ディーン・フジオカ「モンテ・クリスト伯」、どこまでが真海の計画なのか?最終話は「半日くらい立ち直れないかも」<モデルプレスインタビュー>
2018.06.14 07:00
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俳優のディーン・フジオカ(37)が主演を務めるフジテレビ系ドラマ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(14日はよる9時から2時間SP)が、いよいよ最終回を迎える。冤罪で地獄へ突き落とされたモンテ・クリスト・真海(柴門暖)の復讐は、いよいよクライマックスへー。一体どこまでが真海の計画の範疇なのか?衝撃の8話放送の翌日、真海を演じるディーンにインタビューを行った。
計算しつくされた復讐計画が話題 脚本にディーンも驚き
― 昨日8話が放送されました。ここまで振り返ってみていかがですか?ディーン:そうですね。撮っていた感触としては、振れ幅というか揺さぶりが半端ないなと。全員が悪人とまでは言わないけど、なんかこう“むき出し”みたいな感じですよね。全員が善悪の概念がよくわからなくなってるし、誰と誰が敵対していて誰と誰が愛し合っているのかとか、もうよくわからない(苦笑)。それぐらい心が揺さぶられるような8話でした。最初のシーンで、真海が思いっきり暴れるじゃないですか?(※1)でも最後には帰ってきた愛梨(桜井ユキ)を受け入れる。その手口がDV男のやり方みたいだなって(笑)。ボロボロにしておいて、次はとろけるような優しさを見せるみたいな…(笑)。
※1 首吊り自殺をはかった幸男(大倉忠義)を助けるという裏切りをはたらいた愛梨に対し、真海が激怒した8話冒頭のシーン。
― そういうことなんですか?私は一度裏切った愛梨を受け入れるというのは、真海に残っていた良心というか、暖の部分なのかなと思ったんですが、そういう手口だったんでしょうか…。
ディーン:いや、わからないです(笑)。そういうことかもしれないし、傷を持ったもの同士、理性の範疇を超えた存在なんでしょうね。お互いがいないと存在する意味がないというか。
― 視聴者の方の感想を見ていると、どこまでが真海の計画でどこからが予想外なのか、一体どこまで根回ししているのか本当にわからないという声がすごく多いです。そのあたりどうなんでしょうか?
ディーン:そうですよね。家のセキュリティの甘さ(※2)とかね(笑)。セキュリティを切ってるのはどこまで意識してやっているのか…。すみれ(山本美月)にも「なんで入ってきたんだ」とか言いながら、実は入れてあげたんじゃないかとかね(笑)。
※2 真海邸はこれまで度々侵入者を許している。7話ではすみれも1人で部屋まで上がり、真海が暖だと気づいていたことを告白した。
― そのあたりもすごく気になります。
ディーン:どうなんですかね?計画を前に進めるために相手の行動を促そうとしているのか、それとも単純にあまりにも山奥に家があって気が緩んじゃったのか…(笑)。田舎の方って戸締りあんまりちゃんとしないことあるじゃないですか(笑)。
(一同笑い)
― さすがの真海さんも油断してしまったんでしょうか(笑)。
ディーン:でも、そこも含め最終回で全部謎が解き明かされると思うので。
― まさかの真海邸の立地までわかるんですか!
ディーン:そこはお楽しみで(笑)。多分1話から観ていただいた中でいろいろとツッコミどころは満載だったと思うんですけど、全部そこには理由があるんです。なので、真海がどこまで根回しをしてるかというところは僕も脚本を読んで「よく考えたな」と思うところもありました。
― ちなみにそれはどの部分ですか?
ディーン:安藤君(葉山奨之)のお金を取り立てていた天野さん(柳俊太郎)にも、実は真海の息がかかっていたところとか。「F&Dファイナンス…!あぁ~!」と思いました(笑)。よくそんな限られた人数の中にいろんな要素を集約できたなと。キャストも皆びっくりしていると思いますよ(笑)。
― 驚かされているのは視聴者だけじゃなかったんですね。
ディーン:やっぱり骨組みというか本筋がすごくしっかりしているからこそ、「だからそういうフリがあったんだ」と思える。人間の宿命のようなものがちゃんとストーリーに食い込んでいるというのは、今回すごくやりがいのある作品だなと思う理由のひとつですね。
― ここまで撮影してきて印象に残っているシーンありますか?
ディーン:最終回に教会で留美さん(稲森いずみ)と話すシーンがあるんですが、「あなたは頑張りました」みたいな表彰状をお渡しするかのような感じに見せておきながら、結構一言一言のセリフが深いんですよ。パンチラインがすごく効いてて、名言が可もなく不可もなく詰まってる。すごく良いシーンだなと思いましたね。
あとは“光”というものの捉え方。ファリアさん(田中泯)の最後の言葉にも「お前が幸せなら、怒りで光の導く方へ進め」とあったじゃないですか。聖書の「まず光があって…」という言葉から始まり、まるで“光”に人格があるかのような、ひとつの意志を持った存在のように描かれている。復讐の計画が満たされた時、真海なのか暖なのかわからないですけど、一人の人間の心にどういう影響を与えるのか、気になるところですよね。
復讐を終えた時、真海は幸せになれるのか 主題歌「Echo」に込めた思い
― そうですね。8話の時点で幸男や入間(高橋克典)、神楽(新井浩文)に対する復讐もある程度形になってきたように思いますが、人生をかけた目的が達成されようとしているのに、真海はあんまり幸せそうに見えないというか。真海にとって、計画を達成することが幸せなのか、幸せとはなんなのか。観ていてもすごく考えさせられます。ディーンさんは真海にとっての“幸せ”はなんだと思いますか?ディーン:真海にとっての幸せ…。なんなんでしょうね。きっと彼には自分が前に進むためにやらなきゃいけないことがあるんでしょうね。“赦す”ということの意味を掴むというか、自分にとって“赦す”ということがなんなのかをわかることが彼にとっての“幸せ”なんじゃないでしょうか。それがずっとわからないから人も赦せないし、自分も赦せないし、赦されるようなことをしてないのもわかってる。そもそも彼は最初から赦しを求めていないという解釈もありますし。計画を実行していくために必要なプロセスだったとしても、結果的には無関係の信一朗(高杉真宙)や未蘭ちゃん(岸井ゆきの)を巻き込んでいるわけで、それは一般的な解釈からすると“幸せ”とは真逆の方向に進んでいますよね。“幸せ”とはなんなのかを真海が理解するためにも、復讐相手だけでなくそんな自分自身を赦せるかどうかというところにこの作品のコアバリューがあると思います。それは主題歌の『Echo』を作った時にもすごく意識していたことで。
ディーン:去年末くらいですかね?その時点ではまだ脚本もなかったんですが、何度かプロデューサーお2人と打ち合わせをさせてもらって。3~4時間くらいかな?観念的なことをずっと話していたわけですよ。傍目から見たら「それって意味あるの?」みたいに思える会話だったかもしれないんですけど、そこでコンセプトをしっかり調整しておけたから、その後できあがった脚本や映像と音をがっちゃんこした時、本編をより立体的に、魅力を増すような効果を持ったものになったと思うんですよね。
提供先が決まっている曲を制作する時は、そこは絶対外しちゃいけないところだと思うんですよ。やっぱり映像とマッチングした時、映像で描かれていない時間軸の前後が滲んでくるような、そういう意味での立体感を音楽で作る。主人公が物語の中で言わない台詞や心の葛藤みたいなものが音楽から滲み出たら、ストーリーもダブルミーニング、トリプルミーニングになっていくと思うんです。
― なるほど。
ディーン:僕、年越しがインドネシアだったんですけど、そこでいろいろサウンドの方向性やリファレンス(イメージに近い参考楽曲)を探して。とにかく“絶望の嘆き”っていう音にしたかった。それと同時になんとなくメロデイーや言葉の切れ端を集めて、“Tell Me Why?”だったりとか、答えが出ない問いかけがずっと頭の中でエコーしてるっていうイメージを固めていきました。でも、その時はまだ日本語で書こうとしてたんですけどね。
― そうなんですね!なぜ英語に?
ディーン:最初、英語がいいんじゃないかって提案をいただいたんですが、「いや、日本のドラマだから日本語がいいんじゃないですか?」ってすごく消極的な発言をしてしまって(笑)。でも、結果やっぱり作っていったら英語の方がハマったので「ごめんなさい。やっぱり英語で」って(笑)。その後に仕事でスイスに行って、そこでデモを作って。スイスは歴史背景的にも宗教戦争の色が根強いので、具体的なエピソードを聞いていくうちに色々アイデアがぐっと具体的になりました。東京でブリーフィングしてインドネシアでブレストして、スイスのホテルでデモを作って、それで日本に戻ってきてバババッとアレンジをして…。結構時間がなかったんですよ(笑)。
― すごいですね。転々としながらその先々でのイメージを取り入れて形にしていく。ワールドワイドに活躍するディーンさんならではですね。
ディーン・フジオカ、最終回の見どころは
― では、最後に最終回の見どころをお願いします。ディーン:いや、もう見逃したら損ですよ。
― シンプルですね(笑)。
ディーン:シンプルに(笑)。なんで人間はストーリーに飢えているのかというようなちょっと禅問答的な話にもなってくると思うんですが。変な話、ドラマは毎クールいろんなチャンネルいろんな時間帯で作っているし、小説も映画もある。なのになぜそんなに物語を欲しているのか。やっぱりストーリーに対して自分との関連性を必要としているわけですよ。自分の生きている世界、自分の日常との接点みたいなものも探しながら、でも全く自分の日常に起こりえないような非日常も同時に探していたりする。だから面白いんですよね。フィクションを作ることで、実際の世界になにかリアルが生まれる。それは音楽でもそうだと思うし、そういう意味では今回の「モンテ・クリスト伯」という作品が見た人に与える影響は大きいんじゃないかなと思っていて。それはやっぱり“人間の存在の定義”というコアバリューに食い込んでる骨太さもあるし、現代の日本社会のリアリティーも上手く組み込まれているからなんですよね。劇中で描かれていることって結構、現実にニュースで見ることとあんまり差がなくて。まるで予知してるような。
― わかります。フィクションでありながらリアリティもあるというか。
ディーン:そうです。でも最後どうなるか…。“絶望の向こう側”を見たときに、皆さん「ガーン!」ってショックを受けて半日くらい立ち直れないかも…。でも毎週オンエア観ると結構放心状態になるというか、考えさせられますよね。
― 考えさせられますね。それもこのドラマの良いところだと思います。
ディーン:1度立ち止まって、すごく大事なことを考える時間になるのかもしれないし、いろんなものが溢れている中で、自分にとって大事なものはなんなのかを整理しなおすような時間にしてくれたら。教会に行っているみたいな感覚なのかな?
― そうかもしれないですね。人の懺悔を聞いて自分の懺悔をするような。
ディーン:それもおおいにありますよね。なかなかそこまで真剣に自分に対して、自分が生きている世界に対して、真剣になれるような作品はないと思うので、だから見ないと損かなって(笑)。
― ありがとうございます。最終回、楽しみにしています。
(modelpress編集部)
ディーン・フジオカ プロフィール
福島県生まれ。香港でモデルとして活動を始め、映画『八月の物語』(05)の主演に抜擢され、俳優デビューを果たす。その後台湾に拠点を移し、数々のドラマ、映画、TVCF等に出演。アジア以外でも、北米ドラマ『The Pinkertons』に出演するなど、活躍の場を広げる。日本ではNHK連続テレビ小説『あさが来た』(15~16)の五代友厚役で知名度を上げ、2017年エランドール賞・新人賞を受賞。また、自ら作詞・作曲・プロデュースを手がけインドネシアで制作されたアルバム『Cycle』を2016年にリリース。同年秋にはTVアニメ『ユーリ!!! on ICE』のオープニングテーマ『History Maker』を担当、2017年は主演映画『結婚』の主題歌や、テレビ朝日系『サタデー/サンデーステーション』のエンディングテーマを書き下ろし、1st. EPをリリースするなど、音楽活動も積極的に行う。2018年2月には初の全国ツアー『History In The Making 2018』を開催し、2万人を動員。2018年は、主演映画『海を駆ける』の他、映画『坂道のアポロン』が公開。6月15日には『空飛ぶタイヤ』の公開を控えている。6月20日に2nd Single『Echo』をリリース。『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』最終回 あらすじ
南条幸男(大倉忠義)、神楽清(新井浩文)、入間公平(高橋克典)へのモンテ・クリスト・真海(ディーン・フジオカ)の復讐は、彼らの家族たちも巻き込みながら結末を迎えようとしていた。真海が守尾信一朗(高杉真宙)に渡した薬を飲んだ未蘭(岸井ゆきの)は未だに昏睡したままで面会謝絶。信一朗は入間からも促され、真海の別荘を訪ねる。詰め寄る信一朗に、真海はもうすぐ死んで償うと詫びた。
未蘭を排除した瑛理奈(山口紗弥加)は、いよいよ貞吉(伊武雅刀)を殺害しようとする。だが、そこに入間が帰ってきてしまう。すると貞吉は眼で話があると入間に合図。入間と2人きりになった貞吉は、真海が残していったボードを使って会話を始める。
倉庫に閉じ込められた神楽は、国有地売却の件で議員と自分に闇献金疑惑がかけられ東京地検特捜部が捜査に動いたことを知る。そこに天野満(栁俊太郎)が手下を連れて現れた。天野は神楽に拷問を始めるが、それはかつて柴門暖が受けたような過酷なものだった。
幸男とすみれ(山本美月)は真海に会いに行こうとしていた。だが、その途中、愛梨(桜井ユキ)から明日花(鎌田英怜奈)と一緒にいると連絡が入る。自分に恨みを持つ愛梨と娘が一緒だと知った幸男は、すみれを帰して独りで真海に会いに行くことに。
その頃、真海は入間と会っていた。真海は入間に留美(稲森いずみ)と安堂完治(葉山奨之)と一緒に逃げていると教える。
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