ディズニー「ズートピア」スタッフに聞いた“夢を叶える秘訣”特集<米アニメーション・スタジオ取材Vol.3>
2016.04.20 12:00
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『アナと雪の女王』『ベイマックス』のディズニーが贈る、ユニークな動物たちの“楽園”を舞台にしたファンタジー・アドベンチャー『ズートピア』が4月23日に日本にて公開される。同作は、ディズニーのイマジネーションによって新たに誕生した、動物たちが人間のようにハイテクな文明社会で暮らす世界“ズートピア”で繰り広げられる物語。モデルプレスでは今回、『ズートピア』の制作が行われた米カリフォルニア「ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオ」で取材を行い、次々と名作が生まれるその秘密に迫った。
大人にこそ響く奇跡のストーリー
もふもふボディの愛らしいビジュアルで早くも注目を集めるディズニー新ヒロインは、ウサギのジュディ・ホップス。「人参をつくることがウサギの“人生”」とされる中、立派な警察官になって世界を良くすることを夢見て田舎町を飛び出し、大都会「ズートピア」で奮闘する彼女がこの物語の主人公。夢を信じるジュディが起こす奇跡は、大人にこそ響く感動のストーリー。Vol.3では、ディズニーで働くスタッフに聞いた「夢を叶える秘訣」特集をお届け。
フィル・ジョンストン/脚本家
ジュディの夢は、僕自身の夢と関係があるんだ。少年であろうと、少女であろうとね。僕は、中西部のウィスコンシン州のとても小さな町の出身なんだ。子どもの頃、製紙工場や製鋼所が周囲にあった。僕にとって、ライターになったり、ハリウッドに引っ越したり、映画を作ったりすることは、現実的でない難しい夢だった。でも、その夢はいつも僕の頭のどこかにあった。少女や少年がそういう夢を持つためには、自分が情熱を持てることを見つけるということだと思う。ジュディの場合は、世界をより良い場所にしたいというのが情熱なんだ。そして、世界はいい警官を必要としていることを知るんだ。それは必ずしも、体が大きくて強くないといけないことを意味していない。彼女は、頭を使える。抜け目のなさを使える。その夢を実現するために、あらゆるものを使えるんだ。
そして、夢を持つこと以外でもっとも重要なことは、世界に「NO」と言わせないことだ。もちろん、障害はでてくるだろうし、不可能なこともあるだろう。でも、ジュディは世間の「NO」という声を気にしないんだ。だって、彼女は警官になりたいし、それが実現すれば世界がより良くなることを知っているから。
それは、子どもにとっても大人にとっても誰にとっても、素晴らしいメッセージだと思う。もし何かを信じているなら、それを追いかけないといけない。それに向かって進まないといけないんだ。
マティアス・リクナー/アート・ディレクター
『ズートピア』のようなディズニー映画を手掛けることは、僕の夢だったんだ。実現したなんて信じられないよ。今作が初めての映画だ。僕はドイツ出身で、ずっと昔に『ジャングル・ブック』を観て以来、ディズニー映画の仕事がしたかった。でも、ずっとうまくいかなかった。それでも僕はアニメーションの仕事を続けた。
僕の経験から言えることは、忍耐強さが必要だということだね。そして、自分の技術を磨き続けること。僕は最終的にデイヴ・ゲッツ(『ズートピア』のプロダクション・デザイナー)と出会って、今回の仕事に誘ってもらったんだ。だから、忍耐力と向上し続けることが秘訣だと思うよ。
ランス・サマーズ/環境ルック・スーパーバイザー
僕は、すごく小さな町の出身なんだ。ディズニーに入ったのは20歳のときで、これまで7年ほど働いている。今作は5作目だよ。僕の場合はディズニーに自分の作品を郵送したんだけど、返事は来ないと思っていたんだ。そうしたらとある月曜日に電話がかかってきて、翌週の月曜から働き始めていいと言われた。だから、LAに来るまでに6日しかなかったんだ。夢を叶えるってそういう小さなきっかけだと思う。
LAに来てからは、最初はタレント・デベロップメント・プログラムから始めた。3~6ヶ月間に渡ってトレーニングに参加でき、もし枠が空いていたら仕事に就けるプログラムだよ。僕は『塔の上のラプンツェル』から始めて、それ以来、ずっとここで働いているよ。
クラーク・スペンサー/プロデューサー
僕は、ワシントン州シアトルの郊外にある小さな町で育ったんだ。祖父母は映画館を持っていた。それで、幼い頃、僕はいつも映画を観に行っていた。だから、僕は映画が大好きだった。そして、大学に行って、大学を卒業した。ニューヨークのウォール街で、ファイナンス(財務)の仕事をした。みんながやっていることだったから。でも、僕には財務に対する情熱はなかった。それで4年経ったとき、「僕は仕事にやりがいを感じているけど、大好きなわけじゃない」と思った。自分がやっていることが大好きじゃないといけないと感じていたし、好きなことをやっていればもっと上手くできると思ったんだ。それで、僕はエンターテイメントに関わるために、NYを去ってLAに引っ越した。「いつか、映画をプロデュースしたい」と自分自身に言い聞かせていたよ。
そして、僕はディズニーのファイナンス部門で仕事を始めた。アニメーション部門と劇場用プロダクションのC.F.O.(最高財務責任者)になって、ブロードウェイの『ライオンキング』や『美女と野獣』の仕事もした。そのときは、それが僕のキャリアになるんだろうと思っていた。でも、フロリダ州オーランドに行って、スタジオを経営するようにという電話をもらったんだ。
スタジオでは『リロとスティッチ』の制作をしていたんだけど、その「プロディーサーをやらないか?」と誘われたよ。そうやって奇跡が起きて、僕の夢は実現した。
だから、僕はいつも「自分の心に従いなさい。自分の情熱に従いなさい」と言うよ。「もし何か大好きなものがあるなら、それに向かって進むことだ。頑張って実現するんだ。あなたのエネルギーが、それを可能にしてくれるよ。ただそのためには、自分自身を信じないといけないよ」とね。
ジュディと同じ境遇
驚くことに、「ディズニー・アニメーション・スタジオ」にはジュディと同じ境遇のスタッフが多い。夢を追ってディズニーの世界へ飛び込んだ彼らは、そこで生まれた新たな夢のため、日々作品と向き合っている。そして、インタビューではどのスタッフと話していても、常に楽しそうな笑顔。笑顔が溢れる現場から生み出される作品は、きっと人を笑顔にできる。(modelpress編集部)
ディズニー最新作『ズートピア』
日本公開日:4月23日製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:クラーク・スペンサー
監督:バイロン・ハワード『塔の上のラプンツェル』/リッチ・ムーア『シュガー・ラッシュ』
<あらすじ>
動物が人間のように暮らす大都会、ズートピア。誰もが夢を叶えられる人間も顔負けの超ハイテク文明社会に、史上最大の危機が訪れていた。立ち上がったのは、立派な警察官になることを夢見るウサギのジュディ。夢を忘れたサギ師のニックを相棒に、彼女は奇跡を起こすことができるのか…?
<キャラクター説明>
ジュディ・ホップス
ウサギ初の新米警官。憧れのズートピアで「立派な警察官になる」夢に向かって奮闘中。もふもふのボディと豊かな感情表現ができる大きな耳が特長。正義感が強く、行動的で頑張り屋。ひょんなことからキツネの詐欺師のニックと共に、楽園ズートピアの秘密に挑んでいくことに。ニック・ワイルド
“キツネらしい”人生を生きる“夢を忘れた”詐欺師のキツネ。ズートピアを知りつくし、幅広い情報網を持つ。現実を知る皮肉屋だが、陽気な魅力があってどこか憎めない。ひょうひょうとした態度の裏には優しさが隠れている。過去のある出来事によって傷ついているが、その繊細な心は誰にも見せない。自分にはないものを持つジュディと運命を共にするうちに、何かが変わっていく。クロウハウザー
ズートピア警察署の受付担当のチーター。ドーナツが大好物でチーターとは思えないほど太っている。ジュディにも気さくに話しかけてくる気のいい、のんびり屋。ボゴ/ズートピア警察署長
厳しく、頑固で、眼光鋭いタフなスイギュウ。警察の仕事に誇りを持ち、事件の捜査は、カバやゾウなどのタフな動物にしかこなせない任務だと信じている。ウサギである上に新米警官のジュディには最初から期待しておらず、捜査に参加したがる彼女を持て余す。レオドア・ライオンハート市長
「楽園であること」の維持を第一に考えるズートピア市長。堂々たるライオン。「誰でも何にでもなれる」というズートピアのスローガンを作ったのも彼。ベルウェザー副市長
ズートピア副市長を務めるヒツジ。ジュディを小さな動物の誇りと考え、何かと気づかう。ライオンハート市長にいつも忙しく使われている。フラッシュ
免許センター職員のナマケモノ。パソコン入力から話し方、笑い方まで、驚異的な超スロー・ペースを崩さない。
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