フランス・パリでの生活について語った雨宮塔子

パリジェンヌのおしゃれテクを紹介 元TBSアナウンサー・雨宮塔子がフランスでの暮らしを語る モデルプレスインタビュー

2014.08.10 08:00

元TBSアナウンサーで、現在はフリーキャスターやエッセイストとして活躍するパリ在住の雨宮塔子が、パリジェンヌの着こなしや、パリの魅力などを語った。

  
雨宮は最新エッセイ本「パリ、この愛しい人たち」(講談社)を発売。パリ暮らし15年目を迎えた彼女に、モデルプレスはインタビューを行った。

― 最新エッセイ本「パリ、この愛しい人たち」(講談社)の発売、おめでとうございます。今作は雑誌「Grazia」で連載された「瞼のパリ 忘れ得ぬ私的名場面」に書きおろしを加えたものとのことですが、ポイントを教えてください。

雨宮:私の心の中に残る光景、情景について記しました。それは、フランス・パリの男女であったり、子どもを持つ母親としての思いだったり。女性が多分いつか味わう思いや、あるいはそこから「パリってこういう街なのかな」と連想していただけると嬉しいです。

― 日常の1ページを切り取ったようなイメージで、それが一つ一つとても濃密だという印象を受けました。これまでもいくつかパリに関する本を出版されていますが、今作への思い入れはありますか?

雨宮:ありがとうございます。私の本は、自分自身が経験したことを書いているものが多く、それに対し、前作の「パリのmatureな女たち」から自分の周りにいる他の人たちについて綴り始めているのですが、今回はとくにシーン(情景)として切り取ってみたところに思い入れがあります。

TBSを退社&渡仏を決意したきっかけとは

― そうなのですね!ところで、雨宮さんといったら司会を担当されていたTBSの番組「どうぶつ奇想天外!」のイメージをお持ちの方が多くいらっしゃるように思います。TBSを退職されまして、フランスに渡ろうと思ったきっかけを教えてください。

雨宮:女性アナウンサーというのは、20代後半を迎えるといろいろと考えることが多くなってくるように思います。日々の仕事をこなすのに精一杯の中で、「自分の人生ってどうなっていくのかな?」と考えるようになりました。そもそも仕事を“こなす”という姿勢は仕事に対して真摯に向き合っていない。でも目まぐるしい毎日の中で、ひとつひとつの仕事をじっくりと噛みしめる時間をどうしてもとることができなかった。そうして、一度全てをゼロにしたくなりました。パリ移住を決めたきっかけは、パリの街が好きということと美術が好きということにあります。ヨーロッパ各地の美術館にも足を伸ばせますしね。そういったものに惹かれて、パリに渡りました。

― 移住を決断される前にパリに行ったことはありますか?

雨宮:ありますよ。そこでインスピレーションを受けて、「やっぱりかっこいい大人の街だな」と感じさせられたんです。もちろん日本も素晴らしい国だと思いますが「35歳を過ぎてからも、女性が生き生きしていられるかな?」と考えると、当時の私はあまりそのようには感じられなかったんです。

― 近年、女性たちの海外移住が流行っているようですが、海外移住を考えている女性たちに向けて、勇気づけるメッセージをお願いします。

雨宮:私が暮らしているフランス・パリは、自分らしさを見つけやすい国だと思います。自分が自分でいられる。そういう意味ではとても楽になれます。でも、実際の生活はやはり大変なことも。それでも、その用意ができていればそういったものも当たり前として捉えることができます。「自分にとって、どういうことが幸せでどういうことが良いと思うのか」を突き詰めたい人に、海外移住はオススメです。

モデルプレスのインタビューに応じた雨宮塔子

パリでの生活を語る

― 雨宮さんご自身は、渡仏して変化はありましたか?

雨宮:やっぱり強くなれましたね。強くないと生きてはいけません。漠然としていますけど、喧嘩もできるようになったし、時には戦うこともできるようになりました。特に私の場合はアナウンサーという職業柄、自分の意見とは異なることもある、番組としての意見を代弁してきました。その矛盾や温度差から葛藤が生まれて、それがだんだん大きくなっていってしまったんです。

― そういった心情があったのですね。

雨宮:職業的に自分の意見は必要とされていないんですよね。海外の女性キャスターはまた異なってきますが、日本の女子アナは自分の意見を求められる場面は少ないように思います。そういった部分に少し息苦しさを感じてくるんですよね。

― オシャレな街並みのパリですが、生活してみてギャップを感じたことはありますか?

雨宮:それは自分次第だと思うんです。慣れるのに時間もかかり、面倒臭いこともいっぱいありますが、刺激や女性としての自信など、それ以上のものが返ってくるはずです。

― パリに移住されて15年になるかと思いますが、雨宮さんが考えるパリの魅力をお聞かせください。

雨宮:良い意味で人に関与しない、他人のことに興味のない人たちなので、すごく楽に感じます。自由ですしね。また、本音と建前を分けないところも気持ちがいいです。

― これまでに日本に帰りたいと思ったことはありますか?

雨宮:日本に帰ろうと思ったことは本当になくて…。日本に帰るたびに日本の優しさとか居心地の良さに触れて、「帰りたくないな」と思うことももちろんあります。それでも、パリに戻ったらホッとしている自分もいるんですよね。

― パリでの子育てはいかがですか?

雨宮:いじめとかそういうものはあまり聞こえてきませんね。一人だけにこだわらないといいますか。それは個人主義の冷たいところでもありますが、一人の子に執着するということがないんです。風通しがいい環境かと思います。

― では、パリの穴場スポットや楽しみ方を教えてください。

雨宮:街のおしゃれな人や、素敵な女性を見るだけですごく楽しめると思いますよ。特にコレクションの時期はオススメです。コレクションの時期は業界の方はもちろん、一般の人も浮かれている感じがあって、おしゃれにより力が入っています。大変混み合ってはいますがコレクションの時期のパリは、一層パリらしいと思います。

― 素敵ですね!街が一体になって盛り上がるのですか?

雨宮:はい。コレクションの会場の前に乗り付けた車の中から出てくる方のファッションやその佇まい、オーラを感じるのも楽しみ方の1つです。

雨宮塔子
雨宮塔子

パリジェンヌの着こなし術

― 本書では「パリの女性は香水選びにものすごく時間をかける」というお話に、大変感銘を受けました。このほかにも、パリジェンヌならではの美やファッションの慣習があれば教えてください。

雨宮:本当にお金を使わない、といえばケチなイメージがありますが(笑)。でも、自分に似合うものを吟味するのがパリジェンヌです。自分らしくないものは手に取らない。自分らしさをいかに追求するかのエネルギーは素晴らしいです。そういった彼女たちのこだわりは素敵だと感じます。

― パリの女性はどのような着こなしを楽しんでいるのですか?

雨宮:自分流に着こなすことを大切しています。それから、古いものを大切にする習慣もあり、例えばおばあちゃんからもらったアクセサリーなどをお直しに出して、自分なりにカスタマイズして使うといったことも。一点ものを好み、人と一緒ということを嫌うんですよね。ブランドのロゴがはっきりと分かるものは避け、オリジナリティをとても大事にしています。

― 素敵ですね!では、雨宮さんから見たパリの女性の魅力をお聞かせください。

雨宮:オリジナリティ溢れるファッションも、自分のものにして馴染んでしまうところです。ともすれば独りよがりや奇抜になってしまうものすら馴染ませてしまえる力、自分のものにしてしまえる力がありますね。小さいときから、一人一人の髪の色と肌の色が違うのを見てきて、客観的に「こういう肌の人にはこういう色が似合うよね」といったセンスがきっと意識をしないうちに磨かれるのでしょうね。

― 女性だけでなく男性も素敵ですよね!

雨宮:そうですね。パリの男性はレディーファーストがスマートです。ドアを開けてくれたり、席を譲ってくれたりと、魅力的ですよね。最近では、そういった慣習は減ってきたと言われていますが、やっぱりパリの素敵なところの1つです。パリジャンのファッションもなかなか奥深いものなんですよ。同じヨーロッパ近郊の国と比較しても異なるスタイルを持っています。

― 雨宮さんご自身もファッションにおいて、パリジェンヌに感化されたことはありますか?

雨宮:ハードになったように思います。日本にいるとTPOを気にして「学校に行くときの格好はこう」など気にするかと思いますが、パリはそこがとても自由。入学式のようなものはありませんが、親御さんが集まる場でも「ハワイか!?」みたいな格好の人もいます(笑)。人の目を気にしないで自分の好きな格好をするということは、すごいなと感心してしまいます。

スタイルキープ&美容法を語る

― キュートなルックスでTBSアナウンサー時代より人気を博し、現在も女性たちの支持を集める雨宮さんですが、変わらぬ美しさやスタイルキープ法を教えてください。

雨宮:パリの街並みは歩くだけで楽しいので、自然に歩いてしまいます。スポーツジムに行くとかヨガをやってみるというよりは、本当に歩いているだけです。パリの街にはワクワクさせられます。15年経った今でもワクワクするんですよね。自然も多く、緑と都会的な部分が絶妙に入り交じっているのがパリです。小さな発見も多く、ついつい遠くまで歩いてしまうことも。そうして生活の中にちょっとだけ頑張るくらいの運動を取り入れています。

― オススメのスキンケア法はありますか?

雨宮:日本以上にフランスは乾燥との戦いです。水も硬水ですし。ですので、日本の方の情報を参考に、パリで取り入れられるものを私が真似しているくらいです。やはり水が合わないので、保湿対策は十分に心がけています。それでも、パリには自然派の化粧品がたくさん揃っています。自然派のスクラブで手入れをしています。

夢を叶えるメッセージ

― モデルプレスの読者に向けて夢を叶えるメッセージをお願いします。

雨宮:私は「やらない後悔」よりも「やった後悔」のほうが好きなタイプです。何かに悩み、決断で迷っているのなら、なるべく背中を押す側、押してくれる方に動いてみるといいと思います。それから自分に自信を持って、自分のことを好きになってあげること。やっぱり自分を好きになると、女性はみんな輝く。好きなところを見つけて、そこを伸ばしてあげることが大切です。

― パリジェンヌに通ずるものがありますね!

雨宮:そうですね。パリジェンヌだって決してみんながキレイなわけではありません。ですが、魅力的に見えるのは、自分の素敵なところを知っていて、そこを活かし押し出しているからです。

― ありがとうございました。

TBSアナウンサー時代の葛藤と渡仏への思いや、パリでの生活を惜しみなく語ってくれた雨宮。自身に大きな変化をもたらしたというパリの話をする雨宮の表情は、一層輝きに満ちていた。これからもパリの魅力を発信してくれることだろう。(モデルプレス)

雨宮塔子

雨宮塔子プロフィール

1970年東京都生まれ。フリーキャスター、エッセイスト。成城大学卒業後、TBSに入社。99年退職後、単身パリに遊学。フランス語、西洋美術史を学ぶ。2002年に結婚、現在一男一女の母。
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