女子は「とろとろ」に弱い?「売れる食材」の秘密をバイヤーが明かす
2013.02.19 20:36
毎年3月に千葉・幕張で開催され、出展者・来場者双方のビジネス拡大に絶好の場として高い評価を得ているアジア最大の国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN」。2012年度からは新たな取組みとして、日本国内の消費・トレンドを牽引する20代~40代の女性層のニーズを先読みし、魅力的な商品を開発することを目的とした「FOODEX 美食女子」プロジェクトがスタートしている。
今回、その美食女子の活動の一貫として、東京・中目黒の東急ストア本部にて美食女子メンバーでタレントの真鍋摩緒さん、モデルの佐々木依里さん、東急ストアの女性バイヤー田中悠子さん、花野明子さんによる対談が行われた。
美食女子が出展者に的確なアドバイスをするには、「FOODEX」に来場する約8万人のバイヤーのニーズ及び市場の流れを理解しておくことが重要となる。今回の対談は、美食女子とプロの女性バイヤーが情報交換を行うことで、バイヤーが「どんな商品を求めているのか」、また「どんな商品が売れ筋なのか」を表面化することが目的だ。
真鍋摩緒:タレントとして食をレポートするにつれ、「料理の技術を高めたい」という思いが強くなる。料理学校で1年間学び、昨年から料理家の活動をスタート。 “鍋料理研究家”の肩書きも持つ。消費者、作り手、レポーター、様々な形で食に関わっていきたい。
花野明子さん:東急ストア・生鮮食品部青果のバイヤー。担当カテゴリは「カット野菜」「オーガニック」「サラダ用彩り野菜」の3つ。
田中悠子さん:東急ストア・デリカ食品部(旧惣菜部)のバイヤー。担当カテゴリは、レンジでチンするパスタ・うどん・そばなどの「簡便調理商材」、「予約おせち」の2つ。
眞鍋:私もずっと東急沿線に住んでいるので、東急ストアさんにはお世話になっています。品ぞろえの点ではどのようなことを意識しているんでしょうか。
花野:ありがとうございます。駅前の店舗が多いので、お勤めされているお客様が多く、お買い物や調理にかける時間が非常に少ない傾向があります。ですので、私が担当しているカット野菜や、田中の簡便デリカ(=調理済みの惣菜)など、お客様の手を煩わせない商品を強化しています。中目黒店に関しては、ご家族の構成人数が少ないお客様が多いので、冷蔵庫に食材が残らないよう、少量のものを揃えるようにしています。
眞鍋:なるほど。店舗によって色が違うんですね。中目黒店は最近リニューアルして、とってもおしゃれになりましたよね!
佐々木:おしゃれになった!ウッディーな感じで、温かみがあって落ち着きます。
花野:中目黒店にはお二方のような若い女性が多いんです。定期的に店舗の見直しを行なって、お客様のライフスタイルにフィットする売り場に変化させています。
花野:内堀醸造さんの「フルーツを漬けて飲む酢」と、「ピクルスの酢」の2つです。こちらは加工品の部門で、私の担当ではないのですが、私は是非この2つの商品を使ってお野菜や果物を売りたいと思いました。「フルーツを漬けて飲む酢」はグレープフルーツ、シトラス、キウイフルーツを。「ピクルスの酢」はパプリカなど、彩りの野菜を一緒にお客様に提案したいと考えました。ターゲットはお二方のような女性のお客様ですので、実際の売り場では、出来上がったフルーツビネガーやピクルスを保存するためのおしゃれな「びん」とコラボして展開しました。こういったニーズのある女性は、保存びんにもこだわられるのではないかと思いまして、外国から輸入したびんのバイヤーに掛け合ったんです。
佐々木:あっ!私そのびん、買いました!(笑)青果の横にびんが並んでるんですよね。なんでこんなところにびんが?と思いながら、自然と買っていました。
眞鍋:まさに狙い通り!(笑)消費者にとってストレスのない売り場展開の成功例ですね。
佐々木:今回のように、ライフスタイルそのものを提案してくれていると手にとりやすいんですよね。「FOODEX」でメーカーさんが商品をアピールして、さらにバイヤーさんが売り場を魅力的にアレンジする。2つの流れを学びました。
花野:先ほど野菜や果物を活かす調味料のお話をしましたが、「クックドゥ」の麻婆茄子、青椒肉絲、回鍋肉など、売れ筋の合わせ調味料5商品に合わせたカット野菜を作りました。それぞれの材料と切り方に即していますので、あとはお肉さえ用意すればよいというものです。お仕事をしている女性のお客様はもちろん、男性のお客様にも好評です。
眞鍋:これは忙しい女性にとって嬉しいですね!でも、ナスの色は変わらないんですか?
花野:添加物がないので色は変わりますが、ひとつひとつ手で詰めてナスの皮目を表にすることで、お客様の印象をよくしています。機械だとバラバラになるので、商品価値が下がってしまうんですね。
佐々木:手詰めだったんですね!カット野菜ってどうしても機械をイメージしがちで敬遠していたんですけど、手詰めと聞いて一気に魅力を感じました(笑)。パッケージや店頭ポップで、「思いを込めた手詰めです!」とアピールするといいかも。
花野:まだまだ商品の魅力をお伝えしきれていない部分があると思いますので、そこが私達の課題です。
佐々木:はい!はっきり申し上げますと、商品名だけで買ったりします。「とろとろチーズの~」とか、そういった工夫のあるネーミングにググッと惹かれるんですよ。
田中:なるほど。この「トマトクリームパスタ」と「ペンネアラビアータ」は、以前は黒くて平らな容器に入れていたんですが、最近この紙トレイに変えたんです。エコバッグへの入れやすさや、おしゃれ感を意識しました。
眞鍋:トレイはすごくいいですね!ただ、この「ペンネアラビアータ」のロゴはちょっと安っぽく見えてしまってもったいないですね。
佐々木:中身は「ペンネアラビアータ」が好みだけど、この温かみのあるロゴで「トマトクリームパスタ」を選んじゃう。あと、デリカ食品の売場って、陳列状態が無機質な感じがしませんか?手書きポップが効果的だと思います。「バイヤーの○○さんが食べておいしかった」とか、書いてあるだけで印象が全然違うので。
眞鍋:雑貨屋さんみたいな感じでね。
田中:無機質という印象は意識していませんでしたので、もう少し手を加えてみます。逆にそういった人のぬくもりを販促でお伝えしていければ、これまでデリカを敬遠しがちだったお客様の壁も取り除けそうですね。
花野:前回の「FOODEX」で果物とお野菜を活かすお酢に出会いましたが、やはり青果を扱うものとしては、調味料に可能性を感じます。「この調味料だったらたっぷり果物・お野菜を使っていただけて、さらにおしゃれな生活雑貨を使って食卓に並ぶ」というところまでイメージできるものがいいですね。売場で様々なコラボレーションをして、お客様のライフスタイルを活力あるものにしていきたいです。
田中:やはり、その商品のどんな部分に惹かれたかを知りたいですね。低カロリーなのか、減塩なのか、それとも見栄えに惹かれたのか。それを知ることができれば、私達はアピールポイントを最大限に活かしたご提案ができると思いますので。
佐々木:そうですよね。そういったポイントを細かく説明できるように、しっかり選んでみます!
眞鍋:美食女子はメーカーさんに意見をフィードバックするアドバイザーのような立場ではあるのですが、実際私たちの視点がバイヤーさんにうまくハマるのか、そこが不安だったんです。今回、お2人の話を聞くことができて、さらに視点が広がった印象です。すごくお勉強になりました!
■「FOODEX JAPAN 2013」
会期:2013年3月5日~8日
会場:幕張メッセ1~8ホール
■FOODEX美食女子オフィシャルサイト
http://www.foodex-beauty.jp/
「FOODEX 美食女子」の活動内容
「FOODEX 美食女子」プロジェクトには真鍋さん、佐々木さんをはじめ、モデル、女優、栄養士、フードコーディネーター、ワインアドバイザーなど食に精通した女性達が参加し、「FOODEX」に出展するメーカーの女性向け商品開発・販売力強化をサポートするプログラムを行なっている。メインとなるのは、出展者の商品を多角的に評価する「モニタリング」。美食女子が商品を実際に試食した上で、「いつ、どのようなシーンで食べたいか?」「どんな所にあったら買いたくなるか?」といった討論を展開し、その商品の魅力や改善策を思案。食のプロフェッショナルでありながら一般的な女性の視点を持つ彼女たちが中立的な立場でアドバイスをすることで、「女性に売れる商品」を生み出していく。美食女子が出展者に的確なアドバイスをするには、「FOODEX」に来場する約8万人のバイヤーのニーズ及び市場の流れを理解しておくことが重要となる。今回の対談は、美食女子とプロの女性バイヤーが情報交換を行うことで、バイヤーが「どんな商品を求めているのか」、また「どんな商品が売れ筋なのか」を表面化することが目的だ。
対談メンバー
佐々木依里:3年前、カメラマンからモデルに転身。体型維持や美肌のための食生活改善に取り組む中で、ローフードマイスターの資格を取得。食を通して、ハッピーなライフスタイルを作り上げていきたい。真鍋摩緒:タレントとして食をレポートするにつれ、「料理の技術を高めたい」という思いが強くなる。料理学校で1年間学び、昨年から料理家の活動をスタート。 “鍋料理研究家”の肩書きも持つ。消費者、作り手、レポーター、様々な形で食に関わっていきたい。
花野明子さん:東急ストア・生鮮食品部青果のバイヤー。担当カテゴリは「カット野菜」「オーガニック」「サラダ用彩り野菜」の3つ。
田中悠子さん:東急ストア・デリカ食品部(旧惣菜部)のバイヤー。担当カテゴリは、レンジでチンするパスタ・うどん・そばなどの「簡便調理商材」、「予約おせち」の2つ。
美食女子が抱く、「東急ストア」のイメージ
佐々木:私、実はここのスーパー(東急ストア・中目黒店)を実際に使っているユーザーなんです。特にオーガニック食品をよく利用するんですが、ここは他のスーパーと違ってオーガニックに特化した売り場があるので、消費者のニーズを考えて買いやすいようにしてくださっているという印象です。お野菜のアレンジレシピをモニターで紹介していたり、同じ種類の野菜を品種別に分けてカゴに陳列したり、きめ細やかなイメージがあります。眞鍋:私もずっと東急沿線に住んでいるので、東急ストアさんにはお世話になっています。品ぞろえの点ではどのようなことを意識しているんでしょうか。
花野:ありがとうございます。駅前の店舗が多いので、お勤めされているお客様が多く、お買い物や調理にかける時間が非常に少ない傾向があります。ですので、私が担当しているカット野菜や、田中の簡便デリカ(=調理済みの惣菜)など、お客様の手を煩わせない商品を強化しています。中目黒店に関しては、ご家族の構成人数が少ないお客様が多いので、冷蔵庫に食材が残らないよう、少量のものを揃えるようにしています。
眞鍋:なるほど。店舗によって色が違うんですね。中目黒店は最近リニューアルして、とってもおしゃれになりましたよね!
佐々木:おしゃれになった!ウッディーな感じで、温かみがあって落ち着きます。
花野:中目黒店にはお二方のような若い女性が多いんです。定期的に店舗の見直しを行なって、お客様のライフスタイルにフィットする売り場に変化させています。
プロのバイヤー目線
眞鍋:花野さんは前回の「FOODEX」に来場されたとのことですが、どんな商品が目に止まりましたか?花野:内堀醸造さんの「フルーツを漬けて飲む酢」と、「ピクルスの酢」の2つです。こちらは加工品の部門で、私の担当ではないのですが、私は是非この2つの商品を使ってお野菜や果物を売りたいと思いました。「フルーツを漬けて飲む酢」はグレープフルーツ、シトラス、キウイフルーツを。「ピクルスの酢」はパプリカなど、彩りの野菜を一緒にお客様に提案したいと考えました。ターゲットはお二方のような女性のお客様ですので、実際の売り場では、出来上がったフルーツビネガーやピクルスを保存するためのおしゃれな「びん」とコラボして展開しました。こういったニーズのある女性は、保存びんにもこだわられるのではないかと思いまして、外国から輸入したびんのバイヤーに掛け合ったんです。
佐々木:あっ!私そのびん、買いました!(笑)青果の横にびんが並んでるんですよね。なんでこんなところにびんが?と思いながら、自然と買っていました。
眞鍋:まさに狙い通り!(笑)消費者にとってストレスのない売り場展開の成功例ですね。
佐々木:今回のように、ライフスタイルそのものを提案してくれていると手にとりやすいんですよね。「FOODEX」でメーカーさんが商品をアピールして、さらにバイヤーさんが売り場を魅力的にアレンジする。2つの流れを学びました。
実際に売れている商品と、その理由
眞鍋:花野さん、田中さんの担当されているカテゴリの中で、売れ筋の商品を教えていただけますか?花野:先ほど野菜や果物を活かす調味料のお話をしましたが、「クックドゥ」の麻婆茄子、青椒肉絲、回鍋肉など、売れ筋の合わせ調味料5商品に合わせたカット野菜を作りました。それぞれの材料と切り方に即していますので、あとはお肉さえ用意すればよいというものです。お仕事をしている女性のお客様はもちろん、男性のお客様にも好評です。
眞鍋:これは忙しい女性にとって嬉しいですね!でも、ナスの色は変わらないんですか?
花野:添加物がないので色は変わりますが、ひとつひとつ手で詰めてナスの皮目を表にすることで、お客様の印象をよくしています。機械だとバラバラになるので、商品価値が下がってしまうんですね。
佐々木:手詰めだったんですね!カット野菜ってどうしても機械をイメージしがちで敬遠していたんですけど、手詰めと聞いて一気に魅力を感じました(笑)。パッケージや店頭ポップで、「思いを込めた手詰めです!」とアピールするといいかも。
花野:まだまだ商品の魅力をお伝えしきれていない部分があると思いますので、そこが私達の課題です。
女子は「とろとろ~」に弱い?
田中:私が扱っているカテゴリですと、「半日分の野菜が摂れるちゃんぽん」や「コレステロールがゼロのお豆腐」などといった商品が人気なのですが、やはりそういったコンセプトがあったほうが買いやすいですか?佐々木:はい!はっきり申し上げますと、商品名だけで買ったりします。「とろとろチーズの~」とか、そういった工夫のあるネーミングにググッと惹かれるんですよ。
田中:なるほど。この「トマトクリームパスタ」と「ペンネアラビアータ」は、以前は黒くて平らな容器に入れていたんですが、最近この紙トレイに変えたんです。エコバッグへの入れやすさや、おしゃれ感を意識しました。
眞鍋:トレイはすごくいいですね!ただ、この「ペンネアラビアータ」のロゴはちょっと安っぽく見えてしまってもったいないですね。
佐々木:中身は「ペンネアラビアータ」が好みだけど、この温かみのあるロゴで「トマトクリームパスタ」を選んじゃう。あと、デリカ食品の売場って、陳列状態が無機質な感じがしませんか?手書きポップが効果的だと思います。「バイヤーの○○さんが食べておいしかった」とか、書いてあるだけで印象が全然違うので。
眞鍋:雑貨屋さんみたいな感じでね。
田中:無機質という印象は意識していませんでしたので、もう少し手を加えてみます。逆にそういった人のぬくもりを販促でお伝えしていければ、これまでデリカを敬遠しがちだったお客様の壁も取り除けそうですね。
美食女子へ、プロ目線でアドバイス
眞鍋:私たちは今年3月の「FOODEX JAPAN 2013」で「美食女子グランプリ」という新たな取り組みを行います。国内外の食品・飲料を美食女子が審査して、受賞商品にロゴマークを授与するのですが、どのようなポイントを意識すべきか、プロの目線でアドバイスをお願いします。花野:前回の「FOODEX」で果物とお野菜を活かすお酢に出会いましたが、やはり青果を扱うものとしては、調味料に可能性を感じます。「この調味料だったらたっぷり果物・お野菜を使っていただけて、さらにおしゃれな生活雑貨を使って食卓に並ぶ」というところまでイメージできるものがいいですね。売場で様々なコラボレーションをして、お客様のライフスタイルを活力あるものにしていきたいです。
田中:やはり、その商品のどんな部分に惹かれたかを知りたいですね。低カロリーなのか、減塩なのか、それとも見栄えに惹かれたのか。それを知ることができれば、私達はアピールポイントを最大限に活かしたご提案ができると思いますので。
佐々木:そうですよね。そういったポイントを細かく説明できるように、しっかり選んでみます!
眞鍋:美食女子はメーカーさんに意見をフィードバックするアドバイザーのような立場ではあるのですが、実際私たちの視点がバイヤーさんにうまくハマるのか、そこが不安だったんです。今回、お2人の話を聞くことができて、さらに視点が広がった印象です。すごくお勉強になりました!
「温かみ」に商機あり?
約1時間半にわたる対談の中では、現在東急ストアでの取り扱いへ向け開発中という商品も登場し、美食女子とバイヤー、それぞれの立場からの意見が積極的に取り交わされた。特に印象的だったのは、美食女子の2人が何度も口にした「温かみ」という言葉。地域の絆や人のつながりが薄れている現代だからこそ、多くの人の手が加わる「食」の大切さに注目が寄せられ、市場にも変化が訪れているという印象だった。(モデルプレス)■「FOODEX JAPAN 2013」
会期:2013年3月5日~8日
会場:幕張メッセ1~8ホール
■FOODEX美食女子オフィシャルサイト
http://www.foodex-beauty.jp/
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