SBCメディカルグループホールディングスCEO・相川佳之氏が描く“日本一”とは 革新を生み出す組織づくりの極意
2025.09.16 19:00
美容医療業界のトップを走り続けるSBCメディカルグループホールディングスのCEO、そして湘南美容クリニックの創業者でもある、相川佳之氏(あいかわ よしゆき/55)。その原動力である「縁ある人を幸せにしたい」という熱い想いはどこから来るのか。業界No.1のプレッシャー、求める人物像、そして「医学部を持つ」という壮大な未来の展望までを語る。
「縁ある人を幸せにしたい」信念の芽生え
- 「縁ある人を幸せにしたい」という強い信念は、どのように形成されたのでしょうか?特に影響を受けた考え方や、経営者としてその想いが強くなったきっかけがあれば教えてください。相川氏:アチーブメント株式会社の青木仁志先生が主催する、目標達成の講座に17年ほど通い続けていました。そこで「インサイドアウト」、つまり身近な人から幸せにして、最終的に社会貢献へ繋げていくという考え方に深く影響を受けています。
この信念を言葉で表現したものが、現在の企業理念である「究極の三方良し(お客様良し、スタッフ良し、社会良し)」です。お客様を幸せにするためには、まずスタッフが心から幸せでなければならない。そう確信し、理念として掲げることを決意しました。
- 理念を掲げることは、相川さんにとって覚悟そのものなのですね。
相川氏:もし自分が余命3ヶ月と宣告されたら、きっと一番強く感じるのは「やり残したことがある」という無念さだと思います。自分を信じて入社してくれたスタッフに「この会社を選んで失敗した」とだけは絶対に思われたくない。なので、この想いは経営者になってから強くなったのかもしれません。
- 経営者として多くの仲間を背負う覚悟が、その信念をより強固なものにしたのですね。
相川氏:会社を経営していると、残念ながら離職する人も出てきます。そのたびに、女性に振られたような感覚になって、心臓がギューッと締め付けられるんですよね。でも、去ってしまった人に対してできることはもうありません。
コントロールできるのは、今ここに残ってくれている人たちを、いかに幸せにできるかということだけ。「SBCに残って本当に良かった」と心から思わせたい。自分を振った相手を見返すぐらいの強い気持ちで、残ってくれた仲間と向き合っています。
- その痛みを知るからこそ、強い覚悟と、それ以上の優しさが宿るのですね。
業界No.1の覚悟と、仲間への感謝
- 業界No.1を目指す過程と、No.1になった今とでは、感じるプレッシャーに違いはありますか?相川氏:全く違いますね。No.1になるまでは、何をおいても「No.1になる」ことが最優先でした。もちろん、その過程には良い時も悪い時もあって、特に経営が苦しかった時に残ってくれたスタッフへの恩義は、今でも強く感じています。
そしてNo.1になってからは、注目度が格段に上がりました。国からの規制や指導が入る時も、まずSBCに声がかかる。これは業界トップの宿命だと受け入れています。また、我々の言動が業界全体のイメージに直結するため、業界を正しい方向に導いていくという、良い意味でのプレッシャーと自制心が生まれましたね。
- トップに立ったからこそ見える景色と、担うべき責任の重さが伝わってきます。その中で、スタッフや仲間の存在に支えられたと感じる瞬間はありましたか?
相川氏:日々感じています。良い時も悪い時も、ただ会社に「いてくれる」ことが、彼らが示してくれる最大のメッセージであり、信頼の証です。その行動、存在自体が、私に「この人たちの期待に応えなければ」という強い気持ちを抱かせてくれます。まだまだ十分ではありませんが、コツコツと続けていくことが大切だと考えています。
- 共に歩んでくれる仲間がいる。その当たり前のようで当たり前でない事実への感謝が、相川さんの全ての行動の原点になっているのですね。
経営はシンプル、「原理原則」から外れないという強さ
- 相川さんの根底にある、仕事で大切にされている信念を教えてください。相川氏:「原理原則」から外れないことです。常に、その物事が「理にかなっているか」を判断基準にしています。例えば、クリニックの経営は非常にシンプルです。お客様からいただいた料金以上の価値を提供できれば、必ずご満足くださりリピーターになってくださる。そうして事業は広がっていきますが、価値を提供できなければ衰退していく。
これは、普遍的な法則だと思います。だからこそ、この原理原則から外れたことは絶対にしないということを何よりも大事にしています。
- シンプルですが、全てのビジネスの核心を突く言葉ですね。その当たり前を徹底することこそが、No.1であり続ける強さなのだと感じました。
相川佳之氏の挑戦は終わらない―次なる目標は「日本一お客さまの多い医療グループ」
- SBCは美容医療にとどまらず、保険診療分野や海外展開など、常に新しい領域に挑戦されています。相川さんが描く今後の展望を教えてください。相川氏:国内では、美容医療はもちろん、AGA、歯科、眼科、不妊治療、整形外科といった各分野で日本のトップシェアを目指します。そして、その先に見据えているのが「総合病院」の設立です。各分野のトップドクターを集結させ、日本一の名医が集まる核となる病院を創り上げることが、グループとしての大きな目標です。海外事業は、アジアと北米を中心に、まずは美容クリニックから展開を加速させていきます。上場で得た資金を元に、積極的なM&Aも仕掛けていきたいですね。
- 聞いているだけでワクワクするようなビジョンですね。これから仲間になるドクターたちと、どのような景色を一緒に見ていきたいですか?
相川氏:SBCメディカルグループだからこそ見られる景色を共有したいです。多様な診療科を経験し、キャリアを積める環境は、個人でクリニックを開業するのとは全く違う世界観を与えてくれるはずです。何より、私がビジョンとして掲げ続けてきたことを、現実に変えていく瞬間を一緒に味わってほしい。「2025年にクリニックを200院にし、看護学校を持つ」と2015年に宣言した時、ほとんどのスタッフは「そんな宣言をして大丈夫?」と思っていたかもしれません。でも、私たちはそれを2年前倒しで達成しました。
今、私は「2035年に医学部を持ち、日本一お客さまの多い医療グループになる」というビジョンを掲げています。「またまた、そんな宣言をして大丈夫?」と思われているかもしれません。しかし、誰もが不可能だと思うような夢を、本気で実現していくプロセスこそ、私たちが仲間と共有したい最高の景色なんです。
- 壮大な夢物語を、揺るぎない現実へと変えてきた実績があるからこそ、その言葉には絶大な説得力があります。不可能を可能にする興奮と感動を、仲間と共に分かち合いたいという強い想いが伝わってきました。
相川佳之氏の困難を乗り越えるためのマインドセット
- 読者の中には、今まさに困難に立ち向かっている人も多くいます。相川さんがこれまでで最も辛かった経験と、それをどう乗り越えたのかを教えてください。相川氏:2年前に顔面神経麻痺を患い、今も顔が思うように動かないのですが、これは自分の中ではかなり辛い経験です。しかし、私には若年性パーキンソン病と闘いながら、上場企業の社長を務めている友人がいます。彼はまともに喋ることも、体を動かすことも難しい状況で、病状も進行している。それでも、社長として何百店舗もの飲食店を経営し、結果を出し続けているんです。彼の姿を見ていると、自分が抱えている悩みの小ささを思い知ります。
人は自分の身に不幸が起きると、自分が世界で一番不幸だと感じてしまいがちです。でも、視点を変えれば、生きているだけで幸運なことかもしれない。私たちはつい「欠けている部分」にばかり注目してしまいますが、そうすると不幸なマインドから抜け出せなくなってしまいます。そうではなく、「満ち足りている部分」に意識を向けたり、今あるものに感謝をする。そうすることで、人生の解釈は大きく変わるはずです。
- 自分より困難な状況で奮闘する人の姿に己を奮い立たせ、そして「足りないもの」ではなく「今あるもの」に目を向ける。そのマインドセットが、逆境を乗り越える力になるのですね。
相川佳之氏の夢を叶える秘訣
- 最後に、夢を追いかけている読者に向けて、相川さんの「夢を叶える秘訣」を教えてください。相川氏:秘訣は3つあります。1つ目は「優先順位を決めること」です。私は20年近く、GMOの熊谷正寿さんが出された「一冊の手帳で夢は必ずかなう」という本をきっかけに手帳を使い続けています。まず「行きたい目標」と「現在の自分」を明確にし、そのギャップを埋めるために今、何が一番必要かを徹底的に考えます。
その優先事項は、時によって「健康」かもしれないし、「本を読む」や「業績を上げるためのマーケティング」かもしれない。このように、毎年、毎月、自分の目標に対して最も重要なプライオリティは何かを考え、意識する習慣を持っています。この優先順位がずれてしまうと、目的地にはなかなか辿り着けませんから。
2つ目は、「習慣管理」。手帳に書いた目標を毎日見ることで、やるべきことがブレません。続けることは大変ですが、気合でやろうとするのではなく、歯磨きのように「やらないと気持ち悪い」レベルまで習慣化してしまうことが大切です。
そして最後は、当たり前ですが「死ぬまで諦めないこと」です。この3つがあれば、どんな夢でも必ず近づいていけると思います。
- 具体的かつ、誰でも今日から実践できる、非常にパワフルな秘訣だと思います。
相川氏:その手帳にも、「医学部を持つ」「看護学部を持つ」「業界でトップになる」といったことを、ずっと書き続けてきました。そして今は、「2035年に日本で1番お客さまの多い医療グループになる」と書いて、実現させるために動き続けています。
- 20年間、手帳に夢を書き、毎日見続ける。その揺るぎない継続力こそが、数々のビジョンを実現させてきたのですね。
相川佳之氏が求める人物像
- 現在、グループ全体で1万人以上のスタッフを抱えていらっしゃいますが、相川さんが「この人と一緒に働きたい」「SBCでなら輝ける」と感じるのはどのような方ですか?相川氏:これはクリニックを開いた当初からずっと言い続けていることですが、「明るく前向き」「誠実」「素直」な方です。そして、何より「成長意欲がある」こと。年齢に関係はなく、現状に満足せず、本を読んだり、セミナーに参加したり、新しいことに挑戦したりと、常に前向きに成長を求める人に、私はどうしようもなく惹かれてしまいます。
- スキルや経験よりも、人間性やポテンシャルを重視されているのですね。面接の短い時間で、その資質をどのように見極めているのですか?
相川氏:今まさに新しい分野でドクターを採用しているんですが、まずは面接での「言動」ですね。そこで何を目指しているのか、どんな想いを持っているのかを伺います。ただ、本当に重要なのは、その後の「行動」です。口では立派なことを言っていても、行動が伴わない人もいますから。
- 読者の中には、ドクターやナースを目指し、SBCメディカルグループの一員になりたいと思っている方もいらっしゃると思うので、「SBCにはチャンスがある」と感じられるようなメッセージをいただけますか。
相川氏:ドクターで言うと、SBCは今、美容医療だけでなく整形外科、眼科、不妊治療といった様々な分野を展開しているので、どの領域からでも門を叩いてくれればチャンスがあります。若手をリーダーに抜擢することも非常に多いので、やる気と結果さえ出せる方であれば、必ず活躍の場があると断言できます。
- 素敵なお話、ありがとうございました。
業界の頂点を目指す壮大なビジョンを掲げる一方で、去っていく一人のスタッフに心を痛めるほどの繊細さを併せ持つ。この壮大さと繊細さが織りなす人間的な深さこそが、人々を惹きつけ、「この人と一緒に未来を創りたい」と思わせる最大の魅力なのだろう。
まとめ
「縁ある人を幸せにしたい」という想いを原点に、湘南美容クリニックを業界No.1へと導いてきた相川佳之氏。その言葉の端々から感じられたのは、経営者としての揺るぎない覚悟と、共に働く仲間への深く温かい愛情でした。現状に満足することなく、常に高い目標を掲げ、それを実現するための努力を「習慣」として継続する。そして、壮大なビジョンを仲間と共に現実のものにしていく。そのプロセスこそが、SBCメディカルグループで働く最大の魅力なのかもしれません。(modelpress編集部)
相川佳之(あいかわ・よしゆき)プロフィール
1970年生まれ。神奈川県出身。1997年に日本大学医学部を卒業し、医師免許を取得。2008年よりハーバード大学医学大学院麻酔科のPostGraduate Assembly(PGA)メンバーとして活躍。2014年から2015年にかけては、日本美容外科学会(JSAPS)の理事長を務めた。その他、日本レーザー医学会、日本脂肪吸引学会、ケミカルピーリング学会、日本麻酔科学会など、多くの学会に所属。
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