モデルプレスのインタビューに応じた、乃木坂46・高山一実(C)モデルプレス

<乃木坂46高山一実インタビュー>小説家デビューで手に入れたもの、飽くなき“アイドル”へのこだわり 西野七瀬の卒業で感じた悔しさ「もっと自分に実力があったら…」

2019.01.09 21:00

乃木坂46高山一実(たかやまかずみ/24)が昨年末、小説家デビューを果たした。初小説『トラペジウム』(KADOKAWA)は現役トップアイドルが「アイドルを目指す、ある女の子の10年間」についてつづった本格長編小説。「念願です。7年前からこの日を待っていたんだと思います」と充実感をにじませる一方で、2018年を総括し「グループに貢献できている、という感覚はゼロに近い」という悩みも包み隠さずに明かした。小説だけではなく『オールスター後夜祭』の司会を担うなど、“高山一実”としてさらなるステップアップを遂げたであろう彼女が今思うこと、夢をまたひとつ叶えた彼女が考える「夢を叶える秘訣」とは―――<モデルプレスインタビュー>

  

高山一実『トラペジウム』4度目の重版で話題

同作は雑誌『ダ・ヴィンチ』において2016年5月号から2018年9月号の2年以上にわたって連載された作品を加筆修正。帯文には「これは一つの青春の終わりから、次の青春へ向かう物語」(中村文則)、「時折あらわれる、鋭い“いじわる”表現が良い」(羽田圭介)というコメントが寄せられ、高山の書き手としての才能にも注目が集まるほか、売れ行き好調につき4度目の重版で累計発行部数が13万4000部に達するなど話題を呼んでいる。

高山一実、小説家デビューの心境「7年前からこの日を待っていた」

高山一実(C)モデルプレス
― 小説家デビュー、おめでとうございます!念願ですね。

高山:念願です。連載で書き始めていたときは、とにかくラストまで書き終えられますようにっていう感じだったんですけど、心のどこかでは1冊の本にしたいという気持ちもあったので。自分がアイドルとしてできるベストの形がこの本といっても過言ではなくて、7年前からこの日を待っていたんだと思います。自分がアイドルになった日から、自分が胸を張ってアイドルをやっていると言える日をずっと探していたんですよね。そういう意味でも念願です。

― 小説を通して高山さんのどんな想いを感じ取ってもらえたら嬉しいですか?

高山:小説にいろんな想いを隠しているので、ひとつでも気づいてもらえたら嬉しいですね。すでにいろんな反響をいただいているのですが、夢に向かって頑張ることの大切さと、その一方で周りに迷惑をかけてしまったという葛藤、夢を叶えるためにもがくことはいいことなのか改めて見つめ直すことができました、という感想は嬉しかったです。夢のために頑張ることはもちろん素敵なことだけど、人を巻き込むことによって、必ずしも夢のために頑張ることがいいこととは言い切れないというか。

高山一実の夢を叶える秘訣「自信がなくても諦めないこと」

高山一実(C)モデルプレス
― なるほど、深いですね。モデルプレス読者には夢を叶えたいと頑張っている女の子が非常に多いのですが、高山さんが思う“夢を叶える秘訣”を教えてください。

高山:自信がなくても諦めないことです。私は乃木坂46に入れたんですけど、自分がアイドルになれるなんて思っていなかったし、自分に自信もなかった。きっと偏差値50の人が偏差値70の学校を受験するようなことだったと思うんです。今思えば挑戦を恐れなかったことが良かったのかなって。手の届きそうなことをたくさんやるより、手の届かなそうなことをひとつやる方に価値があるというか。人生でそれに挑むのは少なくていいと思うんですけど、チャレンジはしないといけない。私に置き換えると、それがアイドルになることと、小説を発売することでした。

― 大きな夢を目指せば目指すほど、その過程で挫折もあると思います。高山さんは諦めそうになったとき、どのように自分を奮い立たせますか?

高山:もう一度、自分を見つめ直して、自分に適した道を進むように軌道修正しています。きっと受験でいえば、予備校が合っているのか、自分の勉強法は正しいのか、とかいろんな方法を試して、自分に最適なものを見つける感覚。挫折したとしても、方法はひとつじゃない、って気づけると、あまりショックを受けずに次に進めるんですよね。私の場合、アイドルとしての成功、アイドルとして自分にできることを模索しているときに、本を書くことだなと思いました。

― つらいとき、周りに相談などはしますか?

高山:誰かに相談してすっきりするタイプではないですね。結局自分の気持ちに整理がつかないと次に進めないタイプ。そういう意味ではつらいときも割と本を読んできましたし、助けられてきました。本を読んで、非現実的な世界に入り込んで、現実に戻って嫌なことを忘れている、みたいなことも多いです。

乃木坂46との両立、小説を書き上げる苦労は…

高山一実(C)モデルプレス
― 話が少し戻りますが、小説を書き上げる上で、なにに苦労しましたか?

高山:最初の方は意外と生みの苦しみってなかったんですけど、途中でぱったりタイピングを打つ手が止まったときがあって。それはインプットの量が足りなくなったとき。どうにかして休みの日になにかしないと、って焦りました。書きたいものが頭にあってもそこに繋げるストーリーが浮かばなかったんです。でも締め切りは迫ってくるので、そのときは本当に苦労しました。

― 寝る間を惜しんで書いているときもありましたね。

高山:そうですね、小説用の時間を確保していただいていたわけではないので、家に帰ってずっと書いていたこともありました。もちろんお仕事をいただけるのはありがたいことですが、書くことに集中したい、という時期も正直ありました。家でやることって意外と多いんです、原稿を書いたり、ダンスの振りや台本を覚えたり。一方で時間が足りない中でも、友だちとご飯を食べに行くとか外でなにかしないと、なにもいいアイディアは出てこない。そのバランスを保つのはすごく難しかったんですけど、でも今思えば、小説があったからこそ、外にも行けてバランスが良かったということもあって、すごく不思議な気分です。

「オールスター後夜祭」司会で得たもの

高山一実(C)モデルプレス
― 高山さんにとって小説家デビューは2018年の大きなトピックだと思いますが、1年を振り返ってみていかがですか?

高山:本当に本当にいい1年でした。小説もですし、あとオールスター後夜祭の司会をできたことが自分の中でとても大きいです。

― 確かに。反響も大きかったんじゃないですか?

高山:はい、ありがたいことにお褒めの言葉もたくさんいただきました。でも始まる前は本当に恐怖しかなかったです。それにやり終わったあとも、達成感ってあまり感じなくて。それよりも大丈夫だったかなという不安、怖さばかり。小説もですが、恐怖に打ち勝ったときってこんなに素敵な気持ちになれるんだなって気づけた1年でもありました。

高山一実が語った西野七瀬への想い

高山一実(C)モデルプレス
― “高山一実”として飛躍の1年でしたね。

高山:でもメンバーの卒業はやっぱり悲しかったです。帰り道に大号泣したこともありました。一昨年『インフルエンサー』でレコード大賞をいただいて、これからもっと楽しみだなって私は思っていたんです。でも卒業という決断をするメンバーがひとりずつ出てきて、乃木坂46でのさらなる飛躍の可能性を探していたのは自分だけだったのかなとか考えてしまって…。それはみんなを責めているのとは違って、みんなはもっと先のことを考えているんだと思ったときに、つらかったというか。あとは心のどこかで結局、メンバー頼みにしている自分に気づいて、そんな自分に嫌気がさしたこともありました。

― “たかせまる”…西野七瀬さんとの絡みが見られなくなるのも寂しいです。

高山:なかなか気持ちの整理はつかなかったです。なーちゃんの卒業が決まってから、ふたりでの仕事が増えて、本当に卒業するんだな、ということを少しずつ感じていました。

― “たかせまる”のユニット曲もないままでしたね。

高山:そうなんです、なーちゃんとのユニット曲ほしかったな…。それになーちゃんが最後のシングルで私は三列目の端…なーちゃんが遠いんです…。もっと自分に実力があったらもっと近くにいけたのかなっていう悔しさもあります。これは誰のせいでもない、自分のせいですね。もともとポジションが隣で仲良くなったので、どこかのタイミングでまた隣になりたかったんですけど、どんどん上がっていくなーちゃんの人気に自分がついていけなかった。今からどう頑張ってもなーちゃんは卒業してしまうので悲しいです。

― 西野さんの卒業コンサートが2019年2月にありますし、なにかできるといいですね。

高山:この間、なーちゃんがちらっと「かずみんとなにかやりたいんだよね」って言ってくれて。それがすごく嬉しくて、いろんな案を出しました。まだ全然決まっていないけど、採用されたらいいですね。

高山一実、2019年の抱負「もっと輝くことができたら」

高山一実(C)モデルプレス
― 高山さんの2019年の抱負を教えてください。

高山:2018年は、アイドルとしての可能性を新たに発見できたという意味では、本当に嬉しいことばかりの1年だったと思います。自分の中ではやっとスタート地点に立てたのかなっていう気持ち。ただグループに必要な存在って思われている、グループに貢献できている、という感覚はゼロに近くて…。やっぱり本当にグループに必要な人だったら、乃木坂46の顔になれる、それはもっとポジションが前にいけるということだと思うんです。2019年はそれを目指したい。3期生は頼もしいし、4期生も入ってきた、みんなアイドルとしての魅力に溢れているのはわかるし、楽しみでもあるんですけど、私のアイドル人生ももっと輝くことができたらいいなって思います。

― ありがとうございました。

(modelpress編集部)

『トラペジウム』あらすじ

高山一実『トラペジウム』書影(提供画像)
高校1年生の東ゆうは「絶対にアイドルになる」ため、己に4箇条を課して高校生活を送っていた。「SNSはやらない」「彼氏は作らない」「学校では目立たない」「東西南北の美少女を仲間にする」。努力の末、ついに東西南北の“輝く星たち”を仲間にした東の、己のすべてをかけて追いかけた夢の結末とは!?現役トップアイドルが、アイドルを目指す女の子の10年間を描いた、感動の青春小説。

高山一実(たかやま・かずみ)プロフィール

1994年2月8日生まれ、千葉県南房総市出身。2011年8月、乃木坂46第一期メンバーオーディションに合格。16年4月より雑誌『ダ・ヴィンチ』にて小説『トラペジウム』の連載を開始。同年9月、ファースト写真集『恋かもしれない』を刊行。2018年11月、小説『トラペジウム』で小説家デビュー。


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