菅野美穂「ひよっこ」あの名シーンの裏側 有村架純の演技に感じた思い・家族の反応は?<インタビュー>
5週連続で視聴率20%を超え、好調をキープしているNHK連続テレビ小説『ひよっこ』(月~土、あさ8時)。後半でより勢いを増しているが、その中でキーパーソンとなっているのが人気女優・川本世津子だ。今回は世津子を演じる菅野美穂(かんのみほ/40)にインタビュー。撮影時のエピソードや名シーンの裏側について話を聞いた。
今作で朝ドラ4度目の出演
『走らんか!』(1995年)『ちゅらさん』(2001年)『べっぴんさん』(2016年)と朝ドラに出演してきた菅野は今回が4作目。脚本を務める岡田氏直々のオファーであり、朝ドラとしては異例の2作連続出演となった。「岡田さんから声をかけて頂いて、すごく嬉しかったです」と明かす。
岡田氏との出会いは、デビュー作となった『ツインズ教師』(1993年/テレビ朝日)。菅野の演技力が評価され注目を集めた『イグアナの娘』(1996年/テレビ朝日)の脚本を務めたのも岡田氏であった。
「『ひよっこ』の脚本を読ませて頂いて、今までの岡田さんの脚本の中で一番素敵だなって思ったんです。20年以上お仕事を一緒にさせて頂いていますが、岡田さんの本をずっと読ませて頂いている身としては、『ひよっこ』は本当に優しくて何とも言えない涙・優しい気持ちになる涙が出てくるような素敵な朝ドラだな、と思います」。
演じる世津子については、岡田氏から丁寧な説明がなされたようで「すごく丁寧なキャラクターシートを頂きました。途中から登場するキャラクターだったのですが、劇中で描かれなかった裏側も設定して下さり、迷いなく演じることが出来ました」と“戦友”への信頼を語る。
一方で「どうして私に大女優の役をやらせようと思ったのかは分からない」という菅野。直接理由を問うことは無かったそうだが「宿題なのかも、とも思っています。20代30代の時にお仕事をしていたのとは違うボールを投げてもらっているような感じはしました」と頷いた。
菅野美穂にとって朝ドラとは
自身にとって朝ドラとはどんなものなのか、と尋ねると「母が『おしん』をずっと熱心に見ていました。私は当時、まだ小さくて話の内容は分からなかったのですが、生卵を食べさせるシーンは子供ながらに強烈な印象でした(笑)。でもそんな母の様子を見ていたので、15歳で初めてドラマに出演した時、いつか親が喜んで楽しみにしてもらえるような仕事をしたいな、と朝ドラが目標になったんです。その後、高校3年生の時に、初めて朝ドラに参加させて頂くことが出来て、親がすごく喜んでくれて…。役者としてそこを目指していたので私もすごく嬉しかったです」と当時を回顧。これまでも朝ドラには複数出演しているが、「でもやっぱり歴代のヒロインの方もそうだと思うのですが強烈な経験です。朝ドラらしい演技というものがあるんですよね(笑)。誰かがガーっとセリフを言った後の一行の相槌を、リアクションをずらして皆が『ああ』『ああ』『ああ』と頷いていく…みたいな!そこはある種舞台に近く、セットの中が舞台のステージになったような感じです。もちろんナチュラルさを考えるのは大事なことだと思いますが、普通だったらぶっ飛んでいてありえないことも朝ドラだとなんか出来ちゃうんですよね。『ひよっこ』では、このあと第24週で、世津子と(永井)愛子さんがプロレスをするんですよ?『ちゅらさん』の時だって、プロポーズをするシーンで親戚全員が集まっているとか(笑)。そういうシリアスとコメディを自由に行ったり来たり出来るというのは、朝ドラならではですよね」とし「朝ドラは長い。長いからこそ丁寧に時間をかけてやっていける、というのは強みだと思います」と説明した。
演じるのは大女優…有村架純の演技は?
今回、菅野が演じるのは昭和の大女優。つねに第一線を走ってきた人物だ。「恥ずかしいのですが、昭和の名作映画をほとんど見たことがないことに今回気づきまして…出演を機に色々と見させて頂きました。皆さん実年齢は30歳くらいなのですがどこか達観した感じでいらっしゃるので、40歳の私が見ても年上に思えてしまうような落ち着きがあり、魅力に感じました。今の芸能界は、どちらかと言うと若々しく新鮮であることが求められている部分もあるけど、当時は違ったのかな、と比べてみたり…。あとは小津安二郎監督の『秋刀魚の味』にサンマが出てこないのにびっくりしました(笑)」。
「60年台の女優さんのオーラって役作りじゃ出ないものですね。なんか分からないけど出ない。私には足りなかった」と謙遜しつつ「でも、そういう“いかにも”な人が演じないことが実は岡田さんの狙いだったのかなと思うようにしています」といたずらっぽく微笑んだ。
劇中で、有村架純演じるヒロイン・谷田部みね子と深く関わる世津子。みね子がずっと探していた失踪中の父・実は、記憶を喪失。困っていたところを世津子が助け、2年半の間ともに暮らしたのだった。
有村との共演シーンも多いが「有村さんの演技は岡田さんの本とすごく相性が良いですよね。ちょっとした仕草やニュアンスが素敵。岡田さんもここまで想像して書いてないだろうなっていうような演技もみね子さんとしてすごく魅力的に見えます」と絶賛した。
「みね子さんは実さんと美代子さんがすごく大事に育てたから自分は愛されているという自信を持てて、どんな人でもこう丸くふわっと受け止める人格に育っていったんだろうなって思います。一方で世津子は基本的に警戒心が強い人。そこは当然だよなとも思うしタフな人だなと思います」。
あの名シーンの裏側
また視聴者の間で、最も世津子が印象深かったのが第106話ではないだろうか。世津子とみね子の母・美代子が対峙するシーンだ。美代子は実を保護した世津子に礼を述べるが、なぜすぐに警察に連絡してくれなかったのか、と追及。警察に連絡するのを拒んだのは実だが、世津子はそれを明かさずに詫び実に別れを告げる-という内容だった。放送後には「息が止まりそう」「15分間目を離せなかった」「4人の演技に引き込まれた」という声がネット上に溢れた。
撮影はカットなしの長回しだったそうで「4人それぞれの立場があって、受け取り方が違うシーンだったので、はっきりとみんなで目指せるものがないシーンでした。それに世津子としては、実が奥さんの元に帰らなきゃいけないということは、みね子が実の子だと気づいた時にはもうあっただろうから…。実際の撮影では、芸能人だし、本妻が来たら賠償金求められるかなとか、失言しないようにしようって思うのかなとか(笑)。いろんなことを考えてしまってドキドキしました」と意外な様子を明かす。
しかしやはり普通のシーンとは雰囲気も異なっていたようで「みんなの呼吸が合って、それが良かったんでしょうね。リハーサルの時からちょっと特殊な雰囲気で粛々としていました。本番も1発撮りでしたし」と振り返った。
そんなリハーサルでは「『私、この人のことを誘拐していたんだ』とはっきり後悔を感じたんです」という。
「例えば困っている犬や猫を大事にしていて、自分もそのぬくもりに離れられなくなった。いつか返さなきゃいけないけど、明日にしようかな?明後日にしようかな?と伸び伸びになっていて。気づいたら小さなそういう気持ちの積み重ねが1つの家庭をこう追い込んでいた…そんなつもりじゃなかったのに!自分がやったことはなんて罪深かったのだろう、と驚きと後悔を感じたシーンだったんです」。
「本を読んだ時に正直、これどうしようかな、と思ったんです。でも美代子さんが木村佳乃さんだったことはすごく大きくて、私も素直にぶつかる事が出来ました。実さんに一緒にいる時間が楽しかったです、とか奥さんの前で言うんだもん(笑)まあ、あの立場ではもう、ダメですけどね。でも沢村さんはリハーサルの時に『実と世津子さんは男女の関係じゃなかったと思う』とおっしゃっていて、そこは監督とも話をしました」。
「本番では世津子にとって実は、男女の関係というよりも、精神的な拠り所としてどれだけ大事だったかということを考えようと思いました。政治家みたいな発言ですみません(笑)」とジョーク交じりに裏側を紹介した。
「ひよっこ」出演 家族の反応は?
今回の出演について家族の反応を問うと「全然出てこないね、いつ出てくるの?と言われています(笑)」と笑いながら回答。愛息子の反応については「ご飯をあげながら、朝7時半の放送(BSプレミアム)を見ることもあるのですが、私を指差して『あ、お母さん』とか言ってくれるんです。ただ有村さんにも『お母さん』と言うのですけど(笑)。『べっぴんさん』の時にはオープニングカットで体を揺すって踊り始めて!わー、動画、動画を撮らなきゃ、と思っていました(笑)」とにこやかな表情を浮かべた。最後に今後の見どころを聞くと「みね子さんの勇ましいシーンがあるんです。あのほんわかしたみね子さんが結構ジャンヌ・ダルク的な感じになるところがあって、素敵です。あとは(助川)時子の活躍もすごく良い」と『ひよっこ』ファンとして紹介してくれた。これからクライマックスへ向け、まだまだ動きそうなストーリーに注目したい。
(modelpress編集部)
菅野美穂(かんの・みほ)プロフィール
生年月日:1977年8月22日出身地:埼玉県
血液型:AB型
趣味:旅行・ショッピング
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