「彼女が好きなものは」書影、神尾楓珠(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会

神尾楓珠、映画初主演決定 人気小説実写化でゲイであることを隠す高校生役に<彼女が好きなものは>

2021.03.06 08:00

俳優の神尾楓珠が、2021年秋に公開する映画『彼女が好きなものは』で映画初主演を務めることが分かった。

  

神尾楓珠「彼女が好きなものは」で映画初主演決定

浅原ナオト「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」(角川文庫刊)(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
ゲイであることを隠しながら生活する男子高校生とBL好きの女子同級生との恋愛を通じ、世間にはびこる“ふつう”という価値観とのギャップに向き合う男女の姿を描いた同作。

原作は、小説家・浅原ナオト氏の『彼⼥が好きなものはホモであって僕ではない』(角川文庫刊)。Web⼩説サイト「カクヨム」で話題作となり、2018年2⽉に書籍化され、2019年4⽉にはNHKで「腐⼥⼦、うっかりゲイに告る。」のタイトルでドラマ化もされ、反響を呼んだ。

ゲイであることを隠して⽇々を過ごす男⼦⾼校⽣・安藤純と、BL好きを隠しているクラスメイトの⼥⼦・三浦紗枝が、書店で鉢合わせたことから急接近。やがて紗枝から好きだと告⽩された純はある想いを秘め付き合うことに―。

原作者・浅原ナオト氏も太鼓判

映画化にあたって原作者の浅原氏は「原作執筆時、『同性愛』ではなく『同性愛者』の話を書こうと…別に思っていませんでした。でも、結果的にそうなりました。普通になりたい願望と、普通になれない現実。『好きな相手が同性でもいいと思うよ』では片づかない複雑な内面を書いた物語は、多くの方の共感と好評を得て、映画化にまで至りました。その複雑さはこの映画にもしっかり残っていると思います」とコメントし、映画として新たな息吹をもたらした本作の出来栄えに太鼓判を押している。

神尾楓珠、「彼女が好きなものは」でゲイを隠して生きる男⼦⾼校⽣役に

神尾楓珠(C)2021「彼女が好きなものは」製作委員会
主役の安藤純を演じるのは、『アンナチュラル』(2018年、TBS系)、『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(2019年、日テレ系)など話題のテレビドラマに出演し、2021年は、現在公開中の『樹海村』や、4月2日に公開を控える『裏アカ』などの映画出演も続く、今最も注目を集めている俳優、神尾。

「異性を愛したい」「家庭を築きたい」と世間で“ふつう”と言われる幸福を手にしたいと願いながらも、自分らしさとの狭間で葛藤する純を繊細に演じる。

同作が映画初主演となる神尾は「撮影時にはそのことにとらわれることなく、作品のことをただただ考える毎日でした。草野監督とは、作品に対しての共通認識を持つことが出来、現場ではお互いが委縮することなく、言いたいことを素直に言える環境を作ってくださったことに感謝しております。」とその心境と撮影当時を振りかえった。

本作については「『自分らしさ』とは何か、『自分らしく生きること』とは何か。そういったことを考えるきっかけになってくれれば、嬉しく思います」と意気込みを語っている。

草野翔吾監督、神尾楓珠は「原作を読んだイメージそのまま」

監督を務めるのは、『にがくてあまい』(2016年)や『世界でいちばん⻑い写真』(2018年)で、若者の瑞々しくも壊れやすい⼼模様を丁寧に描き出してきた草野翔吾監督。本作でも、純と紗枝のいびつで繊細な恋模様を瑞々しく描き、世間の目や価値観と「自分らしさ」の狭間で苦悩する若者たちの姿を通して、人と人が分かり合うことの困難とその先にある希望を感じさせる、全世代に響く作品へと見事に昇華させている。

草野監督は同作について「私達がどこかで見ないふりをしていた本音の言葉に溢れた原作を映画化するにあたり、自分にできることがあるのだろうか、と真剣に悩みました。でも、同じかそれ以上に、純のことを、純を取り巻く環境を多くの人に知ってほしいと強く思いました」と映画作りへの思いを語り、神尾についても「私が原作を読んだイメージそのままの純を繊細に表現してくれました」と絶賛している。

同作は、2019年にロングランヒットを記録した『愛がなんだ』(今泉力哉監督作)の企画・制作・プロデュースや、2020年に監督デビュー作ながら『パラサイト 半地下の家族』に次ぎ「キネマ旬報ベストテン」で第2位となった韓国映画『はちどり』を配給した映画制作配給会社のアニモプロデュースが企画・制作・プロデュースした最新作。これまでにない、まったく新しい恋愛青春映画になっている同作に注目だ。(modelpress編集部)

STORY

わかり合えない僕らは、それでも「ふつう」の幸せを手に入れたい―。⾼校⽣の安藤純は⾃分がゲイであることを誰にも告げずに⽣きていた。ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝が、男性同⼠の恋愛をテーマとした、いわゆるBLマンガを購⼊しているところに遭遇する。

BL好きであることを秘密にしている紗枝は「誰にも⾔わないで欲しい」と純に⼝⽌めをするのだが、彼⼥はまだ知らなかった。⽬の前にいる純が、彼⼥の好きなゲイであることに。

純には妻子ある同性の恋人マコトがいるが、書店での遭遇をきっかけに、純と紗枝は急接近する。紗枝の友⼈達とダブルデートをしたり、クラスメイトたちと遊園地で遊んだりと仲を深めるうちに、純は紗枝から告⽩をされる。「自分も“ふつう”に⼥性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか︖」。⼀縷の望みにかけるかのように、紗枝の告⽩を受け⼊れ、付き合うことになったのだが。

原作者 浅原ナオト氏 コメント

原作執筆時、「同性愛」ではなく「同性愛者」の話を書こうと…別に思っていませんでした。でも、結果的にそうなりました。普通になりたい願望と、普通になれない現実。「好きな相手が同性でもいいと思うよ」では片づかない複雑な内面を書いた物語は、多くの方の共感と好評を得て、映画化にまで至りました。その複雑さはこの映画にもしっかり残っていると思います。まずはお楽しみ頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

神尾楓珠 コメント

この作品への出演が決まった時に、まず最初に思ったことは、この作品はとても真摯に向き合わなければならない、というものでした。自身が演じることになる安藤純というキャラクターを深く理解し、決して軽く捉えてはいけないということを肝に銘じながら、この役を演じました。

僕にとっては本作が映画初主演作となりますが、撮影時にはそのことにとらわれることなく、作品のことをただただ考える毎日でした。草野監督とは、作品に対しての共通認識を持つことが出来、現場ではお互いが委縮することなく、言いたいことを素直に言える環境を作ってくださったことに感謝しております。

この作品を観て、「自分らしさ」とは何か、「自分らしく生きること」とは何か。そういったことを考えるきっかけになってくれれば、嬉しく思います。

草野翔吾 監督 コメント

私達がどこかで見ないふりをしていた本音の言葉に溢れた原作を映画化するにあたり、自分にできることがあるのだろうか、と真剣に悩みました。でも、同じかそれ以上に、純のことを、純を取り巻く環境を多くの人に知ってほしいと強く思いました。

原作に向き合うのと同じだけ、自分の中の偏見と向き合い、浅原さんに何度もディスカッションに付き合って頂きながら、脚本を書きました。そして神尾楓珠さんが、私が原作を読んだイメージそのままの純を繊細に表現してくれました。白いスクリーンの向こう、透明な壁の向こうにいる純のことを、知ってもらえたら嬉しいです。
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