「アナ雪」「ベイマックス」を手がけた女性アニメーターに迫る ディズニーで夢を掴む秘訣とは【米アニメーション・スタジオ潜入レポ(5)】
2014.12.15 13:00
「アナと雪の女王」に続くディズニー最新作「ベイマックス」が、12月20日に日本にて公開される。モデルプレスでは今回、同作の制作が行われた米カリフォルニアの「ディズニー・アニメーション・スタジオ」で取材を行い、監督やクリエイターへのインタビューを通して、次々と名作が生まれるその秘密に迫った。
「アナと雪の女王」のディズニー・スタジオが次に描き出すのは“限りない優しさ”
今年、空前の大ヒットとなった「アナと雪の女王」。全世界を熱狂させたあの名作を生み出したウォルト・ディズニー・スタジオが次に手がけるのが「ベイマックス」だ。同作は早くに両親を亡くし、唯一にして最愛の存在であった兄タダシを謎の事故で亡くしてしまったひとりぼっちの少年ヒロと、心とカラダを守るために作られたケア・ロボットの“ベイマックス”が繰り広げる感動アドベンチャー。エルサとアナの姉妹愛で世界中を感動に包み込んだウォルト・ディズニー・スタジオが、この冬「ベイマックス」で限りない優しさを届ける。「ディズニー・アニメーション・スタジオ」潜入レポート第5弾となる今回は、「ベイマックス」のアニメーター、ヒュン・ミン・リー(35)のインタビューをお届け。
4歳の頃から描き続けた夢――ディズニーアニメーターが語るチャンスを逃さない方法
リーは、2007年にディズニーに入社。今年で7年のキャリアを迎える彼女は、これまで「プリンセスと魔法のキス」(2009年)、「シュガー・ラッシュ」(2013年)、「アナと雪の女王」(2014年)などに携わってきた。2013年には、アカデミー賞受賞短編作品「紙ひこうき」(2013年)の最終工程におけるスーパーバイザーを務め、今年の短編作品「愛犬とごちそう」ではキャラクター・デザインを担当。また「ベイマックス」では、ヒロ、ベイマックス、タダシ、キャスおばさんなど、キャラクターが登場するシーンを描いた。4歳の頃にディズニー映画「ロビン・フッド」(1973年)を観て、「どうやって作品を作っているか分からなかったけど、ディズニーに関わる仕事をしたいと思った」というリー。「描くことは昔から好きで、それが私にとっての1番だったんです。ディズニー作品は小さいときから観ていたからとても影響を受けたし、家族と一緒に観ていたから思い出もたくさんある」と胸の内を明かしたが、今の職に就くまでの道のりは平坦ではなかったよう。
「ずっとアニメーターになりたいと思っていたけれど、私は自分に対するインフォメーションが足りなかったんです。どこでアニメーションの勉強をすることができるのか分からないまま大学に入り、ペインティングを学んだんですけど、大学院のときにカリフォルニア芸術大学(カルアーツ)というディズニーが作った学校の存在を知りました。そこに行けば、アニメーションの勉強ができることも。そして、そこに通うようになってはじめて本格的にアニメーションの勉強をすることができました。その学校に通うまではアニメーターになれるかどうか全く見えていなかった。でも、その学校に入って良い先生に出会うことができ、そこから一気に変わりました」。
道が開けてからの彼女はとにかく真っ直ぐだった。「一生懸命勉強をしました。いつでも先生に良い作品を見てもらえるように準備をしていました。いつかチャンスが巡ってくるかもしれない…だから、そういうときのためにがんばろうと。せっかく来たチャンスが逃げてしまわないように」。
そうやって夢を掴みとったリーが目指すのは、「観ている人にアニメーションだと意識させないアニメーションを作ること」。「『いいアニメーションですね』と思ったということは、あまりいいアニメーションではないことと一緒だと思ってる。人の手を感じさせない、キャラクターが自ら動いているように見えるアニメーションが本物だと思ってるんです」。柔らかな雰囲気が漂う彼女だが、このときばかりは少し熱を帯びたようにアツく語った。(modelpress編集部)
■ディズニー最新作「ベイマックス」
<ストーリー>
ひとりぼっちの天才少年ヒロは、亡き兄が人々の心とカラダを守るために作ったケア・ロボットのベイマックスと共に、危険を冒して兄の死の真相を探る。人を傷つけることを禁じられたベイマックスは、大切なヒロを守り切れるのか?
■ヒュン・ミン・リー(Hyun Min Lee) プロフィール
1981年10月21日生まれ。2007年に、ディズニー入社。これまで「プリンセスと魔法のキス」(2009年)「シュガー・ラッシュ」(2013年)「アナと雪の女王」(2014年)などに携わってきた。アカデミー賞受賞短編作品「紙ひこうき」(2013年)では、最終工程におけるスーパーバイザーを務め、今年の短編作品である「愛犬とごちそう」では、キャラクター・デザインのスーパーバイザーとして従事している。「ベイマックス」では、ヒロ、ベイマックス、タダシ、キャスおばさんをはじめとするキャラクターが登場するシーンを描いた。
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