ディズニー「ズートピア」2人の監督が語った“夢を叶える秘訣”<米アニメーション・スタジオ取材Vol.2>
2016.04.19 12:00
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『アナと雪の女王』『ベイマックス』のディズニーが贈る、ユニークな動物たちの“楽園”を舞台にしたファンタジー・アドベンチャー『ズートピア』が4月23日に日本にて公開される。同作は、ディズニーのイマジネーションによって新たに誕生した、動物たちが人間のようにハイテクな文明社会で暮らす世界“ズートピア”で繰り広げられる物語。モデルプレスでは今回、『ズートピア』の制作が行われた米カリフォルニア「ウォルト・ディズニー・アニメーションスタジオ」で取材を行い、次々と名作が生まれるその秘密に迫った。
大人にこそ響く奇跡のストーリー
もふもふボディの愛らしいビジュアルで早くも注目を集めるディズニー新ヒロインは、ウサギのジュディ・ホップス。「人参をつくることがウサギの“人生”」とされる中、立派な警察官になって世界を良くすることを夢見て田舎町を飛び出し、大都会「ズートピア」で奮闘する彼女がこの物語の主人公。夢を信じるジュディが起こす奇跡は、大人にこそ響く感動のストーリー。Vol.2は、そんな同作の監督を務めたバイロン・ハワード氏&リッチ・ムーア氏のインタビューをお届け。
2つの才能が融合
ハワード氏は、ワシントンのエバーグリーン州立大学で映画撮影・美術・文学を学ぶことで映画製作への興味を探求し、美術学士号を修得。 2006年に監督となり、2008年に公開されたウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによるアカデミー賞ノミネート作品『ボルト』(クリス・ウィリアムズ氏と共同)で、長編映画監督デビュー。そして、2010年には世界的ヒットした長編映画『塔の上のラプンツェル』でネイサン・グレノと共に監督を務めた。ムーア氏は、カリフォルニア芸術大学でアニメーションを専攻。2012年には、アニメーション映画『シュガー・ラッシュ』を監督。この作品でキャラクターのサワー・ビルと『ストリートファイター』のザンギエフの声も担当するなど、多彩ぶりを発揮している。
「夢を叶える秘訣」
今回のインタビューでは、数々の夢を形にしてきた2人に「夢を叶える秘訣」を聞いてみた。世界に認められる才能を持つハワード氏とムーア氏が贈るアドバイスとは――?そこには、新ヒロイン・ジュディに通じるメッセージが込められていた。リッチ・ムーア氏
僕には学校の美術の先生で、ミスター・コークという人がいた。僕が若かった頃、学生たちが彼に尋ねた。「ミスター・コーク。業界の仕事にどうすれば就くことができますか?どうすれば、その仕事でお金を稼げますか?僕らはサバイブすることができますか?」とね。そしたら、彼は「そうだね。とてもシンプルなことだ。決して諦めない人々が成功するんだよ」と言っていた。とてもシンプルに聞こえるけど、それは本当だ。もし諦めてしまったら、夢を実現することはない。だから、努力を続け、強い意志を持つ人たちが、やりたいことを実現できるんだよ。僕からのアドバイスは、いつも「決して諦めるな」ということだ。
そして、夢に前進しているように感じられないときでも、実は前に進んでいるんだということを知ってほしい。僕もそういう風に感じていたよ。僕のキャリアを振り返ってみてもそうだ。若いときには、そういうことが分かりにくいものだけどね。だから、僕はいつも言っているんだ。
僕の子どもたちにも言っているよ。ただトライし続けることだってね。そうすれば、最終的にはそこに行き着くものなんだとね。
バイロン・ハワード氏
リッチに同意するよ。そして、「完璧であろうとするな」と言いたいよ。ジュディには欠点があって、完璧なキャラクターでないのと同じようにね。常に、正しくあろうとしない方がいいと思う。誤りを犯すことも予想して、その誤りで自分をこうだと決めつけないことだ。僕らのボスの1人、エド・キャットムル(ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ及びピクサー・アニメーション・スタジオの現社長)は、とてもいいものの見方をしている。彼はとても科学的な心を持っていて、失敗を再定義しているんだ。もし、ラボで実験をしていて、爆発するとする。その誤りのことで自分を責めないんだ。ただ「OK。あれはうまくいかなかった。それでは、違うやり方をトライしてみよう」ってね。
科学者というのは、誤りを犯すことを予想しているから、何かがうまくいかなかったとき、自分たち自身にがっかりしたりしない。それが科学なんだ。何かをやろうとするときには、いつもそういうものだよ。
もし、何かを学んでいるとしたら、誰だって誤りを犯すものだし、それはより良くなるための機会だと思えばいい。何かを思い切ってやっているなら、誤りは起きるよ。それがなければ、より良くなれると思わない。だって、失敗から学ぶことの方が多いからね。
ジュディを通して届ける“希望のメッセージ”
インタビューに答える2人の瞳は、少年のようにキラキラと輝く。夢を語る姿は、まるでジュディのよう。彼らが映画に込めた“希望のメッセージ”は、ジュディを通してきっと多くの人に届くはずだ。(modelpress編集部)ディズニー最新作『ズートピア』
日本公開日:4月23日製作総指揮:ジョン・ラセター
製作:クラーク・スペンサー
監督:バイロン・ハワード『塔の上のラプンツェル』/リッチ・ムーア『シュガー・ラッシュ』
<あらすじ>
動物が人間のように暮らす大都会、ズートピア。誰もが夢を叶えられる人間も顔負けの超ハイテク文明社会に、史上最大の危機が訪れていた。立ち上がったのは、立派な警察官になることを夢見るウサギのジュディ。夢を忘れたサギ師のニックを相棒に、彼女は奇跡を起こすことができるのか…?
<キャラクター説明>
ジュディ・ホップス
ウサギ初の新米警官。憧れのズートピアで「立派な警察官になる」夢に向かって奮闘中。もふもふのボディと豊かな感情表現ができる大きな耳が特長。正義感が強く、行動的で頑張り屋。ひょんなことからキツネの詐欺師のニックと共に、楽園ズートピアの秘密に挑んでいくことに。ニック・ワイルド
“キツネらしい”人生を生きる“夢を忘れた”詐欺師のキツネ。ズートピアを知りつくし、幅広い情報網を持つ。現実を知る皮肉屋だが、陽気な魅力があってどこか憎めない。ひょうひょうとした態度の裏には優しさが隠れている。過去のある出来事によって傷ついているが、その繊細な心は誰にも見せない。自分にはないものを持つジュディと運命を共にするうちに、何かが変わっていく。クロウハウザー
ズートピア警察署の受付担当のチーター。ドーナツが大好物でチーターとは思えないほど太っている。ジュディにも気さくに話しかけてくる気のいい、のんびり屋。ボゴ/ズートピア警察署長
厳しく、頑固で、眼光鋭いタフなスイギュウ。警察の仕事に誇りを持ち、事件の捜査は、カバやゾウなどのタフな動物にしかこなせない任務だと信じている。ウサギである上に新米警官のジュディには最初から期待しておらず、捜査に参加したがる彼女を持て余す。レオドア・ライオンハート市長
「楽園であること」の維持を第一に考えるズートピア市長。堂々たるライオン。「誰でも何にでもなれる」というズートピアのスローガンを作ったのも彼。ベルウェザー副市長
ズートピア副市長を務めるヒツジ。ジュディを小さな動物の誇りと考え、何かと気づかう。ライオンハート市長にいつも忙しく使われている。フラッシュ
免許センター職員のナマケモノ。パソコン入力から話し方、笑い方まで、驚異的な超スロー・ペースを崩さない。
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