<「半分、青い。」井川遥インタビュー>話題の「PINK HOUSE」フルコーデは自らも提案 秋風羽織との関係は?
2018.05.28 06:00
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バブル期真っ只中を描くNHK連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合/月曜~土曜あさ8時)東京編。 個性的なキャラクターが集まるなか、一際存在感を放っている菱本若菜(ひしもとわかな)を演じるのは、12年ぶりに朝ドラに出演する女優の井川遥。永野芽郁演じるヒロイン・楡野鈴愛(にれのすずめ)にとっても重要な存在である菱本は、物語のスパイスとなり、新たな風を吹かす。
井川遥、強烈キャラ“菱本若菜”は「人間臭くていい」
鈴愛の師となる少女漫画家・秋風羽織(あきかぜはおり/豊川悦司)の漫画事務所「オフィス・ティンカーベル」で、気難しくわがままな秋風のマネージメントを行っている菱本は、美人で頭の回転が速く、怒ると超早口で理路整然とまくしたてる強烈なキャラクター。これまで様々な役を演じてきた井川にとっても新鮮な役柄の印象である。「菱本は冷静沈着でクールな印象に見えますが、実は思いやりがあって人間くさい部分もあって。いいなと思います」。また、自身と重ね合わせて「菱本の思い込みの激しいところは自分と似ています(笑)。自分としては至って真剣なのに少しズレてしまうんですよね」。
井川遥、“菱本若菜”役がプライベートにも影響?
長台詞が多いこともポイントとなる役柄。現在2児の母として子育てに励む井川は、「早口で捲したてるセリフは掛け合いと違ってひとりで成立させなければならないので叩き込むに尽きますね。時間を掛けるしかないのですが、なかなか…。育児の合間に、お風呂でも、台本を持ち込んだり、洗いものをしていてもブツブツ。カフェでもブツブツ。録音して耳からも入れて。いつでもどこでも」と主婦業をこなしながらも常に“菱本若菜”で居続ける努力を怠らない。「もう撮り終えたシーンの台詞なのに、息子が『鈴愛さんは秋風の心を動かします』と真似していて(笑)。周りの人が覚えてしまうくらい、いつでも言っていますね(笑)」と日常生活にも影響を与えるほど、全力で挑む姿勢が伝わってきた。
また「オフィス・ティンカーベル」では、深い心情を表したシーンも多く描かれるなか、コメディの要素もある。「いろんな要素が良い意味で混在している作品。意外な方向に行くことも多く、どう成立させるか、面白くなるか、菱本ってそんな時どうするだろうと考えています」と語った。
井川遥が着こなす“PINK HOUSE”衣装が話題に
この日井川は、視聴者から注目を集めている劇中の『PINK HOUSE』衣装で登場。赤とクリーム色の生地が重なったいちご柄のワンピースの上には白の羽織りを合わせており、小さなリボンやフリル、くるみボタンなど繊細な装飾が施されていた。80’s のトレンド最先端ファッションブランドだった『PINK HOUSE』は、フリルがふんだんに使用され、少女のような可愛らしいデザインが特徴。当時の女性の憧れ、そして“高価なオシャレ着”でもあり、井川も「撮影に入る前からすごく楽しみでした。パーマをかけられなかったので毎回ヘアアイロンでソバージュに巻いて、それからポンパドールにする?ツインテールする?ベルベットに、レース、コサージュ、どれをつけようと。衣装替えの時間があまり取れない中でもメイクさんと盛り上がりました」と役柄ならではのファッションを楽しんでいる様子。
「DCブランド全盛の時代。PINK HOUSEをフルコーディネートで楽しむ菱本さん、高給取りなんでしょうね(笑)。私自身は菱本さんのもう少し下の世代なので雑誌などで見ていました。ヘアメイクも含めてトータルで記憶に残っています。PINK HOUSEは大人の女性が楽しむものとして」と話すように、役同様にキャリアを積み上げてきた井川だからこそ着こなせるコーディネートだと言えるだろう。
井川遥「半分、青い。」ヒロイン・永野芽郁に「毎回驚かされます」
また、実家を離れて東京へやってきた鈴愛にとって、“東京の母親的存在”でもある菱本。鈴愛に分かりやすく手を差し伸べることはなくても、近くで見守り影から支える。「撮影を共にする中で役同様、存在がどんどん大きくなります。そしてヒロインの大変さを目の当たりにするとやっぱり気になるのは体調や食事といったこと。芽郁ちゃんの顔を見ればいまの気持ちがなんとなくわかるようになりました。芽郁ちゃんが気軽に話しかけられる存在でありたいなと思ってます」と徐々に信頼関係を築いていったことが伺える。
そんな永野について、「シーンの捉え方、役に入り込む集中力、感受性に毎回驚かされます。こんな風に心が動くのか、さすがだなと思いながら、一緒に過ごしています」と感嘆。「本番までとっておくのが大変というくらい“鈴愛”の役にふっと入っていくので、芝居の予定調和が無くなり、引き込まれる瞬間が沢山あります」と菱本としての鈴愛との向き合い方を明かした。
永野芽郁・志尊淳・清野菜名は「三位一体」井川遥から見た印象
鈴愛のほかにも「オフィス・ティンカーベル」には、鈴愛のアシスタント仲間でクールな小宮裕子(こみやゆうこ、通称:ユーコ/清野菜名)、ゲイの美青年・藤堂誠(とうどうまこと、通称:ボクテ/志尊淳)など個性豊かな面々が勢揃い。劇中では、それぞれのストーリーを軸にライバルや師弟関係が描かれていく。「関係性に適度な緊張感もあったので、すごく良い雰囲気でした。清野菜名ちゃんは、裕子に通ずると感じるところがありますね。クールだけど中に秘めているもの、芯の強さがすごくある。かっこいいんです。やるべきことの方向性、芝居の迷いがない感じがいつもしています。ボクテくん(志尊)は台詞の間合いやトーンが心地良いんです。スッと入ってくる。温かくて、周りには人が集まる。みんなの緊張感もほぐしてくれるし、優しいですね。ぐっと感情が入るところもボクテくんそのものと感じます。それぞれ3名(永野、清野、志尊)ともすごく芯があって、キャラクター、持っているご自身のものも全然違うからこそ、三位一体という感じでした」。
井川遥“菱本若菜”と豊川悦司“秋風羽織”の関係は…?
「オフィス・ティンカーベル」といえば、菱本と秋風の関係も気になるところだが…。井川は、菱本にとっての秋風の存在を「変わり者で偏屈なところや、すぐはぐらかされてしまうところなど、世話が焼けて大変ですが、秋風先生を支えられるのは私じゃなきゃ、と思っていると感じます。先生の才能を見出してきたマネージャーとしての自負、過ごしてきた時間で培われた信頼関係も2人にはありますし、尊敬の念と、放って置けない魅力と両方なんでしょうね」と分析。
「あえて豊川さんとは菱本と秋風先生の関係について話をしていないです。謎めいたままで(笑)」。井川は、豊川とこれまで何度か共演経験もあり、同作でも一番関わりが深い。2人の絶妙なコンビネーションが、菱本と秋風の関係性をより深く、面白くしていくのだろう。
12年ぶり朝ドラ出演の井川遥から感じる魅力
井川が朝ドラに出演するのは『純情きらり』(2006)以来12年ぶりとなり、田中健二監督と再タッグを組む。同作では慈愛に満ちた献身的な女性を好演していたが、菱本はまさに対象的な役。「もも姉ちゃんはとても思い入れのある役だったのですが、月日が過ぎて全く違う、菱本というやり甲斐のある役を頂けて嬉しい限りです。『純情きらり』で関わったスタッフの方とは廊下ですれ違うたびに当時の話になる。変わらず温かい」と作品や現場への熱い思いを打ち明けた。12年前の演技からさらに磨きをかけ、経験を重ねてきた井川だが「不器用なので時間を掛けてひとつひとつクリアしている感じです。いっぱい課題はあります。芝居に対して気づきを増やして実践に結びつけていきたいです。小さな目標がシーンごとにあります」と改めて実感した様子。
「お芝居ということに対して、小さな目標の達成を積み重ねていくのみと言いますか、本当に地道な作業だなっていうのを感じながら演じています」。“女優・井川遥”の存在が確立してもなお可能性をどこまでも追い続けていく姿勢に、視聴者も魅了される。
鈴愛の育った岐阜の温かい、素朴な雰囲気とは緩急がある“華の都”東京編。異彩を放つ“菱本若菜”は、言葉の節々から芯の強さを感じさせる井川自身とも重なる。信念を持って自分と向き合い、新たな役に挑む井川は、12年ぶりの朝ドラでも確かな爪痕を残すだろう。(modelpress編集部)
井川遥(いがわ・はるか)プロフィール
1976年生まれ、東京出身。主な出演作に、映画『ディア・ドクター』(2009)、ドラマ『流星ワゴン』(2015/TBS系)、『フリーター、家を買う。』(2010/フジテレビ系)、『貴族探偵』(2017/フジテレビ系)、『先に生まれただけの僕』(2017/日本テレビ系)など。NHKでは、連続テレビ小説『純情きらり』(2006)、大河ドラマ『風林火山』(2007)、『ガラスの家』(2013)、『花燃ゆ』(2015)、『スニッファー嗅覚捜査官』(2016)などに出演。「半分、青い。」第9週「会いたい!」あらすじ
連続テレビ小説第98作、北川悦吏子氏のオリジナル作品。故郷となる岐阜と東京を舞台に、ちょっとうかつだけれど失敗を恐れないヒロイン・鈴愛が、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜けるおよそ半世紀の物語。日々必死に漫画を書き続けるも、創作活動がなかなか実を結ばない鈴愛(永野芽郁)。いつものように喫茶・おもかげを訪れると、元気のない鈴愛を見かねたアルバイトの正人(中村倫也)がお手製のパフェをプレゼント。さらには鈴愛を喜ばせる“あること”を思いついた正人のサプライズに感激する鈴愛。鈴愛はそんな正人の優しさに心ひかれていく。一方、東京の生活にも慣れ始め退屈な日々を過ごしていた律(佐藤健)は、大学の弓道場で清(古畑星夏)と運命の再会を果たす。高校3年生の夏に一瞬だけすれ違っただけのふたりは、その時間を埋めるように急接近していく。そのころ鈴愛はといえば、正人のことで頭がいっぱいになり、仕事が手につかず失敗ばかり。そんな鈴愛に対して秋風(豊川悦司)は思いもよらないことを命じる。
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