの?」と聞くと「ワンちゃんが好き」と返ってきたので「じゃあそれを仕事にしないの?」と聞いたら、「自分にはできない」ってなったんですよ。もし自分のことを愛せていたら、「私、ワンちゃんが好きだからワンちゃんの仕事する」って言えると思う。なぜそんなに自分に自信がないのか…と考えたら、やっぱり人と比べてしまっているんだと思うんですね。なので、自分を愛してあげることが、そもそもの一歩かなと思います。
― 堂々と活動されているRYUCHELLさんを見ていたら、自分を愛することの大切さに気づけそうです。
RYUCHELL:だから、僕が自信を持って自分の道を進んでいる姿を見て、「明日から自分らしく生きてみたい、生きていこう」と思ってもらえるような、パワーを与えられたら、きっかけを作れたらと心から思っています。
― ありがとうございました。
――――――バラエティ番組で“ハッピー”を届け、SNSを通じファンのSOSに耳を傾けるりゅうちぇる。『自分の色を隠さず、偽らず、自分を愛してあげよう』そのメッセージを人々へ、そして息子へ伝えるため、これからもRYUCHELLとして歌い続ける。(modelpress編集部)
RYUCHELLプロフィール
1995年9月29日、沖縄生まれ。「普通」の男の子像からはみ出している自分に、生きづらさを感じていた学生時代。
その状況を変えたいという気持ちからTwitterを始め、偽りない自分を発信し始める。
高校卒業後、どんな個性も受け止めてくれる街「原宿」に上京し、ありのままの自分を表現していくことを決意。オリジナリティあふれるファッションセンスで、ショップ店員をするかたわら読者モデルとして活躍。その後、テレビのバラエティ番組出演をきっかけに、奔放なキャラクターで全国区のタレントとなる。討論番組へ出演した際に、自分の意見への共感が励みとなり、それ以来メッセージを詞にして書き溜めるように。
2018年、その想いをより広く伝えるために音楽活動を本格始動した。
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