(左から)佐藤浩市、綾野剛、杉咲花(提供画像)

綾野剛、孤独な容疑者に 杉咲花&佐藤浩市と傑作映画化<楽園>

2018.08.21 05:00

ベストセラー作家・吉田修一氏の傑作小説「犯罪小説集」を映画化する映画「楽園」が2019年に公開される。主演を俳優の綾野剛が務める。

  
これまで2007年「悪人」、2014年「怒り」が映画化されている吉田氏の作品。今作は、罪を犯した人間と、取り巻く人々の業と哀しみ、犯罪をめぐる“喪失”と“再生”を描く慟哭のヒューマン・サスペンスとなっている。

映画「楽園」ストーリー

青田に囲まれたY字路。ある夏の日、幼女誘拐事件が起こった。未解決のまま、住民の胸には罪悪感だけがしこりのように残り、事件直前まで被害者と一緒にいた紡は心に深い傷を負った。それから12年後、再びそこで2つの悲劇が起こる。

少女が行方不明となり、町営住宅で暮らす豪士が容疑者として疑われた。追い詰められ、街へと逃れるが、そこで豪士は驚愕の行動に出るのだった。そしてY字路に続く集落、愛犬と暮らす養蜂家の善次郎は、村おこしの事業を進めていたが、話のこじれから村中の非難を受け、村八分状態に。善次郎は狂気に陥り、恐るべき事件へと発展する。

被害者の親友だった少女、容疑者の青年、そして限界集落で暮らす男。なぜ人は罪を犯すのか?なぜ自分だけ生き残ってしまったのか?それぞれの人生が交錯するとき、物語は衝撃のラストへと導かれる。

主人公・豪士役を演じるのは綾野。「怒り」でも好演を魅せた綾野が、今作では容疑者の孤独な青年という難しい役どころに挑戦する。紡には、若手注目女優の杉咲花。心に負った深い傷を抱えながら、もがき生きる少女を熱演する。善次郎には、佐藤浩市。狂気へと転落していく男の心情を安定の演技力で表現する。

監督は、「64-ロクヨン-」でヒットを打ち出した、瀬々敬久氏。豪華キャスト、スタッフが集結した。(modelpress編集部)

吉田修一「犯罪小説集」書影(提供画像)

綾野剛 コメント

ただただ、そこに存在する事。映るのではなく、居る。それだけです。

杉咲さん、浩市さん、お二人との大切な時間を、愛おしく抱きしめながら過ごしたいと思います。

杉咲花 コメント

綾野さんとは、これまで何度か映画の授賞式などでお会いする機会があり、その度に「いつか一緒にやろうね」と声を掛けてくださっていたので、今回ついにご一緒させていただけることをとても嬉しく思います。そして4年前、映画の世界にほぼ初めて足を踏み入れたあの頃の私に、格好良くて優しいお人柄で、その背中で、色々なことを教えてくださった尊敬する佐藤さんとまたご一緒させていただけること、心から幸せに思います。

紡は難しい役ですが、どうか彼女がこの映画の中の一筋の光になりますように。

初めての瀬々組、心して臨みたいと思います!

佐藤浩市 コメント

人種、宗教、個人で心の折れ方バランスの崩れ方は多様です、人の数だけある。他人がそれを解りたいと思うのは日常の生活に余計な不安を取り除きたい、安心に暮らしていきたいという当然の思いです。しかし最後のスイッチが何処に在るのか?それは壊れていくその人自身にも分からない。

作者の吉田さんも監督の瀬々さんも、そして僕自身も、最後に背中を押されるその瞬間の人間の脆さ、怖さに目を向けていきたい。『楽園』はそれを体現する作品です。

吉田修一氏 コメント

私が描いた「犯罪」と、瀬々監督が思い描く「楽園」が、スクリーンの中でどのように響き合い、どのような「人間」のドラマを見せてくれるのか、今から楽しみでなりません。原作となる二つの短編から飛躍した大きな物語が、そこに生まれることを信じております。

瀬々敬久監督 コメント

人はどこかに楽園を探して生きているような気がする。一方で、日常は犯罪事件で覆われ、人々はそれを見聞きし、生活している。罪を犯す人も、それをワイドショーで追う自分らも、実はどこかで楽園を探しているのではないか。吉田さんの「犯罪小説集」を初めて読んだ時、そんな印象を与えられた。長年のファンである吉田さんの小説は、今回も犯罪を通して、生きる意味を問うていたのだ。何とか映画にしたいと思った。短編集を一本の長編映画の脚本にするには様々な格闘があったが、何とか形に出来たと思う。さらに俳優たちの参加。綾野剛さんの持つ繊細さと危うさ、杉咲花さんの凛とした純粋さ、映画に生々しい力を与えてくれると思う。そして今回は佐藤浩市さんに静謐な狂気を。そんな震える魂を共に描き、今までにない犯罪と人生の映画になることを目指し、現場に臨もうと思っています。

プロデューサー KADOKAWA 二宮直彦氏 コメント

今から2年前「犯罪小説集」刊行間もない時に瀬々監督から映画化したいという強いご意志を聞き、是非とオファーさせていただきました。

独立した短編集という構成故に映画はどのように作り上げるか試行錯誤の日々が続きました。ただ、監督の脚本は改訂を重ねるごとに深みを増しながら磨かれていき作品の核心を捉えていきました。吉田さんとも意見交換を頻繁に行い、脚本はさらなるステージに昇華され形が出来上がりました。瀬々監督と吉田さんが作り上げたこの強い磁場に共鳴するようにキャスティングは綾野剛さん、杉咲花さん、そして佐藤浩市さんと日本を代表する豪華俳優陣にご参加いただく事になり全てのピースが揃いました。

原作タイトル通りクライムサスペンスであると共に、本作は日常から遠い向こう側の話ではなく、数ミリの違いで裏側に人をひっくり返す、どうしようもない生きていく事の業を描く人間ドラマです。平成最後、燃えるように暑い今年の夏に負けない熱量を持った作品になると確信しています。
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