前田敦子「辞めたいと思ったこともある」過去の涙の理由&女優としての成長を語る【モデルプレス】

前田敦子「辞めたいと思ったこともある」過去の涙の理由&女優としての成長を語る

2015.04.11 08:00

女優の前田敦子がモデルプレスのインタビューに応じた。2012年8月にAKB48を卒業、その後は『クロユリ団地』『もらとりあむタマ子』『Seventh Code』『エイトレンジャー2』などの映画に出演し、着実に“女優・前田敦子”が浸透してきたように思える。しかし本人は「満足したことは一度もない。むしろいいと思ったことが少ないと思う」と冷静に分析。さらに「辞めたいと思ったこともありますよ(笑)」と振り返ってくれた。

  
前田敦子「辞めたいと思ったこともある」過去の涙の理由&女優としての成長を語る【モデルプレス】
モデルプレスのインタビューに応じた前田敦子

ファンの声が励み

国民的アイドルの卒業後には常に多くの人が関心を寄せる。プレッシャーは並大抵ではないことは想像に難くないが、その中でもがき苦しみ、そしてファンの声援を糧に成長していく姿は、グループ在籍時に似ているところもある。

「自分が出演する作品を観てくれた人たちから『面白かったよ』って言われるのが一番の励みになります。やっぱり自分では自分のことを客観的に見られない。悩んでばかりですが、ファンの方の声で立ち直ることは本当に多いです」。

「辞めたいと思った」理由

それでも「辞めたいと思ったこともある」と懐かしみながら笑う。

「黒沢清監督が撮ってくださった『Seventh Code』という作品。ロシアに1週間ほど滞在しての撮影、朝は寒い、夜も寒い、日は長い、夜中の3時まで撮影して、朝の5時からまた撮影を始めて、環境的にも大変でしたが、それよりも黒沢さんの演出がすごく独特で…。剥ぎとってくれるような感覚と言ったらいいんでしょうか、『それいらないからやめてみてください』とか『その癖がいらないと思います』とか。でも『こうしてほしい』っていうのはない。私はどうしたら黒沢さんの期待に応えられるんだろうってすごく悩んで……その時は『もう辞めたい』って思いました(笑)」。

当時は自分の不甲斐なさに何度も涙を流したという。しかしその中でなんとか作り上げた作品を観た時に沸き上がった感情が、今でも彼女の心を支える。

「黒沢さんが変えてくれようとしていたことがなんとなくわかったんです!本当に素敵な作品だなと思いましたし、それにがむしゃらについていけてよかったと思いました」。

人気シリーズで初主演

一つのターニングポイントを経て、それからさらに月日は流れた。『イニシエーション・ラブ』の公開を5月23日に控えるが、それに先駆けて4月11日、フジテレビの人気オムニバスシリーズ『世にも奇妙な物語 25周年スペシャル・春~人気マンガ家競演編~』(後9:00~11:10)で初主演を務める。前田が登場するのは『富江』『うずまき』などで人気を誇る人気ホラー漫画家・伊藤潤二氏原作の『地縛者』。

ある日、街中に地面に縛り付けられたように同じ姿勢で全く動かない人間が現れ始め、危険を感じ誰も近づこうとしない。そんな中、社会福祉士として働く浅野範子(前田)は“地縛者”に声をかけ始めると、驚きの真実が明らかになっていく。

現場で学んだこと

「『世にも』と言えば、子供の頃から特別な時に放送する特別に楽しみな番組だったので、視聴者の皆さんへワクワク感をお届けすることに貢献できたら嬉しいなと思います。人間の深い部分をつかれる『世にも』らしいお話で、そういう作品をやらせて頂けることが嬉しいと思いました」。

オファーを受けた時の心境を明かすとともに、実際に演じてみた感想を話す。

「物語は『世にも』らしい不思議な世界観でしたが、私の役は人間味があるキャラクターなので『世にも』だからという難しさはなかったです。現場の方々も明るい方ばかりだったので、笑いの絶えない楽しい撮影になりました。特に共演させて頂いた渡辺真起子さんはすごく明るい方で『短い期間だから楽しまなきゃ意味ないよ!』と言ってくださったり、学ぶべきことがたくさんありました」。

前田敦子、田中圭/『地縛者』劇中カット

成長を実感

また同作の演出を手がけるのは、前田が初めて出演した連ドラ『スワンの馬鹿!~こづかい3万円の恋~』(関西テレビ・フジテレビ系/2007年10月期)でも演出を務めた河野圭太監督。8年ぶりのタッグで自身の成長も実感したようだ。

「あの頃は記憶にないくらい緊張していて…(笑)。でも今回は監督とコミュニケーションを取りながら作品作りができたのかなって。コミュニケーションの部分ではこの現場に限らず、ほかの現場でもスタッフの方々といい距離感を取れているなと感じるので、少しは成長できたのかもしれないです」。

夢を叶える秘訣

少し照れくさそうに微笑む彼女に、最後に夢を叶える秘訣を聞いた。

「自分の夢を口に出してどんどん喋っていくこと。そして人との出会いを大切にすること。私自身、人のアドバイスにきちんと耳を傾けられるようになってからガラッといい方向に向かったと思います。AKB48時代は最初から秋元(康)先生がいらっしゃって、秋元先生のアドバイスをとりあえずやってみました。自分の意見も大事だと思いますが、他の方の意見をとりあえず受け入れてやってみるのは、この世界では特に大事なことだと思います」。

自身の演技に「満足したことは一度もない」と即答し、その理由に大先輩・蟹江敬三さんのスピーチを引き合いに出した彼女。「ご一緒したある授賞式で蟹江さんが『自分はまだ新人です。何もわかりません。そういう気持ちで一生やっていきます』とおっしゃっていてカッコイイと思いました。同時にお芝居のお仕事はずっと悩むもの、そしてそれは恥ずかしいことではないんだなと思いました。すごく心に残っている言葉です。関わるすべての方々と、いいものを作ることを目指していきたい」―――このストイックなプロ意識こそが、前田敦子が話題の中心であり続けられる確固たる理由だ。(modelpress編集部)

前田敦子(まえだ・あつこ)プロフィール
生年月日:1991年7月10日/出身地:千葉県/血液型:A型/身長:161cm
AKB48の元メンバー。女優デビューはグループ在籍中の2007年4月、映画『あしたの私のつくり方』。ドラマの代表作は『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(フジテレビ系/11年7月期)、『幽かな彼女』(関西テレビ・フジテレビ系/13年4月期)、映画は『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(11年)、『苦役列車』(12年)、『もらとりあむタマ子』(13年)、『さよなら歌舞伎町』(15年)など。5月23日には『イニシエーション・ラブ』の公開を控える。

前田敦子主演作品『地縛者』 
<あらすじ>ある日、街中に、地面に縛り付けられたように同じ姿勢で全く動かない人間が現れた。危険だと誰も近づこうとしない中、「青空こころの会」で社会福祉士として働く浅野範子(前田敦子)は“地縛者”となった人たちに声をかけ始める。やっと聞き出した話から、その地に強い愛着があるために動けなくなっているのではという推測をたてる。「青空こころの会」のリーダー、早川善也(田中圭)は熱心に働く範子に目をかけていた。その一方で、心優しい範子自身は、父親を捨てた母、真利子(渡辺真起子)との確執という問題を抱えていた。そして意外な人間までもが地縛者となってしまい、驚きの真実が明らかになっていく。
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