日本映画界で役者・高杉真宙に期待されること 「虹色デイズ」飯塚健監督が語る「股に掛ける存在に」
2018.07.13 20:15
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映画『虹色デイズ』(公開中)で主演をつとめる高杉真宙と飯塚健監督が13日、新宿ピカデリーでの上映前にトークイベントを実施。活躍の目覚ましい高杉の出演作品を横断し、演技論や俳優論を語り合った。
『虹色デイズ』の現場で冴え渡った、役者・高杉真宙の“嗅覚”
水野美波氏の同名コミックを映画化した同作は高杉と佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、中川大志、横浜流星がカルテット主演をつとめ、たった一度の青春を駆け抜ける男子高校生4人の恋と友情を描く。オタクで超マイペースな秀才・つよぽんを演じた高杉について監督は「初めて真宙に会った時、顔ちっさ!同じ人間かよと思いました(笑)」と率直に振り返りつつ「本当にすごくいい俳優部でした。若いのに大したもんだなと思わされることがいっぱいあった」と現場での在り方を評価。カメラとの距離感を敏感に察知し、それに応じて自然な動きをとることなど「カメラの前での“嗅覚”。そういうのがすぐできているのがすごいと思った」と話す。『大人ドロップ』を観て飯塚監督とのタッグを楽しみにしていたという高杉も「飯塚監督は見守ってくださる感じがある。監督が現場を見て、演技をしやすい環境を作ってくださるので、自然に演技のことだけを考えて役として生きていけた」と居心地の良さを語る。一方で「映画を作っているけど(監督が)色んな楽器を取って演奏してくださっているイメージ。セッションという感じが強い現場」と表現し、美術部によって細部まで作り込まれたつよぽんの部屋からインスピレーションを得た監督がその場でシーンをアレンジしていったというエピソードも。
「特に真宙のつよぽんの部屋は細部まで美術部が飾ってくれて、どうにか芝居の動線をひっぱって隅々まで映したかった。色んな部署が思いもよらないことをしてくれるから、それに乗るとどうなるか。その分、うちの俳優部は瞬発力がすごく必要で大変だな」と監督が語ると、高杉も「キャストは皆さん瞬発力があったので、負けないように頑張らなきゃと焦ったところもありました。自分はあまりにも事前に固めすぎて、現場での対応に追われることがあるので、今回は特に色々と見つけられる部分が多かったです」と刺激的な撮影を振り返った。
『君が君で君だ』『世界でいちばん長い写真』が同時公開中「股に掛ける存在に」
また同時公開中の『君が君で君だ』ではヒゲを生やした“クズ彼氏”を演じる高杉。同作を観た監督が「ちょっとびっくりした、振り幅が。女性は『キモッ』ってたぶん思ったと思う(笑)。(池松壮亮をはじめ)俳優が濃い人ばっかりで、そこに真宙が混ざってどんな風になるのかドキドキしたけど、すんなり混ざっていた」と『虹色デイズ』とのギャップを評価し「優等生の役もいいけど、ぶっ飛んでるのも(演じるのは)好きでしょ?」と尋ねると、「楽しいです」とやりがいを明かす高杉。そんな多彩な作品群に関わる中で、常に大切にしていることは「自分としては役のことを理解して、どれだけその役を愛してあげられるかというのは、今後も絶対にしていこうと思っています。(役が)どんなに悪い子でもいい子でも、共通してやってあげたいことの一つ」と話した。そして同じく公開中の『世界でいちばん長い写真』のように、公開規模としては小さい作品にも並行して出演している点でも高杉の活躍ぶりは幅広い。特に同作はユーザーレビューの高評価によって広がりを見せており、監督は「いわゆる主演として真ん中に立つ仕事が増えると思うけど、それだけじゃなくて『君が―』のようにポイントで入るのも、どっちもやっていってほしいと思う。作品の大小も問わず。日本映画はわかりやすくドンとやっている作品と、いつの間にか終わっていく作品が極端で、そのどちらもないと日本映画界ヤバイよという話は真宙ともよくしているので、股に掛ける存在になってほしい」と期待。その言葉に深くうなずいた高杉は「俳優とは」という問いに「難問…」と悩みつつも「単純に仕事として楽しいということ。そして自分の天職であってほしいと思っています」と答えた。(modelpress編集部)
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