ディズニー・スタジオ全社員から選ばれたアイデアを映像化…敏腕アニメーターを直撃【米アニメーション・スタジオ潜入レポ(4)】
2014.12.13 10:00
「アナと雪の女王」に続くディズニー最新作「ベイマックス」が、12月20日に日本にて公開される。モデルプレスでは今回、同作の制作が行われた米カリフォルニアの「ディズニー・アニメーション・スタジオ」で取材を行い、監督やクリエイターへのインタビューを通して、次々と名作が生まれるその秘密に迫った。
「アナと雪の女王」のディズニー・スタジオが次に描き出すのは“限りない優しさ”
今年、空前の大ヒットとなった「アナと雪の女王」。全世界を熱狂させたあの名作を生み出したウォルト・ディズニー・スタジオが次に手がけるのが「ベイマックス」だ。同作は早くに両親を亡くし、唯一にして最愛の存在であった兄タダシを謎の事故で亡くしてしまったひとりぼっちの少年ヒロと、心とカラダを守るために作られたケア・ロボットの“ベイマックス”が繰り広げる感動アドベンチャー。エルサとアナの姉妹愛で世界中を感動に包み込んだウォルト・ディズニー・スタジオが、この冬「ベイマックス」で限りない優しさを届ける。「ディズニー・アニメーション・スタジオ」潜入レポート第4弾となる今回は、「ベイマックス」と同時上映される短編映画「愛犬とごちそう」の監督、パトリック・オズボーン氏のインタビューをお届け。
アカデミー賞受賞の敏腕アニメーターが短編に挑む
「愛犬とごちそう」は、1人の男性が飼う愛犬・ウィンストンの視点から描く愛をテーマとした感動作。ご主人様と一緒に食べるジャンク・フードが大好きだったウィンストンだが、ある出来事をきっかけに楽しかった食事の時間は一変してしまい、生活が変わっていく――というストーリー。メガホンをとったパトリック氏は、今作が初監督。「ボルト」「塔の上のラプンツェル」「シュガー・ラッシュ」などの長編や、2013年に第85回アカデミー賞で最優秀短編アニメ映画賞を受賞した「紙ひこうき」のアニメーション・チーフを務め、さらに「愛犬とごちそう」に監督として関わる前には「ベイマックス」で共同アニメーション・チーフを担当していた。
1/234 全社員から選ばれたアイデアを映像化
今作の制作は、ディズニー・スタジオで働く全社員に向けて呼びかけられた「短編アニメーションのアイデアを求む!」という募集がきっかけ。78ものアイディアが集まり最終的にディズニー製作総指揮のジョン・ラセター氏にプレゼンテーションすることができるのは選ばれた4人だけ――そうやって、パトリック氏が提案した「愛犬とごちそう」の制作が決定し、今回の監督権を勝ち取った。「ここは、やる気があって才能があればいろんな事ができるところなんだ」とパトリック氏が語るように、ディズニーでは立場や経験に関係なく、常にチャンスが与えられる環境作りが行われている。実際に、彼もそう感じているようで「周りに素晴らしい人がいるから、高いレベルのものができるんだ。クリエイティブな人が集まり、その人たちがほかの人を助けようとする仕組みができあがっている。競争率は高いけど、みんながお互いの成功を喜び合ってる」。
そしてさらに、こう続ける。「僕はこうやってみんなのおかげで作品を作ることができたから、今後はほかの人がチャンスをもらう番だ」――すでにスタジオでは、次の作品候補となる多くものプロジェクトが動き出している。彼自身も目標を「長編アニメの制作」に定め、「今は色んな本を読んで、自分の興味のある題材を探しているよ。1年前はそうやって考えることもできなかったけど、今回短編ができたことで、長編を作るって考えることが可能になったんだ」と夢を語っていた。
全身全霊を込めた作品が完成し、今一段落といったところなのだろう。「12月に1ヶ月、新婚旅行で長野にスノーボードをしに行くんだ。1年前に結婚したんだけど、忙しくてこのタイミングになったんだよ。日本にいる間も絵を書いて、次の作品に向けインスピレーションを高めておくよ」と最後に少しだけ、クリエイターの看板を下ろし等身大の素顔を覗かせた。(modelpress編集部)
■パトリック・オズボーン プロフィール
パトリック・オズボーン監督は『ボルト』のアニメーターとして、2008年にウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオに入社。2010年のディズニー作品『塔の上のラプレンツェル』、2012年のアカデミー賞短編アニメーション受賞作品『紙ひこうき』ではアニメーション・チーフを務めた。また、『ベイマックス』においても、共同アニメーション・チーフを務める。
■ディズニー最新作「ベイマックス」
<ストーリー>
ひとりぼっちの天才少年ヒロは、亡き兄が人々の心とカラダを守るために作ったケア・ロボットのベイマックスと共に、危険を冒して兄の死の真相を探る。人を傷つけることを禁じられたベイマックスは、大切なヒロを守り切れるのか?
■同時上映作品「愛犬とごちそう」
ご主人様と一緒に食べるジャンク・フードが大好きな犬のウィンストンは毎日楽しい日々を送っていた。でも、ご主人様が恋に落ちてからというもの、楽しかった食事の時間は一変してしまう。飼い主と愛犬――共に分かち合う料理の一口一口を通して明かされる愛をテーマとした物語が描かれる。
【Not Sponsored 記事】